「Yokohama Re:Portside Project」(ヨコハマ リ・ポートサイド プロジェクト)リサーチツアー

2025年7月5日、6日、13日と「Yokohama Re:Portside Project」(ヨコハマ リ・ポートサイド プロジェクト)のリサーチツアーが行われました。

再開発から30年を迎えたヨコハマポートサイド地区を、現代の視点からあらためて捉え直し、新たな街の姿を見出していこうとするこのプロジェクト、まずは、アーティストユニット「片岡純也+岩竹理恵」が、ポートサイドの街をフィールドワークし、リサーチをもとに作品を制作・展示するものですが、彼ら独自のリサーチに加えて、別にコンダクターを迎え、様々な視点から地区内をめぐりながら、作品の構想を深めるものです。

このフィールドワーク(ツアー)には一般の方々も参加し、作品が生み出される過程の一部を共有できるものとなっています。

基本的には、片岡+岩竹とコンダクターのやりとりとなりますが、参加者とのやりとりも生まれ、各回内容の濃い充実した時間となりました。

7月5日は、村田真さん(美術ジャーナリスト/画家)による「パブリックアートを通して見る時代背景」です。

ヨコハマポートサイド地区内のパブリックアートを巡るツアーはこれまでも何度か行われていますが、今回はパブリックアート作品そのものを紹介するということではなく、それが設置された背景や、街が出来てきた経緯、空間といったより広い視点からのお話になっていたと思います。

開発の初期に設置された、マイケル・グレイブスの壁画、エットーレ・ソットサスの作品などに込められた思い、ナディム・カラムの軽やかな作品、気がつけば、圧倒的な迫力で迫る、菱山裕子の作品、そしてギャラリーロードに設置された、岡本敦生による旧三菱重工ドッグの石材を使った車止め、マンションに囲まれた空間にある作品、金港公園などをめぐりながら、開発にあたって、どういった意図を持ってそれらのものが設置されたか、現在のありようはどうかなどについてやりとりがありました。村田さんの「いろいろ考えて行くと、パブリックアートはどんどん丸くなってしまう」というのは、壊れたり、事故などの対応による、作品の外形的な変化に対しての発言でしたが、考えさせられるところです。

7月6日は長谷川浩己さん(オンサイト計画設計事務所)による「ポートサイド公園の楽しみ方」です。

地区内の水際線は、ポートサイド公園として整備され、憩いの場となっています。

この公園は、ヨコハマポートサイド地区の「アート&デザイン」というテーマにふさわしいものとして、コンペティションにより計画が選定されたものですが、そのデザインをしたのが長谷川氏です。

コンペならではといってもよいユニークな計画で、水際の葦原の再生や、うねりのある地面のデザイン、象徴的なファニチュアなどにより構成され、隣接する建物空間と一体的になるよう、意図されています。

ツアーでは公園をめぐりながら、特徴的なデザインが生まれた経緯や、建物との関係やスケール感のこと、再生された葦原に生まれた生態系や、デッキの使われ方、整備時期やオーナーにより隣接建物との状態が異なっていることなど、様々な点でお話がありました。

この公園だけというわけではありませんが、よく見られるベンチの寝転び防止の構造などについても、なぜこういうことをするのかについてやりとりがありました。(後付けで付加されてしまったそうです)管理と空間の豊かさ等とのバランス、なかなか難しい問題です。

7月15日は、秋元康幸さん(横浜市立大学客員教授、 BankART1929 副代表)により、「ポートサイドの街はどう生まれたか」について行われました。

歴史的な経緯等も踏まえ、充分にレクチュアしたのち、これまであまり回らなかった市場との境界部、神奈川公園などを巡り、理解を深めるものとなりました。

神奈川公園は現在工事中ですが、仮囲いに描かれたキム・ガウンさんの壁画の補修が終わった直後、良い状態で鑑賞できました。

この公園は、横浜市の公園のなかでも古い時代に出来たもので、かつては公園内の道路側に「神奈川会館」というモダンな建物がありました、現在も公園内には集会所がありますが、それも、そういった建物がった名残かもしれないなど、当時の様子に思いをはせながら、ツアーを行いました。

横浜駅、市場、幹線道路の狭間にあるエリアであるポートサイドの街は、かつて海沿いを通る街道に近い、歴史的にも面白い場所です。現在のモダンな街だけではなく、周辺も含め、歴史的な視点で街を見ていくのも、大変興味深いと思います。

瀬戸内国際芸術祭2025秋会期「高見島アートトレイル」高見島・多度津町で使われなくなった椅子を集めています!

