Under 35 2017年8月21日

BankART Life Vの1Fは、会期中、おおよそ隔週で入れ替わるプログラムを用意している。仕込みと本番が連鎖されていくパフォーマンス部門が「Café Live」のシリーズ。展覧会部門の方が「Under35」のシリーズだ。
その第一弾、「片岡純也+岩竹理恵」のアートユニットの個展が現在Mini Galleryで開催されている。実際には役割分担があるようだが、一目ではどちらがどちらの作品なのかはわからない。コラボレーションというよりも鉄筋コンクリート造(RC/reinforced concrete)のような、必然的な相補性を感じるユニットだ。展覧会は8月23日(水)まで。

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続・朝鮮通信使2017 2017年8月20日

2010年にスタートし、人に会う、地域を訪ねる、パレードを行う、コンサートやシンポジウムや展覧会を開催する等、様々な活動を通じて新しい交流のネットワークを構築してきた「続・朝鮮通信使」。今年はこれまで培ってきた関係をさらに展開して、韓国の各都市の重要な施設や組織と協定を結び、交換AIRプログラムを行っている。現在は、釜山文化財団からジョン・ユンソン氏、ソウル市立美術館からはジャン・テウォン氏、インチョン文化財団からはノ・ギフン氏がバンカートにスタジを構え、制作している。9.18からは光州市立美術館から2名来浜する予定である。日本人は、蔵真墨、太田真吾、黒田大祐、中川達彦、下西進
詳しくはホームページを参照
http://bankart1929.com/archives/1928

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ジョン・ユンソン氏

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ジョン・ユンソン氏スタジオ

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ジャン・テウォン氏

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ジャン・テウォン氏スタジオ

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ノ・ギフン氏

観光〜BankART Life V(第一弾)

「観光〜BankART Life V」がスタートした。
BankART Studio NYK全館の展示と黄金町バザールの道程にあるいくつかのプロジェクトとオプションのツアーからなるプログラムだ。

NYKの1Fと河岸は、柳幸典さんのふんころがしや開発好明さんの犬の三兄弟、井原宏蕗さんの象やカバや犬(ドックフードで型を作り鋳造した作品)等が並ぶ。海上には紆余曲折があり設置が遅れたが、7.5×18mの台船が姿を現している。横浜市が企画している「Creative Waterway」のプログラムのひとつだ。夏らしい楽しい企画を計画する予定。

2Fは普段行っていることを普通にみせている。コレクション、アーカイブ、交換AIR事業(滞在制作/現在はジャン・テホンとジョン・ユンソン)、スクール、書庫、続・朝鮮通信使、他。トリエンナーレは確かに大きなイベントであるけれど、私たちにとってはこの時期もひとつの日常であることには変わりないのだ。

3Fはみかんぐみがデザインした家に封印された光を訪ね歩く小さな心のツアー(観光)だ。丸山純子さんの自然光の中に咲く無音花の小道、それに続く高橋啓祐さんの青い光の海は無意識の心の風景を覚醒させてくれる。

『わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといっしょに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち、その電燈は失はれ)』(宮沢賢治 春と修羅より)

知らない家を巡るのは楽しい。様々な家の主が多様な音色を響かせている。岡崎乾二郎さんの作品は、「かたちの発語展」のときよりも、より艶かしい表情を見せているし、壁の中を飛ぶ中谷ミチコさんの鳥やどこまでも追いかけてくる少女の目は誰も忘れることができない。電球に黒曜石、蛍光灯に大理石というシャレッケが人をにやっとさせる石黒健一さんの作品、高い位置にあるふたつの窓と反応させる諫山元貴さんのホワイトアウトの映像作品、韓国からのレジデント作家テオの沈黙のスライドショーが続く。

次のブロックではトップライトからの光が福田絵里さんの絵画をやさしく包む。永久回転運動する電球の謎はいまだに解けないが、ユーモアあふれる小さな作品の作者は1Fミニギャラリーで個展開催中の片岡純也+岩竹理恵さんだ。
「そこにいる」ことを今回のテーマとするパフォーマー関川航平さんは既にひとつの頂点を極めている。鈴木理策さんの睡蓮は、地中美術館のモネの部屋を彷彿させるし、盗撮のような状態で撮影し続け全国を巡ったのは佐藤清隆さんだ。ぎーこ、ぎーこと苦しんでいるような、喜んでいるような、大きな車輪は、小部屋の窓からの光を受けて太陽光パネルが動かしているから驚きだ。大谷石をゆっくり刻印しながら石の音を聴く作品も同じ作家の牛島達治さんだ。そして3本の煙突から届く光が美しい最後の部屋にはBankART Studio NYKの河岸でとれた野菜がお供えされる。

(続く)

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台船がやってきた 2017年8月10日

ヨコハマトリエンナーレ2017とリンクする、「BankART Life V」が始まっている。ブログを長い期間お休みしてしまったのは、例年と変わらず、とても準備に忙しかったからだ。本日の作業で少し落ち着いたので、遅ればせながら、これからさかのぼって書いていきたい。後付け日記になることをご容赦願いたい。
さて、今日は台船の設置日。紆余曲折し続けた上、やっとのことでプランを実現することができた。写真にあるように、台船(7.5メートル×18メートル)をNYKに着岸させ、何かしようというプランだ。本当をいうとはっきりとしたプランがあったのだが、いろいろあってポシャってしまい、現在検討中であるというのが正直なところだ。夏らしい楽しいプランを考えている。
明日は、この台船と護岸をつなげる橋の設置だ。干満の差が2メートル以上あり、これもまた工夫がいる仕事だ。
展覧会は始まっているけど、引き続き頑張りたい。

