【多様な地図で巡るツアー】様式建築を詳細から楽しむツアーレポート

こんにちは🙌

BankART実験広報部の福谷です。

今回は建築評論家の五十嵐太郎さんと、奥さんであり建築史研究者の菅野裕子さん率いる「様式建築を細部から楽しむツアー」に参加してきました。

自分は建築様式にはあまり詳しくないので、今日は学びつつお話を聞いていこうと思います!🏃‍♀️💨

最初はBankART KAIKOに集合してツアースタートです!

今回参加費が無料ということで、ツアーの参加者が多いように感じます。

KAIKOを出発して馬車道駅から日本大通駅までの様式建築を施された建物を外から見て歩きます。

今日見ていく建物はこちら!👇

  • 旧横浜正金銀行本店本館/神奈川県立歴史博物館
  •  旧川崎銀行/損保ジャパン日本興亜馬車道ビル
  •  旧安田銀行横浜支店/東京藝術大学大学院校舎
  • 旧第一銀行横浜支店/BankART Temporary 
  •  旧三井銀行横浜支店/三井住友銀行横浜支店
  •  横浜市開港記念会館
  •  神奈川県庁舎
  •  旧横浜中央電話局/横浜都市発展記念館
  •  旧露亜銀行横浜支店/ザ・バンク・ド・ロア
  •  旧英国領事館/横浜開港資料館

他にも途中途中で見られる建物の様式に触れながら歩きます。

今日見て回る建物には古典主義の系統が多いとのこと🤔

確かにどれも大きな柱やアーチ状の窓など、似たようなデザインが見られます。

私が聞いていて面白かったお話を少しご紹介😎

旧三井銀行の柱は溝のあるデザインになっているのですが、建物を真正面からアプローチできない立地なので横から見た時のことを意識しているからとのこと。手間もかかり横浜でこのデザインなのはここだけだそう!

他にも華やかで西洋風なデザインでも、古典主義をアレンジしていたりやってはいけないとされるようなデザインをしていたり和風建築が混ざっていたり、詳細を見ると様々な違いがあるります。当時の建築家の力量がわかるそうです。

とても詳しい資料を用意してくださっていたのでわかりやすかったです!

今回のツアーは本当に建物の細部を見るツアーでした。こんなに柱の細部や窓のデザインだけに注視して歴史を考えたことは無かったです👀

雰囲気も和気あいあいと言うより、皆熱心にお二人のお話を聞いていて、写真をたくさん撮る人や資料にメモを取る人も多い印象でした…!

こういった街の建築は会期のない美術館のようなもの!いつでも自由に見ることができます。

横浜は特に昔の街並みが想像できる建築が多いので、訪れた際にはぜひ注目してみてください!

もっと詳しい歴史や考察が知りたいという方には五十嵐さんと菅野さんが出されている書籍

「横浜の名建築を巡る旅」

「様式をかたちから建築を考える」

がおすすめです。

どこの本屋さんにも置いているそうなのでチェックです✅

みなさんもたまには自分の住んでいる都市の建築を眺めながら歩くと面白いかもしれません✨

BankART Life7では他にも様々なツアーを開催しています。気になるタイトルがあればぜひお気軽にご参加ください!

【多様な地図で巡るツアー】建築ツアー[2]戦後の名建築をめぐる・ツアーツアーコンダクター:磯達雄(建築ジャーナリスト)

すこし雨模様のなか開催されたのは、BankART Schoolでも講師を務めたことがある、建築ジャーナリストの磯達夫さんによる「戦後の名建築をめぐるツアー」です。

横浜で建築というと、現在県立歴史博物館となっている、旧横浜正金銀行本店などの近代建築に着目されることも多いのですが、そうではなく、むしろ新しめのものを対象にしたツアーとなっています。

今回のツアーの中で、建築を主なテーマとしたツアーはもう一つ五十嵐太郎さん、菅野裕子さんによる「様式建築を細部から楽しむツアー」があったのですが、両方とも非常に人気が高く、あっという間に満席になっていました。人気に違わず、磯さんのわかりやすい解説もあり、今回のツアーもとても興味深く楽しめるものでした。

なかなか全ての魅力をお伝えできないかもしれませんが、同行した桑原がツアーの様子をお伝えします。

朝、KAIKOで集合、いよいよ出発です。

KAIKOのある横浜北仲ノットはKAJIMA DESIGN、そこから見える横浜市役所、横浜アイランドタワーはそれぞれ槇総合計画事務所の設計です。極端に特徴的なディテールがあるという訳ではありませんが、この時代の建物という感じです。そこから、馬車道にはいり、旧富士銀行の建物や、馬車道大津ビルほかは、さらりと横目に見ながら、関内ホールへ向かいます。(このあたりが、ツアーの特徴が出ていて面白いですね。テーマ外のものは流す感じ。)

関内ホールは芦原建築設計事務所、ソニービル、東京芸術劇場などの作品で知られています。都市景観に配慮するという特徴を活かし。入口がすこし内側に引いた形での建物となっています。そのため、馬車道側に余裕のある空間が生まれています。(ここでも、パブリックアートツアーでは説明するマルタ・パンの作品はさらりとかわす感じです。)

側面を通り、関内大通り側へ移動して、中区役所正面玄関の扉を見ます。こんなところにも歴史が残されているということを発見しつつ、関内駅方面へ。

で、見えてくるのが、横浜にはほとんど他に無い磯崎新アトリエの作品「マルタン本社ビル」です。当時は「おおー、磯崎作品だぁ」と感動しましたが、冷静になってみると、ちょっとロボ感がすごいですね。当初は文具店でしたが、様々に変遷があって、現在は飲食系のテナントが入っているビルです。外観はほぼ当初のママを保っていますので、なかなか貴重な建築です。