瀬戸内国際芸術祭2025秋会期に開催される高見島にて、BankART1929がディレクションを行なう「高見島アートトレイル」。 全体ディレクションと並行して7組の参加作家の1組として「BankART1929+PHスタジオ」としても活動しています。

今回は「PHスタジオ」が1984年から継続して制作し、BankARTでも椅子プロジェクトとして展開してきた《家具φ(カグ・ファイ)》シリーズを、高見島で展開します。
「使われた家具はすべてがオリジナルである」という考えのもと、その使われ方や壊れ方も活かしながら、高見島や多度津で集めた不要な椅子をベンチ型の作品に生まれ変わらせます。

坂の多い高見島で、作品鑑賞の合間にひと息つき、風景を楽しめる場をご用意します。

制作にはPHスタジオに加え、多度津高校建築学科の生徒さんも特別参加してくれることになりました。
うどん屋さんや喫茶店、町役場、資料館、シルバーセンターなどにチラシを置かせていただき、少しずつですが椅子も集まってきています。

どんなベンチができあがるのか!?ぜひ楽しみにしていてください!

椅子の募集情報詳細、情報提供などはこちらをご覧ください。https://www.instagram.com/ph_studio_2025

多度津町立資料館さんにチラシを置かせていただきました

多度津港に一番近い、こがね製麺所 多度津店さんから壊れた椅子をいただきました🪑

シルバーセンターに置かせてもらったチラシを通じて椅子をご提供いただきました🪑

俳句茶屋 四代目店主・土井章さんからも椅子をご提供いただきました🪑

俳句茶屋の椅子

いただいた椅子たちを多度津高校建築学科の工房で加工していきます

瀬戸内国際芸術祭2025「高見島アートトレイル」
会期:秋会期のみ|2025年10月3日(金)~ 11月9日(日)
会場:高見島(香川県多度津町)

参加作家:中谷ミチコ+大室佑介、橋本雅也、保良雄、淺井裕介、谷本真理、泉桐子、BankART1929+PH STUDIO
ディレクション:BankART1929
https://setouchi-artfest.jp/

越後妻有 2025 夏秋企画「こたえは風に吹かれている」開催中!

BankART1929は、2006年に越後妻有大地の芸術祭・松代エリア桐山集落に築100年の農家を購入し、建築家「みかんぐみ」や多くのアーティストと改修、「BankART妻有 桐山の家」としてオープンしました。以来、芸術祭には毎回参加し、地域と継続的に関わってきました。

そのご縁から今夏は、越後妻有里山現代美術館 MonET の回廊での企画展のディレクションを担当しています。

展覧会タイトルは「こたえは風に吹かれている」。原広司設計のMonETは、池を囲む回廊が特徴的な建築。本展では、その池を中心に「風」を感じる作品を配し、建築空間と響き合う一体的な場をつくります。
松本秋則のサウンドオブジェが涼やかな音を響かせ、牛島達治の彫刻は風に誘われ回転。山本愛子は気流になびく布に草木の色を重ね、井原宏蕗の彫刻は風を切って進みます。風は、時間や記憶、未来と私たちを結びつける存在。この回廊で多様な「風」に触れるひとときをお楽しみください。

回廊沿いに吊られた大きな白い布が風を受けて揺れ、清涼感をもたらす山本愛子さんの《Reflections》。8月には妻有で滞在制作し、現地植物で染色、秋には異なる色彩の作品へと変化します。8月までは夏の涼やかな姿を、9月以降は秋の表情をお楽しみください。

会期中には参加作家によるワークショップも開催。
この夏秋、芸術祭の年とはひと味違う越後妻有へ——自然と建築とアートが織りなす“風”の空間に、ぜひお出かけください。

松本秋則

牛島達治

井原宏蕗

山本愛子

山本愛子《Polyphony》は、美術館内で9/15(月祝)まで展示中


オープニングギャラリートークツアーの様子

21時まではライトアップされた作品をお楽しみいただけます
照明:ライティングルーツファクトリー

越後妻有 2025 夏秋企画「こたえは風に吹かれている」

参加作家:山本愛子、松本秋則、井原宏蕗、牛島達治
ディレクション:BankART1929

会場:越後妻有里山現代美術館 MonET 回廊
会期:2025/7/19(土)~  11/9(日)
 ※祝日を除く火水定休 ※8/12(火)、13(水)は公開
時間:10:00-17:00(最終入館16:30)※ライトアップは21:00まで
料金:無料(回廊のみ)
 ※山本愛子作品の一部は美術館内にも展示しています。展示期間:7/19(土)- 9/15(月祝)
 美術館入館には個別鑑賞券または「越後妻有 2025 夏秋」共通チケットが必要です。

