【アートラーニング・インタビュー #13】BankART Life7 参加アーティスト・鷹野隆大 by BankART実験広報部

こんにちは、BankART実験広報部のJUNGです!

今回はLife7の会期中、みなとみらいに展示されている鷹野隆大さんにインタビューさせていただきました!
触れそうにも触れない、生命力を持っているようにも見える影の存在に気づき始め、集められた「影」のシリーズの話を中心にお話しをうかがっています!

Q. 簡単な自己紹介からお願いします。

鷹野:こんにちは、鷹野隆大と申します。写真をメインに作品を制作しています。

Q. 普段どのような写真を­撮っていますか?

鷹野:普段からカメラを持ち歩いて、用事で出かけた先で何か気になったものを撮るというスタイルです。何を撮るのかを特に決めないことを決めています。

Q. 今回の作品のコンセプトは何ですか?

鷹野:今回は「影」をメインに、日常の中で撮ってきたものの中から影が写っているものを集めて展示した作品になります。

Q. 今回の作品を通じて観客に伝えたいことがありますか?

鷹野:影って変なものだなーと常に思っているので、そのあたりを感じてもらえたら良いかなと思っています。基本的に影って何かに付随しているものなので、普通はその実体の方を中心に眺めると思います。しかし、影だけを見ているとそれが独立した生き物に見えることがあって、非常に不思議な存在だったりするので、そういうところに気付いてもらえたらいいなと思っています。

Q.「影」のシリーズを撮った場所はどこですか?

鷹野:いずれも東京国立近代美術館に行く途中の竹橋駅を出る直前あたり、パレスサイドビルというところの階段です。

Q. あの場所で撮ろうとした理由がありますか?

鷹野:撮ろうとしたというか、そこで影が動いているのを見て、面白いなと思って撮ったという順序です。

Q. 人の影を撮る魅力はなんでしょうか。

鷹野:先ほど言ったように、影の不思議さです。影が落ちるとそこに空間が生まれるというのが私の認識で、例えばここにも影が落ちていますけど(テーブルの上の手の影)、影を見るとき、人間の眼の焦点はこのテーブルに合っています。ところが影の存在を意識したとき、頭の中でイメージしている距離は、眼の焦点が合っているテーブルではなく、もっと遠くの、別の距離です。つまり、眼が機能的に見ているものと脳がイメージしているものとはズレている、二重構造になっているのです。そこがすごく面白い現象で、しかもこれは自然現象で常にいろんなところで起きています。つまり、影ができている限り、空間は常に二重性を持っていて、その、我々は一体何を見ているのだろうっていう奇妙さみたいなものを面白がれたらいいなと思っています。

Q. 写真の色が白黒に見えますが、意図的に撮ったんですか?

鷹野:場所がそもそも色味の乏しいところでもありますが、たしかに白黒に近いなと思っています。ただ、本当に白黒にしちゃうと何かちょっと違う物になるかなーっていうところもあって、微妙に色があるというところがポイントかなと思います。

Q. 過去の作品は人物を被写体として撮ってきて、今回は人の影になったのにはどんな理由がありますか?

鷹野:わたしは基本的に「見る」という行為は制度化されてしまっていると思っています。それは様々な社会的教育の結果として制度の中に落とし込まれていると考えているわけですが、その制度について問いかけるのを制作の基本にしています。なので、人を撮るっていうことだけを考えているわけではなくて、街を撮る時には街というものの位置付けみたいなものを問いかけています。人ももちろんこれから色々撮っていきますけど、大事なのは「視点の在り方」みたいなことなので、様々な角度からそのことについて問いかけていかないと自分の思っていることを上手く伝えられないなという風には考えています。そのため、様々なことにこれからも取り組んで行きたいと思っています。

Q. 次の展覧会の情報や今後の撮影の計画があったら教えてください。

鷹野:次は来年の2月下旬から、東京都写真美術館で個展を予定しています。決まった撮影の計画はないですね。普通に生活していく中で出会ったものを撮っていく。そこから何かを見つけ、考えていけたら良いなって考えています。

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テキスト:JUNG
写真:JUNG + BankART1929

【多様な地図で巡るツアー】建築ツアー[2]戦後の名建築をめぐる・ツアーツアーコンダクター:磯達雄(建築ジャーナリスト)

すこし雨模様のなか開催されたのは、BankART Schoolでも講師を務めたことがある、建築ジャーナリストの磯達夫さんによる「戦後の名建築をめぐるツアー」です。

横浜で建築というと、現在県立歴史博物館となっている、旧横浜正金銀行本店などの近代建築に着目されることも多いのですが、そうではなく、むしろ新しめのものを対象にしたツアーとなっています。

今回のツアーの中で、建築を主なテーマとしたツアーはもう一つ五十嵐太郎さん、菅野裕子さんによる「様式建築を細部から楽しむツアー」があったのですが、両方とも非常に人気が高く、あっという間に満席になっていました。人気に違わず、磯さんのわかりやすい解説もあり、今回のツアーもとても興味深く楽しめるものでした。

