BankART Under35 2021 諌山元貴、菅実花 個展スタート
第三期は、菅実花氏と諌山元貴氏の個展。
ラブドールを妊婦姿で撮影した作品《The Future Mother》で注目を集める菅氏。近年制作している自身の顔を型取り作成した人形とともに写るセルフポートレートシリーズ「あなたを離さない」では、人間らしい人形と、人形らしい人間が並び映し出されており、どちらが本物なのかを謎解きするような作品だ。今回は、ストッキングをレンズのフィルターとして撮影したことで、ソフトフォーカスなイメージがより虚実の境界へと誘ウ作品になっている。
諌山氏は、広島を拠点に活動する作家。15mの壁面には、白い棒状の塔がゆっくりと崩壊していく映像が映し出されている。それと、マネキンや自身を3Dスキャンした頭部・腕・脚のパーツが台上に並べられ、観葉植物とピンクの植物養成ライトが配されたインスタレーション。この2要素がリンクして、現実世界から切り離されたような空間が出現している。長時間、この光景を眺める人も多い。
諌山氏いわく、「近い将来iPS細胞医療の発達で人間のパーツも取替可能にあってしまい、身体もそれを取り巻く環境も、終わりのある物理的な時間がなくなり、生と死の概念が無くなってしまう」とのこと。
近未来的な価値観でオリジナルを問う2人の作家、モチーフなど相似点もあるからこそ、作家の表現や、姿勢を比較して楽しんでいただければと思う。
オープニングの様子
BankARTAIR 2021 SPRING アーティストトーク第5回
5月29日(土)19:00〜20:30 照沼晃子+ちゃぶダイブChabu Dive/松本恭吾/渋田 薫/嶋﨑美音
関東学院大学教育学部教授の照沼晃子は、今回はクリエイターとして参加。都市のゴミをどう活用していくか、現状と活動内容を話された。松本恭吾氏は、岡山と東京を往来しながら活動する作家。今回は、横浜の郊外地区を自身で歩き、集めた風景を元に絵描き、最終的に絵本を制作するとのこと。完成は30ページ相当とのことで、長期プロジェクトになりそうだ。渋田 薫氏は、少年自衛官、メイクアップアーティスト、植物店、料理人などを経験後、ペインターとして活躍する作家。音楽や自然音を絵画に取り組む表現形式で活動。国内外でレジデンス、発表を精力的に活動している。今回は、横浜を歩き、インスピレーションを得て新作を描いたとのこと。嶋﨑美音氏は、横浜生まれの彼女は、ロザンゼルスに留学、2015年にニューヨークを拠点に活動。2020年横浜を拠点に活動。旅先などありふれた日常風景をフィルムカメラで取っている。とくに目には見えないものの声や言葉に寄り添うような、写真における「音」表現の可能性に着目しているとのこと。
照沼晃子+ちゃぶダイブChabu Dive
松本恭吾
渋田 薫
嶋﨑美音
会場の様子
BankARTAIR 2021 SPRING アーティストトーク第4回
5月21日(金)19:30~21:00 敷地 理/細淵太麻紀/山岡瑞子/ビコ コンドウ/高橋美乃里
敷地理氏はU35第二期に選出され、パフォーマンスを中心に活動している作家。今回の展示の説明、過去作や最近興味を持っているサッカーシミュレーション、テニス、狼の遠吠えなどの素材映像等をプレゼン。
細淵太麻紀氏はこれまでの作家活動に加え、過去3回開催したステーションでのレジデンスに参加した成果物を中心に発表。山岡瑞子氏は、アメリカに留学した際、交通事故にあい、車椅子生活になったこと、それから復活して、映画を撮影したことなどを話した。ビコ コンドウ氏は、ニューヨークで6年活動を行っていたが、昨年より横浜に居を活動。アクリルジェッソを何層も塗り重ね、その上に少量の色を少しずつ塗り重ねる独特の質感表現方法などを詳しく説明。高橋美乃里氏は、昨年、Creative Railwayの企画として新高島駅のプラットホームで行った絵画展に選出された作家である。最近は平面だけでもなく、コンクリートや土、木材などを使った立体も作成、着眼点などを話した。
敷地 理
細淵太麻紀
山岡瑞子
ビコ コンドウ
高橋美乃里
会場の様子
