BankART Stationの広大な地下空間を活かした、通常とは違ったシアター環境で、映像作品を不定期に上映する「BankART Station Theater」。2023年より新しく始められたこのシアタープログラムの第3回目として、8月25日~9月3日に国内外で活躍するアーティスト・牧野貴の映像作品上映が開催された。
今回は、これまでに40本を超える映画作品を制作してきた牧野貴の全作品を振り返るレトロスペクティブとして、日本初上映作品や2023年に新たにデジタルリマスターされた作品を含む6つのプログラム、「初期作品集1」「初期作品集2」「中期作品集1」「中期〜近年作品集2」「近年の作品集」「長編 Memento Stella」が10日間連続上映された。
作品「Memento Stella」より
各プログラムの上映前には牧野自身が短い作品解説を行い、また8月25日には映像作家・画家の石田尚志氏、9月1日には東京都現代美術館学芸員の岡村恵子氏をゲストに迎え、トークショーも実施された。トークショーでは、それぞれのゲストから、これまでの牧野作品の制作や上映時にまつわるエピソード、また作品そのものについてさらに理解深めるお話などを伺うことができた。
各プログラム前に作品解説する牧野貴
映像作家・画家の石田尚志氏、東京都現代美術館学芸員の岡村恵子氏とのトークショーも実施
来場者からは、「ソファに座ってくつろぎながら、大画面で牧野さんの抽象的な映像作品が観られてよかった」「広大な地下空間だからか、音の響きもよく音響も素晴らしかった」「サイトスペシフィックな環境で、上映を存分に味わえた」と、満足したという感想をいただけた。
また、10月7日から品川・天王洲にあるギャラリーANOMALYで個展「コラージュとアンチコスモス」が開催されるアーティストの牧野からも、「地元でもある横浜で活動できたこと、またこんなにも自由でたくさんの可能性のある会場で、10日間に渡り作品発表できたこと、大変嬉しく貴重な機会となりました」といったコメントをいただいた。
横浜だけでなく都心でもこうした環境にはなかなか遭遇できない、実験的要素の強い映画や映像を大迫力の画面や音響で観られるシアタープログラム、「BankART Station Theater」。今後も、注目する映像アーティストや映像作家を積極的に紹介していきたい。