なかなか全ての魅力をお伝えできないかもしれませんが、同行した桑原がツアーの様子をお伝えします。

朝、KAIKOで集合、いよいよ出発です。

KAIKOのある横浜北仲ノットはKAJIMA DESIGN、そこから見える横浜市役所、横浜アイランドタワーはそれぞれ槇総合計画事務所の設計です。極端に特徴的なディテールがあるという訳ではありませんが、この時代の建物という感じです。そこから、馬車道にはいり、旧富士銀行の建物や、馬車道大津ビルほかは、さらりと横目に見ながら、関内ホールへ向かいます。(このあたりが、ツアーの特徴が出ていて面白いですね。テーマ外のものは流す感じ。)

関内ホールは芦原建築設計事務所、ソニービル、東京芸術劇場などの作品で知られています。都市景観に配慮するという特徴を活かし。入口がすこし内側に引いた形での建物となっています。そのため、馬車道側に余裕のある空間が生まれています。(ここでも、パブリックアートツアーでは説明するマルタ・パンの作品はさらりとかわす感じです。)

側面を通り、関内大通り側へ移動して、中区役所正面玄関の扉を見ます。こんなところにも歴史が残されているということを発見しつつ、関内駅方面へ。

で、見えてくるのが、横浜にはほとんど他に無い磯崎新アトリエの作品「マルタン本社ビル」です。当時は「おおー、磯崎作品だぁ」と感動しましたが、冷静になってみると、ちょっとロボ感がすごいですね。当初は文具店でしたが、様々に変遷があって、現在は飲食系のテナントが入っているビルです。外観はほぼ当初のママを保っていますので、なかなか貴重な建築です。

そこから、すこし路地に入っていきます。

実は細い路のところにも、注目すべき建築が多いとのこと。まずは住吉町新井ビルへ。こちらは創和建築設計事務所の手がけたもの。

横浜では戦後復興のために、防火帯建築を積極的に活用して他に類のない密度で建築を行っていますが、こちらもその一つ。詳しい説明は省きますが近年リノベーションを積極的に行い、新たな活用とクリエイターの集積が起こっているビルの一つです。(このあたりは別のツアー、「クリエイターが集まる街、関内外を訪ねる」クリエイターご参照の程)このツアーではこの後もいくつかこの「防火帯建築」を鑑賞しましたが、いずれも入り組んだ構造や階段、中庭の設置などなど風情のあるものが多く見られました。まだまだ取り壊されずに残っているのが、横浜の複合的な魅力を形成しているのかもしれません。

そこからは細い路地へ、まさかあれか、と思っているとあれです。引用の塊ともいえる石井和紘建築研究所の「同世代の橋」。ディテールのいくつかは失われていますが、未だに独特の存在感。それぞれのディテールが、どの建築家のものかを考えるのも楽しい建築です。個人的には、住宅入口部の「六角鬼丈の木の根っこ(「樹根混住器」)」のディテールがなくなっていたのが残念でした。参加した皆さんも、こんな建築が横は何あるんだ、と新たな発見をした感覚。

その後、弁天通三丁目共同ビルをへて、モダンな外観の大規模木造建築、「PortPlus 大林組横浜研修所」を鑑賞。一見して木造とは思えない形と、木目をこれでもか表に出したデザインはなかなかのものです。綺麗なビルですね。

その後は神奈川県新庁舎(坂倉淳準三建築研究所)、を経て象の鼻パーク/テラス(小泉弥生/小泉アトリエ)で休憩です。ここまででもかなりおなかいっぱいな感じですが、まだ続きます。磯さんから建物のコンセプトなどの説明を聞いた後、そこで大さん橋国際客船ターミナルの説明を聞き、再度移動。横浜開港資料館をへて、開港広場(高橋志保彦建築設計事務所)へ行きます。

開港広場は横浜の姉妹都市との関係を表したデザインに、設置当初は、中央の噴水は全く柵がなく一体的なデザインとなっているものでした。公園としてはなかなか画期的なデザインのもので、当時としては非常に斬新だったといえます。その後協会との間に、トイレなどを要する壁泉が整備されました。

そこでシルクセンター(坂倉準三建築研究所)の説明を受け、中区役所へ移動します。

中区役所は、東京海上火災ビル、神奈川県立図書館・音楽堂、東京文化会館などで知られる前川國男建築設計事務所によるもの。コンクリートの外壁は日本に向かないと前川が考え、進めた、「打ち込みタイル」による外壁を持ちます。現在も外壁は非常に綺麗で、前川の考えが正しいものであったことを表しているといえるとの説明でした。1983年の建築ですから、それなりに古い(内部はそれなりです)のですが、外観はとても綺麗に見えます。タイルの色が深みがあっていい雰囲気です。