そこから、すこし路地に入っていきます。

実は細い路のところにも、注目すべき建築が多いとのこと。まずは住吉町新井ビルへ。こちらは創和建築設計事務所の手がけたもの。

横浜では戦後復興のために、防火帯建築を積極的に活用して他に類のない密度で建築を行っていますが、こちらもその一つ。詳しい説明は省きますが近年リノベーションを積極的に行い、新たな活用とクリエイターの集積が起こっているビルの一つです。(このあたりは別のツアー、「クリエイターが集まる街、関内外を訪ねる」クリエイターご参照の程)このツアーではこの後もいくつかこの「防火帯建築」を鑑賞しましたが、いずれも入り組んだ構造や階段、中庭の設置などなど風情のあるものが多く見られました。まだまだ取り壊されずに残っているのが、横浜の複合的な魅力を形成しているのかもしれません。

そこからは細い路地へ、まさかあれか、と思っているとあれです。引用の塊ともいえる石井和紘建築研究所の「同世代の橋」。ディテールのいくつかは失われていますが、未だに独特の存在感。それぞれのディテールが、どの建築家のものかを考えるのも楽しい建築です。個人的には、住宅入口部の「六角鬼丈の木の根っこ(「樹根混住器」)」のディテールがなくなっていたのが残念でした。参加した皆さんも、こんな建築が横は何あるんだ、と新たな発見をした感覚。

その後、弁天通三丁目共同ビルをへて、モダンな外観の大規模木造建築、「PortPlus 大林組横浜研修所」を鑑賞。一見して木造とは思えない形と、木目をこれでもか表に出したデザインはなかなかのものです。綺麗なビルですね。

その後は神奈川県新庁舎(坂倉淳準三建築研究所)、を経て象の鼻パーク/テラス(小泉弥生/小泉アトリエ)で休憩です。ここまででもかなりおなかいっぱいな感じですが、まだ続きます。磯さんから建物のコンセプトなどの説明を聞いた後、そこで大さん橋国際客船ターミナルの説明を聞き、再度移動。横浜開港資料館をへて、開港広場(高橋志保彦建築設計事務所)へ行きます。

開港広場は横浜の姉妹都市との関係を表したデザインに、設置当初は、中央の噴水は全く柵がなく一体的なデザインとなっているものでした。公園としてはなかなか画期的なデザインのもので、当時としては非常に斬新だったといえます。その後協会との間に、トイレなどを要する壁泉が整備されました。

そこでシルクセンター(坂倉準三建築研究所)の説明を受け、中区役所へ移動します。

中区役所は、東京海上火災ビル、神奈川県立図書館・音楽堂、東京文化会館などで知られる前川國男建築設計事務所によるもの。コンクリートの外壁は日本に向かないと前川が考え、進めた、「打ち込みタイル」による外壁を持ちます。現在も外壁は非常に綺麗で、前川の考えが正しいものであったことを表しているといえるとの説明でした。1983年の建築ですから、それなりに古い(内部はそれなりです)のですが、外観はとても綺麗に見えます。タイルの色が深みがあっていい雰囲気です。

そこからは中華街へはいり、徳永ビルへ向かいました。こちらも、防火帯建築ですが道路側に中庭が開かれ、階段や渡り廊下がよくみえます。階段のリズミカルなギザギザがアクセントになって面白いデザインです。

さて、ツアーももう少しで終了です。

最後に人形の家(坂倉建築研究所)、と山下公園(横浜市建築局+緑政局、坂倉建築研究所、総和エクステリア)へ向かいます。

磯さんの説明では人形の家はポストモダン建築の傑作とだと思うとのこと。繰り返し現れる山形のデザイン、全体の形などとても趣があるということでした。

それに連なる山下公園も、再整備部分は様々なデザインが施された凝ったものです。流れや噴水などは、少々ガウディっぽいですね。

最後に、本日の総括をして、山下公園で解散となりました。

今回のツアーでは、戦後から現在の建築まで幅広く見学をしましたが、新しいもの、古いもの、それぞれに時代を反映して作られたことがわかり、また、街を見る新たな視点が得られたように思います。古いものをただ取り壊すのではなく、新たに息を吹き込んで活用していく試みも見られ、これからもまだまだ魅力を増していくのかなという期待も持てました。

新しい魅力に気がつけたツアー、長丁場、ご説明をいただいた磯さん、ありがとうございました。

【多様な地図で巡るツアー】キング軸・横濱ゲートタワー+横浜コネクトスクエア・アートツアー「みなとみらい21のアートを巡る」

このツアーは、BankART Stationとキング軸で繋がるご近所さん、「横濱ゲートタワー管理組合」との共同主催で開催するツアーでした。

まずは「横濱ゲートタワー」の横浜駅側の玄関口「ART START」に集合。ここにはみなとみらい地区にあるパブリックアートの説明やマップがあり、アートスタートという名の通り、みなとみらいのアートを楽しむためのはじめの一歩を知ることができます。

今回のツアー、コンダクターは横濱ゲートタワーの共有空間やイベントのマネジメントなどを行っている株式会社アバンアソシエイツの松下幸司さんと BankART1929から代表の細淵と副代表の秋元が担当、まずは松下さんの方から、横濱ゲートタワーについてご説明をいただき、ツアースタート。

次に「横濱ゲートタワー」のとちのき通りに面した建物壁面にあるウィンドウギャラリー状の「スタートギャラリー2+4」にBankART Life7の外部展開作品として展示されている台北からのレジデンスアーティスト、ウー・チェンイーさんの作品を見学。


その後、建物をキング軸側に回り込んで、横濱ゲートタワーにあるパブリックアート、前田哲明さんの作品を鑑賞。

一旦地下に降りてみなとみらい大通りを北に横断、BankART Station前を通り過ぎ、地上にあがったところにあるウー・チェンイーさんのもうひとつの作品「港湾日和」を鑑賞、そのままキング軸を突き進み、52街区の工事用仮囲いに展示している鷹野隆大氏の大きな写真の作品を鑑賞。

そこからこの4月に横浜シンフォステージオープンに伴い開通したグランモールデッキに上がってもう一度チェンイーさんの作品を間近で鑑賞、そのままグランモール公園に抜け、PLOT48にある川俣正「Nest on the PLOT48」を鑑賞して、だんだん日が暮れていく中、横浜コネクトスクエアに到着。

