【多様な地図で巡るツアー】blanClass+神村恵「身ひとつで生きる」Live Art ツアー神村恵「裏と表を合わせてみる」♯1

2024年3月23日(土)

会期中の毎週土曜日に行われるblanClassのイベントの第一回は共同ディレクターを務める神村恵さんによる身体ワークショップ。みなとみらいの街を裸足で歩いてみる。ということなので自分も裸足になって帯同することになりました。

当日は小雨が降りしきるあいにくの天候、皆傘はささずカッパを着用して、もちろん裸足で街歩きを行いました。ルートはまず新高島の駅を上がって北上します。大勢のお客さんで溢れるKアリーナを横目で見ながら、まだ未開発の空き地が目立つエリアの端部に沿って東に向かいます。道路って裸足で歩くと痛いんです。植栽の草の上が休息スペースになります。お揃いのカッパを着た裸足の集団。観光客らしき人々には完全にスルーされますが暇を持て余している警備員からは声をかけられます。「健康のための運動かなんかですか?」違うと全否定するとめんどくさいので適当に笑顔で対応する参加者たち。さすがです。やがて東の端の臨港パークに入ります。公園の海沿いの一角が人工の小さな入江のようになっていて砂浜に波が押し寄せています。やっと裸足で来た意味を見出した感じです。ひとしきり砂と戯れたら帰路に着きます。地図で見るとその入江と新高島の駅までが真っ直ぐに主に歩道の大きいスペースになっています。これをキング軸というそうです。なんで?まあいいや。最初は所謂「裏」のエリアを歩いて来て今度は「表」ですか。あたりまえだけどすごい都会です。当たり前じゃないけど裸足です。地下鉄の排気口に乗っかると気持ちいいです。大きなビルの庇で雨宿りできます。スタート地点に戻るとすぐに駅には降りず地上の広場で今日の体験を一人ずつ表現してもらいます。これをやらないとただの散歩です。

Stationに帰ると大きな足湯が用意されていてみんなで浸かりました。ささやかだけどとても嬉しいご褒美でした。

写真とテキスト:中川達彦

【多様な地図で巡るツアー】 「WU Chien-Yi(ウー・チェンイー)アーティストトーク+フェアウェルパーティ」

「多様な地図で巡るツアー」第2弾は、台北交流事業で3ヶ月BankART に滞在して作品制作をしていただいた台北アーティストのウー・チェンイーさんのトークツアー。台北交流事業は、台北市と横浜市との間で毎年アーティストを1人互いに3ヶ月間派遣し滞在制作交流をおこなう事業で2005年から続いています。

今回は、滞在期間が第8回横浜トリエンナーレ開催期間と重なっていることもあり、BankART Life7に出品参加いただくという前提で、ウー・チェンイーさんに滞在制作していただきました。
まずはウーさんとBankART Station入口近くのエスカレーターを地上に上がったところにある「横浜グランゲート」2Fデッキに設置されている作品を見学。ここは4月1日にお隣の「横浜シンフォステージ」がオープンすると通路がつながり、横浜美術館前のグランモールに直接つながるルートになります。それにあわせ4月1日には、ウーさんの作品もシンフォステージ側に拡張して、全作品が完成となります。こちらは横浜の「港」や「船」がテーマの、カラフルな作品となっています。

次にみなとみらい大通りを挟んで横浜駅側にある「横濱ゲートタワー」のスタートギャラリーに移動。スタートギャラリーは建物が面している道路、とちのき通りから見るギャラリーです。2つのギャラリーにはそれぞれ、古い建物の遺構からインスピレーションを得た「窓」をテーマにした作品が展開され、ガラスに反射する周囲の環境もうまくとりいれた作品となっています。その後Stationに戻り、ウーさんが横浜の街をフィールドワークして今回の作品の素材となったものなどを写真で紹介いただきました。終了後、2日後には帰国を予定されているウーさんのフェアウェルパーティもかねて乾杯をしました。台北経済文化代表所の陳宜銘部長、横浜市文化芸術創造都市推進部の永井由香部長にもご参加いただき、和やかな会となりました。

【多様な地図で巡るツアー】VERDE+吉田山による「都市GENEの抽出・反転・流通 ワークショップ WS for Extraction, Reversal and Distribution of Urban GENE」♯1

現在開催中のBankART Life7「UrbanNesting:再び都市に棲む」では、20近い「多様な地図で巡るツアー」が企画されています。
先日3月17日にVERDE+吉田山による最初のツアーが開催されました。

これまであまり気にとめなかった路上の植物(野草)に注目しながら、BankART Station周辺を歩き、採集した植物を蒸留して香りを抽出、それを持ち帰り、その時からの変化を感じるというもので、様々な要素があり、参加者の反応もとても良いものでした。参加することで、現在展示されている「地図」の作品のコンセプトをより深く理解することもできるようなツアーでした。