そこからは中華街へはいり、徳永ビルへ向かいました。こちらも、防火帯建築ですが道路側に中庭が開かれ、階段や渡り廊下がよくみえます。階段のリズミカルなギザギザがアクセントになって面白いデザインです。

さて、ツアーももう少しで終了です。

最後に人形の家(坂倉建築研究所)、と山下公園(横浜市建築局+緑政局、坂倉建築研究所、総和エクステリア)へ向かいます。

磯さんの説明では人形の家はポストモダン建築の傑作とだと思うとのこと。繰り返し現れる山形のデザイン、全体の形などとても趣があるということでした。

それに連なる山下公園も、再整備部分は様々なデザインが施された凝ったものです。流れや噴水などは、少々ガウディっぽいですね。

最後に、本日の総括をして、山下公園で解散となりました。

今回のツアーでは、戦後から現在の建築まで幅広く見学をしましたが、新しいもの、古いもの、それぞれに時代を反映して作られたことがわかり、また、街を見る新たな視点が得られたように思います。古いものをただ取り壊すのではなく、新たに息を吹き込んで活用していく試みも見られ、これからもまだまだ魅力を増していくのかなという期待も持てました。

新しい魅力に気がつけたツアー、長丁場、ご説明をいただいた磯さん、ありがとうございました。

【横浜クリエイティブCOOP】商品のご紹介-BankART1929アーティスト編

BankART実験広報部の今井です
今回はBankART1929にゆかりのある作家・アーティストさんの紹介をおこなっていきます

最初のご紹介は、日本大通りの旧横浜三井物産ビル1階にある ギャルリー・パリ さんのアイテム
今回はギャルリー・パリに縁のあるアーティストさん達によるキーホルダーと、詩人の宇里香菜さんのアイロンビーズをお取り扱いしています
売上は全て能登半島地震復興のために寄付されるとのことで、あなたの小さな買い物が復興の手助けになります🕊️

続いては イワナグチと、チヨダ さんをご紹介
お二人は横浜の建築事務所「ondesign」で働いていらっしゃるアーティストさんです
岩穴口さんからはモルタルでできた小物類を⚖️千代田さんからはモフモフのmofuboyぬいぐるみを🧸それぞれ販売しています

次のご紹介は かねだゆりあ さん📘
まちの調査や本作りをされているデザイナーのかねださんからは、日本の様々な「壁」を収集しまとめた本とポスターをお取り扱い中です
本の表紙には本物のトタン板が使われていて大変素敵な本となっています✨ 売れ行き好調のため現在入荷待ちです

クリエイティブCOOP会場内で目を引くものの一つ、上から吊り下げられたオブジェは 松本秋則 さんのアイテム🎋
松本さんは竹を使用した音の出る作品、サウンドオブジェを制作されるアーティストさんです
今回は「竹音琴(ちくおんきん)」を3種類ご用意🎵それぞれについている石にも個性があるので注目ポイントです

続いてご紹介するのは、ニューヨークと横浜を拠点に活動中の 宮森敬子 さん
絵画から彫刻、インスタレーションなど様々な形態で作品を発表されている作家さんです
クリエイティブCOOPでは宮森さんが毎日記録されている樹皮をフロッタージュしたアイテムと、インスタレーション作品のポストカードを販売しています🌳

時間の流れや記憶、その儚さを「縫う」ことで表現している 柵瀨茉莉子 さん🪡
「身につけられる彫刻」として、木の年輪に沿うように縫われた木片のブローチを販売中です🌲身につけても飾っても素敵なアイテムとなっています

横浜関内にある出版社の NEUTRAL COLORS さん
「NEUTRAL COLORS」という名前は雑誌名や印刷所名も兼ねていて、全てが合わさった本作りの新しいスタイルはとてもカッコイイです✨
今回は計6種の書籍を販売📚 どれもNEUTRAL COLORSさんでしか出版していない素敵な本となっています

続いての紹介は 三浦 かおり さん
日常生活で感じる余韻、気配、といった言葉にしにくいモノたちを、日常にありふれたもので表現するアーティストさんです
たった一行のための便箋、飛び出ていたであろう杭が打ち付けられて平たくなったオブジェ、
横浜の空気感を持ち帰るのにぴったりなシースルーレンガ、ひそかな余韻を楽しめるアイテムを販売中です

次のご紹介は 丸山純子 さんです💐
身の回りのもの、特にビニール袋や食用廃油といった生活の跡を感じられるものから作品を生み出しています
食品廃油から作った石鹸や、ビニール袋で出来たお花のほか、壁掛けできるアイテムとカタログセットを販売しております🧼

続いてご紹介するのは 窪田久美子 さん
衣類や布を使って、衣服の意味や機能について考える彫刻をつくるアーティストさんです👔
店頭にてTシャツと手拭いを販売しているのですが…柄は全て手書き!✍️ ユニークながらも素敵なグッズとなっております

