【多様な地図で巡るツアー】BankARTスタッフによる屋外展示作品を巡るツアー #1 中谷ミチコアーティストトークツアー

5月6日(月・祝)は、みなとみらい21地区の屋外作品を巡りながら、中谷ミチコアーテイストトークが開かれました。当日は、みなとみらい駅で集合でしたが、さすがに休日ともあって、たくさんの人でにぎわっていました。

最初は、駅改札外コンコースの小林椋作品「岸に置いてある水に瞬く眺めをしばしばと」です。ゆっくりゆっくり腕を振りまわす動作を続ける作品は、信号伝達させる「腕木信号」の動きになぞらえて、新橋―横浜間に最初に鉄道が開通した歴史を思い起こさせます。規則的というよりか不可思議な動きを見せる作品に、参加者は思い思いの場所から熱心に動画を撮っていました。

作品が置かれたみらいチューブコンコースから、クイーンズスクエア横浜に移動しました。今回のトリエンナーレでは、横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO、元町・中華街駅連絡通路と、ここクイーンズスクエア横浜の2Fクイーンモールにも作品が置かれました。北島敬三+森村泰昌の作品です。ここは、トリエンナーレ開幕直前まで大規模改修工事が行われていて、通路全体が仕切られ見通しも効かなかった場所ですが、その囲いも外され開放的になったモールの両側に壁一面に掲げられた4枚の肖像が、私たちを見下ろしていました。

クイーンモールを後にして、パシフィコ横浜を通り過ぎ、ぷかりさん橋に向かいました。このぷかりさん橋は、以前シーバスの発着地でもあったのですが、現在は使われておらず臨時さん橋として利用されています。近日にカフェがオープンする予定ですが、トリエンナーレ期間中は作品展示場所として暫定的に利用が可能となった場所です。

ぷかりさん橋の名のとおり、水の上にぷかりぷかりと浮いています。ここでの作品展示は、中谷ミチコ「すくう、すくう、すくう」。奥能登芸術祭2020で発表された「掬う、救う、巣食う」の一部を再構成して展示しました。

作品を前に、作家が自らの作品にかける思いを言葉にしてくれました。

元旦に起きた能登半島地震。復興もままならない中で迷いを感じながらも、作品の原型の「手で水を掬う動作」をしてくれた珠洲市飯田町の人たちを想いながら展示を決めたという語りかけるような言葉が胸に響きました。

作品は購入も可能。売り上げは被災地へ寄付予定とのことです。

この日(5月6日)は、通常は作品保護のため仕切っているチェーンを外して展示空間まで入場し、作品を真近で見ることが出来ました。参加者は交互に入場しながら、じっくりと観覧していました。実は、チェーンはビーズがつながれた作家の特別仕様なのですが、このことに気が付いた参加者から「雰囲気に合っていて感動した」と、作家に話しかける場面もありました。

空間と作品に堪能したツアー参加者には、サプライズで作家のサイン入り特別はがきが配られて、解散となりました。

 文章:BankART1929スタッフ 大蔭直子

【多様な地図で巡るツアー】 blanClass+神村恵「身ひとつで生きる」Live Art ツアー  大東忍「例えば灯台になること」♯2

2024/6/1 sat.

前回と灯台の場所が変わり、ルートも変わりました。
前回が最近の開発の目まぐるしい港周辺を巡るルートだとすると、今回はグッと遡って港の歴史も盛り込んだルートになっており、その丁度中間に大東さんは光っていました。
周辺の光と共に水面が揺れて、ずっとみていられる風景でした。

文・写真:blanClass

【アートラーニング・インタビュー #17】BankART Life7 参加アーティスト・片岡純也 by BankART実験広報部

こんにちは。BankART実験広報部の傳田です。

今回は岩竹理恵さんに引き続き、片岡純也さんにインタビューをさせていただきました。

片岡さんは、基本的にモーターなどを使って動く物を制作しています。

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___どのように作品を作っているんですか?