横浜コネクトスクエアは横濱ゲートタワー同様、鹿島建設の設計ということで建物などについては松下さんにご説明いただきました。ここには4つのパブリックアートがあり、そのうちの3つは、東京2020オリンピック・パラリンピックのエンブレムのデザインを手掛け、横浜やBankARTにも縁の深い野老朝雄さんの作品です。本来なら野老さんをゲストにお呼びしたかったところですが、海外出張中ということで事前に収録したビデオメッセージを作品の前で皆でみることに。

せっかくなのでその映像をこちらでも紹介します。まずは野老さん自己紹介。

その後、みなとみらい大通りからもよくみえる建物壁面にある作品、CONNECTING DOTSについて。

一旦建物2階にあがり、オフィスエントランスにある鍋田庸男さんのパブリックアートを見学。こちらは松下さんから作品のコンセプトやここに設置された経緯などをを丁寧にご説明いただきました。

オフィスエントランスを通り抜け、建物東側にでるとあるのが、先ほどの野老さんのCONNECTING DOTSの別パターン作品と、建物下のパッセージ状の空間の床面にあるのがもうひとつの作品CONNECTING CROSSING。

この場所は北側正面に横浜美術館があるのですが、野老さんは2001年に横浜美術館のギャラリーで初個展をされており、野老さんにとっては思い入れの深い横浜美術館を背負ったパッセージの床面のパターンが、野老さんの作品となっています。

最初に見たCONNECTING DOTSがある建物西側に戻り、最後の作品MOSAIC / CONNECTを紹介。こちらも壁面の作品です。

野老さんの石への敬意とこだわりがよくわかります。
皆で壁を触ってはふむふむ、と。

建築ともアートともとれるような野老さんの作品ですが、このこだわりの内容を聞くと、単なる建築意匠ではなく、紛れもなく「作品」であることの所為が理解できるのではないでしょうか。

文章 BankART1929 細淵           
写真 ツアー担当(BankART1929スタッフ)桑原

【多様な地図で巡るツアー】ヨコハマポートサイドで街とパブリックアートを巡るツアー#1

アート&デザインの街「ヨコハマポーサイド地区」は、街びらきから30年を迎えました。横浜駅至近に都心型住宅をメインとして約6500人が居住するこの街は、地区のあちこちにパブリックアートが設置され行き交う人々の目を楽しませ、街を貫く栄本町線は上部がスカイウェイ(ペデストリアンデッキ)でつながれ、安全と利便性を考慮したつくりになっています。古くからある公園に加え、再開に伴って新しく水際や地区内に設けられた公園も個性あふれるユニークなものです。そして、地区内の建物の独特な外観は「アート&デザインの街」を印象づけています。

「ヨコハマポートサイド地区開発イメージ図」横浜市都市整備局WEBから転載

2023年秋、アートイベント(主催:ヨコハマポートサイド地区街づくり協議会、運営協力:BankART1929)『食とアートと人と街』では、地区内と周辺店舗へご協力いただき、「食」をテーマとする作品を展示しました。
今回のトリエンナーレの連動企画として『BankART Life7』展を実施するにあたり、ご相談したところご快諾いただき再展示に至りました。同じ作品を継続して展示していただいた店舗では、すっかり馴染んだ感もあります。展示作品を一新したお店では、新しい驚きを訪れる方に与えてくれています。
5月11日に行われた「ヨコハマポートサイドで街とパブリックアートを巡るツアー」では、ツアーコンダクターのBankART1929細淵代表、秋元副代表と共に、ポートサイドの街を探訪しながらアート作品を巡りました。

地区のほぼ中央にあるエットーレ・ソットサス「The Family」の前で集合。簡単に近寄れるところに作品が置かれていることに驚かれた方もおられたようでした。

ここは、商住混在の市街地や倉庫・工場街の開発から取り残された地区であったこと。みなとみらい21地区と結ばれる都市計画道路「栄本町線」が整備されるのを契機として、新しい街づくりが始まったことなど、秋元副代表が地区の成り立ちを参加者に説明し、ツアーが始まりました。

さて「ポートサイド」の意味は「港の横、脇」ですが、これは実は船に由来した言葉でもあります。船舶の世界では、船の左側を「ポートサイド(port side)」、右側を「スターボードサイド(starboard side)」と呼びます。みなとみらい21地区を出港する船に見立て、その左側にあることを準えて「ヨコハマポートサイド地区」と銘々したとか。
昨年40周年を迎えたみなとみらい地区は、商業・業務が中心の街として計画されており、ポートサイド地区は住宅中心の街として、補完関係も成り立ちます。それをイメージして名付けされたということかもしれません。

作品の説明は、細淵代表が行います。
休業日のため店舗内を見ることは叶いませんでしたが、最初の作品は、

牛島達治「旋回石」@1960Restaurant

レストランの有名メニューのハンバーグそっくりの「旋回石」が、各テーブルに置かれています。調味料と並んで置かれている作品に触れてみてください。ゆっくりと旋回させながら、店主の自慢の肉料理をお待ちください。

ギャラリーロードを歩きながら、帷子川に面する水際のポーサイド公園に向かいます。ポートサイド公園は設計コンペで選ばれたデザインにより整備された公園です(1等作品 オンサイト計画設計事務所 長谷川浩己)。波をイメージさせる盛り上がる造作や水の浄化を意図してヨシ原の再現を試みるなど、2001年グッドデザイン賞を受賞しました。

ポートサイド公園からは、川越しに貨物線路が見えます。頻繁な運行ではありませんが、もちろん現役です。コンテナやタンクなどが連なって物流を支えているふ頭に運ばれる姿に出逢えた方はラッキーです。

