原口典之展 社会と物質
Noriyuki Haraguchi Society and Matter

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日時:2009年5月8日(金)-6月14日(日)11:30-19:00
会場:BankART Studio NYK全館 
観覧料:一般900円(700円)大学生600円(400円)高校生300円(200円)
※中学生以下65才以上無料
※( )内は10名様以上の団体割引料金
展覧会チケット・カタログセット 2,200円
展覧会カタログ (A4変形 256P)2,100円

オープニングパーティー 5月8日(金)19:00-21:00
春山繁夫(ベース)
Indra Gurung/インドラ・グルン(バンスリフルート)
南 宏行/ボンシバ南(ギター) 




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原口典之は日本美術史の中で極めて独自な歩みをしてきた作家です。氏の代表作のひとつである油のプールは、ポストモノ派という言葉では言い表すことのできない強度のあるデビューでした。それ以降も物質そのものに照準をあてながらも、社会性のあるしなやかで硬質な作品を次々と発表してきました。今回、原口氏はBankART Studio NYKの全空間(約3,000m2)に挑みます。みかんぐみ(建築設計ユニット)によりリノベーションされた戦後すぐに建てられた力強い倉庫空間と、氏が30数年間展開してきた多様な作品群がどのように化学反応するか? 海外での大規模な展覧会はあるものの、日本においてのまとまった展覧会は今回が初めてです。どうぞご期待下さい。

原口典之|Noriyuki Haraguchi
1946年神奈川県横須賀市生まれ。
1966年より美術活動をはじめる。国内外の美術館、画廊にて作品を発表する。
主な展覧会
1977年 「ドクメンタ6」(カッセル/ドイツ)
1989年 「現代美術への視点/色彩とモノクローム」(東京/東京国立近代美術館)
1988年 「(C)Overt 」(P.S.1/ニューヨーク)
1997年 「光州ビエンナーレ」(光州/韓国)
2001年 「NORIYUKI HARAGUCHI」(レンバッハハウス市立美術館/ミュンヘン)
2007年 「黒の方形ーマレーヴィッチへのオマージュ」(ハンブルガークンストハーレ/ハンブルグ)
2008年 KUNST-STATION SANKT PETER KOELN(ケルン)


問い合わせ:BankART1929 Office(BankART Studio NYK)
〒231-0002 横浜市中区海岸通3-9
TEL : 045-663-2812 FAX : 045-663-2813
info@bankart1929.com
http://www.bankart1929.com



木幡和枝氏による原口氏の紹介文 2009.1.29
原口典之は1946年8月15日に横須賀で生まれた。敗戦から正確に1年後である。歴史がもたらしたこの偶然は、聡明でまっさらな(恐れを知らない)彼の知性と感覚をとおして、彼のその後の62年の人生と作家生活を揺るぎない時代の証言、羅針盤、共振装置として形成してきた。アメリカと米軍の臭いと色彩に浸蝕され始めた横須賀から青森の最北端の竜飛岬へ...... そしてまた横須賀へ。北方の反共防衛のためのレーダー技師だった父親の転勤は、幼年期の原口にドラスティックな文化的混乱と混交を植え付けた。そして...... そうした表層を貫いて自己を定位する賢明さを。 1960年代後半〜70年代前半へかけての団塊の世代の政治文化的反乱のなかで、原口は学生が封鎖した日大芸術学部のスタジオにこもり一人制作し続けた。1966年の『朝日ジャーナル』表紙には原口の作品が登用されている。1977年、現代美術とくにコンセプチュアル・アートの急先鋒カッセルの「ドクメンタ6」国際展は初の日本人参加者として高松次郎と原口を招待した。そこで廃油の作品を見た当時のイランのパーレビ国王はすぐさま作品を買い上げ、それはいまだにテヘランの美術館に展示されている。当時から原口の「同僚・同時代アーティスト」はゴードン・マッタ=クラークであり、リチャード・セラであり、彼らはあわせて「間断なく書き換えられる境界線」の地下をかいくぐる時代精神を体現した。単純な国際派とは違う。原口は同時に日本の「もの派」の代表的作家としても重視されている。 2003年、ドイツのレーンバッハ美術館が20世紀の美術を総観して渾身のキュレーションを行った「Square 正方形」展では、マレーヴィッチ、セラなどの作家と並び日本の作家としてはひとり原口の作品が展示された。彼が一貫して記録し、記憶し、具現化するのは時代の臭い、表層的視覚を越えた色、ものの全身的な感触だ。原口の仕事は歴史的な時空間に於ける出自が明確で、それのダイナミックで同時代的な変遷を体現する。それが広く世界に受入れられ、世代を超えて刺激的であり続ける理由。それは、歴史というものが完結した過去ではなく、変貌する現在であることを鮮明に表す作品が、時空を巻き込んだコスモポリタン的求引力を発揮しているからに相違ない。現在の若手にはあまりみられない、この強靭にしてしなやか、開放的なアートの力を支援する価値は非常に大きい。

木幡和枝
(N.Y. PS1現代美術センター・MoMA客員キュレター、東京藝術大学先端芸術表現科学科長・研究科教授)


公開対談
時間=19:30-21:30  
料金=1,500円
展覧会チケットの半券をお持ちの方1,000円

5月22日[金]
スカイホーク特集号制作チーム
清水哲朗/東京造形大学
小林晴夫/元Bゼミスクール
大泉英夫/スカイホーク特集号編集

5月29日[金]
関根伸夫/美術作家

6月5日[金]
田中信太郎/美術作家

6月12日[金]
福住 廉/美術評論


田中 泯 パフォーマンス公演
5月16日[土]
開場=19:00  開演=19:30 
料金=2,000円
展覧会チケットの半券をお持ちの方 1,500円

田中 泯|Min Tanaka 1945年東京都生まれ。舞踊家。学生時代からクラシック・バレエとモダン・ダンスを学び、モダン・ダンサーとして活動した後、73年から一人だけの活動に入る。78年「身体気象研究所」を設立し、以後、内外の舞踊祭・演劇祭への招待参加、独舞、グループ作品の公演を始める。'80年代前半土方巽に師事。85年山梨県白州町で農業と舞踊を合わせた実践を開始。95年「舞踊資源研究所」を設立、現在、農事組合法人・舞踊団「桃花村」を主宰。2002年、初出演した映画「たそがれ清兵衛」(山田洋次監督)で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。現在、前衛と伝統の融合を求め、国内外で舞踊、オペラ、美術展等に活躍中。

近藤等則 パフォーマンス公演
5月17日[日]

開場=19:00  開演=19:30 
料金=2,000円
展覧会チケットの半券をお持ちの方1,500円

近藤等則|Toshinori Kondo
1948年愛媛県生まれ。日本を代表するジャズトランぺッター。70年代初期より、フリージャズの分野で数々の作品を世に出し、84年に自ら考案したエレクトリック・トランペットを携え結成したIMA(International Music Activities)は、海外で多大な評価を得る。93年、IMA解散後、活動の拠点をオランダ・アムステルダムへ移し、この時期より大自然のバイブレーションの中でエレクトリック・トランペットを演奏する「地球を吹く」シリーズを開始。その一部はテレビ番組として放映され、特にイスラエル・ネゲブ砂漠編はATP賞を獲得した。2005年、広島・長崎原爆投下60周年を期に、世界平和を願う「PIKADON Project」を開始するなど、今後の活躍を世界中が注目している。

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