BankARTAIR 2021 SUMMER アーティストトーク第3回

@BankART Station
■松本恭吾
事前に録画した映像でプレゼン。「影をなくした女の子の話」と題して、横浜郊外の都市空間の中、見えないものを楽しい形で可視化していく絵本制作を試みている。■青木 崇
スケートボードに乗っている動きをイメージした絵を描いたり、スケートボードと都市の関係性を映像や写真で表現。日々のインスピレーションをスタジオで実験している。■山岡瑞子
今回絵画や写真、映像などを駆使し、自身の経験と体験を追走しながら作品を制作している。
前回のプレゼンはこちら
https://bankart1929.com/blog/archives/date/2021/05
■土本亜祐美
回転のぞき絵など、古典アニメーションの表現手法に着目し制作している。今までは、机の上に載るサイズだったが、今回は等身大サイズの作品を制作中とのこと。■アイヴァン・ティンブレル
2014年に来日し、2020年まで鳥取県でイベントの企画や、海のゴミをベースに、音、映像、立体作品など制作をしてきた。2020年に黄金町バザールで展示したピンホールカメラの作品をきっかけに写真表現を中心に活動。好奇心旺盛で、他の入居者たちとも積極的にコミュニケーションをとっている。プレゼでも流暢な日本語で、芸術との出会い、日本での制作状況などを紹介してくれた。
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松本恭吾
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青木 崇
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山岡瑞子
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土本亜祐美
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アイヴァン・ティンブレル
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BankARTAIR 2021 SUMMER アーティストトーク第2回

@BankART Station

■辻 梨絵子
東京藝大出身の彼女は、在学中にスイス、ドイツへ交換留学。またアメリカやフィンランドなどのレジデンスプログラムに参加。海外での制作と活動が多い。ドイツではキオスクに扮したスペースを作り、24時間オープンする店を営業[展示]するなど、異なる文化圏での生活環境や思考の相違などに着目した作品を発表している。今回は、歌謡曲の「ブルーライトヨコハマ」にインスピレーションを受けた作品を手掛けるそうだ。

■宮﨑優花
絵画表面のクラック(ひび割れやマチエール)を自身で派生させた画面作りの平面作品を手掛ける。絵画表現だけでなく、地元の群馬県にある臨江閣(国指定の重要指定文化財)の茶室にて、展示企画なども行なっているとのことだ。今回のAIRでは週末に茨城から横浜に泊まり込みで通い参加している。

■新江千代
布を素材にしたインスタレーションや映像作品を主に発表している作家。前回のAIRでは、幼い時、亡くなった彼女の父の記憶(父が植えた桜の木を抜粋するなど)、不在の存在への記憶に着目した作品を制作した。今回もその記憶との繋がりを再考するとのこと。手放すことや消費されていくなど、失っていく、”もの”や”こと”をどう表現していくのか。

■高久柊馬
2019年横浜美術館の記念展に出展した浅井裕介さんの壁画制作を手伝うことをきっかけに、作家として活動することになったとのこと。トークでは制作するうえでの原動力をお話いただいた。今回は壁一面に大きな平面作品を手掛ける。終日丸ノコでの支持体作業に取り組んでいるのが印象的だ。

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辻 梨絵子

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宮﨑優花

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新江千代

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高久柊馬

BankARTAIR 2021 SUMMER アーティストトーク第1回

@BankART Station

コロナで不透明な現状だが、予約制でのトークを毎週末開催していく。

■片岡純也
フランス、アイスランド、台湾など海外でのレジデンスについての活動をお話しいただいた。台湾では、市場で見つけた乾燥ナマコを使い、なまこのボコボコをオルゴールの歯車としてキネティック作品を手がけた。どの場所でも制作でもツーリストの視点を重要にしているとのこと。

■秋山直子
SPRINGに続き、コーヒー(味覚)と写真(視覚)の表現を追求していくとのこと。焙煎した味に近い写真[風景]の探索、写真[風景]をイメージした焙煎の開発。双方を並行して制作しているとのことだ。

■橋村至星
平面作品を中心に活動している作家。昨今のコロナ禍でみんながマスクしている日常の風景など、日常とそこに潜む違和感を表現している。今回はオフィス街の無人のなか働くパソコンたちなどリモートワークをテーマに制作するとのこと。

■おどるなつこ
過去のAIRに何度も参加している。タップダンスで、パフォーマンスだけでなく福祉とタップダンスをつなげるプロジェクトを立ち上げ、ジャンルを横断し活躍している作家だ。今回は新潟の材木店のご協力のもと無垢一枚板をタップダンスを鳴らす楽器として展開していく。日々アトリエからも素敵な音が響いている。

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片岡純也

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秋山直子

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橋村至星

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おどるなつこ

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BankART AIR 2021 SPRING オープンスタジオ 2021年5月28〜30日 6月4〜6日

