洗濯物の彫刻

日々繰り返される生活の手つきが積み重なった先に、生活の風景は作られていくのだと思う。だから生活の風景に私は心惹かれる。毎日を暮らしていく中であらわれ、しまわれ、またあらわれる風景のようなあり方の彫刻を私は作りたかった。

くたくたでやわらかでそのものでは形を保たず、壁や天井とつなげてようやく立ち上がらせられる、そして展示が終わるとたたまれて、また次の時が来るまで小さくなってしまわれている、そんな彫刻。

BankART Station

婦木加奈子

ふき・かなこ

1996年兵庫県生まれ。金沢美術工芸大学美術科彫刻専攻を卒業後、2020年チェルシーカレッジオブアート修了。身につける・外へと持ち出すなどの行為や、生活の営みを読み替えた制作プロセスを用いて、日常の風景の中へ潜り込む彫刻作品を発表。主な展覧会に「いなさ」(浜松市鴨江アートセンター/2023)「第1回 MIMOCA EYE」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館/2022)「TOKAS-Emerging『ストレンジャー』」(トーキョーアーツアンドスペース本郷/2022)など。