韓国の街中に提灯が飾り付けられ、釈迦の誕生日を祝う花祭り週間の中、今日は今年で10周年を迎える朝鮮通信使パレードの日だ。通信使ゆかりの地である対馬、下関、福岡、牛窓などの日本の芸術団体と、釜山の芸術団体や地域住民ら約2000人による大規模なパレードにより、その友好を確かなものにしようとする。龍頭山公園での出発式にはBankART代表の池田も正式招待され、前日遅くまで飲み交わした釜山芸術財団のチャ・ジャエグュン(車 載根)氏も笑顔で私達を迎えてくれた。あなた方のためにと、昨夜絶妙テノールで歌われた「暗い夜の向こうに」は震災後の日本に対してなのか、あるいは日韓の間に横たわる負の歴史の向こうにも希望を見いだそうというメッセージだったのだろうか?そんなことを考えながら長いパレードの最後尾を「続・朝鮮通信使」の旗と共に歩く。
その後、同行してくれた芸大先端卒業生のジョン・マンヨンさんに、自身のスタジオも含め市内の空間をアーティストに提供し家賃サポートする「totatoga」という、釜山芸術財団が新たに始めたプロジェクトを紹介して頂く。そのうちの一軒、女性詩人により運営される人文学カフェ「百年魚」でコーヒーを飲んで一休み。今の韓国では、人間が人間として如何に生きていく意味と価値を持つかを探究する運動や、人文学の研究が盛んだそうだ。
続・朝鮮通信使の今回の旅程は今日が最終日。夕食会の後、屋台で飲んでいると、なんとそこに1日に訪れたブッピョン・アーツ・センターの館長チョー・キュンハン氏が!お仕事でいらしていたのだ。思わぬ再会に驚きまたも宴は続く。仏教ではこれを「縁」と言うのです、とチョーさん。霧にむせぶ釜山の夜は更けていくのだった。