5月6日(月・祝)は、みなとみらい21地区の屋外作品を巡りながら、中谷ミチコアーテイストトークが開かれました。当日は、みなとみらい駅で集合でしたが、さすがに休日ともあって、たくさんの人でにぎわっていました。
最初は、駅改札外コンコースの小林椋作品「岸に置いてある水に瞬く眺めをしばしばと」です。ゆっくりゆっくり腕を振りまわす動作を続ける作品は、信号伝達させる「腕木信号」の動きになぞらえて、新橋―横浜間に最初に鉄道が開通した歴史を思い起こさせます。規則的というよりか不可思議な動きを見せる作品に、参加者は思い思いの場所から熱心に動画を撮っていました。
作品が置かれたみらいチューブコンコースから、クイーンズスクエア横浜に移動しました。今回のトリエンナーレでは、横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO、元町・中華街駅連絡通路と、ここクイーンズスクエア横浜の2Fクイーンモールにも作品が置かれました。北島敬三+森村泰昌の作品です。ここは、トリエンナーレ開幕直前まで大規模改修工事が行われていて、通路全体が仕切られ見通しも効かなかった場所ですが、その囲いも外され開放的になったモールの両側に壁一面に掲げられた4枚の肖像が、私たちを見下ろしていました。
クイーンモールを後にして、パシフィコ横浜を通り過ぎ、ぷかりさん橋に向かいました。このぷかりさん橋は、以前シーバスの発着地でもあったのですが、現在は使われておらず臨時さん橋として利用されています。近日にカフェがオープンする予定ですが、トリエンナーレ期間中は作品展示場所として暫定的に利用が可能となった場所です。
ぷかりさん橋の名のとおり、水の上にぷかりぷかりと浮いています。ここでの作品展示は、中谷ミチコ「すくう、すくう、すくう」。奥能登芸術祭2020で発表された「掬う、救う、巣食う」の一部を再構成して展示しました。
作品を前に、作家が自らの作品にかける思いを言葉にしてくれました。
元旦に起きた能登半島地震。復興もままならない中で迷いを感じながらも、作品の原型の「手で水を掬う動作」をしてくれた珠洲市飯田町の人たちを想いながら展示を決めたという語りかけるような言葉が胸に響きました。
作品は購入も可能。売り上げは被災地へ寄付予定とのことです。
この日(5月6日)は、通常は作品保護のため仕切っているチェーンを外して展示空間まで入場し、作品を真近で見ることが出来ました。参加者は交互に入場しながら、じっくりと観覧していました。実は、チェーンはビーズがつながれた作家の特別仕様なのですが、このことに気が付いた参加者から「雰囲気に合っていて感動した」と、作家に話しかける場面もありました。
空間と作品に堪能したツアー参加者には、サプライズで作家のサイン入り特別はがきが配られて、解散となりました。
文章:BankART1929スタッフ 大蔭直子