BankARTAIR 2021 SPRING アーティストトーク第4回

5月21日(金)19:3021:00 敷地 理/細淵太麻紀/山岡瑞子/ビコ コンドウ/高橋美乃里

敷地理氏はU35第二期に選出され、パフォーマンスを中心に活動している作家。今回の展示の説明、過去作や最近興味を持っているサッカーシミュレーション、テニス、狼の遠吠えなどの素材映像等をプレゼン。
細淵太麻紀氏はこれまでの作家活動に加え、過去3回開催したステーションでのレジデンスに参加した成果物を中心に発表。山岡瑞子氏は、アメリカに留学した際、交通事故にあい、車椅子生活になったこと、それから復活して、映画を撮影したことなどを話した。ビコ コンドウ氏は、ニューヨークで6年活動を行っていたが、昨年より横浜に居を活動。アクリルジェッソを何層も塗り重ね、その上に少量の色を少しずつ塗り重ねる独特の質感表現方法などを詳しく説明。高橋美乃里氏は、昨年、Creative Railwayの企画として新高島駅のプラットホームで行った絵画展に選出された作家である。最近は平面だけでもなく、コンクリートや土、木材などを使った立体も作成、着眼点などを話した。

敷地 理

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細淵太麻紀

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山岡瑞子

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ビコ コンドウ

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高橋美乃里

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会場の様子

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BankART U35 2021 第2期 木下理子、敷地 理、金子未弥スタート

2021年5月14日  @BankART KAIKO
U35第2期は、公募選出による3名の個展。金子未弥氏は、黄金町バザール2020で公開制作した《未発見の小惑星観測所》を基に作品を展開。今回は単管、標識、ガードレールなど、街の中にある素材を加工し、《都市計画》と称したインスタレーションを作成した。選ばれた言葉と語られた物語、関係づけられた地図を感じ取ってほしい。
木下理子氏は、一昨年武蔵美大学院の油画コースを修了。青と白のモノクロームの抽象的な平面作品が並ぶ。これらの作品は、感光紙に紐や綿などを置くことで、光が多く当たる部分は青く、影の部分が白くなるというサイアノタイプ(日光写真)という技法が用いられている。写真にも近い技法だが、木下氏はこの作品をドローイング(線画)と称している。その他、展示空間には、アルミホイルや銅線などで作られた、空調、人の動きで、ゆらめく線画のようなオブジェクトが点在する。
敷地理氏は、東京芸大大学院メディア映像修了という経歴だが、学生時代からパフォーマンスを主に活動している作家だ。今回は、「パフォーマンスをどう展示するか」に挑んでいる。会場では、ダイエットマシーンが無造作に5台並べられ、その上には日常の衣服やゴミがブルブルと揺れている。ときおり敷地本人もマシーンにのり、ほかの物と同じように揺れ、声をゆらし、揺れながら飲むカフェオレがこぼれ落ちる様子に観客は笑う。他、イヤフォンから流れる指示に従い、スマホを操作して閲覧する作品、見る角度で像が変わるレンチキュラー作品なども。鑑賞者自体が振動させられる装置のような空間だった。
金子未弥
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金子未弥 展示の様子
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木下理子
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木下理子 展示の様子
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敷地 理
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敷地 理 展示の様子・パフォーマンス
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オープニングの様子
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BankARTAIR 2021 SPRING アーティストトーク第3回

2021年58日(土) @BankART Station

リン・チャーチル氏は、今回のレジデンスの最年長。アトリエいっぱいに和紙を貼り、パワフルに体を動かしドローイングを描く。トークでは日本語でも挑戦してくれ、彼女が各地で撮影した広大な自然風景写真など、制作のインスピレーションの元となるような資料を見せてくれた。

秋山夏海氏は、今春に東京造形大を卒業したばかりの若手。性暴力を受けた知人の話から日本の性教育についての疑問をインスタレーションで表現するなど、思考そのものに対する疑問を制作に落としこんでいる。今回は、都市と人の関係に着目し制作中とのこと。

金子未弥氏は、KAIKOで現在開催中のU35に選出された「記憶」と「都市」をテーマに活動している作家だ。他者から記憶に残る場所やエピソードを聞き、その場所名をビニールテープなどでつなぎ合わせることで、記憶の地図のようなイメージを浮かび上がらせる作品を手掛ける。トークでは昨年の黄金町バザールでの作品や、今回の個展の作品などの解説をいただいた。

新江千代氏は、布を素材にしたインスタレーションや映像作品を主に発表してきている作家。今回は、近年亡くなられた彼女の父の記憶や、実家に父が植えた桜の木(これから伐採することになる)など、不在の存在への記憶、これから手放していくという行為に着目した新作を取り掛かっているという話をしてくれた。