こちらも休業日のため、店内展示は見られませんでしたが、

白井美穂「フラワーチャイルド-コスミコミックス」 「Book of Silence」@横浜ディスプレイミュージアム

横浜ディプレイミュージアムは、ポートサイド地区が街びらきした当初から店舗を開いています。お店向けのディスプレイ用品だけでなく、一般の方向けにも販売していて、フラワーアレンジメント講座などが人気です。今回の作品は店舗からの要請もあり、その豊富な品揃いの中から作家が選び出し作品としたものです。
外側のエントランスウインドでは休日や時間外も観覧できます。こちらは5月22日までの期間限定での観覧です。

ポートサイド地区では、住宅棟の下層部分にお店を配置することが約束されています。それぞれの建物では、デザイナーや建築家が外観に趣向を凝らしており、特徴的な造りとなています。説明者に促されて参加者も、建物を仰ぎ見ながら見比べていました。

ヤング荘「スナックフェンス」@ヨコハマサクラビル

こちらでは、作品「スナックフェンス」やパブリックアートにちなんだガチャが置かれています。建物の中にあるので、判らなかったという参加者もおられました。早速トライ!

建物の前のパブリックアートはハチの巣に見えませんか?

このビルのオーナーは蜂蜜を製造しているとある会社です。アートを単に設置するのではなく、作品選定時に話し合わせて決めています。「アート&デザインの街」の意味が伝わってくるパブリックアートです。

前面のギャラリーロードに、形も様々な大きな石が並べられています。これらの石がどこから運ばれてきたのかと首を傾げる参加者に、みなとみらいのランドマークタワーの足元にあるドックヤードガーデンを造った時、大きさを少し小さくした影響で、ドックの石が余ってしまったこと、その石を角を落とすなど手を加えて車止めに転用した由来を説明しました。みなとみらいとポートサイドの記憶を繋ぐ作品です。

ヤング荘「スナックフェンス」@宝町踏切付近屋外

作品の置かれているこの辺りは、道路が拡張される予定地です。まだある建物もいずれ撤去される予定です。作品設置によって、この場所の長年の不法占拠のイメージを払しょくする仕掛けとして期待されていることが説明された後、作品を出入りして誰でもマスターになってみました。そして夜には「スナックフェンス」の看板が灯ります。

ポートサイド地区から中央卸売市場方面に向かいます。昨年のアートイベントと同様に、ポートサイド地区だけでなくその周辺地区でも作品展示を展開しています。市場に関係する卸売りを営む店舗や関係者の飲食提供を行ってきたお店などに協力いただきました。

貨物線の踏切を超えて進みます。

蔵真墨「Photogram Works in Tsutakin Store」@蔦金商店

創業は明治27年(1894年)、120年の歴史ある海苔問屋での作品は、前回からの継続です。「海苔」を使った作品は店主も大変気に入ってくれているのですが、あまりに馴染んで目立たないのが残念と苦笑。

作家が使い慣れた韓国海苔と異なり、隙間がなく感光の効果が出にくい日本海苔での制作は大変苦労されたそうです。美しく風になびく羽衣のような陰影を見せる作品をじっくり見ながら、海苔の香ばしい香りも堪能してください。

村田真「上の空」@ガトーよこはま

島袋道浩「宇宙人とは接触しないほうがいい」@ガトーよこはま

前回に引き続き参加された店舗ですが展示作品は一新されました。また、店内作品だけでなく、屋外にも展示をしてほしいと店主からのご要望をいただき、今回の作品が制作されました。お店の中と外で二つの作品を鑑賞できますので、ゆっくり楽しんでください。

ガトーよこはまを出て左手を向くと、道路の向かい側の建物の壁一面に、作品が見えてきました。

光岡幸一「あっちかも」@つま正

この作品は前回から継続して展示しているので、ご存知の方も多いようでした。SNSや「ナニコレ珍百景」にも登場しています。建物の前面道路は、10月に行われている横浜マラソンのコースでもあり、選手の背景にこの作品が映って話題になりました。
作家は高所作業車でテープを貼りながら作品を描いたとのこと。足元や手元の不安定さに苦心した様が伝わってきませんか?

最奥となる展示場所に向かいます。綿花橋を渡って神奈川台場のすぐ傍にあるパン屋さんが会場です。神奈川台場は、横浜港防衛のために造られた施設で、開港の翌年から一年で完成しています。実戦に使用されることはなく、約40年にわたり、外国船舶を迎える際の外交儀礼上の祝砲や礼砲を発射するのに利用された平和的な台場でした。埋め立てにより全貌を見ることは叶いませんが、ほぼそのままの形で地中に現存していることが判ったそうです。
横浜の歴史を垣間見る貴重な場所も併せて、訪ねてみてください。

谷本真理@Ainomi Bakery

香ばしい焼き立てのパンの香りが漂うお店の一角に、作品は置かれています。こじんまりとしたお店に流れるゆったりとした時間を感じながら、少人数での鑑賞をお薦めします。

市場通りに戻って来ました。次に訪れるのは、創業110年超の老舗さんです。市場関係のには明治期創業のお店が多く営業を営んでいます。こちらは包装資材や食器などを扱う卸店舗です。

片岡純也+岩竹理恵「器と事象」@オリマツ

お店が扱う品物が、店舗のあちこちで動きを見せています。廻る縞模様の紙コップに見入って目が回りそうになったと笑う方やなにか懐かしい感じがする作品だと印象を持った参加者もおられました。これらの作品も、前回からの再展示です。すっかりお店の雰囲気に馴染んでいるようです。

牛島達治「旋回石」@1960coffee

ツアー当日お店は閉まっていました。不定休なのです。作品はレストランと同様です。壁際のカウンター席に置かれている作品は、ちょっと見つけづらいかもしれません。こちらのお店は店主からの要望をいただき、再展示が決まりました。

ポートサイド地区に戻って来ました。
現在、下水道工事のため半分が工事仮囲いで囲われている神奈川公園に向かいます。

キム・ガウン@神奈川公園

神奈川公園は、昭和5(1930)年に関東大震災の復興事業のひとつとして整備されました。
下水道工事が約8年間と長期間になること、その間殺風景な仮囲いはやめて欲しいとの地元からの要望を受けて、壁画制作を予定しています。
長い歴史があり、桜の名所としても有名な地域の方に愛されている公園での壁画であることを踏まえて、親しみをもって見ていただけるような作品の制作準備を進めています。

