アイムヒア プロジェクト|渡辺 篤「修復のモニュメント」 2020年7月26日まで

2月下旬にオープンした本展はコロナ禍の影響で休止。6月1日に再スタートした。

「ひきこもり」をテーマに様々なプログラム行ってきたアーティスト渡辺氏。今回は、さまざまな「ひきこもり」の経験がある人と関わりながら、多様な造形物を制作展示した。誤解を恐れずにいうと、そのプロセスをドキュメンテーションとして展開した展覧会である。コンクリートの造形物を破壊し、金継ぎにより再構築された作品群。金継ぎの手法は、破壊と修復の痕跡を明確に辿り、強い視線で我々に迫ってくる。コロナ感染で、ひきこもることを余儀なくされた多くの人たちは、渡辺の試みをどのように受け止めるのだろうか?

今回の展覧会で刊行した作品集『I’M HERE』を手にとって欲しい。「他者」と「共感」について、思考を深めてくれる1冊となっている。

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http://www.bankart1929.com/bank2020/book/0_watanabe.html

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BankART Temporaryの空間  2020年7月18日

Stay home、家にいるのが安全、パソコンと携帯だけをたよりに、引きこもり状態で過ごす日々が続く。身体も心もいつのまにかどよーんとしてきて、なまっていて、心から笑う事ができない。
そろそろミニマルな散歩ぐらいはと、おそるおそる考えている人に、緑陰図書館と命名した竹音と光と影だけが充満するやさしい空間をプレゼントしよう。
ここで何ができるわけでもないが、天井の高いクラシック空間とアーティストたちの饗宴は、コロナ感染の包囲網と長雨の憂鬱を束の間、忘れさせてくれ、肩の力を取り除いてくれるはずだ。

■映像はこちら
「緑陰図書館2020」松本秋則+高橋啓祐
撮影・編集:本田孝義

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横浜新市庁舎 2020年6月29日

2020年6月29日、横浜市新市庁舎がスタートした。馬車道駅に直結し、新しく出来たさくらみらい橋で桜木町駅にも直結という利便性を完備している。
横浜のまちづくりに深く関わってきた槇文彦氏設計による31F建ての新市庁舎には、商業施設、保育所、金融機関が入居。また、1Fのアトリアムや3Fの市民ラウンジでは、市民が集い、自由に時間を過ごすことのできる場所も用意されている。関内地区に約60年間、時を過ごした旧市庁舎と職員増員に伴う周辺ビルへ分散していた市役所がひとつにまとまり、道路を挟んで開発された帝蚕倉庫群の再開発とともに北仲地区の新しい横浜の顔となっていくだろう。

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写真:森日出夫

「BankART Temporary」オープン 2020年6月19日

台湾横浜交流レジデンス2019の細淵太麻紀さんによる報告会
松本秋則+高橋啓祐の1Fホールでの展覧会
3Fに入居しているAIRプログラム2020の11チームのクリエイターの紹介
ワンイヤークリエイター(ロングステイ)の紹介
以上のオープンプログラムで、BankARTの古巣、「BankART Temporary」は静かにスタートをきった。2019の年末、急な話でこの第一銀行の話がすすみ、コロナ感染の問題もあり、時期は遅れたが、6月19日にはなんとか新しい拠点としてデヴューすることができた。とはいえ、案内はいつもの1/100程度しか送付できず。人が集まらないかと、ドキドキだったが、多くの知己、旧友が三密すれすれ状態で集まってくれ、楽しい会になった。
BankART1929は、BankART Studio NYKの2018年の解体以降、根本的な再編を現在も余儀なく行っていて、ホーム、シルク、R16、station、そしてTemporary等の様々なレベルでの再構築は、今後も続いていく。
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BankART Temporary(ヨコハマ創造都市センター)OPEN!