主催:大地の芸術祭実行委員会、NPO法人越後妻有里山協働機構、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
委託:令和7年度日本博2.0事業(委託型)Japan Cultural Expo 2.0

詳しくはこちら:https://www.echigo-tsumari.jp/event/the-answer-is-blowin-in-the-wind/

神奈川公園内工事仮囲い壁画が地域に愛されています。 ~キム・ガウンさん、令和6年度地域再生まちづくり貢献者横浜市長表彰おめでとうございます!

神奈川公園では下水道整備に伴う工事が開始される中、一年前(2024年)の7月から12月に工事仮囲いにキム・ガウンさんが壁画を描いていた姿は、地域の皆さんにも良く知られています。夏の陽射しや秋の蚊の襲来をくぐり抜けて完成した全長68.5m高さ3.5mの壁画です。制作にはボランティアにも参加して仕上げていただきました。公園で行われた地域のおまつりでは、おまつりに参加した方々から、みんなに向けたメッセージを書き込んでいただくなど大いに盛り上がりました。

そして、先日(2025年5月23日)、ガウンさんが制作の拠点とする「初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会」総会で、令和6年度地域再生まちづくり貢献者として横浜市長表彰が授与されました。受賞理由は、初音町、黄金町、日ノ出町におけるアート活動を通じて地域再生への貢献が多大であったことですが、地域を担当する横浜市役所都市整備局の方の祝辞では、ガウンさんのアート活動が他地域でも広がっていること、特に神奈川公園内の工事仮囲いでの壁画の素晴らしさやそこから感じられる物語性には、見た方の心を打つものがあり受賞理由にも繋がっていると言葉をいただきました。

撮影:劉書佳

撮影:劉書佳


昨年12月の壁画完成時には神奈川区長にご来訪いただき、夏まつりの時に書き込んで下さったメッセージや子どもたちがワークショップで制作したハート型パネルをご覧になりながら、ガウンさんの制作活動と現場のサポートを慰労して下さいました。

工事完了は概ね7年後ですが、この壁画は工事期間中残る予定です。これからも地域の皆さんに見守られ愛される存在であり続けます。

文責:大蔭直子

アーティストたちが開く、BankART Station 最後の展覧会 「アライブ!展」

アライブ!展 @ BankART Station
2025年3月22日・23日
photo:中川達彦

以下、アライブ!展実行委員会の山本愛子さんより

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アライブ!展に関わってくださったすべての皆さま
本当にありがとうございました。
たくさんの方に足を運んでいただき、
おおきな事故もなく、
無事に2日間の会期を終えることができました。
 
実行委員会へ、
「感動した」「歴史的な日」「ありがとう」
といったお言葉が多数届いております。
すべては関わってくださった皆さま
1人ひとりのお陰です。
はじめて参加してくださった方々もありがとうございます。
 
BankARTが愛されていることが目に見えました。
池田修さんも見守ってくれていたと思います。
 
わたしの至らない点も多く、
ご迷惑もたくさんおかけしてしまいましたが、
初めてのことだらけのなか、
BankARTの細淵さんと津澤さんに全面協力いただき
勉強の連続でした。
BankARTじゃなければ実現できませんでした。

今回の経験は、これから作家としての自分も
変えていくものになったと感じています。

 
現在2日間の総売上を集計中です。
収益の50%以上を、
次年度のBankARTの運営資金として活用いただきます。
また、記録映像・写真などのアーカイブも
編集いただいております。
4月以降また皆様にご報告できるように進めます。

最後に、アライブ!展の企画運営に携わり、一緒に作り上げてくださった皆さまの名前を記させていただきます。
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アライブ!展実行委員会
 
新城順子 磯野玲奈 今井さつき 今井菜緒 岩瀬圭司 牛島達治 北風総貴 セキナオコ 高橋紀子 津澤峻 葉栗翠  細淵太麻紀 野老朝雄 中川達彦 野地真隆 藤川琢史 松岡未来 丸山純子 宮森敬子 村田真 山本愛子 

岩竹理恵 折原智江 片岡純也 川口ひろ子 木村有貴子 栗原元 さとう りさ 杉崎栄介 鈴木雄介 滝沢葉子 田草川紘一 似て非WORKS ハマベユミ 深沢アート研究所(カブ)

BankART1929 細淵太麻紀 津澤峻 桑原健太郎 アルバイトスタッフ
 
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【横浜市台北市交換AIRプログラム2024】Zheng WenHao(チェン・ウェンハオ)氏、滞在制作中!