ヤング荘「スナックフェンス」@ヨコハマポートサイドビル

こちらにも、作品「スナックフェンス」やパブリックアートにちなんだガチャが置かれています。ポートサイド地区のロゴが印刷されたエントランスの足ふきマットにもご注目下さい。このロゴは地区内のマンホールや側溝の蓋にも使われていますので、探してみてください。

ツアーの最終地点は、ポートサイド地区のセンターに位置する象徴的なアトリウムがある横浜クリエーションスクエアです。

高橋士郎「自由の気膜」@横浜クリエーションスクエア・アトリウム

下寺孝典(TAIYA)「Land boat」@横浜クリエーションスクエア・アトリウム

ワークステーション+武蔵野美術大学建築学科高橋スタジオ「エンダイ」@横浜クリエーションスクエア・アトリウム

昨年秋は、壁面の改修工事と重なり大規模な展示が出来ませんでした。今回は、アトリウム全体で作品展開しています。
「自由の気膜」は、作品の動きに併せて、かくれんぼをしたり追いかけっこをしてみたりと、子どもたちにも人気です。「Land boat」と「エンダイ」は、パブリックアートテーブの作品です。アトリウムは平日にカフェが開かれますので、アートテーブルでお茶をどうぞ。

ツアーでは訪れませんでしたが、ほかに設置されている作品をご紹介し、三々五々解散となりました。

蓮輪友子@GRIN HOUSE Daily dining

前回から引き続きの参加です。作家は同じですが、お店の改修で壁が広くなり、展示場所も移動しました。作品もさらに見応えがあります。

淺井裕介「野生の水脈-抜け道の道しるべ」@横浜ベイクォーター
横浜梅やCHICKEN EVERYDAY
Gooday Fresh Cafe
tables cook & LIVING HOUSE
niko and … (展示風景モニター設置のみ)

前回から継続して展示されている作品がご覧になれます。秋の展示からそのまま展示されているので、すっかりお店に馴染んだ様子です。

金曜日は、すべてのお店が営業していますので、ぜひまたポートサイド地区を訪れて、街とアートを楽しんでください。お店で飲食やお買い物をするとパスポートにスタンプを押してもらえます。スタンプを集めてBankARTのオリジナルグッブを入手してください。

※店舗の開店時間、休日など確認してお出かけ下さい。

 写真 BankART1929 メディエーター グリフィス・キオ                        文章・写真(横浜クリエーションスクエア・アトリウムのみ)BankART1929スタッフ 大蔭直子

【多様な地図で巡るツアー】アーティストmeetsビジネスパーソン「 みなとみらいクリエイティブツアー」 #1[村田製作所]

5月14日に行われたアーティストmeetsビジネスパーソン「みなとみらいクリエイティブツアー」の第1回目は、株式会社村田製作所に伺いました。

株式会社村田製作所は、みなとみらい21地区に研究開発拠点「みなとみらいイノベーションセンター」を2020年12月にオープン。このイノベーションセンターでは、基盤事業の通信・自動車市場に加え、エネルギー・ヘルスケア・IoTなど新規市場向け製品の基礎研究、企画、デザイン、設計力の強化や、技術交流など外部との連携強化を図り、オープンイノベーションを促進し、外部パートナーとの協業、産学連携を通じてイノベーションを創出する目的で立地されました。また、地域に開かれた施設として、子供向け科学体験施設「Mulabo!」を併設、「エンジニアの卵が生まれるきっかけの場」の役割も担っています。

今回のツアーでは、5階にある「Murata Interactive Communication Space」で、様々な素材を活用した素材技術の応用の最先端を見せていただきました。実験的モデルの説明と体験させていただいた後、この技術や素材を、何か作品に活用できないかなど対話を行いました。

技術・事業開発本部新規事業推進部の新田さん、素材の研究を進めている滋賀のマテリアル技術センターからも駆けつけて下った西田正弥課長、兵井さんが、設置されている実験モデルを説明しながら、体験を進めてくださいました。

熱を感知して光で変化を表現するシート、ねじる力を目に見える形(光や音)に変換させる装置、手のひらで温度、汗、心音など感知してストレスややる気度を計測する器具、コウモリのエコロケーションシステムから着想を得て、素材に音波を当てて発生する音で質や堅さを計測する装置、ゴムに鉄粉を混入させ磁気を通じてさせ、瞬時に堅さを変化させたり、微細な動きを生じさせる素材などなど…

アーテイストたちも、興味津々であれこれといじったり質問したり、大変賑やかに体験していました。思いもかけない動きや反応に、アーテイストの好奇心は刺激され、互いの会話も弾みました。

体験に名残を残しつつも、後半はツアーコンダクターのdesign MeME・小島さん進行の下、見せていただいた素材等の活用アイデアを、アーテイスト自身の作品や活動にどう活かせるか感想を話しました。

村田製作所に限らず企業として社会との関わり(ビジネスの成立)を念頭に、他企業とやりとりしているので、今回アーテイストの方との意見交換は初めてで期待しているとのこと。そして、対話が始まります。

・動く作品を創っているが、稼働音が気になる場面もあり、静音機器(マイクロブロア)は使えそう。
熱を光に変換するフィルム(フィルムアクター)は作品に接触して光らせるのにいいかも。

具体的なアイデアが飛び出す中、こんな発言もありました。

技術力の高さが素晴らしい。その技術をいかに活用して人に寄り添っていけるのか、今後はオーガニックな技術も求められてくる。
・素晴らしい技術で、何に使えるかも気になるが、どうしてそういう素材や技術を創ろうと思ったのか知りたい。
・発想を共有できると、ではこういうことができないかなどアーテイストサイドからもつながりやすくアプローチしやすくなる。
・その発想に至ったプロセス(出来たものだけでなく、こう思いついたのでこうしたらこうなりました、みたいなプロセス)が知りたい。
・役に立つことを念頭にするのでなく、その先に意識を向けたい。100年先に残るアート(または技術)はなに?みたいな。