BankART U35 2021 第2期 木下理子、敷地 理、金子未弥スタート
BankARTAIR 2021 SPRING アーティストトーク第3回
2021年5月8日(土) @BankART Station
リン・チャーチル氏は、今回のレジデンスの最年長。アトリエいっぱいに和紙を貼り、パワフルに体を動かしドローイングを描く。トークでは日本語でも挑戦してくれ、彼女が各地で撮影した広大な自然風景写真など、制作のインスピレーションの元となるような資料を見せてくれた。
秋山夏海氏は、今春に東京造形大を卒業したばかりの若手。性暴力を受けた知人の話から日本の性教育についての疑問をインスタレーションで表現するなど、思考そのものに対する疑問を制作に落としこんでいる。今回は、都市と人の関係に着目し制作中とのこと。
金子未弥氏は、KAIKOで現在開催中のU35に選出された「記憶」と「都市」をテーマに活動している作家だ。他者から記憶に残る場所やエピソードを聞き、その場所名をビニールテープなどでつなぎ合わせることで、記憶の地図のようなイメージを浮かび上がらせる作品を手掛ける。トークでは昨年の黄金町バザールでの作品や、今回の個展の作品などの解説をいただいた。
新江千代氏は、布を素材にしたインスタレーションや映像作品を主に発表してきている作家。今回は、近年亡くなられた彼女の父の記憶や、実家に父が植えた桜の木(これから伐採することになる)など、不在の存在への記憶、これから手放していくという行為に着目した新作を取り掛かっているという話をしてくれた。
各人が着目するキーワードなどを比較しながら、考えることができる会だった。
BankART AIR 2021 SPRING アーティストトーク第2回@Station
コロナ禍の最中だったが多くの来場があり、作家と参加者の間で活発な意見が交わされた。
「ひきこもり」という自身の体験に基づくキーワードを中心に、表現活動を展開してきている渡辺氏は、R16スタジオのコンクリートの部屋に一週間閉じこもり、壁を破ってでてきた作品や、それに続く「同じ月をみた日」など、プレス的にも話題になったプロジェクトをことの始まりから、丁寧に話された。三枝氏は、今まで“素材”との交信にこだわってきた立体作品の変遷や、最近始めた写真作品を紹介。建築の歴史の専門家の関氏は、昨年大学を退官されたが、現在独自に行なっている北海道でのプロジェクト「das kleine bauhaus」の取り組みについて話された。葉栗氏は、黄金町や中国、韓国で油絵を中心とした制作活動のことや、コロナの影響で平面を離れ、立体作品の制作を始めたことに触れた。橋村氏は、社会現象をテーマにイラストレーションのような絵画表現のシリーズが特徴だが、今回はコロナ禍に反応したパッチワークのマスク作品制作について語った。
BankART Under 35 2021井原宏蕗展、山本愛子展スタート
BankART AIR 2021 SPRING アーティストトーク スタート@Station
現在開催中の「BankART AIR 2021 SPRING」の関連プログラムとして、恒例の週末のアーティストトークが始まった。コロナ禍の中、人数もアルコールも制限しての会だが、作家も一般の方も皆さん熱心に参加してくださっている。本日は4名の作家の発表。土屋氏は以前ロンドンで行ったインスタレーション作品を中心に作品を解説。片岡+岩竹の両氏は、先年東京都現代美術館で行った作品を中心に作品の成り立ちを話された。窪田氏はずっと継続している衣類を使ってのプロジェクトの紹介。秋山氏は、これまでの都市で行っている様々なプログラムや現在取り組んでいる焙煎をテーマにした活動について話された。
次回以降の日程は下記より
http://www.bankart1929.com/bank2020/news/21_019.html
BankART BLOGリニューアルのお知らせ
2021年4月よりスマホ用のブログを開設しました。
ぜひ、ご覧いただければと思います。
https://note.com/bankart1929
2021年4月
BankART1929