2022年1月18日 @BankART Station
みなとみらい物語Ⅲの第2回目は、横浜市都市デザイン室室長梶山祐実氏が登場。
前半は、1960年代の飛鳥田政権から脈々と今に繋がる横浜市のまちづくりの歴史について、後半は、みなとみらい21地区の開発の概要が語られた。さらに、1971年に横浜市に「都市デザイン担当」が設置されて50年であることから行われている「50周年事業」のメインイベントとして、今年3月にBankART KAIKOで開催する展覧会の概要をお話しいただいた。
BankART Stationにて開催の展覧会です。
以下、主催者より
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一般社団法人日本建築設計学会は、「かたちが語るとき―ポストバブルの日本建築家たち(1995-2020)」展を2021年11月23日から2022年2月19日の期間で国際交流基金パリ日本文化会館で開催しています。この「かたちが語るとき」展は、2017年にアジール・フロッタンの内部において開催しようとした企画から始まっています。
アジール・フロッタンとは1929年に、ル・コルビュジエが救世軍の依頼によりリノベーションした船「ルイーズ・カトリーヌ号」の通称です。元はパリ市内に石炭を運搬するために1919年につくられたコンクリートの箱船で、その船を救世軍が買いとり第一次世界大戦の影響によりパリ市内に多くいた難民を収容する目的で避難所へとリノベーションしたものです。当時、コルビュジエの元に弟子入りしていた日本人建築家前川國男がこのプロジェクトを担当し完成させています。
その後、浮かぶ避難所はセーヌ川に100年近く浮かび続けてきましたが、2018年2月、セーヌ川が増水したことによるアクシデントにより、水面下に呑み込まれてしまいました。この窮地を救うため、前川國男が設計した縁もあり国際文化会館からの助成を受け、2019年3月からアジール・フロッタン復活プロジェクトがスタートしました。このプロジェクトの一環として「かたちが語るとき」展の企画を進め、国際交流基金パリ日本文化会館にて同展を共催することになりました。五十嵐太郎氏のキュレーションにより選ばれた35組の建築家(主に1960年以降に生まれ、日本で活動する建築家たち)により同展を共催することになりました.。このパリ展開催と並行して日本でも同展を開催する企画が始まり、昨年兵庫県立美術館において「ポストバブルの建築家」展(かたちが語るとき展企画時の日本語タイトル)として実現し、今回は横浜バンクアートで開始するする運びとなりました。会場構成は建築家竹口健太郎のデザインにより、アジール・フロッタンの船内の空間を想起させるインスタレーションとなっています。
最後に、アジール・フロッタンは2020年10月19日に無事浮上しました。水没から2年8ヶ月水中にありましたが、セーヌ川左岸に再び姿を現したことをお知らせします。アジール・フロッタン誕生からおおよそ100年の時を経て、前川國男がとり結んだ奇縁により「ポストバブルの建築家」展が実現することになりました。ぜひ会場に足をお運びください。
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一般社団法人日本建築設計学会
「ポストバブルの建築家展-かたちが語るとき-アジール・フロッタン復活プロジェクト」
会期2022年1月12日[水]~2月19日[土]
会場BankARTStation
入場料700円
http://www.adan.or.jp/news/event/3283
美術ジャーナリストでありBankARTスクール校長の村田 真が30年来の絵画に挑戦する。美大生時代に一度は諦めた絵筆を再度取り直し芸術のオリジナリティーへ問いかける作品を紡ぎ出す。
本図録に収録されている《豆腐絵画》では日本の西洋絵画の第一人者である高橋由一の《豆腐》を彼なりに解釈した斬新な作品が載っている。本作は高橋氏の《豆腐》に描かれた事象を描きなおすに当たって豆腐の形状やキャンバスの質感に注目した。その結果豆腐1丁、焼き豆腐2丁、油揚げ2枚が一見オブジェのように並べられていながら絵画の必要条件であるキャンバスの上に描くという事柄は満たしているというなんともキテレツなものが誕生した。
