ヴッパタールタンツテアター&大野慶人「たしかな朝」

大野一雄フェスティバル2010の最終公演を飾るのは、ヴッパタールタンツテアターの中心ダンサー、ジュリー·アンヌ·スタンザクとエディー·マルティネスと大野慶人による共同制作公演「たしかな朝」。ヴッパタールタンツテアターのお二人の陽気で力強い動きと大野慶人のユーモアあふれる作品です。会話、お互いを意識しあう動き、枯れ葉、コーヒー等の日常の要素を舞台に持ち込み、人と人の関係や空間を変えていきます。舞踏の静的な動きとダイナミックなタンツテアターが嚙みあう作品を作り出していました。

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BankART妻有 桐山の家雪囲い

BankART妻有 桐山の家の雪囲をしました。
桐山は、静かに晴れた心地良いお天気でしたが、身にしみる寒さ。
しばらくして、雲行きが悪くなったと思ったら、すぐに小雨が降り始めました。
雪になりませんようにと願いながら、雪囲い作業。
外回りの作品やものを土間にいれ、内部の清掃。

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縁の下から侵入するネコ(タヌキ?)の対策もしっかりしました。
水道管の水抜きをして、さて帰ろうと思ったら、ゴロゴロという音。
アレレと言う間に、稲妻が走り、爆音の雷です。
霰が吹きすさぶ中、最後の玄関の囲いと戸締まりをしました。
妻有の冬が本格的に始まります。

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リサーチプロジェクト「コミュニティダンスとしてのPARAPARA」

10年程前に大ブームとなったディスコのダンス、パラパラを現代舞踊の新しい文脈で捉え直そうという試みです。
始めに、気鋭のコンテンポラリーダンスカンパニー、初期型とプロジェクト大山の2チームが、パラパラをテーマにした作品を上演。その後、DJの松本みつぐ氏、元Twinstar支配人の宮地弘和氏、舞踊教育の高橋和子氏、大衆ポピュラー音楽研究の輪島裕介氏をゲストに、パラパラの現在過去未来について話し合うラウンドテーブルを持ちました。
松本さんから日本のディスコとユーロビートのこれまでの流れとパラパラの語源などの歴史的な話を、当時のディスコの最前線にいた宮地さんには、現場にいた人ならではの貴重な話をしていただきました。高橋さんからはダンスの視点からの見方、輪島さんからは大衆文化のひとつとして世界に広がるパラパラの側面に言及して頂きました。
文化がいかにして生まれてくるかということを考えさせられる、とても貴重な話を伺うことができました。

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初期型

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プロジェクト大山

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リコンストラクション ラ・アルヘンチーナ頌

「ラ・アルヘンチーナ頌」は、大野一雄が若き日に見たスペイン舞踊家「ラ・アルヘンチーナ」を讃えるソロ作品です。1977年に土方巽の演出で初演されました。今回の「リコンストラクション ラ・アルヘンチーナ頌」は、原作の構成と音楽に基づきながら、参加者がそれぞれの解釈で大野一雄の作品を再構築する試みです。演出家及川廣信氏、美術家森村泰昌氏、ストリートダンサーKentaro!!、俳優小沼淳氏。分野の異なるアーティストが、大野一雄をそれぞれの距離感と表現で捉え、「アルヘンチーナ頌」の世界に入っていく。それぞれの参加者の間では打ち合わせはほとんどなく、独立した場面が、大野慶人氏の監修で繋がっていきます。
さて「ラ・アルヘンチーナ頌」はリコンストラクションされたでしょうか。少なくとも、アルヘンチーナ頌と世界を共有する作品であったと思います。大野一雄さんの仕事は、さまざまの分野のひとに影響を与えながら、時にはこうした創作の糧になっていくのかも知れません。たった1回の貴重な公演に立ち会おうと、客席は超満員でした。

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及川廣信

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森村泰昌

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Kentaro!!