片岡:使ってない工具を片付けしていて、これを作品の動力に使えないかと思い、その形や仕組みの特徴を別の事象を起こす装置に転用しました。円盤の中でボールがコトコト落ちてくる作品(バンドソーによる球の運動)は、バンドソーのノコギリが通るローラーを利用してベルトを通し、力を伝えています。バンドソーの角度の延長線上に自然と円盤の位置は決まっていきます。

 

___このやじろべえのような作品はどうやって動いているか不思議です。ペンと木はくっついてるのですか?

片岡:くっついてないです。指先で探った木の枝の重心をペン先にのせています。ヤジロベエと同じ原理で、ペンをグラグラ動かしても木の枝はゆらゆらするだけで落ちません。

___どうして思いついたのですか?

帰り道にふと様子のよい枝を見つけて、指先にのせてバランスをとって歩いていたんです。それが面白いと思って。まずペンにのせてみて、次にちょっと離れたとこから見たいと思ってペンをコップに立てかけてみたら、いよいよ様子がよくてこれは作品になるなと思いました。

日々のささやかな発見から作品にしています。昔から人の話を聞いているときとかに手が無意識に動いてしまうことがよくあって、 紙をクシャクシャにしてみたり、ペンのバランスをとってみたり。そういう手遊びってその感覚が自分にとって心地よいことなんだと気づいてから、無意識にやっていることをあらためて気付いてみようとしています。

___この布団の作品も、動かしてみてできたのですか?

寝床を整えるため、シーツを両手で勢いよく広げたときシーツに空気がくるまって膨らむのが心地よくて、何度も繰り返していたときに、まさに無意識にやっていることに気がつきました。

__岩竹さんは、これが海の波みたいに見えるともおっしゃっていました。

片岡:身の回りのものごとや日々の所作から、スケールの違う物理、数式に表せそうな摂理のようなものが見えてくるのが面白いなと思っています。

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片岡純也さん、岩竹理恵さん、インタビューありがとうございました!!

片岡さんの作品は普段の生活の動きから着想を得ているということが非常に興味深いと思いました。岩竹さんとの制作スタイルの相違点についても知ることができました。

お二人は来年、神奈川県立近代美術館で展示をするそうです。そちらも見に行きたいです。

片岡純也+岩竹理恵

https://kataoka-iwatake.tank.jp

【多様な地図で巡るツアー】電子音響ピープルプロジェクト・ラウンジライブ@BankART Live 7

BankART実験広報部の福谷です。

5/26に電子音響ピープルのラウンジライブがありました。

4月にBankART Stationで実施したワークショップで録音した音で作られた曲の初演が、これまでに作られてきた曲の再演とともに約2時間に渡って行われました。

電子音響ピープルのLife7の作品と同様に、どの音楽もワークショップ参加者の持参したものの音や街の環境音などをリミックスした唯一無二の作品となっています!

【アートラーニング・インタビュー #16】BankART Life7 参加アーティスト・柳 幸典 by BankART実験広報部

こんにちは!
BankART実験広報部の福谷です。

今回はBankART Life7の表紙を飾る、あの大きな土玉を作られた柳幸典さんにインタビューさせていただきました!
駅を通る人々に大人気の土玉について、詳しく聞いていきます🎤

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Q.今回の作品のコンセプトはなんですか?

柳:ほら、子供の頃泥団子って作らない?そのまんまなんだけど、でっかいの作ってみようかなって。ちょうど作家活動を始める出発点に何をやろうかと思った時、一番シンプルで出発点に相応しいこととして子供の頃やってたようなことを繰り返そうと思ってね。その頃は移動をテーマにしていて、移動するときにどうしても車に乗ったりとか自転車に乗ったりとかいろいろするんだけど、球体っていうのは移動ができる一番ミニマムな表現なんじゃないかって。しかも本来動かないはずの地面の土が動く。そんな感じ。

Q.ガイドブックによると被災地の土とか沖縄の辺野古の砂を実際に使っているとか。何か理由がありますか?

柳:別のところにあるものを全く別のところに持ってくるということで考えさせる。例えば福島の震災地から電気を東京に持ってきていたわけだよね。でも目に見えない。それを人が立って歩く地面が東京に来ることで、そういったことを考えさせるみたいな感じです。

Q.めっちゃ大きいじゃないですか。あの大きさに意味とかありますか?

柳:移動の話に戻るんだけど、フンコロガシって昆虫がいるじゃない?要するにフンを玉にすることで移動ができる。そのサイズの人間が転がせそうなギリギリの大きさです。

Q.今回は中が空洞ですが、実際に全部土で作ったものとかあるんですか?

柳:砂浜の砂と漂流物だけで作ったやつとかあって、原子力発電所があるすぐ近くの砂浜なんだけど。砂浜だから大きくて重くなると動かせないことあるけどね(笑)。あとアメリカで牧草地の牧草をどんどん剥いで丸めていったりとか、大きな風船に表面に土貼ってヘリウムガスで浮かせるやつとか。浮くっていうより無重力になるような状態でさ、時々降りてきたりとか空中に止まってる。そういうのも作りました。

Q.普段はどんな活動をされてるんですか?