高橋氏が当時《鮭》やら《豆腐》やら絵画のテーマにわざわざするひつようのないものを描いたのは、西洋の進んだ技術である油絵がいかに素晴らしく写実的であるかを、誰の家にもある身近な物で表現するためであった。村田氏の《豆腐絵画》は高橋氏が追及したリアリティーをより顕著にしたもの、ある意味高橋氏が成し遂げたかった最終形態を形にできたのではないかと思う。
このような「絵画」「美術」「芸術」の固定観念を見つめ直し、新たな価値基準を与えてくれる作品が収録されている。皆さんも本書を手に取って本当の絵画を探す旅に出てみてはいかがだろうか。
村田 真《絵画芸術》(2011年8月発行 )
A5判 20ページ
¥300円
ご購入希望の方は、ホームページをご覧ください。
http://www.bankart1929.com/bank2020/book/index.html
2020年コロナによって学外展が中止となった2019年度卒業の多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻の有志14名によるリベンジ卒業展だ。2日間という短い会期だったが、大学関の先輩、後輩、先生、企業関係者など400名を超える来場があった。まさに彼らの掲げた「日の目を見る」というタイトル通りの展覧会となった。それぞれの発表作品はもちろんのこと、今回は卒業制作を手掛けるきっかけとなったモチーフも展示していたり、売り物にしても問題ないレベルの装丁デザインの卒業展カタログなど、至る所に工夫が見られた。
本書は2020年2月11日に刊行された現代美術家渡辺篤の作品記録集である。
氏はひきこもり当事者としてのベースを持ち、社会的弱者の声を当事者の側から掘り起こし、鑑賞者を自己批判的に逆照射する作風で知られる。
本書の構成は渡辺篤のプロジェクトの概要と成果を、章ごとに分けて構成している。また、章の途中には美術評論家福住廉による渡辺篤の作家性と作品性をソーシャリー・エンゲージド・アートの観点から論じている。
渡辺篤の作品には、多くの社会的弱者としてのバックグラウンドを持つ当事者たちが、プロセスに参加しているため、本書を読むときに、読者である自分もまた、誰かを攻撃していたり、攻撃されたりしている当事者性が惹起される。
この本そのものの表装がひび割れたデザインになっているのは、その作家性を代表する「ひび割れ」ではなく、読後感を暗にほのめかしているのかもしれない。
金継ぎによって、一度壊れていたものが再生する過程のように、現代社会に生ける私たちの荒んだ心を癒している。そう思いもした。
福住廉は本書で渡辺篤の作品についてこう書いている。
「テーマとメディウムが見事に調和している」と。
ひきこもりという社会的課題が、物体を持って我々に問いかけるような氏の作風は確かに、アート的であり、社会的でもある。
「アイムヒア」渡辺 篤(2020年2月発行)
B5判 80ページ
¥1,000+税
ご購入希望の方は、ホームページをご覧ください。
http://www.bankart1929.com/bank2020/book/index.html
本書は2010年にBankART Studio NYKで行われた朝倉摂氏の大規模な個展に際して出版されたもので、朝倉氏による絵本原画や挿絵、舞台のイメージ・コンセプトドローイングのほか、福原義春氏との対談の内容も収められている読みごたえのある一冊だ。
朝倉氏は本書が出版された当時、88歳を超えても現役で国内外を駆け巡り、舞台美術家として活躍してきた方だ。舞台美術家として関わるジャンルも現代劇、歌舞伎、商業演劇、オペラ、ミュージカル、バレエ、日本舞踊、コンサートと実に幅広く、また日本画出身というだけあって、本書に収められているドローイングや挿絵など平面上での表現力の高さにも驚かされる。
様々な舞台写真が収められている中で特に印象的だったのが、2007年の『動物園物語』の舞台装置である。柔らかい光が差し込む樹々の下でベンチに座り本を読む男性。目を凝らしてみると、木の幹には縦に線の入った梱包用のダンボール資材が、そして葉の部分には網状に切れ目の入った梱包用紙が用いられているようだ。ランダムに光が漏れる様、そして風にそよいでいるような軽やかな気配は、まるでふと公園に迷い込んだかのような自然な印象を受ける。
