【アートラーニング・インタビュー #18】BankART Life7 参加アーティスト・村田真 by BankART実験広報部

こんにちは!

BankART実験広報部の福谷です。

今回は村田真さんにインタビューさせてもらいました!

村田さんの作品「上の空」は、ポートサイド地区にあるガトーよこはまというお店の店内に展示されています。

村田さんの絵画について、詳しく聞いていきます🎤

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Q.お名前、作家名を教えてください!

村田:村田真です。よろしくお願いします。

Q.今回の作品のコンセプトや狙いはなんですか?

村田:そもそもあれは5、6年前に描いた旧作なんですけど、タイトルが「上の空」というもので、西洋のいわゆる近世近代絵画で結構空はみんな広く描かれているということが気になっていて、特にフェルメールのデルフトの眺望という風景画なんですけども、画面の3分の2か4分の3ぐらいは空だけで覆われていて街の風景は下の方の4分の1ぐらいしか描かれていなくて、現代的な視線で見るとなんでこんなに空が必要なのかなという思いがあって。他の絵を見てもモチーフは戦争だったり略奪している場面だったり、激しいドラマチックな絵でもやたら空が描かれていて、ずいぶんアンバランスだなというふうに思いまして、じゃあ空の方だけに注目してみようかなと思ったのがきっかけです。「デルフトの眺望」というのは実はもう20年ぐらい前に一度空だけ描いたことがあって、本当に上半分だけ切り取るともう空だけしかない。馬鹿馬鹿しいといえば馬鹿馬鹿しいんだけどこれは何か面白いなと思って。で、5、6年前にそれだけを集中して描いたというのがそのシリーズですね。

Q.すごい上の方に飾ってあるのは何か意味があるんでしょうか?

村田:あれは、タイトルを何にしようかと思って、半分が空だから「上の空」がいいかなって冗談みたいなタイトルにしたんだけど、下半分で何か争いごととかやっていながら上半分は悠久の時が流れているっていう、永遠を表わしているのかなと。空から見れば地上でやってることなんて上の空だみたいな、そんな仕組みもあってそういうタイトルにしたんだけど、上の空だからなるべく上の方に展示した方がいいかなという思いもあって。あの会場は元から風景画が展示されていて、上の方が空いてたからじゃあ逆に下の絵を全部取り払って、なるべく上の方に展示してみるかと。来た人も上の方に目線が行くようにしてみようかなということで、上に展示しました。

Q.普段から絵を描かれているんですか?

村田:はいそうです。カタログがあればわかりやすいんだけど、普段は絵を描いてるっていうか、上の空もそうなんだけど、元々前からあるいわゆる名画みたいなものをモチーフにしてそこに何か描き加えたり、ある部分だけ切り取って拡大して描いたりとか、自分で何か絵を描くというよりも描かれた絵をアレンジするっていうようなことをずっとやっていまして。だから絵を描くというよりも、「絵」を描く、というふうな、ちょっと絵を一旦括弧に入れてそれを相対的に見てみるっていうふうな方法ですかね。

Q.それをすることによって伝えたいこととかあるんですか?

村田:絵画の面白さですね。絵画というものが不思議なものであるとか、何でこんなものを何万年も前から人間は延々と描き続けてるのかっていうそういう不思議さとか奇妙さみたいなものを伝えたいなというのはありますね。

Q.村田さんにとって、今回のテーマである都市、横浜について教えてください。

村田:僕は東京生まれで今も東京にいるんで、横浜っていうのは他の都市なんですね。東京っていうのはもう都市というより一つの小さな国家みたいな、都市国家みたいな感じがあるので、横浜はその意味では本当に典型的な都市のようにも見えますね。中心部と郊外があって、どんどん開発されて、っていうふうに見ると横浜は捉えやすい都市だね。アートと絡ませて言うと、もっともっと美術的な要素があっていいと思うし、横浜って380万人ぐらい人口がいるんだけど、美術館ってまともなのは横浜美術館くらいしかない。同じくらいの人口でいうとロサンゼルスがそうなんだけど、横浜美術館クラスのものが7、8館あるんですよ。横浜美術館よりもすごいやつもいくつもあるし、それに比べれば横浜は本当に少ない。400万近い都市としては美大が2つ3つあってもいいし、美術館も2つ3つあるべきだし、ギャラリーももっとあるべきだなと思いますね。逆に東京にはもう美術館がそれこそ何十も何百もあって、美大も5つも6つもあるから、やっぱりそっち(東京)に行ってしまうから横浜に必要ないのかもしれないんだけど、横浜を一つの都市として、独立した都市として考えればやっぱり少ないなというのが実感ですね。

Q.横浜ってパブリックアートがたくさんあると思うんですけど、何か決まりがあるんですか?

村田:建物を建てるとパブリックアートをつくるっていう決まりがあったのはみなとみらいだけなんですよ。あそこが街づくりの基本として最初に、建物を建てたら何か芸術的な要素を加味するっていうことを決めたらしくて、それが条件になっていると大体みんなパブリックアートをつくってくれるって言うことですね。あと90年代ぐらいにパブリックアートのブームがあったので、その頃ってちょうどバブルの頃で再開発も多くて、横浜でも上大岡とかポートサイドとか何ヶ所かの再開発が進んでいたので、どこの開発地区でもパブリックアートを積極的に導入したっていうのはありますね。

Q.何か今後の宣伝とかあれば!

村田:最近BankARTから刊行した書籍「横浜パブリックアート大全」はほぼそのパブリックアートを全部網羅してるんで、ぜひ買ってほしいです。ハンディーなサイズで小さくてポケットに入ってどこでも持ち歩けるような形なので、1人1冊、皆さんお買い求めいただければ街歩きが楽しくなりますということで、よろしくお願いします。

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村田さんの作品が展示されているガトーよこはまさんのケーキはとても美味しいので、ケーキを食べながら村田さんの作品を見るのがおすすめです🍽️

村田さんの作品はこちらから見れます↓

村田真 makotomurata – Biography

村田さんありがとうございました!