作家の伊東純子さんによる服飾ブランドの un:ten さん
着物をリメイクした「着物服」を中心に、デザインから縫製まで一着ずつ丁寧に制作されています👘
今回も着物服を数点と、着物からできたバッグとコサージュピンをお取り扱い中です

CMからMVまで、様々な場面でストップモーションアニメを手がける伊藤有壱 さん🎥
アニメーション作品の「ニャッキ!」は大変有名です✨
今回、命の宿ったレンガが織りなす物語「ハーバーテイル」も収録されたDVD付き書籍「ハーバーテイルのすべて」を販売しております🧱

深沢アート研究所 緑化研究室 カブ さん🌿
植物を通じてアート作品や活動をおこなったり、ジャマイカの人々と共同プロジェクトをおこなったりと幅広く活動されているアーティストさんです
クリエイティブCOOPでもジャマイカ産のハーブティー、スパイス、フルーティーな蜂蜜のほか、素敵なハーバリウムと天然ハーブのフレグランスをお取り扱い中です!🐝

謎多きゆるキャラ のげやまくん
頭に「の」が乗っているのが「のげやまくん」、いつも隣にいるのがお友達の「あーあくん」😉 野毛を中心に横浜市内の看板で見かけることができます
今回は缶バッジにシール、ピンバッジ、のげやまくんの絵本と、新作グッズのアクリルキーホルダーを販売しておりますのげ!6(😃

続いては 渡辺篤 さんのご紹介
ご自身のひきこもり経験を経て、心の傷や社会問題をテーマに作品制作やプロジェクトを主宰する現代芸術家さんです
現在の活動のきっかけとなった「I’m here project」をまとめた特装版と、コロナ禍の最中に始めたプロジェクト「同じ月を見た日」のアクリル写真とドローイングをお取り扱いしております🌕

最後のご紹介は Gihun Noh さん
韓国出身・在住のアーティストのギフンさん 写真を使った作品を数多く制作されています
販売中の「こがねちょうFLIP」は、京急線日ノ出町駅~黄金町駅間を通過する電車の始発から終電を撮影した写真集です🚃 ページをめくりながら時間の流れをお楽しみください

横浜トリエンナーレも終わりが目前に迫ってきました😣
横浜クリエイティブCOOPも6月9日までですので、買い逃しのありませんように!👀
皆さまのご来店を心よりお待ちしております

テキスト・写真:今井
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創造都市20周年記念「横浜クリエイティブCOOP」
会期:2024年3月15日(金)~ 6月9日(日) 10:00~18:00
定休日:毎週木曜(4月4日、5月2日、6月6日を除く)
会場:BankART KAIKO ショップエリア
横浜市中区北仲通5-57-2 北仲ブリック&ホワイト 1階

https://bankart1929.com/…/artists/yokohama-creative-coop

【アートラーニング・インタビュー #12】BankART Life7 参加アーティスト・葭村太一 by BankART実験広報部

こんにちは実験広報部の傳田です。

「北緯35度27分43秒 東経139度37分38秒」の作者である葭村太一さんにインタビューさせていただきました。
今回展示されているのは、都市に描かれた落書き(グラフィティ)を木で彫った作品のシリーズです。GoogleMapのストリートビューで実際落書きのあった場所を見ることができ、時間と場所を行き来するような感覚になります。
永続的に残ることはないグラフィティに対する葭村さんの考えや、制作過程についてお聞きしました。

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_______木を使おうと思った理由はありますか?

葭村:僕は大学時代は建築寄りのデザインの勉強をしてたんです。それでそのままデザイン会社に就職していくんですよ。だから美術作家になろうという気持ちはその時は無くて。で、大学の時何してたんやろって考えた時に、、、デザインの課題もするんですけど、よく木工室で木で何かつくったりしてたんですよ。だからデザインの授業も受けながら、自主制作みたいな感じで木を触ってたっていうのがあって。その木を触ってた理由も特にまあ、扱いやすい材料やからとか、多分最初はそれぐらいの理由でしかなかったです。
それで、自分が美術を始めるっていう手前で彫刻っていうものを見たときに、すごいこう、なんかグッときたものがあって。そこも、深い理由はないんですけど、、、、
昔ちょっと木を触ってたっていうのがあったから、木の彫刻だったら自分でもできるな、という安易な発想から使い始めたマテリアルがたまたま木やったって感じですかね。
一応、木以外の素材も色々扱ったんですけど、また木に戻ってきたみたいな。結局この材料に落ち着きました。今は木というマテリアルが作品の重要な役割になっています。

_______タイトルの「北緯35度27分43秒 東経139度37分38秒」はどこかの場所を表しているのでしょうか。

葭村:タイトルの場所はいつも展覧会の行われる場所の座標の緯度と経度にしてます。だから今回のタイトルはこのBankART Stationのある場所なんですよ。
僕はいろんな国の壁の落書きとかをモチーフに引用してて、、、、”その場所に描かれていた”という、一種の建物とか場所の記憶みたいなものを彫刻化していくみたいな。
世界各地からGoogleMapのストリートビューを通してモチーフを探して、見つけたモチーフを木彫にして、展覧会場に集合させる、みたいなことなので、このシリーズでやる時のタイトルはいつも展覧会場の場所にしています。

