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「道沿いに樹を植える」という文化は、建築様式と共に欧州からやってきたそうだ。
爛々とした明治時代の馬車道で、商人たちが私財でクロマツと柳を植えこみ、
それが日本の街路樹の発祥であるといわれている。
街を設計したり、道をつくろうとする人が、気候、樹木の生態と土質、樹形、涼陰など
何ともたくさんのことを考えて選ばれるのが、
当時は「行路樹」や「道路樹」、今は「街路樹」と呼ばれる樹々である。
クロマツは繊細な長い葉を持ち、海岸エリアに生育する強さを持つ。
柳は枝垂れる柔らかい姿と、環境変化に耐性がある強さがある。
1867年当時の馬車道では、街の風景の一部としてこの2種が選ばれた。
煉瓦造りの建物の前を、黒松と柳の樹を横目に通り過ぎていた人々のことを、
歴史広場で一度想ってみるのはいかがだろうか?と、本作を制作した。
制作技法 : シルクスクリーン手捺染
制作者 : 大友邦子
2024年7月
企画・協力:BankART1929