水と土地をめぐる4日間のアートプロジェクト
会期:2026年10月31日(土)〜11月3日(火/祝) 10:00〜16:30
会場:旧走水小学校(神奈川県横須賀市走水2-2-2)
参加作家:大巻伸嗣、片岡純也+岩竹理恵、チャチャ、保良雄、水戸部春菜、ルカ・レグリーズ、原口典之
About
走水水源地2026
豊かな湧水に恵まれた走水は、都市化が進んだ東京湾岸にあって、海と山とがつながる三浦半島本来の地形の記憶を残す希少な場所です。古事記や日本書紀にその地名が刻まれているように、この地には古くから、海とともにある人のいとなみがありました。
「水源」とは、水が湧き出る場所をさします。
しかし、水は突然そこに現れるのではありません。海から蒸発した水が雲となり雨となって大地に降り注ぎ、地中に浸透した水は長い時間をかけて地層の裂け目を巡るなかで磨かれ、やがて清らかな水となって地上に湧き出ます。そして湧き出た水は人々の暮らしを支え、再び海へと還っていきます。
「水源」とは、目には見えない循環や蓄積が重なり、新たな流れとして姿を現す場所でもあります。
「走水水源地2026」は、かつて「海に一番近い小学校」として親しまれてきた旧走水小学校を舞台に、地域を中心としたイベント「Through the Water 2026 Autumn」(主催:Through the Water 実行委員会)と連動して開催します。展示、ワークショップ、シンポジウムを通して、走水という土地に流れてきた文化の水脈をたどるとともに、人々が土地と出会い、対話し、未来を思い描く場をひらいていく、その最初の流れをつくる試みでもあります。
この土地から海を望むことは、ひとつの風景を見ることにとどまりません。近景から遠景へ、現在から過去、そして未来へ、この世界のすべてが、そこに連なっています。

会場について
横須賀市立走水小学校(よこすかしりつ はしりみずしょうがっこう)は、神奈川県横須賀市走水にあった公立小学校です。1873年に開校し、2025年3月に横須賀市立馬堀小学校に統合され、151年の歴史に幕を下ろし閉校しました。現在は地域住民の方々が暫定利用をしています。
Exhibition/参加アーティスト
大巻伸嗣(おおまきしんじ)
1971年岐阜県生まれ。「存在」とは何かをテーマに制作活動を展開する。 環境や他者といった外界と、記憶や意識などの内界、その境界である身体の関係性を探り、三者の間で揺れ動く、曖昧で捉えどころのない「存在」に迫るための身体的時空間の創出を試みる。最近の展覧会に個展「Open the Box 2025: Bloom of Light」(2025年、香港・大館美術館)、個展「大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ」(2023年、国立新美術館)、「SPRING わきあがる鼓動」(2025–2026年、ポーラ美術館)などがある。
https://www.shinjiohmaki.net/

Courtesy of Mind Set Art Center
片岡純也+岩竹理恵(かたおか じゅんや+いわたけ りえ)
ともに2010年筑波大学大学院芸術専攻修了。2013年パリでの滞在制作を機にユニットでの発表を開始。身の回りのささやかな出来事から着想し、シンプルな現象へ置き換えるキネティック作品と平面作品を組み合わせ、事物や図像のあいだに 潜む関係をたどりながら、個々の作品の題材がゆるやかに響きあう場をつくる。最近の展覧会に、個展「カエルの痙攣、レモンの光ー位相する運動」(2026年、カスヤの森現代美術館)「Yokohama Re:Portside Project Vol.1」(2025-2026年、横浜クリエーションスクエア)、「岩竹理恵+片岡純也×コレクション 重力と素材のための図鑑」(2025年、神奈川県立近代美術館 鎌倉別館)などがある。
https://kataoka-iwatake.tank.jp/


チャチャ [Chaucer Xie]
2000年中国福建省生まれ、2023年より東京在住。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程在籍。水滴、気泡、風に舞うビニール袋といった目的を持たない複雑な自然運動や物理現象を起点に、人間の「自覚なき能動性」や生きている状態そのものを探求するインスタレーション作品を制作する。最近の展覧会に「SICF27」(2026年、スパイラル)、二人展「そっと揺れる現象に目をこらす」(2025年、ギャラリー準備中(東京))などがある。
https://chaucerxie.art/