_______グラフィティは犯罪ですが、この世から無くなってしまったら寂しいですか?私は見るのが好きなのでちょっと寂しいかもしれないです。

葭村:僕はちっちゃい頃は学校の机とかにちょっと落書き描くとか、まあそういうのはしてましたけど、街に書いたりはしてないんですよ。犯罪行為なんで。やりたいかやりたくないかでいうと、特にやりたい気持ちもなくて。

_______え~!そうなんですね。

葭村:グラフィティのカルチャーが好きかって言われたら全然詳しくないんですよ。まあ、こういう作品をつくり始めてから色々調べたりすることも増えたから、最低限の知識はあるんですけど、かと言って別に街に描いて自分のタグを残したいとか、そういうのは一切なくて。
だからよく、「あ、グラフィティ好きなんですね。」って言われるんですけど、作品を制作するための興味というか研究材料みたいな感じです。
たまたまこの作品シリーズのモチーフがグラフィティなだけで、グラフィティの在り方と か、人がなぜ街にそういうキャラクターや文字を残していくのか、みたいなことは興味があります。そのグラフィティを描いている側は、消えることは想定内でやってると思うんですよ。
言ったら、残したいんやったらキャンバスに描くし、スケッチブックに描くし。でも彼らは、建物とか公共の場所にそういうのを残していくっていう、、、
落書きが描かれた場所や建物も、永久に残るわけじゃないじゃないですか。
だから自分が書いた場所が壊されることもあるし、それで別に彼らは怒ったりしないし。
だけど僕はそういう一種の行為がたまたま残されたとか、一定期間しか見られへんかったものとか、そういうののちょっとエモい部分みたいなものを感じてて。永久的に残されないものだし、ああもうちょっとしたら消えちゃうんかな、とか。なんかそれを彫刻で保存していくっていう感覚に近いのかもしれないです。

_______QRコードを読んだらGoogleMapでその場所を見ることができますが、いくつか落書きが見つからないものがありました。もう消されてしまったりして無いということなのでしょうか?

葭村:QRコード読み込んだら、位置情報だけでるやつもあるんですよ。僕はいつもGoogleMapのストリートビューを使うんですけど、横浜のやつも作ろうと思って、横浜市内をストリートビューで見たんです。
そしたら何個か見つかって、実際に行ける距離なので見に行ったんですよ。いつもだったら見に行かないんですけど。
そのときにあの横断禁止の看板は自分の足で見つけたんです。だからあのモチーフは、Googleのカメラがとらえてないものなので、位置情報だけが表示されます。
これとかも(上書きされたモチーフ)、歩いて見つけた物なんですよ。おそらく、最近描かれた物で、Googleのカメラがまだ、撮影に入っていなくて、もしかしたら何ヶ月か後に撮影してアップされるかもしれないですし、Googleのカメラが来るまでに消されるかもしれないです。位置情報が出るので、今現地に行けばもしかしたらまだあるかもしれないです。
今回のためにつくった横浜の新作の一部は、自分で行けるな、と思って動いたんですけど、いつもはGoogleMapで見つけて、自分が行くことなくつくっています。

_______この彫刻が乗っている箱はなんでしょうか? マークがあって運送用の箱みたいですね。

葭村:そうですそうです。これは輸送するための梱包箱なんですよね。だからこれに入れて、運送屋さんが運ぶ、みたいな。

_______え!実際にこれで運んでいるのですね。

葭村:そうです。これが実際に輸送するものなので、海外に、輸出する時もこれに入れて送ったりするっていう。梱包箱、クレートっていうんですけど、、、、
なんか僕がやってるのって、Googleマップのデジタル上でモチーフを探して、それを遠隔でつくって、それをこの中に入れて運んだりするんですよね。で、この箱に印字されたQRコードを読むと、iPhoneとかの端末がモチーフの場所に飛ばしてくれてストリートビューの画像が見れるっていう。
言ったら、デジタル上での移動とフィジカル上での移動っていうのをこの一個の箱と彫刻で表現できないかなと思って。
だから、僕は動かずに遠隔でつくって、それを発送して、「この上において展示してください」って指示だけすれば、作品が移動して勝手に展示されるっていうことができるので、展示台とセットの作品というかんじなんです。そんな感覚でやっています。

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葭村さん、ありがとうございました!!
グラフィティのあった場所と今展示されている場所、それを自分が見ているということについて考えさせられます。
Life7の後は7月のART OSAKA Expanded Section、8月の神戸六甲ミーツ・アートで展示するそうなのでそちらも要チェックです!

葭村太一さんのホームページはこちら 

【アートラーニング・インタビュー #11】BankART Life7 参加アーティスト・石内 都 by BankART実験広報部

こんにちは!