柳:要するにさっき言った子供の頃やってたようなことを大人になってもやってます。子供の頃は無自覚なことが、大人になってやることでいろんな社会問題を思うわけだけど、例えば蟻をひたすら追いかけて地図を作ったりとか、砂絵を作って蟻に国旗を解体させたりとか、そういった子供のままやってるみたいな感じです。

Q .今回のテーマが都市なんですけど、柳さんにとっての都市や作品と都市の関係を教えてほしいです。

柳:僕は都市が苦手で。東京もいたしニューヨークも10年ぐらいいたりずっと都市にいたんだけど、その反動で今は橋のない島に住んでいて(笑)。まあ極端なんだけどさ、ある程度の年齢になると都市にちょっと距離を置いといた方がいいなって。人間って野生に放り投げられるとすごく弱いんだけどさ、都市にすることで自分にとって都合のいい世界を作ってる。虚構の世界。それはそれでいいんだけど、たまに来るぐらいでいいかな。このコンクリートを剥ぐとリアルな野生の世界が出てきちゃうわけじゃん。土玉はそれを逆転させてるみたいなものだよ。

Q.今後の活動の情報があったらお願いします!

柳:ひとつはね、来年の春にミラノのハンガービコッカっていう巨大な美術館で個展があるのと、おそらく同時期になるんじゃないかな、今韓国に、自分の作品を納めるための美術館を設計していて、まあ美術館というほどの大きさじゃないけど湖面に本当に浮いている美術館、それも完成すると思います。

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柳さんの美術館とても楽しみです。

ぜひ行きたいですね!

柳さんの作品についてはこちら👉Yanagi Yukinori

美術館のプロジェクトの詳細はこちらから見ることができます👉YANAGI+ARTBASE

柳さん、ありがとうございました✨

【アートラーニング・インタビュー #15】BankART Life7 参加アーティスト・野老朝雄 by BankART実験広報部

こんにちは!
BankART実験広報部の福谷です。

今回はStationから飛び出して都内某所、野老朝雄さんのスタジオTOKOLOCOMへ!🚃💨

野老さんは今回のBankART Life7ではパブリックアートテーブル「PPP TABLE」を展示されています。他にも野老さんといえば東京2020オリンピック・パラリンピックエンブレム!

どこの辺も繋がる不思議な紋様のことから野老さんが今の活動を始めるまでのルーツまで、たくさんお話を聞いてきました。

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___野老さんのことを知らない人に向けて自己紹介をお願いします

野老:立場的には美術家って書いてあるんだけど、デザインと設計っていうものがベースにあります。元々父が建築、母がインテリアをやっていたので建築の延長でもあると思うし、でも全部がロジカルなわけでもないから僕は繋げるっていうことを軸にし始めたんです。繋げるということをなんでやるようになったかというと、2001年のアメリカの同時多発テロを見て、人間ってずっと大きな勢力が戦いあったりとか正義対正義っていう話になると正義とは一体何なんだろうとか、わかんないことだらけなんですよね。なので僕は単純に繋がるっていうことの可能性というのを諦めたくないんです。

___今回の作品「PPP TABLE」について

野老:今回はそのテーブルでお世話になってると思うんだけど、あれは100個ぐらいつくりたいですね。デジタルアプリケーションみたいなのを使うことでアメリカにもアフリカにも持っていけると思うし、僕がつくらなくてもあっちでつくってもらえるという意味ではThe・設計だと思ってます。あと久々にPPPって言葉を持ち出したんだけど、proliferation(増殖)とか何かが生まれて多くなってくるpropagation(伝播)とかもPだなってなるし、単純にpatternとかpiecingとか。最初はPiecing・Pieces・Patternとかって言ってたんだけど、今回はPublicのPでもありますね。今は増えたらいいなとか勝手に伸びていったらいいなって思いもあります。

___「PPP TABLE」の紋様について

野老:このテーブルの紋様は完全にコンピュータでつくっています。BankARTにお世話になっていた時にはもうやってたと思うし、その時からつくり続けてますね。これ名刺なんですけど、微妙に変化していて、20年前くらいにお渡ししたときと共通してることは「単位」。普通名刺って55×91とか黄金比にあわせたものなんだけど、これはとにかく50mmを死守していて、分割が1つ5mmなんですね。名刺の柄も更新しているんだけど、俺はこの昔バージョンを持ってるってずっと昔に名刺交換した人から威張られる時がある。俺なんてこれとこれ持ってるぜみたいな。俺がつくったんだけどな(笑)。

