BankARTスクール 福住 廉「アートの綴り方 vol.10」

2022年224 @BankART Station

美術評論家の福住廉による「アートの綴り方」を開講。「何をどう書くべきかをじっくりと考え、自分なりの言葉を確立させること」を目標にしたアートライティングの講座。

10回目となる今回は、全4回の短期集中で開催。

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横浜台北交流事業2021年度「横浜台北交換AIRプログラム2016-2019」スタート

2004年度からBankART1929が継続的に続けてきた、横浜市台北市交換AIR(アーティスト・イン・レジデンス)。昨年度に引き続き、今年もコロナの影響で中止となった。その代替えのプラグラムとして、2016年から2019年の間に台北で滞在制作した3組のアーティストの成果展を開催。

片岡純也氏+岩竹理恵氏(2016年度滞在)は、問屋街などで手に入れた乾燥ナマコを使い、茶器を鳴らすオルゴールのような作品など、ところせましに作品が並んでいる。

山下拓也氏(2017年度滞在)は、台北の街中にある工事現場に描かれたグラフィティが工事終了後に解体され、別の場所で再利用されるときに、上下や文字列があべこべになった状態に興味を持ち、それらを撮り溜め、波板にその絵を再現。今回は、その記録写真とともに、横浜バージョンを展開。

細淵太麻紀氏(2019年度滞在)は、台湾の特徴的な風景のひとつである屋根付きの通路帯「停仔脚」に着目。通路帯の構造を利用して巨大なピンホールカメラを制作し、撮影を行った。今回は、そのシミュレーションとそこからの風景写真を展示した。 

3組とも共通しているのは、3ヶ月間よく歩き、たくさんの場所、モノ、人、食べ物に出会っていることだ。コロナ禍の中、遠くの地の夢とエッセンスが感じ取れる展示となっている。

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片岡純也氏+岩竹理恵氏の展示

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山下拓也氏の展示

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細淵太麻紀氏の展示

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2/11[金]アーティストトークの様子

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■展覧会概要

横浜台北交流事業2021年度

横浜台北交換AIRプログラム2016-2019

会期 2022年2月9日[水]~20日[日]

時間 11:00~19:00 最終日は17時まで

料金 入場無料

BankART出版紹介 vol.19 日本縦断-ミーティングキャラバン

誰かに本著を勧めるとしたら、私はこう言うだろう。

「もし日本全国に点在するオルタナティブスペースで何が起きているか知りたい方はこの本をどうぞ。」と。本著は三部構成になっている。第一部は武藤勇氏をはじめとするアーティストグループ「N-mark」のメンバーが行なった「ミーティングキャラバン」の記録集。そして、第二部はカフェライン、第三部はN-markのメンバーが名古屋でスペースを運営していた4年間の活動記録が掲載されている。

さて、「ミーティングキャラバン」について。これは、N-markがオープンミーティング(誰でもどこでもアートの話ができる仕組み)と称し、日本全国を縦断しながら各地でミーティングを開催した。第一部にはその旅で出会った”場所”、”人”、”こと”が記録されている。北は北海道から南は沖縄まで全国各地で開催されたミーティングだが、どの場所もアンダーグラウンドで活動し、小さい拠点ならではの密度の濃い会話が行われていると本からでも伝わってくる。

普段なかなか全国各地で活動するオルタナティブスペースの存在を網羅的に把握することは難しいが、本著ではそんなスペースで活動する人たちの本音を垣間見ることができるだろう。

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ミーティングキャラバン-日本縦断、アートミーティングの旅 (2005年10月発行)

A5判変形 160ページ
1,714円+税ご購入希望の方は、ホームページをご覧ください。
http://www.bankart1929.com/bank2020/book/index.html

BankART出版紹介 vol.18 「Bゼミ–新しい表現の歴史—」

「Bゼミは美術大学というものからは育たない現代の芸術家たちを育てる役割を持っていました。」(引用P83「多木浩二」)

Bゼミは、当時の大学教育のアンチテーゼとして、小林昭夫氏のもと1967年に横浜で始まった日本初の現代美術の学習システムである。2004年に幕を閉じるまで数多くのアーティストを輩出してきた。本著は、小林昭夫氏の息子・小林晴夫氏が編集し、当時の美術大学の枠にとらわれない実験的で先駆的な現代美術教育の現場の歴史を知ることができる貴重な一冊である。

著書は、Bゼミに縁のある作家のインタビュー、Bゼミ歴史、そしてコラムの三部構成だ。インタビューやコラムには、斎藤義重氏や高松二郎氏、多木浩二氏など日本の戦後美術を牽引してきた作家や評論家たち総勢50名以上が文章を寄せている。Bゼミ歴史の章では、小林昭夫氏の生い立ちからBゼミができた背景、展覧会や演習ゼミの様子などが掲載されている。例えば、原口典之氏はゼミ「コンクリートを使って共同制作」を開講したり、田中信太郎氏はゼミ「線状の材料を使って何かをつくる」などを開催していた。また、時には電車の中や、Bゼミの教室の屋根の上でもゼミが行われていたそうだ。当時の美術大学にはなかった現代アートを学べる実践的なゼミが行われていたことが記録から分かる。

