マスキングテープのアート

マスキングテープは、ペンキを塗るときに、塗面の端がはみださないよういエッジを決めたり、ポスターなどをはるときに、仮ドメにしたりするのが通常の使い方だ。今回、BankART KAIKO(ギャラリー)で展開されている展覧会は、まったくその逆で、マスキングテープそのものが主体で、それをひとつの絵の具として、自由に絵を描くという試みだ。会場には、多様な作家の色彩豊な絵画(ドローイング)が、奔放に展開されている。
この技法を成りたたせているのは、カモ井加工紙株式会社という岡山倉敷にあるマスキングテープのメーカーだ。もともと絵を描く為にこれほど多くの色や柄のマスキングテープを開発したとは思えないが、とにかく、これ以上はできないというほど、模様のはいったマスキングテープが会場に並ぶ。通常、最後には廃棄されるマスキングが、展覧会のメインに位置し、その豊かさが、見る人を楽しませてくれる。

テープの仮設性も重要なエレメントだろう。馬車道駅2F壁面に突然登場した浅井裕介さんのドローイングは、ある意味では、落書きともいえるが、その仮設性故に、駅の管理者、道いく人に安心感を与え、公共の場につかのまの豊かな空間が存在する事の意味を教えてくれる。

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