BankARTAIR 2021 SPRING アーティストトーク第3回

2021年58日(土) @BankART Station

リン・チャーチル氏は、今回のレジデンスの最年長。アトリエいっぱいに和紙を貼り、パワフルに体を動かしドローイングを描く。トークでは日本語でも挑戦してくれ、彼女が各地で撮影した広大な自然風景写真など、制作のインスピレーションの元となるような資料を見せてくれた。

秋山夏海氏は、今春に東京造形大を卒業したばかりの若手。性暴力を受けた知人の話から日本の性教育についての疑問をインスタレーションで表現するなど、思考そのものに対する疑問を制作に落としこんでいる。今回は、都市と人の関係に着目し制作中とのこと。

金子未弥氏は、KAIKOで現在開催中のU35に選出された「記憶」と「都市」をテーマに活動している作家だ。他者から記憶に残る場所やエピソードを聞き、その場所名をビニールテープなどでつなぎ合わせることで、記憶の地図のようなイメージを浮かび上がらせる作品を手掛ける。トークでは昨年の黄金町バザールでの作品や、今回の個展の作品などの解説をいただいた。

新江千代氏は、布を素材にしたインスタレーションや映像作品を主に発表してきている作家。今回は、近年亡くなられた彼女の父の記憶や、実家に父が植えた桜の木(これから伐採することになる)など、不在の存在への記憶、これから手放していくという行為に着目した新作を取り掛かっているという話をしてくれた。

各人が着目するキーワードなどを比較しながら、考えることができる会だった。

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リン・チャーチル
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秋山夏海
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金子未弥
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新江千代
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BankART AIR 2021 SPRING アーティストトーク第2回@Station

コロナ禍の最中だったが多くの来場があり、作家と参加者の間で活発な意見が交わされた。

「ひきこもり」という自身の体験に基づくキーワードを中心に、表現活動を展開してきている渡辺氏は、R16スタジオのコンクリートの部屋に一週間閉じこもり、壁を破ってでてきた作品や、それに続く「同じ月をみた日」など、プレス的にも話題になったプロジェクトをことの始まりから、丁寧に話された。三枝氏は、今まで“素材”との交信にこだわってきた立体作品の変遷や、最近始めた写真作品を紹介。建築の歴史の専門家の関氏は、昨年大学を退官されたが、現在独自に行なっている北海道でのプロジェクト「das kleine bauhaus」の取り組みについて話された。葉栗氏は、黄金町や中国、韓国で油絵を中心とした制作活動のことや、コロナの影響で平面を離れ、立体作品の制作を始めたことに触れた。橋村氏は、社会現象をテーマにイラストレーションのような絵画表現のシリーズが特徴だが、今回はコロナ禍に反応したパッチワークのマスク作品制作について語った。

渡辺 篤
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三枝 聡
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関 和明
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葉栗 翠
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橋村至星
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会場の様子
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BankART Under 35 2021井原宏蕗展、山本愛子展スタート

35歳以下の若手作家を個展形式で紹介するUnder35。今回はBankART KAIKOにて招待2名公募5名を選出し、3期にわたって開催する。1期目は、招待選出の井原宏蕗氏と山本愛子氏だ。
井原氏は、鉄、真鍮のピースを集積した集合体で現れた実寸大の象やサイの彫刻の初期作《fading》というシリーズがあり、BankARTでも過去何度か出品しているので、見覚えのある人は多いのではないだろうか。本展では、動物の食べ物や糞、巣を素材として扱った作品を中心に発表。《cycling》というシリーズでは、羊、豚、鹿それぞれの糞を集積させ、その動物のかたちを再現している。近づくと糞そのものの生々しい形にぎょっとさせられるが、漆によるコーティングを施しているため、工芸的な美しさも孕んでおり、じっと観察する人も多い。特に子供には大人気だ。他、ミミズの糞塚、蚕紗(カイコの糞)などを扱った壁画、レリーフ、ジュエリー、映像等が会場に並ぶ。素材そのものを集めるのではなく、焼成し、漆や金彩を施すなどそれぞれの素材の組み合わせと変化で生まれたかたちを、ぜひ楽しんでほしい。
山本氏は、染色技術を主に用いる作家で、アジアを中心に精力的に活動している。BankARTでも2017年にチューターとして、インドネシアの染色作家を招きワークショップを企画してくれた。中国杭州、台湾などでも滞在と発表を行い、2020年からは横須賀市がサポートする施設を拠点に活動。染料になる藍などの植物を育てることにも取組んでいる。今回は、横須賀で育てた植物、アジア各国で手に入れた天然素材を用いた草木染めの平面作品《あわいのはた》9点を発表。きめ細かな絹布に、藍、柿、茜、クルミなどの抽出色が染み込んでいる途中のような、一瞬の静謐さがある。中央には大きな旗が、空間・時間のあわいで揺らめいている。
4/23オープニングの様子
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井原宏蕗
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山本愛子
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井原宏蕗展の様子
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井原宏蕗《fading –increasing-》 2011 鉄 ・真鍮
山本愛子展の様子
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BankART AIR 2021 SPRING アーティストトーク スタート@Station