それに応えて、村田製作所からは、現状を振り返るコメントが返されました。

技術開発した素材や装置は、それが量産できるかどうかなど、どうしても経済的な発想に至ってしまい、出来ない判断されるとそれで終わってしまう傾向にある。
・研究者は最初好奇心から入るが、企業の中にいると、そこからどんどん遠ざかってしまっている。
・素材技術者として、役に立つものを創り出して社会貢献することのために素材をどのように活用していくのかを考えて研究しているが、枠をはめずにどうなるか判らないが「おもしろそう」「どうなるだろう」の好奇心を大事にしていくことを呼び起こしてもらった。
・企業は短期で成果を求められるのが必定なので、感想を伺って自分の堅い殻が少し割れてきたような心持ちがする。

実は、説明を受けた「Murata Interactive Communication Space」は、取引先やビジネスチャンスに結びつきそうな企業との商談の場として使う場所で、誰にでもオープンにしているわけでなく、単なる視察ではお断りをしているとのことです。アーテイストとの対話も初の試みで、緊張しながらも期待を込めて対応していただいている雰囲気の中、互いに刺激し合う大変貴重な時間と空間を共有できました。

『独自の製品を供給して文化の発展に貢献する』をミッションとする村田製作所。
その真摯で好奇心に溢れた姿勢が、次の世界を見出していくことに期待を込めて、アーティストmeetsビジネスパーソンがきっかけになるかもしれない、何か変わる兆しに関わるかもしれないと感じつつ、退出しました。

建物内での撮影は一切禁止です。外観を背景に集合写真を撮って解散しました。 村田製作所の皆さま、ありがとうございました!

株式会社村田製作所みなとみらいイノベーションセンター前で記念撮影

文章・写真 BankART1929スタッフ 大蔭直子

【多様な地図で巡るツアー】クリエイターが集まる街、関内外を訪ねるツアー : 関内外OPEN!16幹事 小林璃代子さん、原﨑寛明さん(CHA)

「関内外」とはどこでしょうか?
1859年(安政6)年に横浜は開港し、諸外国との商取引などが始まりました。伊勢佐木町から馬車道に向かうあたりには関所が設けられ、この関所の内側、現在のJR関内駅の線路より海寄りを「関内」と呼称します。この「関内」と線路より外側の大岡川と中村川に囲まれた首都高速神奈川3号線の花ノ木あたりまでの場所(吉田新田)やその周辺を合わせて「関内外」(関内・関外地区)です。

「関内・関外地区位置図」横浜市都市整備局WEBから転載

このエリアには、街の記憶を物語る銀行建築など歴史的建造物が存在し、戦後復興の中で建てられた防火帯建築が現役で使われるなど、高層建築が林立するみなとみらいとは、様相が異なる街並みとなっています。そして、防火帯建築では、アーテイストやクリエイターがリノベーションしスタジオやオフィスを構えて、互いの持ち味を活かした協働作業に結び付く場が形成され、創造的な活動が繰り広げられているのです。なぜ、「関内外」にクリエイターが集まり、何を起きているのか。今回のツアーでは、関内外に集まったクリエイターの活動を知ってもらうため、2009年に始まった「関内外 OPEN!」を背景に、実際に何カ所かのオフィスやスタジオをお訪ねし、「クリエイターが集まる街」の魅力を体感しました。

集合は泰生ビルの一階。防火帯建築でクリエイターが集まるきっかけとなったビルです。関内外OPEN!16幹事小林璃代子さんのツアー趣旨を皮切りに、創造都市やBankART Life7について、BankART1929秋元副代表が説明し、次に芸術文化振興財団 アーツコミッション・ヨコハマ(ACY)の小原光洋さんが「関内外OPEN!」について、経緯と現状をスライドで説明しました。

「関内外OPEN!」では、普段見ることが出来ない仕事場を見学できる「オープンスタジオ」や公共空間を活用した「道路のパークフェス」など、クリエイターと交流できる機会を創出してきました。

いつも会場となるこの場所も、あちらこちらに手が加えられたリノベーション物件です。

リノベーションを手掛けたオンデザイン岩穴口さんに案内されオフィスに伺いました。外から見えづらいクリエイターの様子を、通りを歩く人たちにも感じ取ってもらえるよう、まるでカフェのような雰囲気を醸し出す一階。空間に植物を繁茂させたり、意外な隙間から上下動が可能な場所があったりと、無機質で画一的なオフィスとは異なる有機的な匂いすら感じさせる設えの二階。

同じ二階のさくらWORKSはシェアスタジオです。運営者(横浜コミュニテイ・ラボ)の姜美宇さんから、開設から10年を経て、コロナ過での低迷期を切り抜けた様子、イス一つでもOKな入居方法など、単なる場所貸しだけでなく、人と人とのつながりから生まれるプロジェクトを発展させる場を創設するなど、ユニークな活動の様子を伺いました。整然とデスクが並ぶオフィスではなく、まるで迷路のような部屋の有様が、意外に落ち着ける空間となっているのです。そして屋上では、菜園の実験を続けている現場も見せていただき、活動の奥行を感じました。

この泰生ビルが面する通りは「さくら通り」ですが、通りに面する泰生ポーチや古民家・さくらHOUSEなど、この一角を中心として、多数のクリエイターによる多彩な活動が展開されています。そして、今年の「関内外OPEN!16」では、さくら通りがメイン会場になる予定とのこと。期待が膨らみます。

次に、同じく防火帯建築の常盤ビルへ移動し、オフィスを構える入居者の原崎寛明さん(CHA)岡部さん(voids)から、入居のきっかけやリノベーションについて伺いました。

