BankART Studio NYKには、何匹かの猫がいる。
もともと1Fが倉庫だったころから、猫がいるのは気づいていたが、餌もあげたことがないし、近づいてくることはほとんどなく、河岸に沿って堂々と歩き、こちらを無視して通りすぎていくだけだった。だいぶ前になるが、いつのまにかチビ猫が数匹うろうろするようになった。ご飯などを投げてあげると、食べてくれたことがある。
それから数ヶ月経ち、姿をほとんどみかけなくなったが、今日、久しぶりに人間に近寄ってくる猫があらわれた。どの猫とどの猫がつながっているのかわからないけど、やっと友達になってくれそうだ。
ととのいました!3階の空調設備
BankART Studio NYKの3Fに空調がつきました。特にこの梅雨のむしむしさの時期に、やったーという感じです。これまで、冬場の卒展などでは皆さんにご迷惑をおかけしていましたが、これで一安心です。本当に嬉しいです。これでNYK全館、1Fのホール以外、全て空調が完備されました。
改修というと、最初にドカーンとお金を使ってやりきってしまうことも多いですが、この建物のように、第一弾/2006年の最初の入居時に1Fホール、2Fの風除室、トイレ他、第二弾/横浜トリエンナーレ2008の際にBankART Miniと館全体の建築・設備、第三弾/2010年の3F空調工事、てな具合に、ゆっくりだけどソフトが成長していくに従って、進めていくのも結構いい方法のように思います。何はともあれ、横浜市と市政を支えて下さっている市民に感謝・感謝!
BankART school 6-7月期スタート
BankART schoolの新学期が始まっています。
授業を簡単にご紹介。
【月】村田真「映像な美術」
BankART school校長である村田さんによる美術講座。今回映像をテーマとしてあげていますが、村田さんは美術作品としての映像が嫌いらしい。時間が長くて、最初から最後までつきあわないとどんな作品なのかわからなし、うっとうしい。このゼミを通して映像と絵画の根本的な違いを考えていきます。
【火】「アートイニシアティブの現在」
週代わりで日本国内外で活動しているゲストをお呼びし、お話を聞いていく講座。アートイニシアティブについてはBankARTが調査を行い、国内編、海外編の本を2冊発刊しています。
初日は、CETのプロデュースを行っているグラフィックデザイナーの佐藤直樹さんが登場。プロジェクトを行っていく事で日々変化していった街の様子なども紹介していただきました。
【水】伊藤香織×紫牟田伸子×太田浩史「シビックプライド講座」
「シビックプライド」(都市に対する愛着と自負)の概念は、まちづくりをはじめとして、様々な見方を教えてくれます。シビックプライド研究会の伊藤さん、紫牟田さん、太田さんを講師に、チームに分かれて横浜という街のシビックプライドを考えていきます。
スクール後半へつづく。
空調工事とアーティストインレジデンス
現在、BankART Studio NYKの3Fでは、空調工事が行われている。一方43組のアーティストが2ヶ月だけだが、スタジオで活動しはじめている。
「空調工事があったから、この時期アーティストインレジデンス事業を行うことにした」なんていうと、身も蓋もないし、騒音の激しい空調工事を横目に一生懸命作品をつくっている作家に対しては申し訳ないが、実際に通常の展覧会やイベントはとても工事と同居できるものではない。「空調工事VS作家滞在制作」の状況だけが、なんとか館を休まないで運営できる方法だ。
この論理は、解体予定の家屋やビルのテンポラリー活用などに援用されることも多い。老朽化した建物で、しかも2年ぐらい壊すまでに間がある、といったケースに登場できるのはアーティストだけだ。2年で出ていかねばならなかったり、ぼろぼろの内装を自ら整えてでも入居しようとする一般人はあまりいない。アーティストは安い家賃と自由度の高いベクトルを好み、そういった物件を浮遊するのが得意だ。我々の仕事は、そういった不安定な状況に対して、多少たりとも信頼と安全を付加するシステムを構築することだ。今回の空調工事でも、館を1ヶ月休むべきところを、タフなアーティストとともに共同戦線を張り、施工業者さんの惜しみない協力のもと、「使う」ことを選んだのだ。
アーバンデザイナー 北沢 猛を語る会
昨年12月22日に永眠された北沢猛氏の会、「アーバンデザイナー 北沢 猛を語る会inヨコハマ」が開催されました。北沢さんは、横浜市や東京大学を舞台に様々な都市デザインプロジェクトを構想・実現された重要なアーバンデザイナーであると同時に、BankART事業の生みの親でもあります。BankARTスクールでもUDSYという多様な人々が関わる研究体を生み出してくれました。そのひとつの成果「未来社会の設計」が、BankARTから出版されています。
北沢さんの口癖は「横浜を考えることは世界を考えること」。ディテールと構想を往来するいき方は、多くの人々を巻き込んでいきました。今回の「語る会」は、その志を引き継いだ多様な人々の交流の場でした。300人にものぼる方々にご参加いただき、活発な意見が交わされ、「北沢さんを語ることは未来を語ること」という趣の会でした。
この会にあわせて、会の実行委員会が中心になって企画・編集した本『アーバンデザイナー 北沢 猛』がBankART出版から発行されました。A5版/160頁/1260円(税込)
朝倉摂の大個展
今年9月に舞台美術家の重鎮、朝倉摂さんの個展をBankART全館2800平米を使用して開催する。
87才の現在も活発に活動を続けられているが、これまでの仕事量も半端ではない。舞台芸術に携わるようになってから約40年経過したとして、年間50本としても2000本の仕事数があるわけだ。本の挿絵から始まって、沢田研二のコンサート、市川猿之助、蜷川幸雄の舞台など、ジャンルも幅広い。
この写真は、氏の資料をBankART Studio NYKに持ちこんで、広げてチェックしている様子。膨大な資料の海から、何をどのようにピックアップ、プレゼンテーションしてくか?
まだまだ時間がかかるが、今年の秋には皆さんに楽しんでいただけるような展覧会になるように頑張りたい。