今年は鄭文豪 Zheng WenHao(チェン・ウェンハオ)さんが横浜に滞在します。鄭さんは1994年台湾の桃園で生まれ、現在は台北を拠点に作家活動を行なっています。

これまで彼は様々な素材を使い機械仕掛けの作品を制作してきました。ささやかに時に大胆に起動する動きや、静謐な空間に時おり響く様々な音は、日常生活に散りばめられ、見過ごされた身体感覚を呼び起こします。

横浜滞在では「老い」をテーマに制作を行います。人間の「老い」は機械の「故障」と似ていると語る鄭さん。滞在期間中は老人介護を経験された方や介護関係の方との交流から得たアイデアを元に作品へと昇華させていきます。

鄭さんにとってはじめての海外での長期レジデンスです。3月の成果発表ではどのような作品が展開されるかご期待ください。

滞在期間は2025年1月4日〜3月31日 。
3月19日(水)からExPLOT Studioにて成果展を開催予定です。

インタビュー終わりに。右:伊東誠さん(伊東純子さんのお父様)左:鄭文豪

東京造形大学写真研究所 学外展「ミクロな視点とマクロな視点」開催中!

昨年に引き続き、東京造形大学 写真専攻領域の学生展をBankART KAIKOにて開催しております。会期中には、シンポジウムや、作品鑑賞会、公開講評会などのイベントも盛りだくさんです!

みなさまのご来場をお待ちしております。

以下、主催者より

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東京造形大学写真研究所 学外展「ミクロな視点とマクロな視点」

会期:2024年11月22日(金)〜11月28日(木)

11:00-19:00(最終日は16:30まで)

会場:BankART KAIKO

無料

東京造形大学写真研究所の学外展「ミクロな視点とマクロな視点」が開幕いたしました。

東京造形大学写真専攻領域では、自己の表現を「研究」という視点から捉え直すことで、客観性と社会性を獲得することを目指しています。学生は1年時から各自のテーマを持ち、それぞれの手法で日々研究をしています。3年生を対象にした研究指標科目「写真表現研究」では、その成果を学外展を通じて広く発表しています。今年は「ミクロな視点とマクロな視点」をキーワードに、横浜・BankART KAIKOで、日頃の研究成果を展示します。

本展の特徴は、学生たちによる多様な作品が一堂に会する点にあります。学生たちはそれぞれの異なる世界への視点を持っています。アイデンティティー、ジェンダー、自分の暮らす地域、記憶、他者、写真の物質性、音と視覚芸術の関係、事件写真、etc.。テーマも手法も目指す成果もさまざまです。この展示では、それらが共存する場となります。

展示空間には、身近な風景や個人的なことを〈小さな言葉〉で掘り下げた「ミクロな視点」と、広い世界や社会的な出来事を〈大きな言葉〉で見渡した「マクロな視点」が、繋がったり反発しながら共存しています。訪れる方々に新たな発見や何かを考えるきっかけをお届けできたら幸いです。

会期中には、「教育と美術」をテーマにしたシンポジウムや、作品鑑賞会、公開講評会などのイベントを行います。

・シンポジウム「諸外国の美術教育事情」(連続シンポジウム「美術と写真を考える」の第二回)

11月24日(日)15:30~17:00

美術・写真・教育を考えるシンボジウムの2回目となる今回は「諸外国の美術教育事情」をテーマに、韓国やイギリスで学んだ経歴を持つ方々をお招きし、「美術」の社会的位置付けについて日本と比較しながら、その可能性について探ります。

バネラー:金仁淑(アーティスト)、山本浩貴(文化研究者)、北野謙(東京形大学 特任教授)

可会進行:鷹野隆大(東京造形大学 教授)