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小沼 淳

ズニ・イコサヘドロン

ダニー・ユン実験劇場が今年も来日。20代前半の昆劇俳優たちが、明代の古典的戯曲に基づく「Flee by Night」(夜逃げ)を上演しました。物語は、水滸伝の英雄林冲が、迫害され梁山泊にかくまわれて盗賊になる話です。政府高官が逆賊になる。ダニー・ユン氏はこれを社会の「役割交換」の物語であると捉えます。そこでこの舞台で起きるひとつのテーマは「役割交換」とそれがもたらす創造性の検証です。しかしダニー・ユン氏の演出はいつも手がこんでいます。俳優達は、自分の役柄を交換するだけでなく、時には裏方の衣装を付けて役柄からも抜けだし、最後はアフタートークにも参加して素顔を見せます。現在の中国は、社会的役割が固定されている。その役割を交換することで、もっと自由になれるのではないか。ダニー・ユン氏のそういった呼びかけは、日本の社会にも響くものがあると思います。

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BankART Shop SALE情報!

1FのBankART Shopでは、Kazuo Ohno Festival 2010 開催記念セールを開催中です。
大野一雄氏関係のDVDが10%オフ。
2Fで行われている「大野一雄の世界展」では、各DVDを視聴することもできます。
このセール、大野フェス終了の12.12までです。
また、来週中旬には、待望のカード支払いもできるようになります!
皆様この機会に是非、ご利用くださいませ。
お待ちしております。
Shop最新情報は、こちらから→http://twitter.com/BankART_shop

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対象商品は、赤いシールが目印です!

HAMArt! 公開対談 三瀬夏之介 × 泉 太郎

BankART school の福住廉さんの講座「アートの綴り方」では、毎回、講座終了後に受講生の有志によるフリーペーパー「HAMArt!」が編集、発刊されます。今年もvol.5発行にむけて、メイン企画が打ち出されました。日本画家の三瀬夏之介氏 と 映像作家の泉 太郎氏の対談収録です。今回、その収録を公開し、トークショーとして開催。これまでの「アートの綴り方」のゼミ生OB/OGも集まり、賑やかにスタートしました。今日の三瀬さんと泉さんの対談内容は「HAMArt!vol.5」で掲載されますので、お楽しみに。
編集会議もこのブログで追っていきたいと思います。

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左から、福住さん、泉さん、三瀬さん

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O氏への旅 O氏からの旅

今回の出演は、黑沢美香、Abe “M”aria、大森政秀、上杉満代、そして大野一雄舞踏研究所研究生です。最初に登場する黑沢美香さんの踊りが終わる。しかし彼女はそのまま舞台に残る。そしてこの空間を次に訪れるAbe “M”ariaさんを迎えていく。こうして次々となにかを受け渡すように、踊り手が繋がっていく。この空間とそこで行われる儀式性のある行為は、大野一雄さんが60年代に作った実験映画、「O氏の肖像」を思い起こさせました。DVDにもなっているので、ご存じの方も多いと思いますが、60年代ならではのアヴァンギャルドな映像で、白塗り(当時は石膏を使ったらしい)の大野さんが原っぱを走り回ったり、人間の内面を旅をするように、謎の行為を延々繰り広げる映画です。この公演の旅のおわりには、研究生と出演者全員が登場、楽しげな祝祭のようでした。

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奥:黑沢美香

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Abe “M”aria

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大森政秀

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上杉満代

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大野一雄舞踏研究所研究生

大野一雄フェスティバル タバマ企画

タバマ企画の公演「あの女性〜アノヒト」は6人の実力派女性ダンサーが、それぞれにソロを展開しながら、全体がひとつの作品世界になっていきます。ダンサー達にエスコートされて一緒に旅をしているようなおとぎ話のようなイメージもあります。「あの女性」とは誰のことなのか。わたしの目の前にいるダンサー達は、みんな著名なコンテンポラリーのダンスカンパニーで活躍している人ばかりで、そういえばどこかでみかけた「アノヒト」かしらと、ふと記憶の中にあるダンサーと、目の前の人が重なってしまいました。タバマ企画の田畑真希さんは、昨年の大野フェスでは横浜ダンス界隈に参加しました。現在は海外公演も含めて大活躍しています。

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即興45 min 無の地点

大野一雄フェスティバル2010、11月26日のプログラム「即興45 min 無の地点」はダンス公演には珍しいレイトショー。21時をまわっての開演でした。ダンス岡登志子、中村恩恵、ベース井野信義、ギター今井和雄。「無の地点」に用意されたのは、BankART Studio NYKの3Bギャラリー、元倉庫の床と壁がむき出しになった何もない空間です。程よい緊張感の中でいつの間にか身体と音が空間を浸食していくようにはじまり、45分でぴたりと静寂にもどる。なんと潔い実験精神でしょうか。こういう作品をもっと見られる場所を今後も作っていきたいと思います。

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