【アートラーニング・インタビュー #13】BankART Life7 参加アーティスト・鷹野隆大 by BankART実験広報部

こんにちは、BankART実験広報部のJUNGです!

今回はLife7の会期中、みなとみらいに展示されている鷹野隆大さんにインタビューさせていただきました!
触れそうにも触れない、生命力を持っているようにも見える影の存在に気づき始め、集められた「影」のシリーズの話を中心にお話しをうかがっています!

Q. 簡単な自己紹介からお願いします。

鷹野:こんにちは、鷹野隆大と申します。写真をメインに作品を制作しています。

Q. 普段どのような写真を­撮っていますか?

鷹野:普段からカメラを持ち歩いて、用事で出かけた先で何か気になったものを撮るというスタイルです。何を撮るのかを特に決めないことを決めています。

Q. 今回の作品のコンセプトは何ですか?

鷹野:今回は「影」をメインに、日常の中で撮ってきたものの中から影が写っているものを集めて展示した作品になります。

Q. 今回の作品を通じて観客に伝えたいことがありますか?

鷹野:影って変なものだなーと常に思っているので、そのあたりを感じてもらえたら良いかなと思っています。基本的に影って何かに付随しているものなので、普通はその実体の方を中心に眺めると思います。しかし、影だけを見ているとそれが独立した生き物に見えることがあって、非常に不思議な存在だったりするので、そういうところに気付いてもらえたらいいなと思っています。

Q.「影」のシリーズを撮った場所はどこですか?

鷹野:いずれも東京国立近代美術館に行く途中の竹橋駅を出る直前あたり、パレスサイドビルというところの階段です。

Q. あの場所で撮ろうとした理由がありますか?

鷹野:撮ろうとしたというか、そこで影が動いているのを見て、面白いなと思って撮ったという順序です。

Q. 人の影を撮る魅力はなんでしょうか。

鷹野:先ほど言ったように、影の不思議さです。影が落ちるとそこに空間が生まれるというのが私の認識で、例えばここにも影が落ちていますけど(テーブルの上の手の影)、影を見るとき、人間の眼の焦点はこのテーブルに合っています。ところが影の存在を意識したとき、頭の中でイメージしている距離は、眼の焦点が合っているテーブルではなく、もっと遠くの、別の距離です。つまり、眼が機能的に見ているものと脳がイメージしているものとはズレている、二重構造になっているのです。そこがすごく面白い現象で、しかもこれは自然現象で常にいろんなところで起きています。つまり、影ができている限り、空間は常に二重性を持っていて、その、我々は一体何を見ているのだろうっていう奇妙さみたいなものを面白がれたらいいなと思っています。

Q. 写真の色が白黒に見えますが、意図的に撮ったんですか?

鷹野:場所がそもそも色味の乏しいところでもありますが、たしかに白黒に近いなと思っています。ただ、本当に白黒にしちゃうと何かちょっと違う物になるかなーっていうところもあって、微妙に色があるというところがポイントかなと思います。

Q. 過去の作品は人物を被写体として撮ってきて、今回は人の影になったのにはどんな理由がありますか?

鷹野:わたしは基本的に「見る」という行為は制度化されてしまっていると思っています。それは様々な社会的教育の結果として制度の中に落とし込まれていると考えているわけですが、その制度について問いかけるのを制作の基本にしています。なので、人を撮るっていうことだけを考えているわけではなくて、街を撮る時には街というものの位置付けみたいなものを問いかけています。人ももちろんこれから色々撮っていきますけど、大事なのは「視点の在り方」みたいなことなので、様々な角度からそのことについて問いかけていかないと自分の思っていることを上手く伝えられないなという風には考えています。そのため、様々なことにこれからも取り組んで行きたいと思っています。

Q. 次の展覧会の情報や今後の撮影の計画があったら教えてください。

鷹野:次は来年の2月下旬から、東京都写真美術館で個展を予定しています。決まった撮影の計画はないですね。普通に生活していく中で出会ったものを撮っていく。そこから何かを見つけ、考えていけたら良いなって考えています。

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テキスト:JUNG
写真:JUNG + BankART1929