元々の部屋は住宅仕様でした。CHA(3階201-202)では二戸一に壁を抜いて、オフィス内で行き来が出来る一体の空間を創り出しています。元は泰生ポーチにオフィスがあったのですが、手狭になったことから移転先を探してたところ、こちらは、一部屋では狭いものの、隣り合わせで構造的に壁を抜くことが出来る部屋を選んで借りられたこと、家主がリノベーションに理解を示してくれたことが、オフィスを構える動機付けでもあり大きな要因だったとのことです。

続いて、voids EDIT(3階205)とvoids DESIGN(3階210)の二つのオフィスにお邪魔しました。こちらのリノベはCHAが手掛けられたのですが、CHAのオフィスでは床から上がってくる冷気に難儀した経験を踏まえて、voids EDITでは床に断熱材を仕込んだり、水回りの工夫を施し天井にパイプを這わせて、緑を吊り下げられる仕掛けを造ったり、快適さを向上させていました。voids DESIGNでは、作業と打合せスペースを分けるため室内を区切る必要がある中、かっちり仕切る壁をあえて作らず、その代わりに金網状のカーテンを施し、それを開閉することで互いの視線は合わないが、閉塞感がない空間が創出されていました。このカーテンの素材はファッション界で活用されているもので、この後伺う予定のニブロールさんに相談して、カーテンとして作られたものだとのこと。

部屋を活用するサイドのニーズを丹念に聞き取り、思い切った手法と確かな技術で反映させたリノベーションは、入居者の満足度を高め、場所に対する思い入れを醸成することにつながります。リノベだからこそできたことのワクワクするような感覚が共有できるのではないでしょうか。

常盤ビルには、建築家やデザイナー、アーテイストが多く入居していています。実はこれは関内地区の特徴でもあります。このような環境の中で、リノベーションの際に相談し合あったり、雑談の機会を持つため、オフィスに自由に出入りできる雰囲気があるなど、通常の仕事だけでは生まれない多面的な関係性を、入居者同士で築き上げて来た様子が伺われました。

入居者自身が企画して屋上で交流会を開くこともあるそうですが、更に住民同士の行き来を深めるため設けられた、4階(311)住民共有スペースで休憩しながら話を聞きました。このスペースは、家主さんと交渉して、居住賃貸をせず、入居者の交流を目的とした入居者による作品展示会やトークショーなどを企画しているそうです。今年の「関内外OPEN!」では、外向けの展開も検討中とのことです。

参加者の皆さんは、泰生ビルや常盤ビルに訪れたのは初めてという方も多く、狭い廊下や階段の様子や、あまり見る機会のないクリエイターの仕事場やリノベーションの工夫に声を上げたりと、興味津々でした。

「関内外」には、建築系のオフィスが多い傾向にあること、すなわちリノベーションが仕掛けやすい環境だということ(大家さんの理解は当然ですが)。規模的にも顔が見える関係を創りやすい、「村」っぽいところが良い。など、実態を語る言葉に参加者も納得されている雰囲気でした。

常盤ビルから関内駅方面に向かいインキュベーション施設のYOXO BOXに辿り着きます。残念ながらYOXO BOXは土日はお休みです。目の前の旧横浜市役所再開発現場と併せて秋元副代表から説明。重ねて小原さんからも、起業家支援を行うYOXO BOXや、G Innovation Hub YOKOHAMA、AGORA KGU KANNAI、そしてさくらWORKS<関内>と、シェアオフィスが集積していて、オフィスや新しい繋がりを求める起業家・スタートアップ企業も数多く集まっていること。だからこそ、「関内外OPEN!」は起業家・企業がデザイナーやアーティストと出会い交流を生み出す場を設けるなど、『クリエイターが集まる関内外』という街の特性を活かした取り組みにつなげることができると説明がありました。

ここから横浜スタジアムを左手にして線路の向こう側の「関外」に向かいます。ツアーの最終地点は守谷ビルに入居するスタジオニブロールです。代表の矢内原充志さんから、スタジオを構えた経緯や現在の活動の様子など伺いました。

スタジオは、グラフィック・プロダクト・建築・ランドスケープ・インテリアなど幅広いクリエイターが創作活動をするコワーキングスペースとなっていることが特徴です。ファッションという領域を超え、矢内原さん自身、過日手掛けられたパブリックアートテーブルのように、街づくりにも関連する動きやブランデイングを手掛けていることなど話していただきました。

元々のスタジオは、現在の新港ふ頭客船ターミナルハンマーヘッドの場所に、2008年トリエンナーレ会場としてあった新港ピアを前身とする「ハンマーヘッドスタジオ 新・港区」(シェアスタジオ)からスタートして山下町を経て、この場所に移転したとのこと。

観光客や企業会社員に溢れた関内地区を目前として、スタジオが隣接するエリアは、横浜港の発展とともにあった日雇い労働者が多く生活を営んだ寿町です。この寿町を舞台として2017年に開催された「KOTOBUKI INSIDE project」の話を伺いました。これは、超高齢化や複雑な境遇にある住民たちと対話し好みや昔の話を聞きながらその多様性に着目し、それぞれの人にマッチした洋服を着てもらいポートレイト写真とした写真展です。スタジオ移転をきっかけに、この街にアプローチすることの必要性を感じたことが、この企画に取り組んだ動機だったそうです。「関内」から「関外」へ、様子を違えた場所に移転し、双方を見通す立ち位置を強く意識されているのが印象的でした。

2時間少々の行程で参加者からは、「自分が住んでいるまちでこんなに面白い場所があることは知らなかった」「クリエイターがまちや居住者同士で馴染んでいるのが興味深い、このような関係があるから新しいものが生み出されることに納得した」「オフィスを開放してくれるのはすごいこと」といった声が聞かれました。
コンダクターの小林さんやACYの小原さんからは、今年の関内外の予告もたっぷりしていただきました。都市に棲むクリエイターやアーテイストの活動に触れる絶好の機会である「関内外OPEN!」での再訪につながることを期待しています。

皆さん、11月3日「関内外OPEN! 16」で、またお会いしましょう!