水戸部春菜(みとべ はるな)
1995年神奈川県座間市生まれ。横須賀市拠点。東北芸術工科大学デザイン工学部グラフィックデザイン学科卒業。
状態の記録や保存をテーマに、何らかの背景による痕跡が残った環境や、人間の行動の本質的なリアリティを求めたインスタレーションやドローイング作品を制作している。近年主な展覧会に、個展「蝶の名前」(nanamica MOUNTAIN、2026)/個展「1&1」(galleryN、2025)/「SENSE ISLAND/LAND 感覚の島と感覚の地」(神奈川県横須賀市、2024)/「往古来今/ 見えない泉をさまよいさがす」(横須賀美術館、2024)などがある。
https://www.mitobeharuna.com/

保良 雄(やすら たけし)
滋賀県生まれ、千葉県を拠点に活動。福島をはじめとする複数の地域で定点的なフィールドワークを行い、土地や物質への直接的な接触を重視する。生物、無生物、人間を横並びの存在として捉え、自然環境や都市空間のなかにある、見えるもの/見えないものを含めた多様な存在との関係性を探求している。近年の展覧会に「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」(2024年、銀座メゾンエルメスフォーラム)、「第36回リュブリャナ・グラフィック・ビエンナーレ」(2025年、スロベニア)、稼働中の下水処理施設で開催した個展「TOTEM ORGA(H)/トーテムオルガ」(2026年、港北水再生センター)などがある。
https://yasuratakeshi.com/

ルカ・レグリーズ [Lucas Leglise]
1992年フランス生まれ。パリ国立高等美術学校(Beaux-Arts de Paris)を卒業。写真イメージそのものの物質性と、それが立ち現れる条件について探究を続けている。その多様なプロジェクトは、とりわけアナログ写真のプロセスにおいて、現実世界とそのイメージのあいだを往還しながら、フィルムに光が刻み込むものと、写真がその被写体(参照対象)と結ぶ関係の双方を考察している。
https://lucasleglise.com/

原口典之(はらぐち のりゆき)
1946年横須賀市生まれ(2020年没)。戦後から激動の1960〜70年代という時代を背景に、原寸大の軍用機を作品化した立体をはじめ、鉄、廃油、ポリウレタンなどの工業素材を用いた作品を制作した。絵画や彫刻の既成概念を再考し、事物の表層ではなく構造に目を向けながら、素材と空間の関係を際立たせる表現を展開した。代表作《オイル・プール》は1977年「ドクメンタ6」(カッセル)に出品され、国際的な評価を確立。主な個展に「原口典之ー社会と物質」(2009年、BankART Studio NYK)等がある。
https://nhart.jp/

Event/地域とアートをめぐるイベントプログラム
【TALK】 足元のことー横須賀の実践 「HIRAKU」「やとと」
【TALK】 走水から見えてくる、海を通じた学びの可能性
「MOON-海をつなぐミュージアム」「海とミライのがっこう」
【ラボ】染色ラボ「色のみなもと」
走水で採集した植物から染料を抽出し、さまざまな色彩を生みだす3日間の公開ラボ。いつでも無料で自由にご覧いただけます(※植物採集などにより作家が不在の時間もございますが、ラボ自体はいつでもご自由にお入りいただけます)。
ラボ運営|山本愛子(美術家)
日時|11月1日(日)~ 11月3日(火/祝) 11:00~16:00
会場|1F 給食室
山本愛子(やまもと あいこ)
美術家
1991年 神奈川県横浜市生まれ。東京藝術大学大学院先端芸術表現科修了(2017)。ポーラ美術振興財団在外研修員として中国にて研修(2019)。アジアを中心とした国内外でのフィールドリサーチを通じて、自然環境と人間の関係性をテーマに、主に染色技術を用いて作品を制作。主な展覧会に「こたえは風に吹かれている」(越後妻有里山現代美術館MonET/新潟 2025)、「往古来今/見えない泉をさまよいさがす」(横須賀美術館/神奈川 2024)、個展に「BankART Under 35」(BankART KAIKO/神奈川 2021)など。2020年から2024年まで横須賀市のアーティスト村「HIRAKU」に居住し制作活動をおこなった。
https://aikoyamamoto.net/


【WS】植生と巡る走水フィールドワーク
植物を用いて作品を制作する水戸部春菜と山本愛子が、横須賀市自然・人文博物館の山本薫さんを迎え、走水の植生について学びます。実際に植物採集に出かけたり、対話を重ねながら、植生と表現の関係や、走水の豊かな自然環境への理解を多角的に深めていきます。
走水小学校周辺を歩いて巡る予定です。雨天の場合は屋内だけで行います。
ゲスト|水戸部春菜(美術家)、山本愛子(美術家)、山本薫(横須賀市自然・人文博物館 学芸員)
日時|11月1日(日)10:15~12:00 (10時受付開始)
集合場所|特別支援室(2F)
料金|1500円(オリジナル冊子付)
対象|中学生以上〜大人
定員|20名
山本 薫(やまもと かおる)
横須賀市自然・人文博物館 学芸員(植物学)/博士(理学)
東京都立大学(首都大学東京)大学院理工学研究科博士後期課程修了(2013)。国立科学博物館特定非常勤研究員、埼玉県立自然の博物館非常勤学芸員を経て2015年より現職。学生時代からシダ植物の生殖と多様化の研究に取り組む一方、三浦半島における植物の多様性・独自性の解明をテーマとした研究に着手。市民とともに植物相調査や絶滅危惧種・外来種の調査を実施するほか、植物を教材としたワークショップや講演などの教育普及活動も広く展開する。現在は、横須賀市自然・人文博物館のリニューアルに向けた取り組みにも力を注ぐ。
https://www.museum.yokosuka.kanagawa.jp/


