大地の藝術祭の拠点ゾーンのひとつである新潟県松代から、「BankART妻有」の写真が送られてきた。いつもお世話になってる現地の工務店の方が、雪下ろしを請け負ってくれている。その報告写真だ。うーん。既に何階建ての建物かわからない。2F(+3F)がある我が家が、平屋にもみたない存在に変わり果てている。そして、「まわりにはもう雪を下ろす場所がない」というコメントが添えられている。横浜にいて何かできるわけではないが、夏の藝術祭参加を夢見ながら、春の雪解けまでなんとか無事にもって欲しいと祈るばかりだ。
Event
HOLIDAYS 新作公演「BLANK」 2020年12月3〜5日
2020年12月3〜5日 HOLIDAYS 新作公演「BLANK」
12月3〜5日深堀絵梨主宰のパフォーマンスグループHOLIDAYSの新作公演 「BLANK」をBankART Stationにて行なった。
HOLIDAYSは、2017年BankART主催のCafe Liveの公募にて選ばれたチーム。ちゃぶ台もパフォーマーの一人と言わんばかりに、演者とともに縦横無尽に動き回る、ユーモア溢れる作品を展開していた。
今回はコロナ対策を踏まえ、完全予約制、少人数観客向けのトライアル公演を開催。
ダンスと演劇にAR(拡張現実)を融合。観客は、生のパフォーマンスとタブレット越しのヴァーチャルな効果も同時に楽しむことができた。従来のことができない状況だからこそ、新しい表現に試行錯誤し、果敢に取り組まれていた。
「M meets M 村野藤吾展 槇文彦展」オープニングレセプション 2020年10月30日
10月30日(金)、「M meets M 村野藤吾展 槇文彦展」のオープニングレセプションを新築の横浜市庁舎の巨大なアトリウムで開催した。コロナ対策もあり、人数を定員200名に絞った会だったが、囲いの外や2Fの踊り場からも、たくさんの人がその様子をご覧になり、なごやかな雰囲気で会は進行した。
最初の挨拶は、横浜市副市長の林琢己氏。林文子市長からの挨拶文の代読に徹しておられたが、最後に金沢区長時代に槇氏との関係があったというなつかしいエピソードをお話しされた。村野藤吾展の企画者のひとりでもある松隈洋氏は、近現代建築についての日本を代表する研究者だが、村野建築のエッセンスの話のあと、村野氏のお孫さんにあたるご遺族を紹介された。最後に槇文彦氏。背筋をのばしたその姿は力強く、村野氏に対するリスペクトと横浜との関わり、この展覧会に参加できたことを喜んでいることをお話しいただけた。
会はのべ30分ほど飲食もない短いものだったが、そのあと二会場に各々展示をみにいかれ、会話を交わし、その余韻を楽しまれていた。
「M meets M 村野藤吾展 槇 文彦展」 2020年10月30日〜12月27日
M meets M 村野藤吾展 槇文彦展がスタートした。旧帝蚕倉庫を復元リノベーションした「BankART KAIKO」と旧第一銀行(元横浜銀行)を一部保存、復元した「BankART Temporary」がその会場だ。
村野氏にしても槇氏にしても、建築に携わる人にとっては、誰もが知っている著名な建築家だが、一般の人は建てられた建築はよく知っていても、案外、建築家の固有名詞とは結びつかない。村野氏でいえば、新高輪プリンス、赤坂離宮(迎賓館)、関西大学、旧横浜市庁舎、箱根プリンス、大阪そごう、等。槇氏でいえば、スパイラル、幕張メッセ、金沢区シーサイドタウン(都市計画、並木第一小学校など)、東京体育館、新横浜市庁舎、ヒルサイドテラス等。すべて街に溶け込んでいるポピュラーな建物だ。
さて、今回偉大なといっても過言ではない建築家2人を同時にフォーカスすることになったが、これは最初から二人展として企画されたものではない。展覧会構成のクレジットが、各実行委員会からなっているように、もともと独立した展覧会として企画されたものだ。
ならば、なぜ「M meets M 村野藤吾展 槇文彦展」になったか?