BankART実験広報部の福谷です。

今回は石内都さんにインタビューさせていただきました!🎤

石内さんの作品「絹の夢 -silk threaded memories」はみなとみらい線馬車道駅の改札を出るとすぐ見えるとっても大きな作品で、繭や糸、着物の写真が展示されています。作品や石内さんについて詳しくご紹介していきます!

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Q.今回の作品について教えてください!

石内:これは絹の夢というシリーズで、以前のBankART Lifeでも展示をやったことがあるんですよ。これは蚕の繭を蒸しているところで、今回は碓氷製糸工場を中心に繭から糸をつくるっていう流れを中心に展示しています。で、できたのがこの絹ですね。(写真を指しながら)こうやって絹糸ができるの。繭はお湯で茹でてぐるぐる回して、糸が取れるでしょ。最後にできたのがあれ。

Q.展示されている写真はなんですか?

石内:こことここ(内側の写真)が、繭から、糸ができる大きな機械です。内側の写真が糸の製造過程のような写真で、外側が銘仙と言いまして、くず繭という普通は捨てちゃう繭なんですけど、それを糸にしてできた着物の写真です。

Q.その銘仙という着物はどれも鮮やかで珍しい柄ですが、どういうものですか?

石内:それの色がすごい綺麗なのはみんな化学染料。日本の着物はちゃんとした繭の糸で、化学染料じゃない普通の草木染めで染めるんだけど、全然違うんですよ。普通はこんな色出ない。銘仙っていうのは安く、女性も買えたんですよ。で長持ちしないから買い換える、それで四億反も織られた。だから日本の伝統的な文化とはちょっと違うね。くずの繭で織って化学染料で染める、日本の伝統的な着物とは真逆な着物。この写真はその着物の一部です。着物は三代百年着れるもの。でも銘仙は一代。すぐ切れちゃう安物だから。そういう意味では自由に買える着物としてすごく人気が出ました。この模様もおかしいでしょ、日本的じゃない。これはみんな西洋のグラフ雑誌か何かで取ってる。これとかこっちも、ありえないよね。この着物なんて家の模様だから(笑)。ロシア・アヴァンギャルドとか、西洋のそういうデザイン的なもの、そこから真似してとったんです。すごくモダンでかっこいい。

Q.シリーズものっておっしゃってましたけど、「絹の夢」はどのような作品なんでしょうか?

石内:私「絹の夢」という写真集を出しているんですよ。上(BankART KAIKO)にもあると思うけど。今ずっと継続してるのは広島で撮っているもので、絹の夢は今は撮っていません。これは実は群馬の桐生でコレクションしていた人がいて、4年ぐらい前かな、火事で着物が全部燃えちゃった。だから写真の中にしかこの着物はない。写真は記録的な意味もすごくあって、私はあんまり記録するって気はないんだけど結果的には記録になってしまったなって。そういうことも含めて銘仙っていう着物は儚いものなんですよ。

Q.普段はどんな作品をつくっていますか?

石内:いま実は私スカジャンをつくってるんですよ。絹の帯と着物で作ってるんです。タンスの肥やしになっているもう着ない着物がもったいないからジャンパーにして、世に送り出すっていう仕事です。私桐生で生まれて横須賀で育ってて、私の個人史がスカジャンと全く似てるわけ。横須賀はスカジャン発祥の地だけど、桐生ではそのスカジャンをつくってたってことがわかったの。そういう非常に個人的な歴史がすごく私にとっては意味がある。横浜と桐生はとっても関係があって、私は横須賀で育ったから、なんか地域というか個人史が関係してて、それで写真を撮ってる。全部関係したものしか撮れないのよ。無関係のものは撮らない。

Q.今回テーマが都市なので、作品と都市の関係とか石内さんにとっての都市を教えてください。

石内:だから今言ったことです。私自身横浜に40年以上住んでて、今桐生っていうとこで、やはり絹の関係、でこのあたりも絹の貿易の場所だったからこの絹自体が横浜という都市に関係があるものでやっぱり歴史があるので。あの、シルクセンター、昔はすごく有名なとこだったんだけど、そこら辺も含めて横浜はとっても絹に関係あるんですよ。そういう意味でBankARTの方でもね、これをお願いしたいということで、今回展示しました。

Q.今後の作品の展示情報などあればお願いします!

石内:桐生の大川美術館というところで夏に個展がありますので、ぜひ見に来てください。

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写真の中の着物には実際に石内さんが今も持有されているものもあるそうで!銘仙について知らなかったこともあり、とても興味深くお話を聞かせてもらいました👘

横浜トリエンナーレの期間中、石内さんの作品のグッズや写真集がBankART KAIKOで開催中の横浜クリエイティブCOOPで購入できます!

@yokohamacreativecoop

石内さんありがとうございました✨

【アートラーニング・インタビュー #10】BankART Life7 参加アーティスト・志田塗装+酒井一吉 by BankART実験広報部


こんにちは。BankART実験広報部の石丸です!
今回は、志田塗装+酒井一吉「Anno Bomb」の作者である、酒井一吉さんにインタビューをさせていただきました!


