カフェライブ2012最後の公演は、AAPA(アアパ)の新作「見えなくなるけど消えない」です。AAPAは、「Away at Performing Arts」 の頭文字。パフォーミングアーツの現状に一定の距離を置くという意味でしょうか。たしかにAAPAの作品は、いつも独自の切り口で、「作品論的作品」という側面があります。今回も舞台美術、衣装、ライブ演奏に、パフォーマーの動きが絡み合い、いろいろな要素が同時進行しながら、AAPA独自の宇宙論が展開しているかのようです。ふだんは劇場的空間で上演することは少ないAAPAですが、川俣作品が常設されたNYKホールでの新作上演という新たな試みでした。
3月30i日から5作品の連続上演を続けてきたCafelive2012はこれで終了です。
多くのお客様のご来場まことにありがとうございました!
カフェライブ2012 tarinainanika 「Coffee & I」+ Miya Music「Chakra Suite」
フライデーナイトのカフェライブは、パントマイムのtainainanikaとジャズフルートのMiya Music のダブルビル公演でした。ロンドンで長らく活動してきた巣山賢太郎さんとタニア・コークさんのコンビによる、「Coffee & I」。「コーヒーを飲む」という日常的な行為が、ふたりの息の合ったマイムで、ファンタジーの世界に昇華した作品です。そして、休憩を挟んで、Miyaさんのフルート、平山織絵さんのチェロ、マルコス・フェルナンデスさんのパーカッション、Chalagさんの映像によるコラボレーション「Chakra Suite」。PAを使わない完全アコースティックのサウンド作りは、響きのよいNYKホールならではの心地よさでした。最後は、音楽とマイムの短いスペシャルセッションもあり、超満員の客席も大満足の一夜でした。
カフェライブ2012 松岡大+LAND「快転」
カフェライブ第2週は、松岡大「快転」です。 ふだんは舞踏の山海塾のダンサーである松岡大さん。この作品ではダンスソロと映像(齋藤正和)、音楽(鈴木悦久)のコラボレーションを展開しました。肉体と光と音それぞれが、空間と独自の関係を築きながら、世界を作っていきます。NYKホールのインスタレーションを叩いて演奏したり、壁面に黒々と影を投影したりと、空間との関わりが緊密に計られている一方で、ときにはホール空間をはみ出して、肉体はNYKの河岸に転がり出、バンカートカフェの中二階でドラムソロが鳴り響いたりも。この公演をプロデュースする団体、LANDは吉祥寺の街中でパフォーマンスを繰り広げたりするだけあって、とてもダイナミックなライブでした。
カフェライブ2012 開催 つむぎね「わを」
本年のカフェライブは、アーティストとプロデューサーのチームを公募しました。その中から、音楽パフォーマンス集団、つむぎねを皮切りに、5チーム全12公演を、 NYKホールで連続上演しています。つむぎねは、ふだんは女性だけのヴォーカルですが、今回は初めて男性ヴォーカリストを迎え、特別編成19人の男女が生声とピアニカでパフォーマンスを披露しました。もともと独特の響きを持つNYKホール。川俣展のインスタレーションが常設され、音響空間としてもさらなる変貌を遂げたNYKホールの特性を捉えて、縦横かつ繊細に音が空間を巡り、時には近く、時には遠く、こころに響く音楽体験でした。つむぎねはライブハウスなどにも出演しています。ぜひいちど「つむぎね体験」してみて下さい!