芸術の道を志す者ならぜひ読んでもらいたい一冊である。

©キク

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Bゼミ -新しい表現の学習の歴史 (2005年10月発行)
B5判変形 256ページ
2,286円+税
ご購入希望の方は、ホームページをご覧ください。
http://www.bankart1929.com/bank2020/book/index.html

草月会神奈川県支部主催「情と/が by K.NAKADA」開催中

@BankART KAIKO

草月会神奈川県支部主催の展覧会「情と/ by K.NAKADA」を1/25()から1/27()までBankART KAIKOで開催している。日本華道の流派のひとつのいけばな・草月流。「花のピカソ」とも称された勅使河原蒼風によって創始された草月流は日本華道の中でも、とりわけ自由な作風を重んじており、植物を用いない作品があるほどである。これまでも展覧会新いけばな主義(BankART Studio NYK/2017)、Stationでのワークショップを2020年に開催するなどのお付き合いがある。

今回BankART KAIKOで展覧会を開催することになったのは、現代アートの世界に、華道がどれだけ通用するのかを、インスタレーションという表現形式で挑戦するのが理由とのこと。監修は、草月流本部講師、同草範会理事で、日本いけばな協会会員の中田和子氏が務める。展示前の4日間、現場で中田氏と門下生56名での制作をおこなった。今回は竹と糸を素材に展開していった。BankART KAIKOが、全国の生糸が集まった場所の復元施設を意識して、糸をセレクトしたとのこと。最初に細く、自由度の高い竹で、全体の骨組みを作り、次に太い竹をさらに張り巡らすことで、作品全体を強固にし、最終的に空間を切り込むかのような線の集合体が生まれた。「ただ竹を曲げて、立体を構成させたのではなく、竹の太さごとに曲線の角度を調整している。竹は、太ければ太いほど、強度はあがるが、曲線に制限がある。そして、細ければ細いほど、自由な曲線を描けるが、重力にしたがって歪んでしまう。」と、草月会神奈川県支部長、篠田岳青氏は語った。

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ヨコハマみなとみらい物語Ⅲ みなとみらい21と都市デザイン室

2022年118日  @BankART Station

みなとみらい物語Ⅲの第2回目は、横浜市都市デザイン室室長梶山祐実氏が登場。
前半は、1960年代の飛鳥田政権から脈々と今に繋がる横浜市のまちづくりの歴史について、後半は、みなとみらい21地区の開発の概要が語られた。さらに、1971年に横浜市に「都市デザイン担当」が設置されて50年であることから行われている「50周年事業」のメインイベントとして、今年3月にBankART KAIKOで開催する展覧会の概要をお話しいただいた。

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ポストバブルの建築家展開催

BankART Stationにて開催の展覧会です。

以下、主催者より

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一般社団法人日本建築設計学会は、「かたちが語るとき―ポストバブルの日本建築家たち(1995-2020)」展を2021年11月23日から2022年2月19日の期間で国際交流基金パリ日本文化会館で開催しています。この「かたちが語るとき」展は、2017年にアジール・フロッタンの内部において開催しようとした企画から始まっています。

アジール・フロッタンとは1929年に、ル・コルビュジエが救世軍の依頼によりリノベーションした船「ルイーズ・カトリーヌ号」の通称です。元はパリ市内に石炭を運搬するために1919年につくられたコンクリートの箱船で、その船を救世軍が買いとり第一次世界大戦の影響によりパリ市内に多くいた難民を収容する目的で避難所へとリノベーションしたものです。当時、コルビュジエの元に弟子入りしていた日本人建築家前川國男がこのプロジェクトを担当し完成させています。

その後、浮かぶ避難所はセーヌ川に100年近く浮かび続けてきましたが、2018年2月、セーヌ川が増水したことによるアクシデントにより、水面下に呑み込まれてしまいました。この窮地を救うため、前川國男が設計した縁もあり国際文化会館からの助成を受け、2019年3月からアジール・フロッタン復活プロジェクトがスタートしました。このプロジェクトの一環として「かたちが語るとき」展の企画を進め、国際交流基金パリ日本文化会館にて同展を共催することになりました。五十嵐太郎氏のキュレーションにより選ばれた35組の建築家(主に1960年以降に生まれ、日本で活動する建築家たち)により同展を共催することになりました.。このパリ展開催と並行して日本でも同展を開催する企画が始まり、昨年兵庫県立美術館において「ポストバブルの建築家」展(かたちが語るとき展企画時の日本語タイトル)として実現し、今回は横浜バンクアートで開始するする運びとなりました。会場構成は建築家竹口健太郎のデザインにより、アジール・フロッタンの船内の空間を想起させるインスタレーションとなっています。 

最後に、アジール・フロッタンは2020年10月19日に無事浮上しました。水没から2年8ヶ月水中にありましたが、セーヌ川左岸に再び姿を現したことをお知らせします。アジール・フロッタン誕生からおおよそ100年の時を経て、前川國男がとり結んだ奇縁により「ポストバブルの建築家」展が実現することになりました。ぜひ会場に足をお運びください。

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一般社団法人日本建築設計学会
「ポストバブルの建築家展-かたちが語るとき-アジール・フロッタン復活プロジェクト」
会期2022年1月12日[水]~2月19日[土]
会場BankARTStation
入場料700円
http://www.adan.or.jp/news/event/3283

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©スターリン・エルメンドルフ