Ground Transposition, 1987/2016
この土玉のプロジェクトは私の作家活動の原点であると同時にライフワーク的仕事と言える。近年では、沖縄の辺野古の土と、ロサンゼルスの日系人強制収容所のあったマンザナールの砂漠の砂で作った二つの球体をロサンゼルスのギャラリーで展示した。現在は韓国の離島に設計している湖に浮かぶ美術館(2023年完成予定)に、現地の海の塩と干潟の泥で球体を作る計画が進行中である。
2016年のバンカートの個展で作った本作品は、3・11東北大震災の原子力発電所事故のために除染された土で作りたいと提案した。実現は叶わなかったが、被災地をリサーチした際に持ち帰った一握りの土が込められている。
BankART Station
柳 幸典
やなぎ・ゆきのり
1959年福岡県生まれ。イエール大学大学院美術学部彫刻科修了。1993年、第45回ヴェネツィア・ビエンナーレアペルト部門賞受賞を皮切りに国内外で脚光をあびる。移動、越境、国家など様々な社会的問題を、ユーモアをもって作品化する。瀬戸内海での《犬島精練所美術館》(2008)を経て2012年より尾道市の離島百島を拠点に活動し《NPO法人ART BASE百島》を主宰。BankARTでは2016年に大規模な個展「柳 幸典~ワンダリング・ポジション」を開催した。