絵画という二次元の表現に飽き足らず、三次元、四次元の拡がりをもつ舞台芸術の世界へと羽を広げていった朝倉氏。ノンフィクション作家の吉岡忍氏による語りの中で、「変わっていく感じ方のなかで、いま作っている舞台をもう一度見直してみるっていうことはしょっちゅうあります。だから、一回作ったものを壊すことは、私にとっては当たり前なんですよ。」という朝倉氏の言葉には、生きる姿勢そのものが現れているようだ。
朝倉 摂「アバンギャルド少女」(2010年9月発行)
A4変型判 224ページ
¥2,000円+税
ご購入希望の方は、ホームページをご覧ください。
http://www.bankart1929.com/bank2020/book/index.html
これまでに数多くの個展やプロジェクトを行ってきた、日本の画家、幸田千依。BankART UNDER35に際して、2013年に発行されたこのカタログには、幸田が2010年から2013年までに柏、別府、台北など様々な場所で作り上げた、どれも水・プール・人の群れをテーマにした作品が数多く掲載されている。
本カタログには幸田の作品掲載の他にも、複数見所がある。
まず一つ目に、カタログ前半部分の、幸田による製作の際を振り返ったテキストである。作品が生まれるまでの時間をどう過ごし、どのような過程で最終的にその形の作品が出来上がったのかが記載されているこのページは、作品を楽しむ上で必要不可欠な要素をふんだんに含んでいる。
二つ目は、芹沢高志と幸田千依による対談、『「見る」ことと「描く」こと』である。幸田の作品の大きなテーマである、水、プール、それから人間社会。幸田がどのようにしてそれらのテーマに出会い、絵に描くまでに至ったのかが事細かく言葉にされている。ただ一つの作品やその説明書きをみるだけではわからない、幸田の全ての作品に込められた想いが込められたこの対話は、幸田のこれまでの作品、そしてこれから生み出されるであろう作品を楽しむ上で、とても重要になるだろう。
幸田千依の作品に込められた想い、それから幸田らアーティストの手からどのようにして作品が生まれるのかに興味がある方には、ぜひ手に取ってほしい一冊である。
幸田千依 Chie KODA(2013年3月発行)
A4判 20ページ
¥200円(税込)
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http://www.bankart1929.com/bank2020/book/index.html
BankART Under 35 2021 に際して同年4月に発行された井原宏蕗のカタログは、作品を創る者や常日頃から芸術作品に触れている人以外の人にも、ぜひ一度手に取って欲しい一冊である。
当カタログは、角川武蔵野ミュージアムキュレーター、高橋洋介による「人新世と崇高のスカトロジー:井原宏蕗にみる芸術的な排泄物の系譜」から始まる。日英両文で記載されているこの文章は、ぜひ、本を開き作品を見始める前に、一度目を通し、じっくりと読み考えて欲しい内容となっている。糞・尿を多く用い創られる井原の作品に関することだけでなく、現代の作品や、我々が生きる地球、かつてこの場で生活していた人々についてまで書き記されているこの二ページは、もとより我々の心の内にあった先入観を一度クリアな状態に戻してくれる。
さて、その次のページからは、一見は綺麗に見える糞尿の作品の細部までがありありと映されている写真が広がっている。それぞれには、作品と、井原という一人の芸術家自身を理解する上で最も重要となる、作品の生まれたわけ、生成時に込められた思い、それから作品の原材料などの詳細が記載されている。作品をより楽しむため、ぜひそれらをじっくりと読んだ上で思考を巡らせて欲しい。
一度全ての作品をじっくりと眺めた最後には、ぜひ最初の二ページに再度目を通して欲しい。初めに感じたのとは違う新しい、きっとこの先芸術作品と向き合っていく上で非常に重要となる思いが生まれるだろう。





井原宏蕗 Koro IHARA(2021年4月発行)
A4判 20ページ
¥200円(税込)
ご購入希望の方は、ホームページをご覧ください。
http://www.bankart1929.com/bank2020/book/index.html
艶やかな漆黒の表紙に惹かれて思わず手に取った一冊。
そこには『首くくり栲象(たくぞう)』と鮮やかな赤い文字でタイトルが刻まれている。
