【アートラーニング・インタビュー #11】BankART Life7 参加アーティスト・石内 都 by BankART実験広報部

こんにちは!

BankART実験広報部の福谷です。

今回は石内都さんにインタビューさせていただきました!🎤

石内さんの作品「絹の夢 -silk threaded memories」はみなとみらい線馬車道駅の改札を出るとすぐ見えるとっても大きな作品で、繭や糸、着物の写真が展示されています。作品や石内さんについて詳しくご紹介していきます!

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Q.今回の作品について教えてください!

石内:これは絹の夢というシリーズで、以前のBankART Lifeでも展示をやったことがあるんですよ。これは蚕の繭を蒸しているところで、今回は碓氷製糸工場を中心に繭から糸をつくるっていう流れを中心に展示しています。で、できたのがこの絹ですね。(写真を指しながら)こうやって絹糸ができるの。繭はお湯で茹でてぐるぐる回して、糸が取れるでしょ。最後にできたのがあれ。

Q.展示されている写真はなんですか?

石内:こことここ(内側の写真)が、繭から、糸ができる大きな機械です。内側の写真が糸の製造過程のような写真で、外側が銘仙と言いまして、くず繭という普通は捨てちゃう繭なんですけど、それを糸にしてできた着物の写真です。

Q.その銘仙という着物はどれも鮮やかで珍しい柄ですが、どういうものですか?

石内:それの色がすごい綺麗なのはみんな化学染料。日本の着物はちゃんとした繭の糸で、化学染料じゃない普通の草木染めで染めるんだけど、全然違うんですよ。普通はこんな色出ない。銘仙っていうのは安く、女性も買えたんですよ。で長持ちしないから買い換える、それで四億反も織られた。だから日本の伝統的な文化とはちょっと違うね。くずの繭で織って化学染料で染める、日本の伝統的な着物とは真逆な着物。この写真はその着物の一部です。着物は三代百年着れるもの。でも銘仙は一代。すぐ切れちゃう安物だから。そういう意味では自由に買える着物としてすごく人気が出ました。この模様もおかしいでしょ、日本的じゃない。これはみんな西洋のグラフ雑誌か何かで取ってる。これとかこっちも、ありえないよね。この着物なんて家の模様だから(笑)。ロシア・アヴァンギャルドとか、西洋のそういうデザイン的なもの、そこから真似してとったんです。すごくモダンでかっこいい。

Q.シリーズものっておっしゃってましたけど、「絹の夢」はどのような作品なんでしょうか?

石内:私「絹の夢」という写真集を出しているんですよ。上(BankART KAIKO)にもあると思うけど。今ずっと継続してるのは広島で撮っているもので、絹の夢は今は撮っていません。これは実は群馬の桐生でコレクションしていた人がいて、4年ぐらい前かな、火事で着物が全部燃えちゃった。だから写真の中にしかこの着物はない。写真は記録的な意味もすごくあって、私はあんまり記録するって気はないんだけど結果的には記録になってしまったなって。そういうことも含めて銘仙っていう着物は儚いものなんですよ。

Q.普段はどんな作品をつくっていますか?

石内:いま実は私スカジャンをつくってるんですよ。絹の帯と着物で作ってるんです。タンスの肥やしになっているもう着ない着物がもったいないからジャンパーにして、世に送り出すっていう仕事です。私桐生で生まれて横須賀で育ってて、私の個人史がスカジャンと全く似てるわけ。横須賀はスカジャン発祥の地だけど、桐生ではそのスカジャンをつくってたってことがわかったの。そういう非常に個人的な歴史がすごく私にとっては意味がある。横浜と桐生はとっても関係があって、私は横須賀で育ったから、なんか地域というか個人史が関係してて、それで写真を撮ってる。全部関係したものしか撮れないのよ。無関係のものは撮らない。

Q.今回テーマが都市なので、作品と都市の関係とか石内さんにとっての都市を教えてください。

石内:だから今言ったことです。私自身横浜に40年以上住んでて、今桐生っていうとこで、やはり絹の関係、でこのあたりも絹の貿易の場所だったからこの絹自体が横浜という都市に関係があるものでやっぱり歴史があるので。あの、シルクセンター、昔はすごく有名なとこだったんだけど、そこら辺も含めて横浜はとっても絹に関係あるんですよ。そういう意味でBankARTの方でもね、これをお願いしたいということで、今回展示しました。

Q.今後の作品の展示情報などあればお願いします!

石内:桐生の大川美術館というところで夏に個展がありますので、ぜひ見に来てください。

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写真の中の着物には実際に石内さんが今も持有されているものもあるそうで!銘仙について知らなかったこともあり、とても興味深くお話を聞かせてもらいました👘

横浜トリエンナーレの期間中、石内さんの作品のグッズや写真集がBankART KAIKOで開催中の横浜クリエイティブCOOPで購入できます!

@yokohamacreativecoop

石内さんありがとうございました✨