関内外OPEN!16幹事小林璃代子さん撮影
関内外OPEN!16幹事小林璃代子さん撮影

文章・写真(撮影者記載以外) BankART1929スタッフ 大蔭直子

【多様な地図で巡るツアー】blanClass+神村恵「身ひとつで生きる」Live Art ツアー神村恵「裏と表を合わせてみる」♯2

2024年5月18日[土]

こんにちは、BankART実験広報部の室井です!
今日はblanClass+神村恵のツアー型のLive Art、神村恵さんの「裏と表を合わせてみる」に参加させていただきました!

今回、足裏と世界という関係性について考えながら裸足で街を歩くというワークショップということでツアー参加者の皆さんと一緒に横浜の街をぐるっと歩かせていただきました。ただ歩くだけではなく、皆さんで足の裏を使ってタイルの向きを感じてゆっくり動いてみたり、植物を触ってみたり、歩く向きを変えてみたりと足裏の感覚を使ったワークが行われました。また神村さんの方から参加者同士で気軽にコミュニケーションが取りやすいようなワークやアナウンスがあったので皆さんで和気藹々とした雰囲気でワークショップを進めることができました。

日常では感じることのない足裏の感覚、横浜の街にあるタイルやアスファルト、土、芝生、コンクリート、素材の違いや、冷たさ、暖かさ…など様々なテクスチャや感覚を足で感じることが出来ました!靴を履くということが当たり前の時代に生まれてきた私たちにとって、懐かしいようなもしくは新たな感情を芽生えさせてくれるワークショップだったと思います!
最後には神村さんやスタッフ、参加者の皆さんで集まって感想を話し合ったり、談笑する時間がありとても素敵な時間を過ごせたと思います。

「ワークショップが終わった後、普段の靴がとてもふわふわしていて不思議な感覚でした」
「みんな靴を履いているのに私たちはを靴を履いていないという非日常が新鮮で楽しかったです」
「周りの通行人の視線や反応がとても面白かったです」
「普段歩いていた道なのに裸足で歩いてみるとまた違った視点でとても面白かった」
など、皆さんそれぞれの感想を持っていただいたようでとても充実したツアーになったと思いま
す。今後もツアーは続きますので、皆さんのご参加ぜひお待ちしております🙇

室井

【多様な地図で巡るツアー】 blanClass+神村恵「身ひとつで生きる」Live Art ツアー  大東忍 「例えば灯台になること」♯1

横浜の海辺はたくさんの照明・ライトアップがされていて、その中にあって、大東さんの小さな灯台を見つけた時はわぁっとほっこり嬉しくなるのでした。
が、灯台は突端で吹っさらされなかなか過酷な仕事だということも分かりました。人を導くのは簡単ではありません。
華やかなみなとみらいから少し離れて、いつもと違う横浜を観ました。

テキストと写真:blanClass

【多様な地図で巡るツアー】山野真悟さんと往く古書店の魅力を堪能する馬車道、伊勢佐木町古書店ツアー

こんにちは☀️

BankART実験広報部の福谷です。

本日は山野真悟さんと巡る、馬車道と伊勢佐木町の古書店ツアーに参加してきました!🚶‍♀️📚

山野さんは今回BankART Life7と連携している黄金町バザールのディレクターさんです。

今回の古書店ツアーは山野さんのご趣味とのことで(笑)。私も本が好きなので一緒に楽しもうと思います!

最初にBankART KAIKOで山野さんから古書店マナー講座がありました👀

古書店に行く時のマナーは3つ!

✔大きな声で喋らない!本が買える図書館だと思うこと🤐

✔店内の写真を撮らない!個人経営のお店もあるので経営の邪魔をしてはいけません🙅‍♀️

︎︎︎︎✔一か八か、高いなと思っても買ってみること!絶版だったり署名が入ってたり、希少なものなのにすごく安かったりするのでそういうのを探して買う楽しみを今日は練習するツアーなんだそうです😏

マナーを頭に刻んでいざ古書店へ…!

馬車道と伊勢佐木町をみんなで歩きながら、なんと6軒も古書店を回りました。多いので印象に残った場所をご紹介しようと思います!

まずは一番最初に訪れた「本の木 誠文堂書店」さん📚

駅から近く、キリスト教や歴史、芸術関係中心の古書を扱っています。普段読まない系統のものばかりで新鮮です👀✨お店の歴史も長く、入り口から中まで本棚に収まりきらない量の本が…!ツアー参加者の方もここで本を買われてる方が多く見られました。私もここで一冊購入してみましたよ〜!

次は「玩具文庫活刻堂」さん📚

本ももちろんありますが、昔のフィギュアやレコードがとっても多く、ショーケースにたくさん並んでいました。見てるだけで楽しいお店です!

お次は「馬燈書房」さん📚

棚ごとに値段設定やジャンル分けがされており、文庫本から雑誌、郷土史、宗教本やDVDまで幅広く扱っています。ここの特徴はなんと言っても料金箱型のセルフレジ!外で売られている本は料金箱にお支払いするだけでお買い物ができてしまいます。レジ精算だと別途消費税がかかるのでセルフの方がお買い得です…!

一通り回ったあとはみんなで黄金町へ🚶‍♀️

黄金町芸術センター集会場で今日買った古書をみんなで見せ合い山野さんからコメントをもらいました!

私の買った本は、なんと初版の復刻版だったようでケースと奥付が二つついているものでした。面白い…!BankARTのキオさんが一番本を購入していて楽しそうでした(笑)。

みなさんのお話も聞いていましたが、衝動買いで買った人、ずっと探してた本を安く見つけられた人、新しい版の本を持ってるけど装丁が可愛いから古いのを買った人。いろんな理由で本を買われていました!みんな元は知り合いではないのに楽しそうにお話されていて、趣味で繋がることのできるとても良い機会になったんじゃないかなと思います!😊

山野さんがディレクターを務める黄金町バザールは、現在BankARTLife7と共に横浜トリエンナーレと連携して開催中です!セット券を買うと別個で行くよりお得になっています。購入はこちらのリンクからお求めください。https://shorturl.at/fhCR0

そちらもぜひ足を運んでみてください🌟