この作品は絵画のように飾られた外壁の塗膜が不思議な魅力を放っています。どこから来たのか…何かの絵に見えるような…?そんな作品について詳しく教えていただきました!

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Q.今回出展されている作品の事について教えて下さい。

酒井: 今回は、志田塗装+酒井一吉という名義で参加していて、街の中の建物の外壁の塗膜を採取し、それをBankARTStationの壁面に構成している作品になります。

Q.塗膜を剥がす際はどのようにされたのですか?

酒井: 剥離剤という液体を塗装面に塗ると、塗膜の結合が弱くなって壁から浮いてくるので、ヘラのような物で刮ぎとっています。

Q.今回作品にキャンバス地が使われていますが、どのような意味がありますか?

酒井: 技術的な面で言うと、塗膜の厚みによって裏打ちだけで済むものと、キャンバスやパネルといった支持体に定着させないと塗膜が弱く壊れてしまうものがあるので、採取した塗膜の強度によるところが大きいです。

それ以外には、塗装を絵画として提示することによって、塗装工が建物の外壁の色を塗っている=街の中を彩る画家という見方が出来るのではないか、と考えています。
この発想には、横浜が近代塗装発祥の地と言われている歴史と日本洋画の父といわれる高橋由一の存在が大きく関係しています。近代塗装発祥の歴史については諸説ありますが、1854年にペリーが日本に再来航した際にペンキが持ち込まれ、日米和親条約の締結の場となった横浜応接所の外壁を日本人(町田辰五郎)が初めてペンキ塗装したというものや、1856年に神奈川宿の本覚寺がアメリカ領事館として使われた際に、建物をペンキで塗装されてしまったことなどに由来しています。そして、日本の美術史においても横浜は重要な土地で、高橋由一がイギリスからの特派記者として来日していたワーグマンに横浜で西洋画を学んだということは有名な話ですが、当時高橋由一らが西洋画を学んだ目的は、現代の「表現としての絵画」とは異なり、画学局に入局していたことからも物事を正確に記録するための技術、つまり殖産興業に役立つ技術の習得として始まったものでした。英語で表記すると、「絵を描く」も「塗装する」も「painting」と表記されますが、この2つの「oil painting」はもともと日本においては殖産興業という共通の目的を持って始まっています。現在では全く異なる分野として発展し、交わることがないようにみえる「塗装」と「絵画」が、再び交わる地点として志田塗装(の行為)を見ることが出来るのではないかと考えています。

もっと深掘りすると、この作品は「北亜墨利加人本牧鼻ニ切附タル文字ヲ写」という瓦版がモチーフになっています。この瓦版は、ペリーが横浜に滞在していた際に、東京湾を測量していたペリーの船員が本牧の岩壁にペンキで落書きしたという事件を伝えるものです。この作品はいろいろな場所から採取した塗膜(グラフィティの断片)をコラージュして、瓦版に描かれている岩壁の落書きを模して描いています。
その岩壁の落書きを日本におけるグラフィティの最も古い記録と捉えてみると面白い世界線が見えてくるんじゃないかと考えていて、そこから横浜を塗装・絵画・グラフィティの3つの爆心地と捉えタイトルを「Anno Bomb」にしました。

Q.この作品における、塗装とグラフィティの繋がりについて聞かせてください。

酒井: 志田塗装は、街中の塗膜を「剥がす」という行為をしていて、剥がした作品と対になる「塗膜を剥がされた壁」が街中に存在します。グラフィティにはオーバー(ゴーイング・オーバー)という考え方があり、ある基準を満たせば人が書いたものに上書き出来るというストリート独自のルールがあります。志田塗装の行為は、「剥がす」という壁面上では物質的にマイナスにする行為ですが、図としては一番上のレイヤーに見えてくるという反転が起きていて、街中にある「塗膜を剥がされた壁」が志田塗装のオーバーになっているとも言えます。
また、グラフィティの語源は、イタリア語の「graffio」や「graffito」からきていると言われていて、「引っかく、引っかれたもの」「壁や石板に刻み込まれた」などの意味があります。このことから、志田塗装の「剥がす」という行為がグラフィティの語源により近い行為なのではないかとも思っています。

Q.酒井さんは普段からグラフィティを扱った作品が多いのでしょうか?

