2004年の旧富士銀行(現東京芸大)から、既に約6年の歳月が経過した。スタート当初から、1,000円のチケット制、一杯350円をベースしたドリンクメニュー、~23時までの営業時間など、ほとんどこれまで変わらないできている。田園調布の林のり子さん(20年以上も前から縁のある)のパテ屋さんからのレバや蠣のパテ、東急文化村にドュマゴを誘致した清水さんに紹介してもらった長野の井筒ワイン、横浜地ビールの前醸造長、榊さんが、ペリー来航時に運んできたビールを復元した(ホップが通常のビールの5倍)のBankARTオリジナルラベルのペリルビール、芸術麦酒プロジェクトと厚木ビールの最近発売開始になった「HACHEY」等々、特徴のあるメニューも多い。
売上は6年間横ばいだが、雨の日も風の日も、ほとんど客のこない日も、人でごったがえす日も含めて6年間もよく続いたものだ。皆様のお陰です。これからもよろしくお願いします。
Event
BankART school その2
木曜日の南後由和さんと藤村龍至さんによる「建築・社会学的リサーチの実践講座」では、これまで都市や社会における「リサーチ」という面を様々な角度から分析。学ぶと同時に自分たちもグループごとに分かれて実際に横浜の街をリサーチしていきます。
金曜日は田中信太郎さんの「手のひらサイズのワークショップ」。田中信太郎さんの講座は2回目となります。今回も実際に手を動かしながら作品をつくっていきます。前回はゼミ名を「蛍座」としましたが、今回は「蝉座」として活動を開始。どんな作品ができあがるのか楽しみです。
土曜日は槻橋修さんと馬場正尊さんによる「建築・メディアから学ぶプロジェクト発想法」。建築家でありメディア制作も積極的に行っているお2人によるゼミ。「メディアを起点にプロジェクトを仕掛けよ」という課題を元に、企画書を制作して実際にプロジェクトを起こしていくゼミです。
今回のBankART schoolは実践的に学んでいくゼミが多く、出来上がる成果物が楽しみです。ブログでも随時ご報告していきます。
BankART school その1
6年目に突入したBankART school。現在行われている講座をご紹介します。
1つは舞踏家の上杉満代さんの講座「心体との会話」。大野一雄氏の愛弟子である上杉さんの熱い指導のもと、舞踏の基本を実践中。息を吸うことや吐くこと、立つこと等、日常の生活と異なった意識を持って体を動かし、受講生も汗を流して参加しています。後半は、学んだ基礎を元に、即興に取り組む予定です。
2つめの講座は、作曲家の野村誠さんの「ポスト・ワークショップ」。野村さんがこれまで行ってきたワークショップの映像を見ながら、ワークショップの新たな方向性を探っています。野村さん独自の視点に驚きあり笑いありの講座です。
3つめは、BankART schoolでは3回目の講座となる、内田真由美さんと児島やよいさんの「アートコーディネーターの仕事」。これまでお2人が関わってきた展覧会などの写真や計画模型を見ながら、どのように仕事を進めていくか、実践のお話を伺っています。
Seoul通信使
悪天にもめげず、Seoul Art Foundationのカンさんの案内で、主にSeoul Art Foundationの施設をまわります。
最初に行ったのは Seoul Art Space_Sindang
日本で言うと築地の市場みたいな市場の地下店舗群の中の空きスペースを活用して、主に陶器やガラス等のクラフトワークの制作の場として活用されています。共同の電気釜もある。
今後は作品のショーイングや販売にも力をいれていこうとしているそう。
このスペースの担当者Kim Jin-hoさんが手にしているのは、ジュースのビンを加工してつくったグラス。
飲物が少ししか入らず機能性に欠けるとのことだが、かわいいので売れそう。
次に向かったのが、Seoul Art Space_Geumcheon
元印刷会社を改修してレジデンススペースにしていますが、新築並みにきれいです。代表の池田がオープニングで挨拶とシンポジウムに参加したのも、この施設です。
最後に行ったのが、Seoul Art Space_Mullae
周囲が鉄鋼の町であるからか、鉄のオブジェやドラム缶でできた家具等がしつらえられている。
基本的なレジデンス機能はもちろん、近くの鉄鋼街にアーティストがたくさん活動していることもあり、彼らが活用できるようなファシリティも整えている。映像や音楽のスタジオでは、アーティストの使用状況にあわせて、必要な機材をこれからも増やしていくのだとのこと。
そしていよいよKim Kangさんの案内で鉄鋼のまち、Mullaeへ。
アーティストと鉄鋼の街は相性がいいとKangさんが言っていましたが、ほんと、面白そうなものがそこここに!
