第三期は、菅実花氏と諌山元貴氏の個展。
ラブドールを妊婦姿で撮影した作品《The Future Mother》で注目を集める菅氏。近年制作している自身の顔を型取り作成した人形とともに写るセルフポートレートシリーズ「あなたを離さない」では、人間らしい人形と、人形らしい人間が並び映し出されており、どちらが本物なのかを謎解きするような作品だ。今回は、ストッキングをレンズのフィルターとして撮影したことで、ソフトフォーカスなイメージがより虚実の境界へと誘ウ作品になっている。
諌山氏は、広島を拠点に活動する作家。15mの壁面には、白い棒状の塔がゆっくりと崩壊していく映像が映し出されている。それと、マネキンや自身を3Dスキャンした頭部・腕・脚のパーツが台上に並べられ、観葉植物とピンクの植物養成ライトが配されたインスタレーション。この2要素がリンクして、現実世界から切り離されたような空間が出現している。長時間、この光景を眺める人も多い。
諌山氏いわく、「近い将来iPS細胞医療の発達で人間のパーツも取替可能にあってしまい、身体もそれを取り巻く環境も、終わりのある物理的な時間がなくなり、生と死の概念が無くなってしまう」とのこと。
近未来的な価値観でオリジナルを問う2人の作家、モチーフなど相似点もあるからこそ、作家の表現や、姿勢を比較して楽しんでいただければと思う。
菅実花展会場の様子
諌山元貴展会場の様子
オープニングの様子