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東京藝術大学 大学院映像研究科 メディア映像専攻 OPEN STUDIO 2017年7月15日

横浜、元町中華街に校舎がある東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻のオープンスタジオをNYK 2F、1FのMini Galleryで3日間開催。
今年のテーマは、「北北東から進路を奪還せよ!」。横浜の北北東にある「東京」という目まぐるしく発展していくメディア表現の進路に乗っかるではなく、「新しい」メディア表現の可能性を丁寧に探り、多様な慧眼でメディアと人間の関係性を問い直していくことを目的としているとのこと。修士2年11名は、個々の映像やインスタレーションなどの表現で作品や研究成果を展示。修士1年15名は特別演習の成果を発表。連休3日間ということもあり、多くの関係者が来館した。

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BankARTスクール 今福ゼミ 2017年7月12日

BankARTスクールでは3回目となる今福龍太氏の単独ゼミ。今回は「ソロー、監獄、法の彼方」と題し、読売文学賞を受賞された氏の著書「ヘンリー・ソロー 野生の学舎」を教科書として、ゼミが行われました。ソロー200歳の誕生日にあたる初日の7月12日は、前日11日から四国・祖谷(いや)の茅葺民家を会場として特別篇を開催、スクール生も6人の有志が参加しました。

今、なぜ、ソローなのか?今福氏の読み解くソローを通して、現代に横たわる問題や自分たちの意識を問い直す、貴重な機会となりました。

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BankART school 2017年7-9月期 加藤種男「美術史の解体と構築」スタート 2017年7月11日

7-9月期の火曜日は、元メセナ業議会理事の加藤種男氏を講師に迎えた「美術史の解体と構築」がスタート。
通常の美術史は、画家や彫刻家が美術史のなかでどう位置付けられ、発展していったかについて語られているが、今回は美術を広い見方や視点、どういう風にみえるかを考える。つまり、作家、作品などの関係をプロジェクトとして、読み解いていく。作品だけで取り出されることが極めて不思議な出来事かを解説するために、初回は、バロック期フランドルの画家ルーベンスと鎌倉期東大寺で活躍した運慶快慶について。
ルーベンスは外交官のように、運慶快慶は起業家としての活動があったなど、東西二人の巨人には、社会との関わりへの共通性があることについて言及。目からウロコ満載の講座です。

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芸術結社モーツァルテ ユーゲント秘密集会「鋼鉄のオペラ」開催 2017年7月8-9日

芸術結社モーツァルテ ユーゲントとは、1984年に結成、廃材や鉄骨を楽器として用い、電子音楽、オペラなどを融合したアートパフォーマンスチーム。
「鋼鉄のオペラ」は、1986年大阪に川崎倉庫で行った伝説のライブの約30年ぶりの再構成・再演。昨年12月柳幸典展でのライブを行ったPBC(松陰直之、谷崎テトラ、ジャン・ピエール)メンバーを核に、岩崎園子(ソプラノ)、主催でもある横浜国立大学 横浜都市文化ラボ、その学生たちが出演、演出で加わった。リズム隊の金属音が会場に響き渡る迫力満点のライブでした。

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これからのいけばなを考える会 第1回展『新いけばな主義』開催 2017年7月2日

3階ワンフロアを使っての現代いけばな作家27名の展覧会を開催。いろんな家元が集まり展覧会をするのは、今回が初めての試みとのこと。公募12名と招待作家15名からなる。
いけばなといってもまずイメージするような花瓶や花は全くない。巨大な流木、ベニヤなどを用い、縦横5m区画を最大限に活用した「いけばな」が会場で待ち構えていた。
初日には公募出品12名のグランプリ審査と発表。深谷正子さんのパフォーマンスや美術評論家の金澤毅氏を招いてのトークも開催した。

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BankART AIR 2017終了  2017年6月20日

BankART AIR 2017が終了した。いろいろ思うところもあるが、「やっぱり制作の現場はいいな」ということにつきる。ニューヨークのギャラリーが取り扱い作家を決めるには、取り急ぎアトリエにいってどんな風にやっているか、どのくらい作品量をもっているかをみるというのを聞いたことがある。数十前のこんな話と現在のAIRプログラムとを比較するのはどうかとは思うが、実際にリアルな情報が、作品制作の方法はもとより、何を食べているか、夜型か朝型か等、自然にこちらに伝わってくる。一方、真反対のことも感じる。作家のことを知りすぎるということだ。知らなくてもいいこと、神秘的なことが全て真裸にされて、作家にいだいていた壮大さ、不思議さが、飛んでしまう。BankART AIRもまたそんな「現場」が垣間みれるプログラムである。つくること、みてもらうこと、つくったもの、つくる人同士の共同幻想等々。これまでおこったこと、これからおこることの「るつぼ」が可能性としてここには繰り広げられている。