朝倉摂氏がついに現場(BankART)で手を動かした。これは、tptが主催し、岡本健一氏が演出をしている演劇作品の、舞台美術制作でのひとこま。白い壁面約20m(高さ3m)の長さの空間に一本の斜線を描くのだが、速いはやい。鉛筆をもつと、なんの躊躇もなく(なさそうに)、左端からゆっくりと右肩あがりの線をひきだす。途中で背が足りなくて、少しこう配が落ちてきても、おかまいなし。スタッフがすかさず、台座を用意し、朝倉氏は手を休めずにこの作業を続ける。しばらくすると再び背が足らなくなり、またこう配が落ちてくる。するとまたスタッフがより高い台を用意する。そんなこんなで、最後までいってしまう。この間、朝倉氏は一度も後ろに引いて絵をみようとはしない。最後まで、壁に近づいたままだ。出来上がって見ると、こう配が落ちたところだけがスピードが落ちて、いい塩梅にリズムがある直線(斜線)が完成している。まるで台を待っている時間さえも朝倉氏の手描きの術中にあるような出来映えだ。間髪いれず、その斜線に沿って、スタッフがボリュームと調子を整えていく。見事な連携プレイ。テレビ番組では何度もみた朝倉さんの絵を描く風景だが、これをNYKで拝見できるとは。
月: 2010年9月
関内外オープン BankARTかもめ荘
関内外オープンで、通常は一般公開していないBankARTかもめ荘をオープンしました。BankARTかもめ荘は、海外との交流レジデンスプログラムなど滞在制作のための宿泊施設。最近では、先日のスタジオプログラムに参加したパク・チャンコックさんやアンドリュー・ヤンさん、クリスタ・ドナーさんがかもめ荘に長期滞在しました。
このかもめ荘のある野毛マリヤビルは、4階建ての建物で、1Fは矢内原充志さんがアトリエを構えており、2Fにはオフニブロールの矢内原美邦さんのダンススタジオが入居者です。
BankARTが実際運営しているのは3階はサロン、4階は居住空間、そしてペントハウスには深沢アート研究所による屋上緑菜の空間があります。猛暑で、この日にいらっしゃったお客さんもすぐに屋上から引き上げていきましたが、夕方からは涼しくなりビール飲みたい!そんな声がちらほらと聞こえてきました。
関内外オープン2010
横浜市財団の杉崎さんなどが牽引する、関内外オープンの今年のパーティ開催場所はBankART studio NYKのお隣にある、NYKよりちょっと小振りな万国橋SOKO。やはり港湾関連の元倉庫だ。民間のクリエイターチームで構成されており、現在は専門学校のバンタンデザイン、建築家の山本理顕事務所、写真家の森日出男、クレーアニメで著名な伊藤有壱などが軒を連ねている。河岸に面しているのでテラスをステージに見なして、大音量でバンド演奏可能だ。シゴカイをベースにしたオープンとは異なる派手やかさだ。森さんのスタジオを中心にしたパーティ会場には、この界隈の人たちがみんな集まっていた。創造界隈といういい方で、この間6年程度経過したが、確かに界隈ができつつある。さてこれからどこにいくのか?
朝倉 摂展 アバンギャルド少女
昨年行われた原口典之氏の個展と同規模の、舞台美術家 朝倉 摂氏による展覧会がスタートしました。88歳とは思えない、新しい事に次々とチャレンジしていくそのパワーは本当にすばらしく、圧倒されます。この展覧会では、1/2のスケールの舞台モデル、4×9m大のアーカイブ写真が11点、千点にも及ぶ舞台のためのプランドローイング、舞台転換の映像、テレビ番組プログラム、絵本の原画や新聞連載小説の挿絵など等が、展示されています。
初日のオープニングパーティには各界の著名な方々も多く集まられ、賑やかに行われました。
3階のワンブロックでは、新作の、舞台にも客席にもなる劇場が登場。9月20日を初日に様々なパフォーマーンスが繰り広げられます。詳しくはHPのWhat’s Newをご覧ください。http://www.bankart1929.com/
またtptによる公演プログラムの稽古もご覧になれます。
横浜市民割引(展覧会チケット半額)、展覧会カタログ付き入場券(2300円)もお得。是非ご来場ください。