___紋様の描き方について

野老:これオリンピックのときに散々言って全然伝わらなかったんだけど、コンピュータで出したものをまた写して描いてって、行ったり来たりしてるんです。こんな補助線いらないんだけど、ここ繋がってんだって描いたあとから思うみたいな。原画がA4なんですよ。だからもうズレるに決まってて。もうこれはしょうがないなと思う。誇りですね。普通はでかく描いてちっちゃくするのがセオリーなんだけど、でも人間がいるぞと。こればっかりはもう人に手伝ってもらいようがないから。

___紋様のほとんどに使われている青色について

野老:オリンピックの時から使い始めたんですけど、侍ジャパンブルーっていうのが昔からサッカーにあって、サッカーの色でサムライブルーというのをつくり始めたんですよ。それでスポーツのときにブルー使う傾向があって、traverse24って本があってそこのインタビューに詳しく書いてあるんだけど、(印刷の)黄色と赤って退色するんですよ。オリンピックのFiveRings(五輪)って黄色と赤が一番右上にあるんだけど、まず最初に黄色がなくなる。最後に残るのはもちろん黒なんだけど、2番目に残るのは青なんですよ。強い色をつくりたかったっていうのはありますね。あと藍染に憧れてて。藍地もしくは紺地に金っていうものがあって、これが一番残るんですって。藍ってのは虫がつかないよね。侍さんは大体藍染、というかほとんどのものが藍染だったわけですよ。一番コストパフォーマンスが良い。その時代の日本橋とか見ると半分以上は藍ですよね、一番安かったしかっこいい色だし。たまに赤いお召し物をしてる人はもうめっちゃ金持ちか土染の茶色。そういう目で見ると日本の色って言ってもいいんじゃないかなと思う。

___スタジオの猫ちゃんについて

野老:その子ロシア猫なんです、サイベリアンっていう種類。実は妹がいて、飽くなき戦争してるんですよ。本当に猫パンチってするんだなみたいな。作品破壊されちゃいそうで。だからだんだんうちの作品強くなってきたんですよ。猫に壊されるようじゃ駄目だ!って。テスターです(笑)。

___紋様への考え方について

野老:多分パターンっていうのがないカルチャーってないと思うんですよ。イスラムだったらモザイクパターンだったり、なんちゃっての企画じゃない構造を伴ってるわけで、もう先輩方がいっぱいいるわけですよね。俺はこの辺の生まれだからおばあちゃんが持ってる江戸小紋とか、そういうとこが先輩で。コンパスと定規でできるパターンみたいなのが各地にあるわけですね。そういうとこから勉強してるのかな。僕はよくグラフィックの話で、パクリとか何とかの話ってすごく悲しいと思ってて。先輩、経緯だと思うので僕の場合は。全然僕はオリジナリティなんか主張してないし、こういうパターンは1000年前にあったかもしれないし、そういうのが発掘される可能性もありますよね。歴史のことを既存と言わないでしょ。それはもう敬意あるもので、既存っていうともうやられちゃったものみたいな印象があるけど、そうじゃないと思う。文化文明っていうのは繋がっていくものだと思うし、紋様をやることによって世界って繋がっているんだなと思うし。死ぬまでに戦争が解決されると思ってないけど、もがいてたおっさんがいたっていうのは伝えたいんですよね。繋がるってことを言いたい。

___今後の活動について

野老:今はCCBT(シビック・ クリエイティブ・ ベース東京)でやってます(5/13時点)。その後は、アートワークを中国の安徽省っていう上海から奥に行ったところで、ボリューム的には最大になるのかな、そこで階段的段階もしくは段階的階段、グラジュアルステップスっていうシリーズの作品をつくる計画を進めています。

___横浜への想い

野老:横浜にはすごくお世話になっていて、自分の作品をつくっていく過程においても忘れられない場所で、一番最初の個展が横浜美術館の中の小さなギャラリーであったりとか、その後BankARTに受け入れていただいたりとか、本当に感謝しています。まだきちんとした大きな展覧会をやれていないので、いつか横浜でできればと思っています。

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台湾ビールを瓶ごとくれたり、福谷なので福の字のステッカーをお土産にくれたりとても気さくな方で、本当にたくさん(二時間超え)お話してくださってインタビューを短くまとめるのに苦労しました😂

