ヴッパタール・タンツテアター・ピナ・バウシュの中心ダンサー、エレナ・ピコンさんと瀬山亜津咲さんのデュオ公演です。ふたりが立って歩くだけで、打ちっ放しのコンクリートの倉庫空間が、いろいろな思いに満たされたように見えてきます。何気ない動きのなかに何かがある。良いダンサーとはそういうものなのかもしれません。タイトルは「Untitled」、無題です。この踊りは、ピナの振付や自分自身のピナや大野一雄への思いをコラージュしたので、題は無い方がいいと思いました、と語る瀬山さん。床のくぼみに赤ワイン注ぐ。この建物をグラスに見立てて、ピナが好きだったワインで乾杯したかった、とエレナさん。そうだったのですね。ふたりの思いが素直に伝わってくるダンスでした。