・鑑賞会「写真を見る・聞く・話す」

11月24日(日)の12時と14時の2回

定員:各回5名/所要時間:45分/対象:中高生、一般参加者の皆さんと学生が一緒に、作品についておしゃべりをしながら展示作品を鑑賞します。各回5分前に受付にお集まりください。

・公開講評会

11月28日(木)13:30~16:30

東京ステーションギャラリー学芸員の若山満大氏をゲストに、一般に公開の形で学生の作品の講評を行います。大学の授業をどなたでも見学していただけます。

キム•ハク「MY BELOVED」開催

BankART Stationで11月2日から17日までキム•ハク「MY BELOVED」を開催しております。以下、主催者の方より本展の魅力をご紹介いただいております。

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MY BELOVED: Kim Hak
会期:2024年11月17日(日)まで開催。 11:00-19:00 
会場:BankART Station [神奈川県横浜市西区みなとみらい5-1 新高島駅 B1F ]かねてよりご案内しております、カンボジアの写真家、アーティストのKim Hak(キム・ハク)の写真展「MY BELOVED」が、11月2日(土)より開幕しました。
初日には、カンボジアよりKim Hakが来日し、ギャラリートークと彼の友人でもある、クメールロバム・ボラン舞踊家のSok Nalys(ソック・ナリス)と クメール古典・現代音楽家のRos Sokunthea (ロス・ソクンテア)をカンボジアよりゲストに迎え、スペシャルパフォーマンスを開催。日本に在住する、カンボジアにルーツを持つのコミュニティからも、母国のクリエイターたちの活躍を見に、たくさんの方々がご来場くださりました。

本展は、Kim Hakが生まれ、現在も活動拠点とするカンボジアを、彼自身が10年間に渡り旅をしながら、アナログフィルムで撮影した風景の記録、56点を一同に展示しております。クメール・ルージュの崩壊から2年後の1981年に生まれたKim Hakは、幼少時代から、紛争当時の話を両親から聞き育ちました。紛争後に生まれた世代として、母国の新しいイメージを伝えること、母国に関係する物語について、自身の声で語り表現することを、アーティストとしてのテーマとしています。
実際に彼は、2020年に、神奈川県内のカンボジアにルーツを持つ方々のコミュニティに滞在し、制作活動を行い「ALIVE Ⅳ」という作品を制作しています。

©️Kim Hak

©️Kim Hak

彼にとって日本で発表する2作品目の展覧会となる本展は、1980年代以降、大きく発展、変化する都市部や、自然、人の営み、時の流れによってつくられた普遍的で穏やかな景色を、精密にフレーミングし、一切加工しない色で、カンボジアの風景の豊かさと多様性を繊細に照らし出しています。

「MY BELOVED」はKim Hakの母国、カンボジアに当てたラブレターです。また、本展初日に発刊された、同タイトルの写真集は、展示された作品を含め、159点が収録されています。表紙は、カンボジアの伝統的な布「クロマー」を用い、シルクジャガード10色、コットンチェック10色、計20種類で展開しています。
装丁は、多くのアーティストや建築家などの作品集のデザインも手がける、アートディレクターの林琢真が担当しました。

会期まであとわずかとなりますが、会期中、ぜひ、ご覧くださいますようお願いいたします。

また、本展のスペシャルサイトでは、オープニングの様子から、Kim Hakへのインタビュー映像などを順次掲載しております。合わせてご覧いただけましたら幸いです。

特設website: https://kimhak-mybeloved.com/

Kim Hak  |  キム・ハク
Photographer, Artist
1981年生まれ、カンボジアの北西部に位置するバッタンバン市出身。クメール・ルージュ政権崩壊の2年後に生まれ、両親から当時の記憶を聞いて育つ。クメール・ルージュ政権前後のカンボジアの社会史を記憶・再生・再解釈するプロジェクト「Alive」 をはじめ、土地や建物の記憶や変化する祖国の風景を撮影して記録し、カンボジアの政治的文化的構造に関連するテーマを探求している
https://www.kimhak.com/biography/

■  エキシビション概要
会期:2024年11月2日(土)〜11月17日(日)11:00-19:00
   会期中無休
会場:BankART Station [横浜市西区みなとみらい5-1 新高島駅 B1F ]   
    https://www.bankart1929.com/venue/station/index.html
主催:Rei Foundation Limited
協力:株式会社テレビマンユニオン、有限会社ルフトツーク 、BankART Station
キュレーション:林 琢真
会場音楽:畑中 正人
テクニカルディレクション、会場構成:遠藤 豊