BankART1929が始まった際に活用したのは、1929年生まれの旧第一銀行と旧富士銀行(現在の東京藝大)のふたつの建物だった。旧第一の方は、「BankART 1929 Yokohama」、旧富士銀行の方は「BankART 1929 馬車道」と命名。2004年のことだ。
諸事情があって「BankART 1929 馬車道」はすぐに東京藝大に譲り、「BankART 1929 Yokohama」の方も、2008年度でBankARTとしての活動は終了した。
2020年度、再び諸事情があって、一年限定のプログラム「BankART Temporary」が、4月から静かに始まっている。新型コロナ感染の事情もあり、現段階では展覧会という体裁はとれないが、雨風をしのげる街の中の通り道のような場所として、利用していただければと考えている。
竹と音のインスタレーションは松本秋則さんの作品。
暗くなったら建物内外に映し出される映像は高橋啓祐さんの作品だ。
この古典建築に似合いそうなBankARTに関わりのある作家たちの生き物も徐々に配していく予定だ。
密度と会話と欲望を遠ざける都市の中で、どのようにアートが街いく人と会話を続けられるかのささやかな試みだ。

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BankART1929 Yokohama|2004年

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BankART1929 Bashamichi|2004年

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旧第一銀行|1929年頃

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BankART1929 Yokohama Opening|2004.3.6

台北市・横浜市アーティスト交流プログラム2019 李 承亮「横浜星猩(よこはましんしん)」2020年3月20〜29日

台北市・横浜市アーティスト交流プログラムで、1月からBankART SILKのスタジオ内で制作を続けてきた李 承亮(リ・ショウリョウ)氏。その滞在成果の発表となる展覧会「横浜星猩(よこはましんしん)」展が、BankART Stationで始まりました。彼は今まで立体作品を作っていましたが、今回は初めてアクリル絵具を使って平面作品を挑戦しました。メインは10mのキャンバス絵画作品です。横浜での生活風景からインスピレーションを受けて、列車の様なマンションや缶コーヒーの広告、雑誌の切り抜き、マンガのひとこま、赤い猩猩(しょうじょ)など、李さんが想像した横浜のSFの世界が描かれています。もうひとつのメイン作品は、ブルー色の「猩猩」の彫刻。木材や金属、コンクリートなどの材料を組み合わせた作品です。足元に何かを踏んでいます。人間の様々な思いや欲望や優しさを表しているのでしょうか。
他、過去作品の写真や記録映像も公開しております。

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「横浜星猩(しんしん)」

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「コカコーラー広告」&「ブルー猩猩(しょうじょう)」

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「ブルー猩猩(しょうじょう)」

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過去作品の写真と映像

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台北駐日経済文化代表所横浜分所所長張淑玲(ちょう・しゅくれい)氏と李承亮(り・しょうりょう)氏

アイムヒア プロジェクト|渡辺 篤「修復のモニュメント」 2020年2月21日~3月15日

美術家・渡辺篤氏が発足、中心となって活動している「アイムヒア プロジェクト」による展覧会「修復のモニュメント」をBankART SILKで開催。
自身も過去にひきこもりの経験を持つ渡辺氏。2013年ひきこもり生活から美術家として復帰後、横浜を拠点に、制作・発表・出版活動・またそのプロジェクトへの取材対応と、どれも丁寧に対応され、活発な活動が続いている。

「修復のモニュメント」は、ひきこもり当事者・経験者6名との、対話の中での共同制作などを展示。「被害者と加害者の振り分けを越えて」は、会場に渡辺氏が作成したコンクリートタイルが敷き詰められており、そこを壊しながら歩かないと作品を見ることができない。つまり足元のタイルを壊して加害者にならないと作品に近づけない状況を作っており、気づかずに人を傷つけていることを可視化した展示である。

オープニングでは渡辺氏は、「ここに居る人たちで喜びを感じ合いましょうではなく、今日ここに居ない人の事を想像してみてほしい」と。

これまでの活動をまとめた作品集『I’M HERE』も刊行。

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『I’M HERE』1,000円+税
会期中のみ税込1,000円で販売