【WS】海藻とサイアノタイプ(日光写真)のワークショップ
写真の古典技法であるサイアノタイプ。走水でとれた海藻をつかい、日光で青い写真として焼き付けます。海藻と写真の関係を学べるルカさんの作品解説付き。
講師|ルカ・レグリーズ(アーティスト/写真家)
日時|11月1日(日)14:00~15:30
会場|家庭科室(4F)
料金|2,000円
対象|どなたでも(10歳未満は保護者同伴)
定員|20名

【TALK】足元のことー横須賀の実践
横須賀で、地域に根ざしながらアートの実践をつづける活動報告
登壇|YOKOSUKA ART VALLEY HIRAKU/牧野颯紀(横須賀市まちなみ景観課)
やとと/藤原香奈(株式会社やとと 代表)
日時|11月1日(日) 13:00~13:45
会場|特別支援室(2F)
料金|1,000円(横須賀市民は500円)
定員|40名
牧野颯紀(まきの さつき)
横須賀市まちなみ景観課企画・住まい活用担当
横須賀市出身で、2024年に横須賀市役所へ入庁。現在は、田浦泉町の元市営住宅を活用した「YOKOSUKA ART VALLEY HIRAKU(アーティスト村)」の管理を担当しています。アーティストの表現活動と地域の暮らしが交わる場づくりを通じて、谷戸地域の新たな魅力やにぎわいを生み出す取り組みを進めています。
https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/4821/kikaku/artist.html

藤原香奈(ふじわら かな)
株式会社やとと 代表取締役
川崎市出身、横須賀市在住。大学・大学院で観光学を専攻し、都市計画や公共空間・施設の企画、事業開発などに携わる。横須賀市への移住を機に(株)やととを設立。谷戸地域で複数の拠点を運営しながら、これからの「豊かな暮らし」をテーマに活動している。
https://yatoto.net/


【TALK】走水から見えてくる、海を通じた学びの可能性
海と人との関わりを起点に、地域と世界をつなぐ学びの可能性を探る
登壇|「MOON-海をつなぐミュージアム」/田口康大(一般社団法人3710Lab(みなとラボ))
「海とミライのがっこう」/走水/金澤 等(一般社団法人ひとひろ/かねよ食堂)
日時|11月3日(火・祝)10:30~12:00
会場|特別支援室(2F)
料金|2,000円(横須賀市民は500円)
定員|40名
田口 康大(たぐち こうだい)
一般社団法人3710Lab(みなとラボ) 代表理事/東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センター特任講師
1983年青森県生まれ。教育学・教育人間学を専門とし、人間と教育との関係について学際的に研究する。2011年の東日本大震災以降、海と人との関係をテーマに海洋教育の実践研究に取り組む。2015年、「海とヒトとを学びでつなぐ」をテーマに次世代の教育をデザイン・提供するプラットフォームとして、一般社団法人3710Labを設立。2026年、海と人とのつながりをテーマにした総合ウェブミュージアム「MOON―海をつなぐミュージアム」を開設。

金澤 等(かなざわ ひとし)
一般社団法人ひとひろ代表
愛称ジョン。1979年生まれ。8歳の頃に横須賀市走水の地へ。漁業を営む傍ら、夏には海の家を営業する両親の元で育つ。2003年、両親から「海の家」を引き継ぎ「かねよ食堂」としてオープン。現在は父の漁業を継ぎ、新たな取り組みとして「海とミライのがっこう」にてワカメの漁業体験ワークショップなどを通じ、こどもたちへ生きた学びの場を提供している。