とても楽しかったです!野老さんありがとうございました✨

野老さんの最新情報はこちらから!
@tokolocom

【多様な地図で巡るツアー】BankARTスタッフによる屋外展示作品を巡るツアー #1 横浜シンフォステージ見学とキング軸のアート鑑賞ツアー

こんにちは!
BankART実験広報部の福谷です。
本日はBankART Life7の屋外展示作品を巡るツアーに参加してきました。

今回なんと特別に完成したばかりの高層ビル「横浜シンフォステージ」にも上れるということで!天気も快晴でとてもワクワクです!☀️☀️☀️

参加費も無料のため、今日は参加人数も多いです。
そろそろLife7の会期も終わり近いので、改めて作品もじっくり見ていきたいと思います👀

今日見ていくのは主に屋外にある鷹野隆大さんの作品とウー・チェンイーさんの作品です。
BankART Stationに集合し、まずは通路の鷹野さんの作品を見ていきます。新高島駅の通路約50mほどの長さを埋める影の写真は、通る人の目に必ず入るインパクトがあります。

そのままエスカレーターを上がるとチェンさんの作品があります。チェンさんの作品はグランモールが繋がったぞ!という意味もあり別々のビルの境に展示されています。
下から見ても上から見ても大丈夫なように三層構造になっていて、どちらから見ても綺麗なのでぜひ両方から見てみてください✨触ることもできます!

チェンさんの作品の先の道、キング軸を歩いていくと工事用仮囲いに鷹野さんの作品があります。なんと地下の写真のサイズの二倍です!
ツアー時はお昼でしたが、夕方に見ると自分の影とレイヤーが重なってとても綺麗とのことなのでぜひ夕方に見てみてください🌆

作品を見終わった後は建設会社大林組の方が合流し、シンフォステージや周辺の設計について説明してくれました。

シンフォステージの真下にある白いベンチは、元々はこの場所が海だったということでクジラを元にしたデザインで、塗料も捨てる貝殻で作られているんだそうです🐳
周辺の広場のデザインも、この場所を利用する人のことを考えた様々な工夫がされていて感心しました。

広場を見た後はいざシンフォステージへ!
今回はウエストタワーを見学します。
3階入ってすぐの壁には早速パブリックアートが🎨

田島美加さんの作品で、この建物の建設中の掘削音を録音して織物にしてるんだそうです。

その後は一気に24階へ。

まだ企業さんの移転が済んでいないため、オフィスには何もないですがとても広く、全方面ガラス張りになっているので横浜を一望できます!

設計にも工夫があり、太陽光がどのくらい入るかシミュレーションして西日が強いところは二重窓になっていたり、ブラインドも自動で下ろすことができるそうです。すごい…。

私は横浜に関わり始めてまもないので新鮮な体験でしたが、ツアー参加者からは「感慨深いな」「変わったな」という声も聞こえました。

シンフォステージには街とこの建物の親和性や、ここで働いてる人に新たな価値観や場所を提供するという意味も込められているみたいです。

変わっていく街がより良いものになるといいなと思います。

BankART Life7、会期も残りわずかとなりました!
パスポートをお持ちの方は会期中何度でも見ることができますので、ぜひ何度でもお立ち寄りくださいませ🕺
初めての方もまだまだお待ちしております!

【多様な地図で巡るツアー】アーティストmeetsビジネスパーソン「 みなとみらいクリエイティブツアー」 #3[野村総合研究所 横浜総合センター]

こんにちは!
BankART実験広報部の福谷です。
今回はNRI 野村総合研究所に行ってまいりました🧪

みなとみらいクリエイティブツアーも今回で三回目!
このツアーは、BankART Stationの近くで働いている、みなとみらい21地区のクリエーターを訪ねるもので、アーティストとビジネスパーソンが交流し、お互いに新しい視点を知ることができる素敵な機会です✨
NRIの施設はどんななのか、そもそも何を研究しているのか⁉️
謎の研究所に潜入します!

今回参加者は10名と少数、入館に身分証明も必要という厳重体制です。参加者には別のツアーでもお会いした方やクリエイティブCOOPの作家さんなどもいらっしゃったりと意外と顔見知りが😲

早速建物内を見学です!👀
16階から12階はどの階にも中央におしゃれなラウンジがあります。階によって設備が違い、大きなスクリーンやスピーカーがあり映像や音楽鑑賞ができる階やアロマオイルや植物で五感を刺激できる階、いろんな本を取り揃えたライブラリースペースのある階など様々です。

テーブルの上にはかわいいペーパークラフトの作品も!障がい者雇用の方の作品だそうです。

このスペースはコロナ後から活気のあるオフィスを取り戻すため、居心地がよく過ごしやすいオフィスを目指して作られているそうで🤔
こんなスペースが職場にあったら私は1日外に出られないですね…。