TPAM2020 ARICA「KIOSK」 2020年2月11日

国内外の舞台関係者が、公演プログラムやミーティングを通じて交流する国際舞台芸術ミーティングTPAM(ティーパム)が今年も横浜でスタート。
BankARTでは、公募プログラムである「TPAMフリンジ」を開催。
BankARTステーション第一弾は、演出家・藤田康城、詩人・倉石信乃、俳優・安藤朋子、プロデューサー・前田圭蔵らが中心の演劇グループARICAが登場。演目は2006年BankART Studio NYKで新作として発表したキオスクで働く元女綱渡師の仕事風景を演じる一人芝居「KIOSK」。ARICA代表作の一つで、日本では12年ぶりとのこと。今回は美術に西原尚、映像に越田乃梨子を迎えアップロードされた本作を、実際の駅構内であるBankARTStationで開催することとなった。
2/9-11の3日間のうち5回公演。毎回席も満員で、評論家、学芸員、ミュージシャン、美術作家、建築家、海外の演劇関係者と幅広いジャンルの著名人が訪れていた。

KIOSK 2020
KIOSK 2020
演  出:藤田康城 
テクスト:倉石信乃
出  演:安藤朋子
音楽・演奏:福岡ユタカ 高橋永二郎
美  術:西原 尚
映  像:越田乃梨子
衣  装:安東陽子
     渡部直也 
照  明:千田実
音  響:田中裕一
機械装置:高橋永二郎
ハタキ制作:勝本みつる
演出助手:萩原雄太
宣伝美術:須山悠里
制  作:福岡 聡 茂木夏子

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写真 宮本隆司 ©️.jpg2020

台北市・横浜市アーティスト交流プログラム2019(年度)アーティスト来日 2020年1月12日

BankARTが2005年から開催してきた、台北市のTAV(Taipei Artist Village)との交換AIRプログラム。
今年は李 承亮 Li-Cheng-Liang(リショウリョウ)さん。1987年台湾の基隆で生まれ、2013年国立台北芸術大学大学院を修了。現在は拠点を台南に移し、作家活動を継続している。
彼は主に、鉄や木材、廃材などを用いて、まるでタイムマシーンのような宇宙船や、冷蔵庫や電気製品などのパーツを寄せ集めたUFOのような立体作品を手がけ、李氏による想像上の未来人の日常生活をインスタレーションで表現している。観賞者は、李氏が想像したSF空間を体験することができる。
「宇宙は現実生活と違って、想像空間が幅広いので、宇宙や人類について探求をしたい。」と李氏。電化製品の廃材山に潜って、アートを創作する少年の姿は、まるでSF漫画の場面が目の前に現れたようなトキメキ感が、頭をよぎる。男のロマンと少年の憧れが、感じられる作品だ。
現在、李氏はBankART SILKのスタジオで創作中。床やテーブルに、たくさんのSF系漫画や雑誌などを置いてあり、既に自分の世界を構築しつつある。さて横浜で、どんな新作品が生まれるだろう。
滞在期間は2020年1月12日〜3月31日 。
3月20日(金)からBankARTシルクのギャラリーで成果展の開催予定。

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2016年「時空旅行艙」 

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BankART SILKのスタジオで創作している李氏

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台北駐日経済文化代表処横浜分処 

「心ある機械たち again」 スタート  2019年12月28日

「心ある機械たち again」の展覧会が、BankART StationとBankART SILKの2会場で2019年12月28日より始まった。

心ある機械とは、「基本的に役にたたないけれど、常に黙々と働いていて、どこかやさしく、そこにいても邪魔にならない、でも何か気になる」
そんな機械や装置の運動体(作品)のことを示す。

出品作家は10名。10年前に第一回目に参加された作家に加えて、初登場の若い作家も含まれている。

携帯電話に代表されるように、「機械〜電子メディア」と接する時間が日常的になったこの時代に、今回登場する「でくのぼうたち」はどういった表情を見せてくれるか?参加型の作品も多いので、是非皆さん「心ある機械たち」と積極的に触れ合ってください。

尚、前回出品され、今年8月に亡くなられたネオダダ出身の田中信太郎氏の作品「ハートのモビール」の小品を追悼展示という形で出品していただいている。

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牛島達治

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小林 椋

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タムラサトル

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早川祐太

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川瀬浩介

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西原 尚

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武藤 勇

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三浦かおり

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今村 源

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田中信太郎