学校の黒板と思わしき背景。何やらおじさんが学ランを着て両手を広げている姿。そして、100人先生というタイトル。表紙からコミカルな雰囲気がただよっているその本を手に取ってみると、それは総勢100人の市民たちが先生となり開講された様々な講義の記録集となっていた。
本著「100人先生〜横浜の東アジア」は、作家の開発好明氏が企画したものであり(表紙のおじさんが開発好明氏)、BankART LifeⅥ「東アジアの夢」のプログラムの一つとして開催。2015年8月1日から11月3日の95日間 BankART NYKにて、タイトルにある通り100人の市民が先生となり100の講座が開催された。期間中は、市民先生が日頃あたためていた「実は得意なもの」や「みんなが知らないこと」を中心に授業が行われた。
100人の市民先生による講義をすこし覗いてみることにしよう。開発好明氏による「応援先生」を皮切りに、「空気よめない先生」「古代火起こし先生」「美術とエロ先生」「震災避難者先生」「ふんどし先生」..ユニークなタイトルに好奇心をそそられるが、それに負けじ劣らず個性的な先生たち。彼ら・彼女ら自身がそれをこよなく愛していることが本からでも伝わってくる。どれも魅力的な講座だが、個人的には「段ボール先生」「セルフビルド先生」「不法占拠先生」あたりを受講したい。ホームレスにでもなるつもりなのかと思われそうだが(笑)
最後に、開発氏は「100人先生の魅力は、『誰もが先生、誰もが生徒になれる』」と述べる。人と比べて自分は劣っていると感じる競争社会の中で、短所ばかりに目を向けるのではなく、自分の好きなものや自分にしかできないことに目を向けよと、思考の転換を促しているように感じる。さて、私は何の先生になれるだろうか。
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開発好明『100人先生 -横浜の東アジア』(2015年7月発行)
A5判 96ページ
880円(税込)
購入希望の方はホームページをご覧ください。
A5判 96ページ
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