【TALK】対岸のこと
走水から海を隔てた対岸の房総半島から土地の地形や自然環境を起点に展開される活動を紹介
登壇|「干潟と芸術」/木更津/槙原泰介(美術作家)
「小さな地球」/鴨川・釜沼/塚本由晴(建築家)
聞き手|田村聖輝(建築家)、細淵太麻紀(BankART1929代表/アーティスト)
日時|11月3日(祝)13:00~15:00
会場|特別活動室(2F)
料金|2,000円(横須賀市民は500円)
定員|40名
槙原泰介(まきはら たいすけ)
美術作家/「干潟と芸術」主宰
広島県生まれ、千葉県在住。2003年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了 。場の読み解きや見立てを通して、風景の成り立ちや認識を編み替えるインスタレーション作品を展開している。2020年に東京湾の干潟を中心としたリサーチを開始し、2022年に木更津市に移住。干潟で自然と芸術の関係性を考えるアーティストと協働するプロジェクト「干潟と芸術」を主宰。最近の展覧会に「百年後芸術祭-内房総アートフェス」(木更津市 2024)、「瀬戸内国際芸術祭」(香川 2025)、「Arm」(富山大学芸術文化図書館キューブ/富山 2026)など。
https://www.taisukemakihara.com/
https://sites.google.com/view/artandtidalflats/


©Art and Tidal Flats
塚本由晴(つかもと よしはる)
東京科学大学環境・社会理工学院建築学系教授/アトリエ・ワン共同主宰/「小さな地球」理事。
1965年神奈川生まれ。貝島桃代と1992年にアトリエ・ワンを設立し、建築、公共空間、家具の設計、フィールドサーベイ、教育、美術展への出展、展覧会キュレーション、執筆など幅広い活動を展開。ふるまい学を提唱し、建築を人々や地域の営みから捉え直す実践を展開する。近年は千葉県鴨川市を拠点に「小さな地球」の活動にも取り組む。
https://www.bow-wow.jp/
https://small-earth.org/


田村聖輝(たむら さとき)
建築家
東京都出身、横須賀市在住。横浜国立大学大学院Y-GSA卒業後、建築設計事務所勤務。設計事務所では公園内の施設設計や古民家リノベーション、アートイベントのスペース設計を担当。ライフワークとして、yokosuka reserch art projectや、汐入の谷戸での活動などを通して、ランドスケープ、家具設計、出版デザイン等、大から小まで地域内で多岐にわたるものつくりに携わる。あらゆるスケールを横断したものつくりで都市や自然に関わっていく活動を行っている。

細淵太麻紀(ほそぶち たまき)
BankART1929代表/アーティスト
多摩美術大学にてグラフィックデザインと写真を学んだ後、美術・建築ユニット「PHスタジオ」のメンバーとして、国内外での展示、野外プロジェクト、建築設計等多数のプロジェクトに参加。2004年に横浜市の歴史的建造物等を文化活動に活用するBankART1929の立ち上げに参画し、以降企画運営全般に携わる。2022年4月より現職。

Access

旧走水小学校(神奈川県横須賀市走水2-2-2)google map
走水小学校バス停までJR横須賀駅よりバスにて35分、京急馬堀海岸駅よりバスにて6分。
走水小学校バス停より徒歩6分。
旧走水小学校に駐車場はありませんので、ご注意ください。
公共交通機関をご利用いただくことを推奨します。
◉公共交通機関でお越しの場合
【バス時刻表】京浜急行バスの時刻表をご確認ください
《往路》
京急馬堀海岸駅→走水小学校
JR横須賀駅→走水小学校
《復路》
走水小学校→京急馬堀海岸駅①横須賀駅行き(馬堀海岸経由)(須24・須28)
走水小学校→京急馬堀海岸駅②馬堀海岸行き(馬24)
走水小学校→JR横須賀駅
◉お車でお越しの場合
【最寄り駐車場】
水源地公園駐車場(神奈川県横須賀市走水1-2)
入庫 7:00-20:00、出庫 -21:00/駐車台数111台/走水小学校まで徒歩13分)
google map
開催概要
会期:2026年10月31日(土)〜11月3日(火/祝) 10:00〜16:30
会場:旧走水小学校(神奈川県横須賀市走水2-2-2)
参加作家:大巻伸嗣、片岡純也+岩竹理恵、チャチャ、保良雄、水戸部春菜、ルカ・レグリーズ、原口典之
主催:BankART1929
共催:Through the Water 実行委員会 (一般社団法人ひとひろ、ガーデングローブ合同会社、株式会社やとと、特定非営利活動法人BankART1929)
後援:神奈川県、横須賀市
助成:芸術文化振興基金、公益財団法人花王芸術・科学財団、公益財団法人小笠原敏晶記念財団、神奈川県マグカル展開促進補助金
問合せ:BankART1929 info@bankart1929.com TEL: 045-663-2812

この展覧会はThrough the Waterの一環として開催されます
Through the Waterについてはこちら throughthewater2026.umitomirai.jp



