空調工事とアーティストインレジデンス

現在、BankART Studio NYKの3Fでは、空調工事が行われている。一方43組のアーティストが2ヶ月だけだが、スタジオで活動しはじめている。

「空調工事があったから、この時期アーティストインレジデンス事業を行うことにした」なんていうと、身も蓋もないし、騒音の激しい空調工事を横目に一生懸命作品をつくっている作家に対しては申し訳ないが、実際に通常の展覧会やイベントはとても工事と同居できるものではない。「空調工事VS作家滞在制作」の状況だけが、なんとか館を休まないで運営できる方法だ。

この論理は、解体予定の家屋やビルのテンポラリー活用などに援用されることも多い。老朽化した建物で、しかも2年ぐらい壊すまでに間がある、といったケースに登場できるのはアーティストだけだ。2年で出ていかねばならなかったり、ぼろぼろの内装を自ら整えてでも入居しようとする一般人はあまりいない。アーティストは安い家賃と自由度の高いベクトルを好み、そういった物件を浮遊するのが得意だ。我々の仕事は、そういった不安定な状況に対して、多少たりとも信頼と安全を付加するシステムを構築することだ。今回の空調工事でも、館を1ヶ月休むべきところを、タフなアーティストとともに共同戦線を張り、施工業者さんの惜しみない協力のもと、「使う」ことを選んだのだ。

SN3K0080_0.jpg SN3K0078_0.jpg