こんにちは。BankART実験広報部のトウです。今回は、「宇宙人とは接触しないほうがいい」という看板の作品をつくられた島袋道浩さんにインタビューさせていただきました。
___「宇宙人とは接触しないほうがいい」という作品について教えてください。
島袋: 現代美術って、一般的に新しいことが良いとされていますよね。現代美術だけじゃなく、今、世界中が宇宙開発とか、新しい何かを作ることに取り組んでいて、それが良いことだと考えられています。でも、もっと手前にもたくさん楽しいこと、やるべきことがあると思うんです。今回、この看板作品を展示させてもらった喫茶店では、バルコニーの下を流れる運河にエイ(魚)が見えるんです。びっくりしないですか?宇宙に行く前に、まずエイを見に行くのも良いんじゃないですか?
___ いいですね!宇宙よりももっと身近なものを再発見するという感じですね。
島袋: そうです。ここにも「宇宙」があるということです。
___ 昔作られた看板の作品「人間性回復のチャンス」とは、今回の作品に何か関係がありますか?
島袋: あの作品はおよそ30年前に神戸の地震を体験した時に感じたことが元になっているのですが、どんどんデジタル化が進んで、人々のリアルなコミュニケーションが希薄になっていく中で、大切なことを忘れてしまうのが問題だと思っています。電車の中でお年寄りがいたら、さっと声をかけて席を譲るとか、そういうことに代表されるような人として基本的なことです。他の人たちがあまりにも忘れてしまっているから、僕が言わないと、という役割を感じています。
___さっき、後ろの倉庫で壺のようなものが見えましたが、あれは何ですか?
島袋: あれはタコを捕るための壺です。僕が育った神戸や明石の伝統的な漁法で餌を入れなくても、沈めておくだけでタコが勝手に入るんです。小さい蛸壺には小さいタコが、大きい蛸壺には大きいタコが入ります。だから、カラフルな蛸壺を使ったらカラフルなタコが捕れるかな、と思ったんです。また、タコはカラスのようにいろんなものを集めたりする習性があって、色や形にも好みがあるようです。タコはどんな色が好きか?という作品で、あの壺を実際に海に持って行ってタコ壺漁をします。
___ BankARTでもうすぐ始まる個展について教えていただけますか?
島袋: いろいろな作品をつくってきましたが、今回は特に音や音楽に焦点を当てた展示を予定しています。日本ではこれまで見せたことのない特別な作品もあわせて10点ぐらい展示するつもりです。
島袋さんのBankARTでの個展は7月4日から始まります。面白い作品がたくさん展示されると思いますので、楽しみにしています!
島袋さん、インタビューありがとうございました!