本書は、20年以上にわたって自宅の庭である『庭劇場』で首を吊るパフォーマンスを行い、2018年に逝去した首くくり栲象を追った写真家 宮本隆司氏による写真集だ。冒頭の宮本氏の文章からはじまり、首くくりが行われる『庭劇場』へ誘われるように進んでいく写真、首をくくる栲象氏の写真のあとには、家屋で過ごす日常を捉えた写真も収められている。
そしてそれらの栲象氏の姿にはどれも、彫刻作品のように静寂の中に存在する生の美しさがある。
新鮮な驚きだったのは、首をくくるという同じ行為においても、栲象氏はその時ごとに違う表情を見せているということだ。
人間としては当たり前のことなのだろうが、栲象氏がどれだけ生身の精神で首くくりに向かっているのかが伝わってくる。
宮本氏によると、『首くくり栲象は自分の行為にまつわる神秘的な想いを嫌っていた。「毎日、庭で首をくくっています」とごく普通のことをやっているように言っていた』そうだ。また、宮本氏は家が近かったこともあり、約十年間栲象氏の姿を写真に収めてきたという。近い距離での関わりであったからか、写真集には首くくり以外の人間味のある栲象氏の姿も映し出されている。その中でも大量の書物の壁によりかかり、うたた寝をする栲象氏の写真があるのだが、なんともその『うたた寝の姿』の方が『首くくり』よりもまるで死に近いような様子である。そうして首くくりの写真に戻って見てみると、その姿はどれほど生きている姿なのだろうと思うのだった。
最後には演劇評論家である長井和博氏による克明に描かれた首くくりの文章と栲象氏の略歴も見ることができる。
この本を通して残された『首くくり栲象』という一人の人間の生きた痕跡を、私たちはどのように受け止められるだろうか。
宮本隆司:首くくり栲象(2018年12月発行)
B5版 108ページ ハードカバー
¥2,200+税
ご購入希望の方は、ホームページをご覧ください。
http://www.bankart1929.com/bank2020/book/index.html
『時代をすーっと走り続けた田中信太郎の、大らかなそして繊細な地殻変動を感じとっていただければ幸いです。』
本誌はBankART NYKにて2014年に開催された「田中信太郎 岡崎乾次郎 中原浩大〜かたちの発語展」に伴い刊行された田中氏の個人カタログ。
冒頭の言葉の通り、本カタログでは1959年から2014年までの田中信太郎氏の作品の変遷を、残された膨大な写真とともに振り返ることができる。それだけでなく、田中信太郎氏と美術評論家・光田ゆり氏との対談も掲載されており、同作家の生い立ちや生き方、哲学など総合的に田中信太郎という人物に触れることが出来るだろう。
カタログには、なかなか見ることが出来ないネオダダ・オルガナイザー時代の若き日の写真や代表作《ハート・モービル》、1970年「人間と物質」展で出展した作品《無題》、ヴェネチア・ビエンナーレでの展覧会の様子、そして1985年、病を経験した後で制作された《風景は垂直にやってくる》など。他にも国内外問わず様々な場所で制作されたコミッションワークの数々がある。
物質をぎりぎりまで追い込んで削ぎ落とされたミニマルな表現形式の作品達は、たしかに同時代に活躍した「もの派」の作品を彷彿させるが、田中氏はそうカテゴライズされることを拒否する。そして、月日が経ちその後制作された作品《無題》や《風景は垂直にやってくる》などを辿ると、人生や時代の変化に合わせて作品を柔軟に変化させ、挑戦し続けている姿を感じ取ることが出来るだろう。しかし、そうした変化の中にも一貫した何かがあると思わずにはいられない。
田中氏は光田氏との対談の中で「終始一貫性」に関して以下のように言及している。
「..僕は一貫性というのは、その作家が若いときから死ぬまでの長い時間の中で、(省略)時代の変化もあるし、自分自身の変化もあって、いろんなことをトライすると思うのですね。そのトライした結果の匂いといいますか、(省略)、この人では無ければというものが、そこの部分が一貫性の一番重要なところで、表面的な変化ではないという言い逃れをしています。」
変化を自然なものとして迎え入れ、挑戦を積み重ね醸し出される唯一無二な”匂い”とは。私はそれを感じ取りにもう一度田中信太郎氏の作品を見たいと思った。
田中信太郎 Shintaro TANAKA 1946-2014(2014年4月発行)
A4判 192ページ
¥2,000+税
ご購入希望の方は、ホームページをご覧ください。
http://www.bankart1929.com/bank2020/book/index.html