現在開催中の「BankART AIR 2021 SPRING」の関連プログラムとして、恒例の週末のアーティストトークが始まった。コロナ禍の中、人数もアルコールも制限しての会だが、作家も一般の方も皆さん熱心に参加してくださっている。本日は4名の作家の発表。土屋氏は以前ロンドンで行ったインスタレーション作品を中心に作品を解説。片岡+岩竹の両氏は、先年東京都現代美術館で行った作品を中心に作品の成り立ちを話された。窪田氏はずっと継続している衣類を使ってのプロジェクトの紹介。秋山氏は、これまでの都市で行っている様々なプログラムや現在取り組んでいる焙煎をテーマにした活動について話された。

次回以降の日程は下記より
http://www.bankart1929.com/bank2020/news/21_019.html

以下は登壇者土屋信子、片岡純也+岩竹理恵、窪田久美子、秋山直子
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会場の様子@Station
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横浜台北交流事業「都市の連鎖」最後のプログラムは、台湾料理のワークショップ、台湾の伝統的な人形劇「布袋劇」の実演と解説、そして映画「台湾、街かどの人形劇」の3本立て@Station

「台湾料理ワークショップ」
[A:30日11:00~13:00、B:30日17:30~19:30、C:31日11:00~13:00、D:31日7:30~19:30]

瀬谷区でお菓子工房を営む台湾生まれの高崎継民さんと、全体コーディネートもしてくださった青井亭菲さんによる台湾料理ワークショップでは、水煎包や台湾炒米粉(焼きビーフン)、キュウリや茄子の涼拌(冷菜)、ピータン豆腐、豆花や杏仁豆腐のデザートまでを実演実食。コロナ対策もあり参加者とわいわい一緒につくることはできませんでしたが、日本で手に入る素材や調味料に置き換えられたレシピは、すぐに家で作りたい!という参加者には嬉しい配慮。その背後ではフェイさんが、パートナーで明治大学教授の青井哲人さんと街並み研究で台湾各地を訪れた際に撮影した写真の中から食にまつわるものをスライドショー。その解説トークを楽しみながら台湾の地に思いを馳せつついただく台湾料理は、素朴で優しい味でした。

「著微布袋戲(チョビホテイギ) 人形劇団」 チャンチンホイ
[30日13:30~14:30、31日13:30~14:30]
日本で唯一の台湾伝統人形劇団「著微布袋劇(チョビホテイギ)人形劇団」を主宰する日本人チャンチンホイさんによる「布袋劇」の実演と解説。チャンさんはこのコロナ禍で約1年間、人前で実演する機会がなかったとのこと。日本で人形を使った劇といえば文楽などを思い出しますが、伝統布袋劇はもう少し小さな人形で、演者はときに人形の一部や小道具等も自作します。伝統劇は今は失われつつある台湾語が基本ですが、台湾語を話す人も聞いて理解できる人も少なくなり、細やかな動きの美しい静かな心情劇から、現代では殺陣などが中心のわかりやすいものが増えているといいます。実際の布袋劇は台湾の人々にとってどんなものなのか、質疑を受けながらの解説で「布袋劇」への興味と理解が深まります。

映画『台湾、街かどの人形劇』
[30日15:00~16:50、31日15:00~16:50]
「台湾、街かどの人形劇」(字幕翻訳:青井哲人+亭菲)は、そのチャンチンホイさんの師匠の師匠にあたる台湾の人間国宝、チェンシーホァン師が主人公の映画。同じく人間国宝で布袋劇の大家であり俳優としても活躍した父、李天禄との奇妙な確執や、現代における伝統の意味、生活から離れて政治に振り回されてしまう文化の憤りなど、チェンシーホァン師を追う10数年に様々な思いが込み上げてくる珠玉のドキュメンタリー。要所で映し出される師の手の美しくしなやかな動き。映画の最後では、人間の生き様の美しさと儚さそのものを表しているかのようにみえました。

