プロジェクト「横濱モボ・モガを探せ!」は、1920年代から戦前まで横浜に数多くいたモダンボーイ、モダンガールを探すというものであり、前回ご紹介した展覧会「横濱写真館」をきっかけに動き出したものである。このプロジェクトの集大成として、2006年3月に横浜みなとみらい線馬車道駅構内で、写真展が開催された。
さて、本書では1900年代初頭の横浜の様子(横浜港や伊勢佐木町など)や当時の流行の最先端をいくモダンボーイ・モダンガールの姿を、過去を振り返る文章とともに、辿ることができる。
昔の写真を見ながら、戦前から戦後の横浜にタイムスリップする。さすが横浜港が開港し外国との交流が盛んな場所なだけあって、人々の身なりは和服ではなく洋服だった。そして、ダンスやワルツを踊り、外車を乗り回す。
これらの写真を振り返りながらよく残っていたなと驚くと同時に、よく発掘したなと驚く。というのもの、このプロジェクトを始動するにあたって発足されたチームは、自分の足で横浜に住む人々にヒアリングをし写真を探してきたからだ。それがいかに大変だったかは容易に想像がつくだろう。
最後の方に、1929年8月19日に横浜の関内上空を飛ぶドイツの飛行船GRAF ZEPPELIN「ツェッペリン伯号」を写した写真が載っているが、その発掘力に情熱や執念さえも感じられる。
写真が歴史を可視化し、1枚の写真を通して世代を超えて語り合う。土地の歴史と分断されてきた人々が、写真を通して過去と結びつく。数多の歴史の上に今があると感じるのではないだろうか。記憶を残すこと、次に継承することがいかに大切かを考えさせられる本であった。
「開港5都市モボ・モガを探せ!」につづく..
A5判 96ページ
1,100円(税込)
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