ズニ・イコサヘドロン

ダニー・ユン実験劇場が今年も来日。20代前半の昆劇俳優たちが、明代の古典的戯曲に基づく「Flee by Night」(夜逃げ)を上演しました。物語は、水滸伝の英雄林冲が、迫害され梁山泊にかくまわれて盗賊になる話です。政府高官が逆賊になる。ダニー・ユン氏はこれを社会の「役割交換」の物語であると捉えます。そこでこの舞台で起きるひとつのテーマは「役割交換」とそれがもたらす創造性の検証です。しかしダニー・ユン氏の演出はいつも手がこんでいます。俳優達は、自分の役柄を交換するだけでなく、時には裏方の衣装を付けて役柄からも抜けだし、最後はアフタートークにも参加して素顔を見せます。現在の中国は、社会的役割が固定されている。その役割を交換することで、もっと自由になれるのではないか。ダニー・ユン氏のそういった呼びかけは、日本の社会にも響くものがあると思います。

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