4月より制作活動を行ってきた22組のクリエイターのオープンスタジオを開催。直前まで荒々しい現場だったが、当日までには、各人きちんとプレゼンテーションし、お客さんを招き入れる空間に変換した。短いオープン期間にも関わらず、多くの関心をもったお客さんとアーティスト達との和やかな対話が続いた6日間だった。今期AIR6/8で終了し、次回は、6/14からメンバーも半分は入れ替わり、BankART AIR SUMMERとして2ヶ月間の活動が始まる。

スタジオの様子

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BankART Under35 2021 諌山元貴、菅実花 個展スタート

第三期は、菅実花氏と諌山元貴氏の個展。

ラブドールを妊婦姿で撮影した作品《The Future Mother》で注目を集める菅氏。近年制作している自身の顔を型取り作成した人形とともに写るセルフポートレートシリーズ「あなたを離さない」では、人間らしい人形と、人形らしい人間が並び映し出されており、どちらが本物なのかを謎解きするような作品だ。今回は、ストッキングをレンズのフィルターとして撮影したことで、ソフトフォーカスなイメージがより虚実の境界へと誘ウ作品になっている。

諌山氏は、広島を拠点に活動する作家。15mの壁面には、白い棒状の塔がゆっくりと崩壊していく映像が映し出されている。それと、マネキンや自身を3Dスキャンした頭部・腕・脚のパーツが台上に並べられ、観葉植物とピンクの植物養成ライトが配されたインスタレーション。この2要素がリンクして、現実世界から切り離されたような空間が出現している。長時間、この光景を眺める人も多い。

諌山氏いわく、「近い将来iPS細胞医療の発達で人間のパーツも取替可能にあってしまい、身体もそれを取り巻く環境も、終わりのある物理的な時間がなくなり、生と死の概念が無くなってしまう」とのこと。

近未来的な価値観でオリジナルを問う2人の作家、モチーフなど相似点もあるからこそ、作家の表現や、姿勢を比較して楽しんでいただければと思う。

菅実花展会場の様子

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諌山元貴展会場の様子

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オープニングの様子

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BankARTAIR 2021 SPRING アーティストトーク第5回

5月29日(土)19:0020:30 照沼晃子+ちゃぶダイブChabu Dive/松本恭吾/渋田 薫/嶋﨑美音

関東学院大学教育学部教授の照沼晃子は、今回はクリエイターとして参加。都市のゴミをどう活用していくか、現状と活動内容を話された。松本恭吾氏は、岡山と東京を往来しながら活動する作家。今回は、横浜の郊外地区を自身で歩き、集めた風景を元に絵描き、最終的に絵本を制作するとのこと。完成は30ページ相当とのことで、長期プロジェクトになりそうだ。渋田 薫氏は、少年自衛官、メイクアップアーティスト、植物店、料理人などを経験後、ペインターとして活躍する作家。音楽や自然音を絵画に取り組む表現形式で活動。国内外でレジデンス、発表を精力的に活動している。今回は、横浜を歩き、インスピレーションを得て新作を描いたとのこと。嶋﨑美音氏は、横浜生まれの彼女は、ロザンゼルスに留学、2015年にニューヨークを拠点に活動。2020年横浜を拠点に活動。旅先などありふれた日常風景をフィルムカメラで取っている。とくに目には見えないものの声や言葉に寄り添うような、写真における「音」表現の可能性に着目しているとのこと。

照沼晃子+ちゃぶダイブChabu Dive

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松本恭吾

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渋田 薫

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嶋﨑美音

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会場の様子

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BankARTAIR 2021 SPRING アーティストトーク第4回

5月21日(金)19:3021:00 敷地 理/細淵太麻紀/山岡瑞子/ビコ コンドウ/高橋美乃里

敷地理氏はU35第二期に選出され、パフォーマンスを中心に活動している作家。今回の展示の説明、過去作や最近興味を持っているサッカーシミュレーション、テニス、狼の遠吠えなどの素材映像等をプレゼン。
細淵太麻紀氏はこれまでの作家活動に加え、過去3回開催したステーションでのレジデンスに参加した成果物を中心に発表。山岡瑞子氏は、アメリカに留学した際、交通事故にあい、車椅子生活になったこと、それから復活して、映画を撮影したことなどを話した。ビコ コンドウ氏は、ニューヨークで6年活動を行っていたが、昨年より横浜に居を活動。アクリルジェッソを何層も塗り重ね、その上に少量の色を少しずつ塗り重ねる独特の質感表現方法などを詳しく説明。高橋美乃里氏は、昨年、Creative Railwayの企画として新高島駅のプラットホームで行った絵画展に選出された作家である。最近は平面だけでもなく、コンクリートや土、木材などを使った立体も作成、着眼点などを話した。

