「日本三大ドヤ街」の一つと知られる寿町で活動するお二人を招いてのトーク。
コトラボ合同代表の岡部友彦氏は、利用者の高齢化により空室率の高まったドヤ(簡易宿泊所)を資源と捉え、バックパッカーなどのゲストハウス「ヨコハマホステルビレッジ」や大学と連携し学生達がキャンパス外活動を行える場など、環境づくり・運営を行なっている。生活保護受給者の増加や空き部屋の増加、高齢化といった現実に直面している寿の現状を福祉で立ち向かうのではなく、外部の人も入りやすいまちづくりをアクションすることで、地域住民達も感化され、若い人たちとの交流を楽しむ人も増えてきているとのこと。
横浜市文化観光局の職員でもある河本一満氏は、寿の現状をアートで打開できないかということで、2008年に寿オルタナティブ・ネットワークを有志で結成。アーティストが滞在して作品制作を行う「寿合宿」をはじめ、住民との交流を大切にしながら、アートプロジェクトを企画・運営している。作家達は、熱心に活動を続け、コミュニケーションが積み上がって行くことで、作家自身の意識も変わったケースが多く、滞在制作後も寿を訪れて活動してくれる作家が多いとのこと。
生活保護者たちは、通常の街では受け入れてもらうことが難しく、結果、寿に集まっているのであり、この現状は日本全体の問題であり、誰もが自身の問題として考えなければいけない。寿は、そういう人たちを受け入れる、また支える人たちが集まるあったかい街だということを知ってほしいと河本氏は強調した。