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横濱ゲートタワー「スタートギャラリー」に展示する作品の公募にたくさんのご関心をお寄せいただきありがとございました。短期間での公募ではありましたが41組もの応募がありました。提出いただいた書類をもとに審査員による厳正なる審査の結果、おおだいらまこ さん に決定いたしました。
作家詳細と、各審査員による審査所感は以下の通りです。
引き続き、横濱ゲートタワー スタートギャラリーでの展示を楽しみにお待ちいただければと思います。
横濱ゲートタワー管理組合 + BankART1929
1995年青森県生まれ。「絵画作品と鑑賞者を含めた展示空間」をテーマに作品制作を続ける。絵画の枠組みを拡張しながら、鑑賞者と絵画作品がより良い関係性を築くために鑑賞者が親しみやすい絵画を研究している。最近では鑑賞者の展覧会における作品撮影に興味があり、そこを起点とした作品を制作している。個展「∩頂天-ウチョウテン-」(ギャラリーターンアラウンド/仙台、2024)、中之条ビエンナーレ(中之条/群馬、2021)、第22回グラフィック「1_WALL」展(ガーディアン・ガーデン/東京、2020)など。
https://www.instagram.com/oodaira_mako/
主催:横濱ゲートタワー管理組合 + BankART1929
横濱ゲートタワー・スタートギャラリーとして初めての公募企画に、全国から41に上る作品のエントリーがあり、応募アーティストの皆様に心より感謝申し上げます。応募作品は横浜やみなとみらいという場所性を表現したもの、現世界の問題に対してのまなざしを表現したものなど実に多様で力作揃いでした。その中から今回の展示作品を一点に絞り込むことは困難でしたが、最終的にギャラリー全体をバランスよく使い、都市生活の有り様を新しい風景として美しく現出しているおおだいら氏の作品を選ばせていただきました。最後に、本ギャラリーがみなとみらいのアートシーンを彩る名所となるよう努めていく所存ですので、今後ともご協力のほどよろしくお願いいたします。
はじめての公募企画で、短い募集期間でありながら、海外を含む広い地域から数多くの応募があったことに嬉しい驚きを感じつつ、さまざまな角度から審議を進めることになりました。今回の審査では、往来に面した公共空間で作品を発表する上での視覚的インパクトや、この地域で働き、居住する人にとっての知的刺激といった作品受容にまつわる観点からの審査に加えて、作家にとってこの作品発表の機会が、今後の活動にどのような影響を及ぼしていくことになるか、このプロジェクトの役割を考えることにもつながりました。最終的におおだいらまこさんの作品が選ばれることになった最大の理由は、彼女が自分の作品の特徴をよく捉えて、空間を最大限活かしたスケール感のあるプランを提出していた点にあります。惜しくも選外になった作家たちにも、数々の魅力的な作品がありましたが、自身の作品群の中で一番の特徴を活かしきれていないのではないか、空間の中で最大限のパフォーマンスを引き出すプランになっていないのではないかという意見の中で、惜しくも選ばれなかったものがありました。特殊な空間であることに尻込みすることなく、のびのびと作品を展開する方法を提示したおおだいらさんのプランの実現を楽しみに待ちたいと思います。
スタートギャラリーは通常のホワイトキューブとは真逆の空間であり、作品展示をする場所としては、決して簡単な場所ではありません。ですが、難しい空間であることを逆手に取り、このロケーションと空間を有効に活用できる作品や作家を広く募ることで、力のある新しいアーティストに出会っていけるのではないかと考えて、公募をおこなうことにしました。またこの空間およびロケーションの持つポテンシャルを引き出してくれる作品と出会えたらという期待のもとに、作品の形式や作家のバックボーンにかかわらず、たくさんの方々にこの公募に参加してもらいたいと思っていました。結果として41組ものアーティストがこの「スタートギャラリー」に真摯に対峙してくださったことに、まずは感謝の気持ちを表したいと思います。
選出されたおおだいらまこさんは、絵画作品と鑑賞者を含めた展示空間をテーマに作品制作を続けている作家です。またスマホなどの普及により日常的に写真を撮るという行為の奥にある人々の欲求への関心や、写真をもとに記録と記憶のズレを補完していくように絵画として成立させていくプロセスが興味深く、実際の作品を見てみたいという気持ちになりました。おおだいらさんの作品が、この街に新しい刺激を与えてくれることを期待しています。