敷地 理

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細淵太麻紀

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山岡瑞子

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ビコ コンドウ

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高橋美乃里

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会場の様子

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BankART U35 2021 第2期 木下理子、敷地 理、金子未弥スタート

2021年5月14日  @BankART KAIKO
U35第2期は、公募選出による3名の個展。金子未弥氏は、黄金町バザール2020で公開制作した《未発見の小惑星観測所》を基に作品を展開。今回は単管、標識、ガードレールなど、街の中にある素材を加工し、《都市計画》と称したインスタレーションを作成した。選ばれた言葉と語られた物語、関係づけられた地図を感じ取ってほしい。
木下理子氏は、一昨年武蔵美大学院の油画コースを修了。青と白のモノクロームの抽象的な平面作品が並ぶ。これらの作品は、感光紙に紐や綿などを置くことで、光が多く当たる部分は青く、影の部分が白くなるというサイアノタイプ(日光写真)という技法が用いられている。写真にも近い技法だが、木下氏はこの作品をドローイング(線画)と称している。その他、展示空間には、アルミホイルや銅線などで作られた、空調、人の動きで、ゆらめく線画のようなオブジェクトが点在する。
敷地理氏は、東京芸大大学院メディア映像修了という経歴だが、学生時代からパフォーマンスを主に活動している作家だ。今回は、「パフォーマンスをどう展示するか」に挑んでいる。会場では、ダイエットマシーンが無造作に5台並べられ、その上には日常の衣服やゴミがブルブルと揺れている。ときおり敷地本人もマシーンにのり、ほかの物と同じように揺れ、声をゆらし、揺れながら飲むカフェオレがこぼれ落ちる様子に観客は笑う。他、イヤフォンから流れる指示に従い、スマホを操作して閲覧する作品、見る角度で像が変わるレンチキュラー作品なども。鑑賞者自体が振動させられる装置のような空間だった。
金子未弥
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金子未弥 展示の様子
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木下理子
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木下理子 展示の様子
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敷地 理
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敷地 理 展示の様子・パフォーマンス
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オープニングの様子
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BankARTAIR 2021 SPRING アーティストトーク第3回

2021年58日(土) @BankART Station

リン・チャーチル氏は、今回のレジデンスの最年長。アトリエいっぱいに和紙を貼り、パワフルに体を動かしドローイングを描く。トークでは日本語でも挑戦してくれ、彼女が各地で撮影した広大な自然風景写真など、制作のインスピレーションの元となるような資料を見せてくれた。

秋山夏海氏は、今春に東京造形大を卒業したばかりの若手。性暴力を受けた知人の話から日本の性教育についての疑問をインスタレーションで表現するなど、思考そのものに対する疑問を制作に落としこんでいる。今回は、都市と人の関係に着目し制作中とのこと。

金子未弥氏は、KAIKOで現在開催中のU35に選出された「記憶」と「都市」をテーマに活動している作家だ。他者から記憶に残る場所やエピソードを聞き、その場所名をビニールテープなどでつなぎ合わせることで、記憶の地図のようなイメージを浮かび上がらせる作品を手掛ける。トークでは昨年の黄金町バザールでの作品や、今回の個展の作品などの解説をいただいた。

新江千代氏は、布を素材にしたインスタレーションや映像作品を主に発表してきている作家。今回は、近年亡くなられた彼女の父の記憶や、実家に父が植えた桜の木(これから伐採することになる)など、不在の存在への記憶、これから手放していくという行為に着目した新作を取り掛かっているという話をしてくれた。

各人が着目するキーワードなどを比較しながら、考えることができる会だった。

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リン・チャーチル
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秋山夏海
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金子未弥
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新江千代
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BankART AIR 2021 SPRING アーティストトーク第2回@Station

コロナ禍の最中だったが多くの来場があり、作家と参加者の間で活発な意見が交わされた。

「ひきこもり」という自身の体験に基づくキーワードを中心に、表現活動を展開してきている渡辺氏は、R16スタジオのコンクリートの部屋に一週間閉じこもり、壁を破ってでてきた作品や、それに続く「同じ月をみた日」など、プレス的にも話題になったプロジェクトをことの始まりから、丁寧に話された。三枝氏は、今まで“素材”との交信にこだわってきた立体作品の変遷や、最近始めた写真作品を紹介。建築の歴史の専門家の関氏は、昨年大学を退官されたが、現在独自に行なっている北海道でのプロジェクト「das kleine bauhaus」の取り組みについて話された。葉栗氏は、黄金町や中国、韓国で油絵を中心とした制作活動のことや、コロナの影響で平面を離れ、立体作品の制作を始めたことに触れた。橋村氏は、社会現象をテーマにイラストレーションのような絵画表現のシリーズが特徴だが、今回はコロナ禍に反応したパッチワークのマスク作品制作について語った。

渡辺 篤
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三枝 聡
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関 和明
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葉栗 翠
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橋村至星
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会場の様子
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