各人が着目するキーワードなどを比較しながら、考えることができる会だった。

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リン・チャーチル
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秋山夏海
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金子未弥
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新江千代
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BankART AIR 2021 SPRING アーティストトーク第2回@Station

コロナ禍の最中だったが多くの来場があり、作家と参加者の間で活発な意見が交わされた。

「ひきこもり」という自身の体験に基づくキーワードを中心に、表現活動を展開してきている渡辺氏は、R16スタジオのコンクリートの部屋に一週間閉じこもり、壁を破ってでてきた作品や、それに続く「同じ月をみた日」など、プレス的にも話題になったプロジェクトをことの始まりから、丁寧に話された。三枝氏は、今まで“素材”との交信にこだわってきた立体作品の変遷や、最近始めた写真作品を紹介。建築の歴史の専門家の関氏は、昨年大学を退官されたが、現在独自に行なっている北海道でのプロジェクト「das kleine bauhaus」の取り組みについて話された。葉栗氏は、黄金町や中国、韓国で油絵を中心とした制作活動のことや、コロナの影響で平面を離れ、立体作品の制作を始めたことに触れた。橋村氏は、社会現象をテーマにイラストレーションのような絵画表現のシリーズが特徴だが、今回はコロナ禍に反応したパッチワークのマスク作品制作について語った。

渡辺 篤
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三枝 聡
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関 和明
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葉栗 翠
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橋村至星
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会場の様子
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BankART Under 35 2021井原宏蕗展、山本愛子展スタート

35歳以下の若手作家を個展形式で紹介するUnder35。今回はBankART KAIKOにて招待2名公募5名を選出し、3期にわたって開催する。1期目は、招待選出の井原宏蕗氏と山本愛子氏だ。
井原氏は、鉄、真鍮のピースを集積した集合体で現れた実寸大の象やサイの彫刻の初期作《fading》というシリーズがあり、BankARTでも過去何度か出品しているので、見覚えのある人は多いのではないだろうか。本展では、動物の食べ物や糞、巣を素材として扱った作品を中心に発表。《cycling》というシリーズでは、羊、豚、鹿それぞれの糞を集積させ、その動物のかたちを再現している。近づくと糞そのものの生々しい形にぎょっとさせられるが、漆によるコーティングを施しているため、工芸的な美しさも孕んでおり、じっと観察する人も多い。特に子供には大人気だ。他、ミミズの糞塚、蚕紗(カイコの糞)などを扱った壁画、レリーフ、ジュエリー、映像等が会場に並ぶ。素材そのものを集めるのではなく、焼成し、漆や金彩を施すなどそれぞれの素材の組み合わせと変化で生まれたかたちを、ぜひ楽しんでほしい。
山本氏は、染色技術を主に用いる作家で、アジアを中心に精力的に活動している。BankARTでも2017年にチューターとして、インドネシアの染色作家を招きワークショップを企画してくれた。中国杭州、台湾などでも滞在と発表を行い、2020年からは横須賀市がサポートする施設を拠点に活動。染料になる藍などの植物を育てることにも取組んでいる。今回は、横須賀で育てた植物、アジア各国で手に入れた天然素材を用いた草木染めの平面作品《あわいのはた》9点を発表。きめ細かな絹布に、藍、柿、茜、クルミなどの抽出色が染み込んでいる途中のような、一瞬の静謐さがある。中央には大きな旗が、空間・時間のあわいで揺らめいている。
4/23オープニングの様子
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井原宏蕗
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山本愛子
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井原宏蕗展の様子
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井原宏蕗《fading –increasing-》 2011 鉄 ・真鍮
山本愛子展の様子
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BankART AIR 2021 SPRING アーティストトーク スタート@Station

現在開催中の「BankART AIR 2021 SPRING」の関連プログラムとして、恒例の週末のアーティストトークが始まった。コロナ禍の中、人数もアルコールも制限しての会だが、作家も一般の方も皆さん熱心に参加してくださっている。本日は4名の作家の発表。土屋氏は以前ロンドンで行ったインスタレーション作品を中心に作品を解説。片岡+岩竹の両氏は、先年東京都現代美術館で行った作品を中心に作品の成り立ちを話された。窪田氏はずっと継続している衣類を使ってのプロジェクトの紹介。秋山氏は、これまでの都市で行っている様々なプログラムや現在取り組んでいる焙煎をテーマにした活動について話された。

次回以降の日程は下記より
http://www.bankart1929.com/bank2020/news/21_019.html

以下は登壇者土屋信子、片岡純也+岩竹理恵、窪田久美子、秋山直子
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会場の様子@Station
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横浜台北交流事業「都市の連鎖」最後のプログラムは、台湾料理のワークショップ、台湾の伝統的な人形劇「布袋劇」の実演と解説、そして映画「台湾、街かどの人形劇」の3本立て@Station