酒井: 僕は普段、自分自身の生と繋がっている歴史や場所について考え制作しています。日々何が生まれ何が失われていているのか、場が生まれることも含め何かを残すということはどういうことなのかをメディアに縛られる事なく考えていきたいと思っています。志田塗装の作品は、日々オーバーされ変化していく都市の皮膜をアーカイブする試みとして塗装やグラフィティを扱っています。また、会場のBankART Stationは、名前の通り地下鉄の新高島駅に直結していますが、1970年代にグラフィティが流行したその舞台がNYの地下鉄である事にも重なり、会場であるBankART Stationの壁面にBomb(グラフィティを書く)して見えるように構成しています。



Q.最後に「志田塗装」という塗装会社について教えてください。

酒井: 志田塗装は、伊勢佐木町にある伊勢佐木町センタービルという築70年くらいの雑居ビルの3階に事務所があります。創業1874年の老舗の塗装屋ということになっていますが、真相について説明するのも面白くないので、Webサイト等もありますので是非皆さんの方で調べてみてください。どこからが事実でどこからが作品なのか、そのことも含めて鑑賞体験だと思っています。

志田塗装ウェブサイト https://shida-toso.com

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会期中の毎週土日は、関内地区にある伊勢佐木町センタービルでも志田塗装+酒井一吉「hallucination」の展示が行われています。あわせて是非ご観覧ください。

会場:志田塗装(横浜市中区長者町7-112 伊勢佐木町センタービル3F) 時間:14:00-18:00



【多様な地図で巡るツアー】キング軸・横濱ゲートタワー+横浜コネクトスクエア・アートツアー「みなとみらい21のアートを巡る」

このツアーは、BankART Stationとキング軸で繋がるご近所さん、「横濱ゲートタワー管理組合」との共同主催で開催するツアーでした。

まずは「横濱ゲートタワー」の横浜駅側の玄関口「ART START」に集合。ここにはみなとみらい地区にあるパブリックアートの説明やマップがあり、アートスタートという名の通り、みなとみらいのアートを楽しむためのはじめの一歩を知ることができます。

今回のツアー、コンダクターは横濱ゲートタワーの共有空間やイベントのマネジメントなどを行っている株式会社アバンアソシエイツの松下幸司さんと BankART1929から代表の細淵と副代表の秋元が担当、まずは松下さんの方から、横濱ゲートタワーについてご説明をいただき、ツアースタート。

次に「横濱ゲートタワー」のとちのき通りに面した建物壁面にあるウィンドウギャラリー状の「スタートギャラリー2+4」にBankART Life7の外部展開作品として展示されている台北からのレジデンスアーティスト、ウー・チェンイーさんの作品を見学。


その後、建物をキング軸側に回り込んで、横濱ゲートタワーにあるパブリックアート、前田哲明さんの作品を鑑賞。

一旦地下に降りてみなとみらい大通りを北に横断、BankART Station前を通り過ぎ、地上にあがったところにあるウー・チェンイーさんのもうひとつの作品「港湾日和」を鑑賞、そのままキング軸を突き進み、52街区の工事用仮囲いに展示している鷹野隆大氏の大きな写真の作品を鑑賞。

そこからこの4月に横浜シンフォステージオープンに伴い開通したグランモールデッキに上がってもう一度チェンイーさんの作品を間近で鑑賞、そのままグランモール公園に抜け、PLOT48にある川俣正「Nest on the PLOT48」を鑑賞して、だんだん日が暮れていく中、横浜コネクトスクエアに到着。

横浜コネクトスクエアは横濱ゲートタワー同様、鹿島建設の設計ということで建物などについては松下さんにご説明いただきました。ここには4つのパブリックアートがあり、そのうちの3つは、東京2020オリンピック・パラリンピックのエンブレムのデザインを手掛け、横浜やBankARTにも縁の深い野老朝雄さんの作品です。本来なら野老さんをゲストにお呼びしたかったところですが、海外出張中ということで事前に収録したビデオメッセージを作品の前で皆でみることに。

せっかくなのでその映像をこちらでも紹介します。まずは野老さん自己紹介。

その後、みなとみらい大通りからもよくみえる建物壁面にある作品、CONNECTING DOTSについて。

一旦建物2階にあがり、オフィスエントランスにある鍋田庸男さんのパブリックアートを見学。こちらは松下さんから作品のコンセプトやここに設置された経緯などをを丁寧にご説明いただきました。

オフィスエントランスを通り抜け、建物東側にでるとあるのが、先ほどの野老さんのCONNECTING DOTSの別パターン作品と、建物下のパッセージ状の空間の床面にあるのがもうひとつの作品CONNECTING CROSSING。

この場所は北側正面に横浜美術館があるのですが、野老さんは2001年に横浜美術館のギャラリーで初個展をされており、野老さんにとっては思い入れの深い横浜美術館を背負ったパッセージの床面のパターンが、野老さんの作品となっています。

最初に見たCONNECTING DOTSがある建物西側に戻り、最後の作品MOSAIC / CONNECTを紹介。こちらも壁面の作品です。

野老さんの石への敬意とこだわりがよくわかります。
皆で壁を触ってはふむふむ、と。

建築ともアートともとれるような野老さんの作品ですが、このこだわりの内容を聞くと、単なる建築意匠ではなく、紛れもなく「作品」であることの所為が理解できるのではないでしょうか。

文章 BankART1929 細淵           
写真 ツアー担当(BankART1929スタッフ)桑原