おしゃれなオフィスを見た後は3階のカフェスペースでトークとディスカッションタイムです!各々カフェで飲み物を購入して着席します。
NRIの人によると、実際の業務内容は研究というより課題をITで解決するSEやIT系の仕事がメインとのこと。ただ、問題を見つけるところから解決するシステムを生み出すところまで、総合的にやっているらしいです。

ディスカッションは「”新しい価値を創造するために必要なこと、足りてないこと”ってなんだと思いますか?」というテーマで、昔からアートを見てきた人の視点、アーティストや美術関係者の視点、アートに関係なく働いている人の視点、色々な意見を聞くことができて勉強になりました👓

余談ですがこのCAFE1965(NRIの創業年が1965年とのこと)で流れているレコードは全て65年のものらしく、社員さんも知らなかった人がいたようです(笑)。17時になるとバーもオープンし、ビリヤードやテーブルサッカーで遊ぶこともできます…!

今回アート関係者の方の参加が多く、少人数なこともあり参加者同士よく話している姿が見られました。
本当に綺麗なオフィスで、ここで働きたくなったという意見も!
NRIの方々もツアー参加者のお話を真剣に聞かれていて、お互いに刺激的な時間だったんじゃないかなと思います。
みなさん楽しそうだったので、こういう機会はもっと増えたらいいかもしれません😊

【多様な地図で巡るツアー】様式建築を詳細から楽しむツアーレポート

こんにちは🙌

BankART実験広報部の福谷です。

今回は建築評論家の五十嵐太郎さんと、奥さんであり建築史研究者の菅野裕子さん率いる「様式建築を細部から楽しむツアー」に参加してきました。

自分は建築様式にはあまり詳しくないので、今日は学びつつお話を聞いていこうと思います!🏃‍♀️💨

最初はBankART KAIKOに集合してツアースタートです!

今回参加費が無料ということで、ツアーの参加者が多いように感じます。

KAIKOを出発して馬車道駅から日本大通駅までの様式建築を施された建物を外から見て歩きます。

今日見ていく建物はこちら!👇

  • 旧横浜正金銀行本店本館/神奈川県立歴史博物館
  •  旧川崎銀行/損保ジャパン日本興亜馬車道ビル
  •  旧安田銀行横浜支店/東京藝術大学大学院校舎
  • 旧第一銀行横浜支店/BankART Temporary 
  •  旧三井銀行横浜支店/三井住友銀行横浜支店
  •  横浜市開港記念会館
  •  神奈川県庁舎
  •  旧横浜中央電話局/横浜都市発展記念館
  •  旧露亜銀行横浜支店/ザ・バンク・ド・ロア
  •  旧英国領事館/横浜開港資料館

他にも途中途中で見られる建物の様式に触れながら歩きます。

今日見て回る建物には古典主義の系統が多いとのこと🤔

確かにどれも大きな柱やアーチ状の窓など、似たようなデザインが見られます。

私が聞いていて面白かったお話を少しご紹介😎

旧三井銀行の柱は溝のあるデザインになっているのですが、建物を真正面からアプローチできない立地なので横から見た時のことを意識しているからとのこと。手間もかかり横浜でこのデザインなのはここだけだそう!

他にも華やかで西洋風なデザインでも、古典主義をアレンジしていたりやってはいけないとされるようなデザインをしていたり和風建築が混ざっていたり、詳細を見ると様々な違いがあるります。当時の建築家の力量がわかるそうです。

とても詳しい資料を用意してくださっていたのでわかりやすかったです!

今回のツアーは本当に建物の細部を見るツアーでした。こんなに柱の細部や窓のデザインだけに注視して歴史を考えたことは無かったです👀

雰囲気も和気あいあいと言うより、皆熱心にお二人のお話を聞いていて、写真をたくさん撮る人や資料にメモを取る人も多い印象でした…!

こういった街の建築は会期のない美術館のようなもの!いつでも自由に見ることができます。

横浜は特に昔の街並みが想像できる建築が多いので、訪れた際にはぜひ注目してみてください!

もっと詳しい歴史や考察が知りたいという方には五十嵐さんと菅野さんが出されている書籍

「横浜の名建築を巡る旅」

「様式をかたちから建築を考える」

がおすすめです。

どこの本屋さんにも置いているそうなのでチェックです✅

みなさんもたまには自分の住んでいる都市の建築を眺めながら歩くと面白いかもしれません✨

BankART Life7では他にも様々なツアーを開催しています。気になるタイトルがあればぜひお気軽にご参加ください!