「台湾料理ワークショップ」
[A:30日11:00~13:00、B:30日17:30~19:30、C:31日11:00~13:00、D:31日7:30~19:30]

瀬谷区でお菓子工房を営む台湾生まれの高崎継民さんと、全体コーディネートもしてくださった青井亭菲さんによる台湾料理ワークショップでは、水煎包や台湾炒米粉(焼きビーフン)、キュウリや茄子の涼拌(冷菜)、ピータン豆腐、豆花や杏仁豆腐のデザートまでを実演実食。コロナ対策もあり参加者とわいわい一緒につくることはできませんでしたが、日本で手に入る素材や調味料に置き換えられたレシピは、すぐに家で作りたい!という参加者には嬉しい配慮。その背後ではフェイさんが、パートナーで明治大学教授の青井哲人さんと街並み研究で台湾各地を訪れた際に撮影した写真の中から食にまつわるものをスライドショー。その解説トークを楽しみながら台湾の地に思いを馳せつついただく台湾料理は、素朴で優しい味でした。

「著微布袋戲(チョビホテイギ) 人形劇団」 チャンチンホイ
[30日13:30~14:30、31日13:30~14:30]
日本で唯一の台湾伝統人形劇団「著微布袋劇(チョビホテイギ)人形劇団」を主宰する日本人チャンチンホイさんによる「布袋劇」の実演と解説。チャンさんはこのコロナ禍で約1年間、人前で実演する機会がなかったとのこと。日本で人形を使った劇といえば文楽などを思い出しますが、伝統布袋劇はもう少し小さな人形で、演者はときに人形の一部や小道具等も自作します。伝統劇は今は失われつつある台湾語が基本ですが、台湾語を話す人も聞いて理解できる人も少なくなり、細やかな動きの美しい静かな心情劇から、現代では殺陣などが中心のわかりやすいものが増えているといいます。実際の布袋劇は台湾の人々にとってどんなものなのか、質疑を受けながらの解説で「布袋劇」への興味と理解が深まります。

映画『台湾、街かどの人形劇』
[30日15:00~16:50、31日15:00~16:50]
「台湾、街かどの人形劇」(字幕翻訳:青井哲人+亭菲)は、そのチャンチンホイさんの師匠の師匠にあたる台湾の人間国宝、チェンシーホァン師が主人公の映画。同じく人間国宝で布袋劇の大家であり俳優としても活躍した父、李天禄との奇妙な確執や、現代における伝統の意味、生活から離れて政治に振り回されてしまう文化の憤りなど、チェンシーホァン師を追う10数年に様々な思いが込み上げてくる珠玉のドキュメンタリー。要所で映し出される師の手の美しくしなやかな動き。映画の最後では、人間の生き様の美しさと儚さそのものを表しているかのようにみえました。

「台湾料理ワークショップ」
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高崎継民さん
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「著微布袋戲(チョビホテイギ) 人形劇団」 チャンチンホイ
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映画『台湾、街かどの人形劇』
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横浜台北交流事業「台北の創造都市最前線-場の再生と創造産業・スタートアップ支援-」

鈴木伸治氏(横浜市立大学の教授/都市デザイン)は、実際にTemporaryに登壇し、林 崇傑氏(リン・チュンチェ/台北市産業発展局長)は現地からリモートで参加。

鈴木氏の台北市の文化芸術事業の発展や横浜市の創造産業の立地分布図の紹介の後、林氏からは創造育成基地のプラットフォームの立ち上げについての説明があった。特に台北の現代青年に対しイノベーション思考を促すために5つの戦略を掲げ進行してきたが、その成果は、今日の台北市の若い創業者を支えているとのこと。林氏のプレゼンを通して、台北市の「アジアで創造産業に最適な都市を立ち上げたい」という目標への意志を強く感じる事ができた。

日本と台湾、あるいは横浜と台湾はこれまでも深い絆で結ばれてきたが、これからも都市間交流を通して、お互いに刺激し合い、世界の創造産業の担い手へと成長していくにちがいない。

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多摩美術大学美術学部デザイン学科メディア芸術コース 卒業制作展「Sweep-Space-Surface」

2021年3月24日〜28日、馬車道駅と新高島駅のふたつの会場での展覧会、39名の卒業制作作品。

期間中は連日Stationで、教授と学生の対談やゲストアーティストのトークイベントを行い、その様子をyoutubeで生中継した。 平日で100名、休日は約200人の来場があった。

BankART Stationの会場様子
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トークイベントの様子@Station
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BankART KAIKOの会場様子
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トークインベントyoutubeでの生中継@KAIKO
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