彼らのいう「粘菌のように歩く」というのは、歩く速度ではなくて、視点や認識の仕方というお話でした。歩き方のレクチャーのあと、Station から出て、みなとみらい本町小学校、水際線プロムナードなどをとおり戻ってくるルートを歩きました。植え込みや植栽地にある植物を観察、本来植えられているものだけでなく、その後、勝手に生えてきた植物を見つけ、観察していきました。新しい植栽地でも、ヨモギやナズナ、ハナカタバミ、ホトケノザなど様々な植物が生えてきていましたし、街路樹のところにも、元々植えていないものが生えて大きくなってきている様子が観察できました。日産のビル周辺水際線側の植え込みは、ツワブキやシダ、ヤブランなど多様な植物が植栽され、自然に近い雰囲気でした。
皆さんが集まって葉をちぎっているのは、植え込みに勝手に生えてきたクスノキです。(本来は管理上抜かなければならないもので、植え込み自体はシャリンバイなどの低木、高木としてはセンダンが植えられている植栽枡です)今回の蒸留の材料は主にこの葉を使用しています。楠は樟脳の材料なので、結構良い感じに香りが出ていました。
戻って蒸留器を使用して葉を蒸留、抽出したものは、小瓶で各自持ち帰り、後でまた香りを楽しんで時間と共に起こる変化を体験するというところまでがツアーとなっています。

こちらのツアーは同様のものが期間中、あと2回実施されます。
その他、今後も順次多くのツアーが開催されます。
会期中実施されるツアーは以下でご確認いただけます。

blanClass+神村恵「身ひとつで生きる」ツアー
https://bankartlife7-blanclass.peatix.com
その他のツアー
https://bankartlife7.peatix.com

東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻「MEDIA PRACTICE 23-24」

東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻・修士生による成果発表展「MEDIA PRACTICE 23-24」が2024年1月12日〜14日に開催。東京藝術大学の元町中華街校舎に加え、今回初めてBankART Stationも会場となった。

2015-17年度までは、BankART Studio NYKで同専攻のオープンスタジオや成果展を行なっていたので、BankARTでの開催は6年ぶりとなる。

BankART Stationでは、修士二年8名と修士一年1名が展示。両方の会場を使った作家は2名。その一人、伊藤琴音の「音景 –駅-」は、廊下の広い空間にただ椅子だけが置かれているが、しばらく耳をすますと、自然音とは異なるサウンドが聞こえることに気づく。作家が仕込んだ音に、駅通路の音声も混じり合い、その時限りのリミックスが生まれていた。一方、倉知朋之介は県民ホールギャラリーで開催中の「味/処」展にも参加しており、3ヶ所をめぐる仕組みとしてスタンプラリーを実施した。

音、詩、パフォーマンス、インスタレーション等、「メディア」の意味を拡張して表現に取り入れた作品が多く、思いがけず視覚以外の感覚も刺激される意欲的な展示内容だった。

みきくらのかい実験公演「お伽の棺」(YPAM Fringe 2023 program)

みきくらのかい実験公演「お伽の棺」(YPAM Fringe 2023 program)が、BankART KAIKOにて2023年12月16日に上演された。2019年に結成された、三木眞一郎(声優)と倉本朋幸(劇作・演出家)によるリーディングユニット「みきくらのかい」。今作ではゲストに羽多野渉を迎え、声優二名の巧みな声色で四人の登場人物を演じ分ける。昔話「鶴の恩返し」を題材にしたストーリーには、現代にも通じる差別や親子関係などの問題が盛り込まれていた。すり鉢状の客席が三方を囲む舞台には、黒い土だけが敷き詰められ、極限まで削ぎ落とされた演出が声の演技を際立たせる。臨場感溢れる白熱した朗読劇に、情景を思い浮かべながら物語の世界に引き込まれた観客たちが、終演と同時に惜しみない拍手を送っていた。

みきくらのかい実験公演「お伽の棺」
原作:横内謙介
脚色・演出:倉本朋幸
出演:三木眞一郎 × 羽多野 渉

NEXT ZONE「TRANSHUMANIST(トランスヒューマニスト)」(YPAM Fringe 2023 program)

12月10日(日)と11(月)の二日間、BankART KAIKOではYPAM(横浜国際舞台芸術ミーティング)による公募プログラムのYPAMフリンジにて、デンマークより来日したNEXT ZONEという団体のダンスパフォーマンスがおこなわれた。 普段は多国籍のダンサーとともに世界各国でパフォーマンスを行っているが、日本での公演は今回が初めてとのこと。これを機にアジアでも活動を展開したいという思いから、今回の日本公演を決定したそうだ。 今回上演された作品「TRANSHUMANIST(トランスヒューマニスト)」は、デンマーク人の男性2名によるデュエット作品。激しい音楽と色鮮やかなライティングに合わせて細かく機械的な動きをするその身体は、本作品のテーマである「人間はどのようにして人間か」を見ている者に感じさせ、また考えさせる内容だった。

Hyper-Editing Platform[AIDA]

会期: 2023年12月9日 [土]
時間: 13:30〜19:00
会場: BankART KAIKO
主催: 編集工業研究所
撮影: 後藤由加里・小山貢弘