【アートラーニング・インタビュー #14】BankART Life7 参加アーティスト・三田村光土里 by BankART実験広報部

こんにちは、BankART実験広報部の中村です!
今回はLife7に作品を展示されている三田村光土里さんにインタビューさせていただきました。

簡素な木枠にかかっている横浜の景色がプリントされた大きな布は、どれも素敵な色味とイラストで斬新なデザインが施されています。三田村さんが今回の作品を制作するに至った経緯や、普段の制作時に大切にされていることについて聞いてみましょう!

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__今回のコンセプトや狙いについてお伺いしてもいいですか?

三田村:今回はnäkö(ナコ)という新しいファブリックブランドを作りました。私なりにデザインした横浜の景色をファブリックにプリントして、さらにそれを来場者の人が買って帰れるというものです。今回この布地はバッグにもなっているんですけど、旅の景色を持ち帰れるというコンセプトで、ファブリックブランドとしての作品を制作して展示しています。


__今回のための、新しいファブリックブランドなんですね!なにかきっかけなどはありますか?

三田村:きっかけとなったのが、2022年に開催された瀬戸内国際芸術祭です。女木島というところで小さなお店プロジェクト(現:女木島名店街)という芸術祭のプロジェクトで、私は女木島に因んで MEGIFabというブランドを立ち上げたんです。
私は元々アパレルデザイナーでもあって、アートよりももっと前から布などの身につけられる物や手に取れる物の生産に携わってきたんです。今は写真を基点に制作を行なっているんですけど、今やっているアートとこれまで過去に携わってきた布製品というのが自分の中で自然に融合したんです。この風光明媚な場所である女木島の景色を買って帰れる。私の視点と来場者の視点が一致するような、そういうプロジェクトを始めたので、それが女木島だけでなくいろんな場所で展開していきたいなと思ったんです。今回横浜でnäköというブランドを作ったのが、その第1弾です。


__näköという言葉は、フィンランド語なんですよね?

三田村:そうですね。フィンランドは2005年に1年間写真を使ったインスタレーションの巡回個展を行なったこともあって、自分にとって馴染みのある場所なんです。それに、näköって文字の響きも見た目も可愛くって。それがとても気に入っています。


__näköの意味は視界やヴィジョンとのことですが、どのような想いを込められているのでしょうか?

三田村:通常旅に出ると写真を撮るじゃないですか。スマホやデータとか、昔ながらの形だと絵葉書とか、そういう形にして持って帰る。でもその写真が日常の中で使える布製品になっていたらなんか楽しいんじゃないかと思ったんです。
日常使いすることでいつでも思い出せるようにということ以外にも、心から欲しいと思ってもらえるようなデザイン性を意識してつくっています。


__芸術の中に日常を含ませる、芸術を持って帰って日常で共有する、という感じでしょうか。今回に限らず、普段の作品を通して伝えたいのはどんなことですか?

三田村:私の作品のつくり方っていうのは、世界と私自身の間にある繋がっている部分を通して世の中を見ていきたいというか。日常的な気づきとか人との関わりとか、経験とか。そういった視点を作品の中に反映していきたいという思いでつくっています。


__タイトルが詩的だったり、文章だったりすることが多いですよね。そのおかげか伝えたい想いや意味などが自分の中にスッと入ってくるものが多いんですけど、タイトルにも反映させていますか?

三田村:私の作品のキャッチフレーズが「人が足を踏み入れられるドラマ」という言葉なんですけど、それぞれの日常がドラマのような、一人一人にとって私小説的なものであるような。そういう彩りみたいなのを作品の中にもタイトルにも反映できたらいいなと思っています。


__そうなんですね!今回も実際に作品の中に入って見に行けるような構造になっていますよね。今回のこの形は道をイメージしているのでしょうか?

三田村:道というよりも部屋ですね。この木のフレームは私のインスタレーション作品の中でたびたび登場するんですけれども、空間の中にもうひとつまた空間をつくるというイメージなんです。なので私の作品の中に共通しているのは、常に部屋であったり家であったり、何かそういったイメージを感じられるような空間になっているんじゃないかなと思います。


__今回の作品に使われているものは、写真であったり布であったり、どれも日常的に目にしたり手に取ったりするものが多いですよね。さらにそれらが部屋の中にある。要素全てが日常にあるものなのに、どこか非日常を感じるのですが、それは何故なのでしょうか?

