都市と仮囲い 2020年9月18日

今回の川俣氏の作品の素材の選択は、新高島地区、北仲地区のあらゆる場所でみかける平板鋼板で囲まれた工事中の空間から引用だという。確かに、BankART Stationがある新高島地区は、まさに大規模建築の工事中だらけだし、川俣さんが下見にこられた時期の北仲地区もほとんどが仮囲いで、入ること、見ることができない場所が多かった。

川俣氏は、活動初期の頃から、廃材(木材)を使ってのインスタレーションを続けており、いつも「工事中」なのだが、反転して、実際の町で建てられている木造家屋の構造が、川俣氏の作品のように見えてきたのが懐かしい。あれから既に40年以上経過しており、都心部では木造の棟上げはほとんど見る事はなくなった。仮囲いの中で作られていくRC造や鉄骨造の現代建築。街行く人は、囲いの表面をなぞるだけで、その内側には興味を示さない。棟上げのときに皆でおこなった「もちまき」という祭りも存在しない。都市は知らない間に誰かに占有され、忘却された空間だけが積層していく。川俣氏はこうした現代都市の風景を否定するわけでも肯定するわけでもなく、閉鎖された空間を盗み見し、挿入し、共有していこうとする視線と勇気を与えてくれるのだ。

■BankART Temporary外部
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■BankART Temporary内部
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■馬車道駅構内
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■BankART Station
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黄金町バザール2020出品作品
さくらアリス《町にいる一人になったアクション》2020年、サイズ可変、映像
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※たまたまWEBでみかけた黄金町バザール地区の写真。紙面にあった写真は、まさにこの平板鋼板(京浜急行の高架下仮囲い)を背景に移動するアーティストの作品の写真だった。
「川俣さん、ここでもやっているのか」と思ってしまった。

BankART LifeⅥ – 「都市への挿入」川俣 正展について 2020年9月12日

ヨコハマトリエンナーレ2020連動の「都市への挿入 川俣 正 BankART Life Ⅵ」がスタートした。日本最大規模の展覧会と協働するにあたり、BankART 1929がセレクトしたアーティストは川俣正という一人のアーティストだ。複雑な様相を呈しているヨコトリ本体に対して、単純明快でいこうと考えたからだ。川俣氏の作品が単純というのではない。むしろ氏の作品は、緻密に組み立てられた構成は驚くほど複雑だし、遠い場所(空間/時代)をみているし、そう簡単に理解できるものではない。とはいえ、氏の作品は、理屈ぬきに都市の中(あるいは社会の中で)にはっきりとした立ち位置とメッセージをもっており、誰もが強いインパクトを受ける作品なのだ。

特設ブログから垣間みることができるように、生みの苦しみが連続のプロジェクトではあったが、設計、施工チーム、グラフィック、web担当、映像、写真、コーディネートスタッフ、アルバイト、横浜市文化観光局、整備局、環境創造局、横浜高速鉄道(株)、その他関係者各人がそれぞれの立場で全力をつくしてくれたおかげで、なんとか実現にこぎつけることができた。

ただ、展覧会は9.11でスタートしているのにチラシの表紙を飾る作品はまだ着手されていない。9.14朝から、元気よくつくり始めるので見守っていただきたい。これから台風もあるし、まだまだハードルがあると思うが、ひとつずつ丁寧に乗り越えていきたい。出来上がった作品は少し派手かもしれないが、それを支える日常は極めて淡々とした営みなのだ。

■BankART Temporary内部
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■馬車道駅構内
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■BankART Station展示風景
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■BankART Temporary外部模型
制作は9/14からスタート
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川俣展 リモートオープンミーティング 2020年9月11日

9月11日(金)18時45分から45分程度、川俣正展のオープニングパーティではなく、「オープニングミーティング」をリモートで行った。乾杯は、ワイン、ウーロン茶、ビール等、60ミリ程度の小さなカップ一杯のみ。文化観光局局長神部氏、川俣氏のトークの後、参加者に自由に手をあげてもらい、遠くに住むチャーミングでたくましい恋人に各々が挨拶とエールを送った。

動画はこちらからご覧ください。
http://bankart1929.com/life6kawamata/#archive

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右:設計 鈴木事務所 鈴木雄介氏
中:鈴木事務所 レオ・アレガー氏
左:施工チーム代表 株式会社 豊国 甲斐 康生氏

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横浜市創造都市推進課 文化観光局局長 神部 浩氏

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村田 真氏

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