こんにちは!
BankART実験広報部の福谷です。
今回は「うつを向いて歩こう」という作品をつくられた矢内原充志さんにインタビューさせてもらいました🎤
矢内原さんの作品はなんとお洋服です👕展示形態の違うお洋服や布には一体どんな意味があるんでしょうか!
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___矢内原さんについて
矢内原:SUTUDIO NIBROLLという、企画・デザインの会社をやっています。渋谷の桑沢デザイン研究所っていうところに行ってる時にいわゆるストリートブランドを立ち上げて、それがキャリアのスタートですね。そこから2〜30代はほぼアパレルの世界にいました。30代半ばぐらいに横浜に移ってきて、福祉から文化財からリゾート施設から病院、いろんなところでブランディングの仕事をやるようになりました。そういう経歴なので服は縫えます。今着ている服は自分でつくったものです。
___作品「うつを向いて歩こう」について
矢内原:この作品も全部自分で縫ってます。これはある2、3ヶ月の考えたことを形にしたもので、何かを目指してまとめたものっていうふうにはあんまり考えてなくて。これをつくっている時ちょうど友達が亡くなったぐらいのタイミングでテンションがうつむきだったので、通勤エリアの途中で下を向いて写真を撮って、同スケールで生地にして服にしました。技術としては写真を繰り返し配置したときに違和感がないようにだけはしています。
___パターンの写真について
矢内原:写真はスマホで撮っています。うつむいて色々撮ってるうちにここちょっと前まで海だったのかもとか、もっと昔は土とか砂利だったかなとか色々想像するようになって、昔のなにかとアスファルトで舗装されるもっと前の記憶みたいなもので何かできないかなと思って、パッと思いついたのが2種類のパターンがてれこ(※入れ違い)になるみたいな構成で、それって脳漿族のパターンでもあるなと思い、2枚の要素をてれこに並べるテキスタイルっていうのを服にしてみた。これとか普通に桜木町の駅ですね。
___展示の仕方の違いはどういう違いですか?
矢内原:全部うつむいて撮ってるものがネタではあるんですけど、それにさっきのてれこにするとかの要素を入れてみたやつと、それにさらにグラフィックを入れてみたものがこっちのTシャツです。
___Tシャツの作品について
矢内原:これは服をつくってる人はわかるかもしれないんですけど、脇線がないんです。どういう構造かというと、開いたらこの形、型紙1枚だけです。主に2工程でつくれるから誰でもつくれる。そうやって工程を簡単にしていくことで専門的な技術がなくてもつくれるみたいな、裾をちょっとあげるぐらいの感覚で誰でもつくれるような構造を考えてみたものです。
___型紙を公開する予定とかありますか?
矢内原:型紙のライセンスを開放したり、就労支援施設とかに指導に行ったりとか、そういうのは考えてますね。
___端切れとシャツの作品について
矢内原:今回、服をつくり始めるにあたって一番最初に考えたことは、服をつくるテンションが下がってきた10年だったってことだったんだよね。東京からこっちに引っ越して一段落して、なんかもうこれ以上新しい服いらないんじゃないか病みたいになって、皆つくってるし、ゴミいっぱい出るしとか、そういう気持ちになっちゃったなと思って。また動き出すために何しようかなってもののトライアルがこれ。これはシュレッダーリングって言って、シュレッダーかけるみたいに過去俺がつくった倉庫に余ってた端切れを全部この同じ大きさの長方形に切っていくっていうのをやったんですよ。その切ったやつを量産台に乗せてこの版で同じプリントを全部にした。ちゃんと乗ったり乗らなかったり色々あるんですけど、そのうちの11ピースを使ってこの服ができてるんです。
___壁に展示されている端切れはまた別のものですか?
矢内原:これはまた別のトライアル。これ(シャツの下に展示されている端切れ)はなんでこの形なのかわかる?ヒントは僕が今治市出身ってこと。そうフェイスタオル。今治で最も効率よくプリントできる形。値段も1プリント何十円の世界でできる。こっち(壁の端切れ)は横浜でやってみたやつなんだけど、これは頼んだTシャツ屋さんのMAXサイズの32cm×40cmのシルクスクリーン。こっちはね、いわゆる顔料ってやつ。あっちは染料。ちょっと生地に馴染むような染めと一緒で、こっちはTシャツと一緒で顔料。薄くしか乗らないやつとか色々ある。
___使われている生地に意味とかありますか?
矢内原:柄に意味はなくてその都度つくったやつ。何かいいと思うシャツ地を糸からつくったり、かつて2次加工したもの。オリジナリティがある自分が書いたペインティングの柄とかいっぱいあったんだけど、そういうのは案外過去のBankARTのインスタレーションで使いきってたりしてあんまり余ってなくて、何でもないデニム生地とかが割と余ってる。捨てちゃえばいいんだけいいんだろうけどね、性分だね。なかなか捨てきれないので、その都度想い出があるので。それを使っています。
___この端切れはこの後どうなるんですか?
矢内原:この後はもう頑張って、服になるかバッグになるかわからないけど、なってもらわないと困るよね(笑)。
___今回のテーマが都市なんですけど、矢内原さんにとっての都市について聞かせてください。
矢内原:漠然としてるなあ、なんだろう。都市って横浜のこと?…. 都市的な風をした田舎って感じかな。イメージとしては、東京と俺の生まれ育った今治で比べたら横浜は今治寄り。つまり田舎。東京に近くて栄えてるし人口も多いんだけど、結局横浜っていう街は今治みたいだと思うことが多い。あそこで何かやりたいってなったら、「ああ、そこの土地持ってるの同級生の親戚だからこの誰々ちゃんに連絡すれば使わせてくれるよ。」とか、港で何かやりたいって言うと「港の管轄してる人は誰々さんのいとこだから連絡して許可取ったらいいよ。」とか、そういう狭い繋がりの中で何かを実現できるのが田舎だと思っていて、横浜はそれに近い。だから僕は横浜という都市がどんなとこかって言われたら、自分が暮らしてる都市風の田舎。だから暮らせてるんだと思う。東京は住んだことがあるけど繋がりがつくれなかった。スタンスが違うんだと思う。
___今後の宣伝等あれば!
矢内原:STUDIO NIBROLLのサイトでご相談いつでも待ってます。
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洋服に詳しくない私にも丁寧に説明してくださってとてもわかりやすかったです!
矢内原さん、ありがとうございました!
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