「台湾料理ワークショップ」
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高崎継民さん
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「著微布袋戲(チョビホテイギ) 人形劇団」 チャンチンホイ
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映画『台湾、街かどの人形劇』
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横浜台北交流事業「台北の創造都市最前線-場の再生と創造産業・スタートアップ支援-」

鈴木伸治氏(横浜市立大学の教授/都市デザイン)は、実際にTemporaryに登壇し、林 崇傑氏(リン・チュンチェ/台北市産業発展局長)は現地からリモートで参加。

鈴木氏の台北市の文化芸術事業の発展や横浜市の創造産業の立地分布図の紹介の後、林氏からは創造育成基地のプラットフォームの立ち上げについての説明があった。特に台北の現代青年に対しイノベーション思考を促すために5つの戦略を掲げ進行してきたが、その成果は、今日の台北市の若い創業者を支えているとのこと。林氏のプレゼンを通して、台北市の「アジアで創造産業に最適な都市を立ち上げたい」という目標への意志を強く感じる事ができた。

日本と台湾、あるいは横浜と台湾はこれまでも深い絆で結ばれてきたが、これからも都市間交流を通して、お互いに刺激し合い、世界の創造産業の担い手へと成長していくにちがいない。

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多摩美術大学美術学部デザイン学科メディア芸術コース 卒業制作展「Sweep-Space-Surface」

2021年3月24日〜28日、馬車道駅と新高島駅のふたつの会場での展覧会、39名の卒業制作作品。

期間中は連日Stationで、教授と学生の対談やゲストアーティストのトークイベントを行い、その様子をyoutubeで生中継した。 平日で100名、休日は約200人の来場があった。

BankART Stationの会場様子
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トークイベントの様子@Station
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BankART KAIKOの会場様子
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トークインベントyoutubeでの生中継@KAIKO
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横浜台北交流事業2020年度「都市の連鎖」 サンドラム ストリートライブ「台湾の少数民族を巡って」

2021年3月23日@R16スタジオ(高島町)→ BankART Temporary(馬車道)

「都市の連鎖」第二弾は、2014年度に横浜市台北市のエクスチェンジ作家として台北に派遣した無国籍系音楽チームのサンドラム。今回は坪内あつし、菜央、荒井康太、横手ありさ、善財和也の5名が参加。

台湾滞在時、先住民の村を訪ね歩いた彼らは、村の人たちとともに歌い、踊り、口承でいくつもの曲を教わってきた。現地で学び、彼らなりにアレンジした曲を中心に、ストリートライブを行なった。R16スタジオでアカペラで数曲披露後、次の舞台へみんなで歩いて向かう。東横線廃線跡高架下の長い歩道、桜木町駅、新設のさくらみらい橋から市庁舎を抜けてBankART Temporaryの3Fへ。お祭りで歌われる賑やかな楽曲からしっとりとした心地のよい音楽まで、マスクをしていても観客みんなが笑顔になっているのがわかる。彼らの子供たちも、父ちゃん母ちゃんに負けじとステージ上でリズムに乗って踊りまわる。まさに家族総出演の心地の良いパフォーマンスだった。

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横浜台北交流事業「都市の連鎖」プログラム 「台北レジデンスアーティスト鼎談」 

台北国際藝術村アーテイスト・イン・レジデンスを経験した作家、磯崎道佳氏と細淵太麻紀氏と、さっぽろ天神山アートスタジオAIRのディレクター小田井真美氏がゲスト。

磯崎氏は、2014年度のレジデンスの生活と制作を日記風に紹介。特に日本でも大きく報道された「ひまわり学生運動」での自らの関わりなどの様子を紹介した。ちなみに台北国際藝術村は、立法院(日本の国会議事堂)と同様、占拠地区にある。

細淵氏は台北の街のリサーチと街中での建築物の一部を活用して行なった自身の作品プロジェクト(ピンホールカメラ)の説明を行った。

小田井氏は、自身が、何故天神山で台湾とのレジデンス交換プログラムを行っているか、続けているかについて語った。

参加者からは、台湾政府とアーティストとの関係性とその影響力、あるいは台湾のアートについて経済の動きと日本の状況の比較などの質問があり、議論は定刻を越えて賑わった。

トーク中の様子@KAIKO
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