三田村:するどいですね。日常的なんだけど何故かちょっと違う、この非日常感を感じさせるという表現の仕方が好きなんですね。子供の頃にシュルレアリスムの絵に影響を受けたというのもあるんですけど、一見普通なんだけどちょっとなんか表情が違うとか、ちょっと何かズレている、そういう表現の仕方が好きです。


__子供の頃から絵などに触れる機会が多かったんですね。初めはアパレルデザイナーとして仕事されていたとのことですが、アーティストとして活動され始めたのはいつからですか?

三田村:1993年の終わりから制作し始めてます。本格的な個展をやったのは1996年からです。突然始めたんですよ(笑)。子供の頃に絵を見たというのも、家にあった本を繰り返し見ていたというだけで。実は学生の時から趣味で写真をやっていたんです、廃墟を撮るのが好きで。デザイナーとして社会人になった後も、その傍らで写真スクールに通ってプリントとか現像を学んで、尚且つ同時に現代アートの作家たちと交流を持つようになって、そこを入り口にアートに触れ始めました。


__だから今回も写真を撮る、思い出として形に残す、ということがテーマの中で大切にされているんですね。今回のものも写真は三田村さんが撮影されたとのことですが、今回販売しているバッグもご自分で縫われたのですか?

三田村:私は撮影とデザインだけで、縫わないんです。瀬戸内国際芸術祭の時に女木島のMEGIFabを高松の地元の方に縫っていただいて、今回もその延長で同じ方に縫っていただきました。



__三田村さんにとって都市とはどういうものでしょう?

三田村:文化の中心でもあるし、文化の入り口でもあるのでしょうか。人が集まるところで、古くは文明が栄えるところ。水があるところ。川や海が、そういうのがあるところに都市ができるのかな、と思います。例えば海外のいろいろな都市に仕事で行ってアートセンターとか美術館に行くと、水辺があって川や運河や海があるんですよ。なので私の中で都市は水がある場所、というイメージですね。


__横浜にも海がありますね!今回や普段の展示、作品などで水に影響を受けているなと感じることはありますか?

三田村:そうですね、地方であってもやっぱり水辺には都市があるなというのを最近よく感じます。
今回の作品には直接的な影響はないですが、旅先で写真を撮る際には水辺で人を撮影することが多いです。水をテーマにした写真展をしたことがあるくらい、私にとって水は写真に撮りやすいものですね。ただ、水の写真を撮っているわけではなくて、水辺に人がいる光景を撮りやすいのかもしれないです。そこに人がいる、ということが大事なのかな。
今回も海の写真はもちろん色々な横浜の街の風景の写真がありますけど、その構図の中に人を入れる、というのが私の中での横浜の表現です。


__今回の撮影にはどれくらいの時間をかけたのでしょうか?

三田村:生活をする、ということの中から発想して制作をしてというのを重ねているので、この横浜の風景も丸4日間、毎日横浜を歩き続けて撮影しました。自分自身が街に入り込んで何度も何度も同じところを行き来して、そうして自分にとって景色が自然になったタイミングで徐々に見えてくるものを撮っているので、割と時間はかかっています。


__じゃあこの写真に写っている方々は、この撮影のために用意されたモデルさんとかではないのですか?

三田村:そうですね、その日たまたまその場にいた人なんです。
不思議なんですけど、何故か今回の写真も以前のものも、なんとなくレトロな雰囲気にできあがっちゃうんですよ。この女の子も今年(2024年)の1月に撮影しているのに、場所といい女の子といい、昭和の私自身が子供の頃のイメージをこの中にキャッチしようとしているのかなと。この氷川丸もそうですけど、全体的に私の中でどこかそういう昭和の自分が幼少期だった時の何か空気感を見出してしまうことがあります。だからみんなによく「これは今年の写真です」と伝えているんです(笑)。


__白黒の影響もあるのかもしれないですけど、日常がギュッとその瞬間に止まってしまったかのように見えますね。ちょっとこれがカラーになったところを想像してみると、パアッと今にも動き出しそうな雰囲気があると感じます。

三田村:そうかもしれないですね。……この人たちは今、どうしているんでしょうね。


 ――

 
お話を伺っているその瞬間も、三田村さんの日常の一部にお邪魔させていただいているような、そんな記憶の中に残しておきたい特別な時間になりました。
本展覧会では、三田村さんがお話ししてくださったように展示しているファブリックやバッグを実際にショップコーナーで販売しています。興味のある方はぜひお手に取ってみてください!✨

BankART Life7は6月9日までBankART Station(+他周辺各所)にて開催中です。
本展覧会のチケットはパスポート制となっていますので、ブログを見て「このインタビューを踏まえてもう一度作品が見たい!」と感じた際にはぜひまたお越しください👣

また、三田村さんは今年の秋ごろにも作品展を予定されているとのことです!三田村光土里さん、ありがとうございました。