川俣正展のカタログ第三巻がようやく完成した。予定より約4ヶ月遅れ、会期中に購入してくれた人には随分迷惑をかけてしまった。遅れた主な原因は、連動して開催していた「川俣スクールagain」の内容をなんとかいれようと計画したことだ。11回分のテープおこしで文字数は55万字を超え、しかもその中には芸大同窓生が集まったゼミ、横浜トリエンナーレ2005のサポータのゼミなど、十数名の参加者が登壇する回があり、複雑すぎてなかなか分析できない。そしてさらにこれらを約10万字に圧縮する作業。途中、本来は展覧会のドキュメンテーションの巻なので、スクールはサマリーだけにしようか、という弱音の方向転換も考えたが、なんとか最後迄やりとげることができた。こうして出来上がったものをあらためて読むと、めったに外にでることのない川俣さんの生身の部分がでていて、とても力強くひしひしと伝わってくる。苦労してよかったと思っている。
中原佑介を読む 美術批評の地平vol.2
「中原佑介を読む」の研究会が始まった。
これは中原佑介選集刊行プロジェクト(全12冊)と連動している研究会で、2年前に続き第二弾。刊行プロジェクトが、現代企画室(代表北川フラム)とBankART1929の共同出版で行なわれているということもあり、代官山と横浜で交互に開催され、第一回目はクラブヒルサイドで行なわれた。講師は椹木野衣氏。中原氏の1955年のデヴュー論文「創造のための批評」をテキストに、丁寧な読み込みと解説、言及がなされた。
そして最後に、ひとつの頂点といわれる1970年の中原氏の「人間と物質」と比較しながら、この「創造のための批評」のもつポテンシャリティーの高さについて強調されてゼミを終了した。
参加者は学生、大学院生、一般社会人、学芸員、評論家等、年齢も職種も多様な人が集まった。
次は6.15にBankARTstudio NYKで岡崎乾二郎氏。
カフェライブ2012 AAPA 「見えなくなるけど消えない」
カフェライブ2012最後の公演は、AAPA(アアパ)の新作「見えなくなるけど消えない」です。AAPAは、「Away at Performing Arts」 の頭文字。パフォーミングアーツの現状に一定の距離を置くという意味でしょうか。たしかにAAPAの作品は、いつも独自の切り口で、「作品論的作品」という側面があります。今回も舞台美術、衣装、ライブ演奏に、パフォーマーの動きが絡み合い、いろいろな要素が同時進行しながら、AAPA独自の宇宙論が展開しているかのようです。ふだんは劇場的空間で上演することは少ないAAPAですが、川俣作品が常設されたNYKホールでの新作上演という新たな試みでした。
3月30i日から5作品の連続上演を続けてきたCafelive2012はこれで終了です。
多くのお客様のご来場まことにありがとうございました!