Kangさんはアーティストですが、現在Center for Art & Urban Societyという組織を立ち上げて、都市についての研究もしています。
この街は、以前に旧日本軍によってつくられたまちで、建物もすべて、鉄工所用にできています。
ですが現在は周囲に高層のマンションやビルが建ち並び、都市の中の島のように取り残されている一角です。
1Fは鉄工所。2F以上は主にアーティストたちのアトリエというのが典型的なかたち。
高層ビルから見下ろされる屋上をきれいにしてプレゼンテーションする屋上プロジェクトも展開。
元食堂のスペースはアジトのような怪しい雰囲気。
使っていない郵便受けを利用して、鉄工所に働く人たちを写した写真作品を展示。
鉄工所を営んでいるひとの98%が、場所を賃借しています。アーティストに至っては100%賃借。ということは、土地の所有者はここにはほぼいないということです。当然のごとく、再開発の話が浮上し、これまで築いてきたアーティスト同士、あるいは鉄工所とアーティストのゆるやかなコミュニティに危機が訪れようとしています。
横浜にも調査にいらしたことのあるKangさんは、アートがまちづくりに乱用されることを懸念しつつも、自分たちの場所を守っていくために、様々な活動をしています。私たちをご案内いただいている間にも、鉄工所の方たちとすれ違い様に声をかけ合う姿が印象的でした。
釜山通信使
アニョハセヨ。
アートイニシアティブの調査で韓国からのレポートです。
まずは釜山。
Open space BaeのSeo Sang-hoさんとKim Dae-hongさん。
Baeとは「梨」という意味と「お腹」という意味があるそう。
梨畑にかこまれており、一面に梨の花の咲く季節はとても美しいのだそうです。
元お風呂屋を改装したスペース、Alternative Art Space Bandee。Bandeeとは「蛍」の意。
バランスよく事業や企画を展開しているKim Seong-youn氏は、釜山のキーマンで、皆のお兄さん的存在。
工場街というか、倉庫街のようなところにあるARTFACTORY IN DADAEPO。
ある企業の理解によって、金属、木工や染色などの工房群と、スタジオ・レジデンス施設が充実。
自身もアーティストであり、ここを運営するJin Young-supさん(右)につれられ、各スタジオを訪問。
元幼稚園のスペースAGITを起点に活動している、グラフィティアーティストのKoo Hun-jooさん。
北九州のSOAPの宮川さんと、これから何か一緒にやっていく計画中なのだとか。楽しみです。
右は彼がイベントを催している釜山大学駅近くの川辺。釜山ビエンナーレの会場としても使われている。
ちょっと面白い空間で、最近は撮影とかに使われたり、注目スポットみたいです。
通訳・コーディネートをしてくださったアーティストのJung Man-youngさん。
ジョンさんには、本当にお世話になりました!
2つの学校展開催
卒業展のシーズンに突入したBankARTでは、東京藝術大学先端表現学科につづけて2つの学校展が開催されました。1つは日本工学院専門学校のグラフィックデザイン科・Webデザイン科による卒業制作展。もう1つは、専修大学ネットワーク情報学部の学生有志による「コウサ展2010 陽庭 (はるには)」です。
2つの学校ともBankARTでは初めての展覧会となります。
1月から3月まで全国の美術系大学の卒業展が続きますが、今回はウェブデザインやビジネススキルを学ぶ学生達の成果発表も目につきました。特に専修大学は、各ブースでスーツ姿の学生が直接企画内容を説明するなど、積極的にお客様とのコニュニケーションを計っていました。