BankART school 2024 7-9月期 マルコス・フェルナンデス 「音の仕組み(How Sound Works)」

今回の講座は2つ。その一つは、横浜で生まれたサウンドアーティスト(これ以外にもいろいろなことをやっている)である、マルコス・フェルナンデスさんが講師を努める「音の仕組み(How Sound Works)」です。

マルコス・フェルナンデス横顔

音の性質、音響生態学、フィールドレコーディング、フォノグラフィーなど、主に私たちを取り巻く環境に存在する様々な音に関することから、電子音、音楽、そして楽器作りと即興まで様々な観点から全8回で「音」の仕組みをひもといていくものとなっています。

現在は半分をこえたところ。これまでの講義は、本当に私たちの周りに(そして普段の生活ではあまり意識を向けていない)音に焦点を当てたもので、時には、通路や周辺の空間の音を聴きに会場を出て歩き周り、様々音に耳を傾けたり、実際に参加者が興味を持った「音」を録音、それを題材に講義を進めるなど、「音」の持つ様々な魅力、その仕組みや楽曲を聴くだけではない、音の楽しみ方などに気づかせてくれる内容です。

前半は、音そのものの性質から始まり、サウンドスケープの話や、音響生態学、そして、進化してきた録音機器などの話も交えて、特に自然、あるいは都市の環境の中にある音が中心になっていたように感じます。改めて、サウンドスケープという概念の重要なことを認識した次第です。

フィールドレコーディングでは、実際にマルコスさんが録音している機材のことや、実際に録音した音を聴き、講義が進められました。紹介された、「洗濯機の音」、普段何度も洗濯をしているのですが、真正面から向き合うと、なかなかにストーリー性のある面白い音です。なんだか聞き入ってしまいました。録音機材もだいぶ進化して、昔はテープだったものが、デジタルになって高性能、手軽になっており、スマホのアプリでもかなりなものとなっていて、誰でもやってみることができる事になっています。

でも、マルコスさんは、DAT(digital audio tape)も未だに現役で愛用しているそうです。DATのレコーダー、久しぶりに目にしました。今使っているのはzoomのレコーダー。昔と違って録音しているのを悟られず、自然にとれるのがメリットとのことでした。

3回目の宿題は、それぞれが興味を持った音をスマホなどで録音してくること。4回目の講義では、それを題材になんの音か、どうしてそれに興味を持ったかなどを参加者それぞれに聞いていきました。

この時期だからだと思いますが、音に「蝉」の鳴き声が入っているものが多く、とても季節を感じるものになっていました。

残りもう少し。これからの講義も楽しみです。

ちょうど今回のschoolの会場となるBankART Stationでは、「島袋道浩:音楽が聞こえてきた SHIMABUKU:I Hear Music」と題した音や音楽に関連する作品で構成された展覧会を開催中。

様々な音の流れる、こちらの展覧会も是非お楽しみ下さい。