【アートラーニング・インタビュー #15】BankART Life7 参加アーティスト・野老朝雄 by BankART実験広報部

こんにちは!
BankART実験広報部の福谷です。

今回はStationから飛び出して都内某所、野老朝雄さんのスタジオTOKOLOCOMへ!🚃💨

野老さんは今回のBankART Life7ではパブリックアートテーブル「PPP TABLE」を展示されています。他にも野老さんといえば東京2020オリンピック・パラリンピックエンブレム!

どこの辺も繋がる不思議な紋様のことから野老さんが今の活動を始めるまでのルーツまで、たくさんお話を聞いてきました。

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___野老さんのことを知らない人に向けて自己紹介をお願いします

野老:立場的には美術家って書いてあるんだけど、デザインと設計っていうものがベースにあります。元々父が建築、母がインテリアをやっていたので建築の延長でもあると思うし、でも全部がロジカルなわけでもないから僕は繋げるっていうことを軸にし始めたんです。繋げるということをなんでやるようになったかというと、2001年のアメリカの同時多発テロを見て、人間ってずっと大きな勢力が戦いあったりとか正義対正義っていう話になると正義とは一体何なんだろうとか、わかんないことだらけなんですよね。なので僕は単純に繋がるっていうことの可能性というのを諦めたくないんです。

___今回の作品「PPP TABLE」について

野老:今回はそのテーブルでお世話になってると思うんだけど、あれは100個ぐらいつくりたいですね。デジタルアプリケーションみたいなのを使うことでアメリカにもアフリカにも持っていけると思うし、僕がつくらなくてもあっちでつくってもらえるという意味ではThe・設計だと思ってます。あと久々にPPPって言葉を持ち出したんだけど、proliferation(増殖)とか何かが生まれて多くなってくるpropagation(伝播)とかもPだなってなるし、単純にpatternとかpiecingとか。最初はPiecing・Pieces・Patternとかって言ってたんだけど、今回はPublicのPでもありますね。今は増えたらいいなとか勝手に伸びていったらいいなって思いもあります。

___「PPP TABLE」の紋様について

野老:このテーブルの紋様は完全にコンピュータでつくっています。BankARTにお世話になっていた時にはもうやってたと思うし、その時からつくり続けてますね。これ名刺なんですけど、微妙に変化していて、20年前くらいにお渡ししたときと共通してることは「単位」。普通名刺って55×91とか黄金比にあわせたものなんだけど、これはとにかく50mmを死守していて、分割が1つ5mmなんですね。名刺の柄も更新しているんだけど、俺はこの昔バージョンを持ってるってずっと昔に名刺交換した人から威張られる時がある。俺なんてこれとこれ持ってるぜみたいな。俺がつくったんだけどな(笑)。

___紋様の描き方について

野老:これオリンピックのときに散々言って全然伝わらなかったんだけど、コンピュータで出したものをまた写して描いてって、行ったり来たりしてるんです。こんな補助線いらないんだけど、ここ繋がってんだって描いたあとから思うみたいな。原画がA4なんですよ。だからもうズレるに決まってて。もうこれはしょうがないなと思う。誇りですね。普通はでかく描いてちっちゃくするのがセオリーなんだけど、でも人間がいるぞと。こればっかりはもう人に手伝ってもらいようがないから。

___紋様のほとんどに使われている青色について

野老:オリンピックの時から使い始めたんですけど、侍ジャパンブルーっていうのが昔からサッカーにあって、サッカーの色でサムライブルーというのをつくり始めたんですよ。それでスポーツのときにブルー使う傾向があって、traverse24って本があってそこのインタビューに詳しく書いてあるんだけど、(印刷の)黄色と赤って退色するんですよ。オリンピックのFiveRings(五輪)って黄色と赤が一番右上にあるんだけど、まず最初に黄色がなくなる。最後に残るのはもちろん黒なんだけど、2番目に残るのは青なんですよ。強い色をつくりたかったっていうのはありますね。あと藍染に憧れてて。藍地もしくは紺地に金っていうものがあって、これが一番残るんですって。藍ってのは虫がつかないよね。侍さんは大体藍染、というかほとんどのものが藍染だったわけですよ。一番コストパフォーマンスが良い。その時代の日本橋とか見ると半分以上は藍ですよね、一番安かったしかっこいい色だし。たまに赤いお召し物をしてる人はもうめっちゃ金持ちか土染の茶色。そういう目で見ると日本の色って言ってもいいんじゃないかなと思う。

___スタジオの猫ちゃんについて

野老:その子ロシア猫なんです、サイベリアンっていう種類。実は妹がいて、飽くなき戦争してるんですよ。本当に猫パンチってするんだなみたいな。作品破壊されちゃいそうで。だからだんだんうちの作品強くなってきたんですよ。猫に壊されるようじゃ駄目だ!って。テスターです(笑)。

___紋様への考え方について

野老:多分パターンっていうのがないカルチャーってないと思うんですよ。イスラムだったらモザイクパターンだったり、なんちゃっての企画じゃない構造を伴ってるわけで、もう先輩方がいっぱいいるわけですよね。俺はこの辺の生まれだからおばあちゃんが持ってる江戸小紋とか、そういうとこが先輩で。コンパスと定規でできるパターンみたいなのが各地にあるわけですね。そういうとこから勉強してるのかな。僕はよくグラフィックの話で、パクリとか何とかの話ってすごく悲しいと思ってて。先輩、経緯だと思うので僕の場合は。全然僕はオリジナリティなんか主張してないし、こういうパターンは1000年前にあったかもしれないし、そういうのが発掘される可能性もありますよね。歴史のことを既存と言わないでしょ。それはもう敬意あるもので、既存っていうともうやられちゃったものみたいな印象があるけど、そうじゃないと思う。文化文明っていうのは繋がっていくものだと思うし、紋様をやることによって世界って繋がっているんだなと思うし。死ぬまでに戦争が解決されると思ってないけど、もがいてたおっさんがいたっていうのは伝えたいんですよね。繋がるってことを言いたい。

___今後の活動について

野老:今はCCBT(シビック・ クリエイティブ・ ベース東京)でやってます(5/13時点)。その後は、アートワークを中国の安徽省っていう上海から奥に行ったところで、ボリューム的には最大になるのかな、そこで階段的段階もしくは段階的階段、グラジュアルステップスっていうシリーズの作品をつくる計画を進めています。

___横浜への想い

野老:横浜にはすごくお世話になっていて、自分の作品をつくっていく過程においても忘れられない場所で、一番最初の個展が横浜美術館の中の小さなギャラリーであったりとか、その後BankARTに受け入れていただいたりとか、本当に感謝しています。まだきちんとした大きな展覧会をやれていないので、いつか横浜でできればと思っています。

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台湾ビールを瓶ごとくれたり、福谷なので福の字のステッカーをお土産にくれたりとても気さくな方で、本当にたくさん(二時間超え)お話してくださってインタビューを短くまとめるのに苦労しました😂

とても楽しかったです!野老さんありがとうございました✨

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@tokolocom