台北市・横浜市アーティスト交流プログラム2023 ウー・チェンイーさん滞在制作中!

台北|宝蔵巌国際芸術村(Taipei | Treasure Hill Artist Village)とBankART1929は、平成17年度から毎年アーティストを相互に派遣し、各施設で約90日間の滞在制作を行ってきています。今回は、台北からWU Chien-Yi(ウー・チェンイー)氏が1月4日から3月24日まで横浜に滞在します。
BankART では、ウー氏の滞在期間中に横浜トリエンナーレ連携企画である「BankART Life7」が開催されることから、同展に出品する形で、成果発表展示をしてもらう方向で進めています。
なお、横浜からは、2022年のUnder35で個展を開催したナカバヤシアリサ氏が同期間、台北のTreasure Hill Artist Villageに滞在し、制作、発表をおこないます。

チェンイーさんが鎌倉に行った際に同行したアルバイトスタッフの西野さんによるレポートです。

■2024年1月25日 快晴
チェンイーさんと鎌倉へ観光に。
まず江ノ島電鉄に乗り湘南の海が望める景色を見に行きました。
チェンイーさんの住む台中も海に面していて、風力発電による風車の並ぶ様子、湿地のため湿った砂浜であること、湘南の海との違いを教えてくれました。

次に鎌倉へ向かい、神奈川県立近代美術館 鎌倉別館にて開催中の展示「イメージと記号 1960年代の美術を読みなおす」を観覧。
日本の60年代後半の動向と共に、当時を代表する作家のイメージや記号にまつわる立体作品や視覚的な作品が並んでいました。

チェンイーさんはその中で、高松次郎作「世界の壁」に興味を惹かれたようでした。〈影〉シリーズの集大成といわれるこの作品は、パズルのように並べられた正方形にさまざな光の当たり方をした物や人の影が描かれています。
私は、窓に創作されたチェンイーさんの作品が、光を透過し影が生み出される事や、空間や環境を意識した作品性に通じ合う部分を見出したのではないかと思いました。

その後は、鶴岡八幡宮に立ち寄りお参りを。そして鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムへ。
建築家坂倉準三の設計を堪能し、平家池の水面の照り返しが建物や植物に映る様子や、大谷石積みの壁面と2階部分の外壁ボードが呼応する新旧併せ持ったデザインに注目されていました。

道中ではレトロな建物に興味を示していました。天気が良かったので、景色や建物がより綺麗に見え、制作環境とは様相の異なる街並みや空気感を楽しんでもらえたのではないかと思います。

西野唯衣

東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻「MEDIA PRACTICE 23-24」

東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻・修士生による成果発表展「MEDIA PRACTICE 23-24」が2024年1月12日〜14日に開催。東京藝術大学の元町中華街校舎に加え、今回初めてBankART Stationも会場となった。

2015-17年度までは、BankART Studio NYKで同専攻のオープンスタジオや成果展を行なっていたので、BankARTでの開催は6年ぶりとなる。

BankART Stationでは、修士二年8名と修士一年1名が展示。両方の会場を使った作家は2名。その一人、伊藤琴音の「音景 –駅-」は、廊下の広い空間にただ椅子だけが置かれているが、しばらく耳をすますと、自然音とは異なるサウンドが聞こえることに気づく。作家が仕込んだ音に、駅通路の音声も混じり合い、その時限りのリミックスが生まれていた。一方、倉知朋之介は県民ホールギャラリーで開催中の「味/処」展にも参加しており、3ヶ所をめぐる仕組みとしてスタンプラリーを実施した。

音、詩、パフォーマンス、インスタレーション等、「メディア」の意味を拡張して表現に取り入れた作品が多く、思いがけず視覚以外の感覚も刺激される意欲的な展示内容だった。