■  Rei Foundation Limitedについて
Rei Foundation Limited(公益法人レイファンデーション)は、すべての人のウェルビーイングを育む世界というビジョンを持って、2012年に公益法人としてニュージーランドに設立されました。ニュージーランド、日本、トンガ、マラウイ、カンボジアで活動するさまざまなパートナーと連携し、それぞれが自分らしく生き、お互いの価値を認め合うことのできる社会創りに貢献するためのプロジェクトに従事しています。
Rei Foundation Limitedは、この作品が皆さんにとって新たな視点や気づきをもたらすきっかけとなることを願っています。さらに、日本に暮らすカンボジアにルーツを持つ子どもたちが、カンボジアの美しさとそこに宿る誇りを知ることで、新たな「自分らしさ」に目を向け、より自由で力強い生き方を模索するためのきっかけになればと願っています。
https://reifoundation.com/

特設webサイト:https://kimhak-mybeloved.com

トップ画像クレジット©️Kim Hak

『不確かな記憶の栞』Photographer 松本茜 33名によるExhibition

本日よりBankART KAIKOにて、写真展『不確かな記憶の 栞』が始まりました。主催者の松本茜さんは、「カメラのきほん練習帳」の著者で山岳写真家でもあり、全国津々浦々で写真教室の講師もされている方です。今回は、教室に通う生徒さん33名が、それぞれの内面との対話を結実させた写真が展示されています。半年間にわたって練り上げられた、個性豊かな作品群をぜひご覧ください。

会期:2024年11月5日(火)〜10日(日)
会場:BankART KAIKO
入場料:無料
主催者:松本茜

文・写真:秋山直子

「タイカレーの店 ピー」のマスターを偲んで

BankART Studio NYKやBankART Homeの時代、カフェパブの定番メニューといえば、「タイカレーの店 ピー」から届くグリーンカレーでした。2016年までは吉田町、以降は横浜橋商店街で営業する「ピー」から毎日カレーを配達してもらい、多くの方に楽しんでいただきました。しかし、残念なことに、今年6月にピーのマスターが病気で亡くなられたことを最近知りました。

「ピー」との縁は2006年にさかのぼります。食とアートをテーマにしたプロジェクト「食と現代美術 part2—美食同源」では、BankART周辺の関内・関外地区にある個性的な飲食店に、アーティストの作品を設置させていただく「横濱芸術のれん街」を展開しました。当時、スタッフ総動員で飲食店をリサーチし、結果として23店舗での展示が実現しました。その中で、吉田町エリアで営業していたピーには、眞島竜男さんの作品を展示させていただけることになりました。元々、BankARTパブの店長でデザイナーの北風さんの事務所がピーの向かいにあったこともあり、眞島さんの展示も実現し、そこからの関係も深まりました。

その時から、ピーのグリーンカレーをBankARTのカフェパブで毎日提供させてもらえるようになり、BankART Homeの営業が終了する2020年11月まで、水曜日を除く週6日、配達していただきました。

カレーを作っているのはタイ人のママさんですが、毎日の配達はマスターや娘さんが担当してくださいました。また、2014年の横浜トリエンナーレと連携した展覧会「BankART Life4 東アジアの夢」では、マスターがBankARTのテラスに出張し、カレーやパッタイを提供してくれ、多くの来場者で連日にぎわいました。

見た目は少し怖そうにも見えるマスターでしたが、誰にでも気さくに話しかけ、好きなことにはとにかくのめり込む素敵な方でした。

現在、「タイカレーの店 ピー」は横浜市営地下鉄・阪東橋駅近くの横浜橋商店街でママさんと娘さんで営業を続けています。11月5日には酉の市も開催される予定ですので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りいただき、ピーの味を楽しんでいただければと思います。

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タイカレーの店 ピー
営業時間:11:30〜20:00
定休日:月曜(※水曜日はランチ営業のみ11:30-15:00)
急な休みがある場合もありますので、ご来店の際はお電話での確認をおすすめします。
電話番号:045-251-2644

写真:中川達彦

ピーのマスター

BankART Studio NYKやBankART HomeのCafeにて販売していたグリーンカレー

014年BankART Life4「東アジアの夢」にて

現在ピーは横浜橋商店街で営業中

吉田町からアットホームな雰囲気は健在

グリーンカレー

カレーを作っているママさんと娘さん

お店には看板猫のしろちゃんもいます