ふたつの会場の差、二人の世代の差、建築技術(図面も含めて)の違い、などもあいまり、二つの展覧会は、はっきりと印象の異なるものと感じた人も多いはずだ。一言で表すと、暖かさが残る等身大の建築と、他方、手垢を残さないクリアーでモダンな建築、といったところであろう。が、その世代の異なる差異が強く感じるかというと、ディテールへのこだわり、そこにいる人を考えた空間、建築の大きさや豊かさに対する感覚、集中と開放など、様々な断面で、時代を超えて同期している印象の方が強い。そういった意味において、MはMに引き継がれて、つぎのMを生んでいくのだ。「M meets M」というフレーズは、そんな日本の建築界の力強いリレーが、今まさにここ横浜でおこっていることを、皆さんに見ていただければという思いから企画されたのだ。
「えきなか動物園」「プラットフォームギャラリー 「展覧会の絵」」9月26日~10月11日 みなとみらい線各駅
「Creative Railway」と称したアートプログラムが、横浜市文化観光局と横浜高速鉄道(株)、横浜創造界隈拠点の主催のもとスタートした。みなとみらい線の横浜駅~新高島/みなとみらい21地区~北仲馬車道地区~日本大通り~元町・中華街の各駅にアートをインストールし、リニアに都市をつなぐ試みだ。
BankART1929はBankART StationとBankART Temporaryがある新高島駅と馬車道駅を担当。新高島では、深海のイメージで設計されたという空間に、鮮やかな色の絵画と、逆に真っ黒い画面の写真等を展示した。駅構内が広い馬車道には動物をモチーフにした彫刻群と平面作品をのびのびと展示した。他の駅も、創造界隈のアートスペースが趣向を凝らして展開している。
是非一日乗車券(460円)を購入して、駅~駅(街から街)へのマイクロツーリズムを体験して欲しい。
*みなとみらい線は横浜の語源(?)でもある旧市街地と新規開発地区をつなぐ「横に長い浜」沿いに走る重要な路線。
都市と仮囲い 2020年9月18日
今回の川俣氏の作品の素材の選択は、新高島地区、北仲地区のあらゆる場所でみかける平板鋼板で囲まれた工事中の空間から引用だという。確かに、BankART Stationがある新高島地区は、まさに大規模建築の工事中だらけだし、川俣さんが下見にこられた時期の北仲地区もほとんどが仮囲いで、入ること、見ることができない場所が多かった。
川俣氏は、活動初期の頃から、廃材(木材)を使ってのインスタレーションを続けており、いつも「工事中」なのだが、反転して、実際の町で建てられている木造家屋の構造が、川俣氏の作品のように見えてきたのが懐かしい。あれから既に40年以上経過しており、都心部では木造の棟上げはほとんど見る事はなくなった。仮囲いの中で作られていくRC造や鉄骨造の現代建築。街行く人は、囲いの表面をなぞるだけで、その内側には興味を示さない。棟上げのときに皆でおこなった「もちまき」という祭りも存在しない。都市は知らない間に誰かに占有され、忘却された空間だけが積層していく。川俣氏はこうした現代都市の風景を否定するわけでも肯定するわけでもなく、閉鎖された空間を盗み見し、挿入し、共有していこうとする視線と勇気を与えてくれるのだ。
黄金町バザール2020出品作品
さくらアリス《町にいる一人になったアクション》2020年、サイズ可変、映像
※たまたまWEBでみかけた黄金町バザール地区の写真。紙面にあった写真は、まさにこの平板鋼板(京浜急行の高架下仮囲い)を背景に移動するアーティストの作品の写真だった。
「川俣さん、ここでもやっているのか」と思ってしまった。
BankART LifeⅥ – 「都市への挿入」川俣 正展について 2020年9月12日
ヨコハマトリエンナーレ2020連動の「都市への挿入 川俣 正 BankART Life Ⅵ」がスタートした。日本最大規模の展覧会と協働するにあたり、BankART 1929がセレクトしたアーティストは川俣正という一人のアーティストだ。複雑な様相を呈しているヨコトリ本体に対して、単純明快でいこうと考えたからだ。川俣氏の作品が単純というのではない。むしろ氏の作品は、緻密に組み立てられた構成は驚くほど複雑だし、遠い場所(空間/時代)をみているし、そう簡単に理解できるものではない。とはいえ、氏の作品は、理屈ぬきに都市の中(あるいは社会の中で)にはっきりとした立ち位置とメッセージをもっており、誰もが強いインパクトを受ける作品なのだ。
特設ブログから垣間みることができるように、生みの苦しみが連続のプロジェクトではあったが、設計、施工チーム、グラフィック、web担当、映像、写真、コーディネートスタッフ、アルバイト、横浜市文化観光局、整備局、環境創造局、横浜高速鉄道(株)、その他関係者各人がそれぞれの立場で全力をつくしてくれたおかげで、なんとか実現にこぎつけることができた。
ただ、展覧会は9.11でスタートしているのにチラシの表紙を飾る作品はまだ着手されていない。9.14朝から、元気よくつくり始めるので見守っていただきたい。これから台風もあるし、まだまだハードルがあると思うが、ひとつずつ丁寧に乗り越えていきたい。出来上がった作品は少し派手かもしれないが、それを支える日常は極めて淡々とした営みなのだ。
川俣展 リモートオープンミーティング 2020年9月11日
BankART AIR at Temporary 2020 OPEN STUDIOスタート 7月23日〜26日、7月31日〜8月2日
1ヶ月半ほどの短期AIRプログラムにもかかわらず、参加者の作品のレベルは高く、完成度が高い作品も見受けられた。
キャンバスいっぱいに展開した彩色豊かなバラの絵画は樋口昌美さんの作品。壁一面を覆い尽くすドローイングやオブジェを制作していた堀江和真さんと
建築家、足立真輝さんとのコラボレーション。コロナ禍の中、朝早くから夜遅くまで黙々と仕事をすすめているクリエイターたちの姿は頼もしく感じられた。美術館やギャラリー、横浜市の方々や近くの住人の方等、多様なお客さんが来館された。連日開催したアーティストトークも満席で、トーク終了後も閉館まで交流を楽しんでいる様子が印象的だった。