BankART LifeⅥ – 「都市への挿入」川俣 正展について 2020年9月12日

ヨコハマトリエンナーレ2020連動の「都市への挿入 川俣 正 BankART Life Ⅵ」がスタートした。日本最大規模の展覧会と協働するにあたり、BankART 1929がセレクトしたアーティストは川俣正という一人のアーティストだ。複雑な様相を呈しているヨコトリ本体に対して、単純明快でいこうと考えたからだ。川俣氏の作品が単純というのではない。むしろ氏の作品は、緻密に組み立てられた構成は驚くほど複雑だし、遠い場所(空間/時代)をみているし、そう簡単に理解できるものではない。とはいえ、氏の作品は、理屈ぬきに都市の中(あるいは社会の中で)にはっきりとした立ち位置とメッセージをもっており、誰もが強いインパクトを受ける作品なのだ。

特設ブログから垣間みることができるように、生みの苦しみが連続のプロジェクトではあったが、設計、施工チーム、グラフィック、web担当、映像、写真、コーディネートスタッフ、アルバイト、横浜市文化観光局、整備局、環境創造局、横浜高速鉄道(株)、その他関係者各人がそれぞれの立場で全力をつくしてくれたおかげで、なんとか実現にこぎつけることができた。

ただ、展覧会は9.11でスタートしているのにチラシの表紙を飾る作品はまだ着手されていない。9.14朝から、元気よくつくり始めるので見守っていただきたい。これから台風もあるし、まだまだハードルがあると思うが、ひとつずつ丁寧に乗り越えていきたい。出来上がった作品は少し派手かもしれないが、それを支える日常は極めて淡々とした営みなのだ。

■BankART Temporary内部
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■馬車道駅構内
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■BankART Station展示風景
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■BankART Temporary外部模型
制作は9/14からスタート
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川俣展 リモートオープンミーティング 2020年9月11日

9月11日(金)18時45分から45分程度、川俣正展のオープニングパーティではなく、「オープニングミーティング」をリモートで行った。乾杯は、ワイン、ウーロン茶、ビール等、60ミリ程度の小さなカップ一杯のみ。文化観光局局長神部氏、川俣氏のトークの後、参加者に自由に手をあげてもらい、遠くに住むチャーミングでたくましい恋人に各々が挨拶とエールを送った。

動画はこちらからご覧ください。
http://bankart1929.com/life6kawamata/#archive

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右:設計 鈴木事務所 鈴木雄介氏
中:鈴木事務所 レオ・アレガー氏
左:施工チーム代表 株式会社 豊国 甲斐 康生氏

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横浜市創造都市推進課 文化観光局局長 神部 浩氏

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村田 真氏

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BankART AIR at Temporary 2020 OPEN STUDIOスタート 7月23日〜26日、7月31日〜8月2日

1ヶ月半ほどの短期AIRプログラムにもかかわらず、参加者の作品のレベルは高く、完成度が高い作品も見受けられた。
キャンバスいっぱいに展開した彩色豊かなバラの絵画は樋口昌美さんの作品。壁一面を覆い尽くすドローイングやオブジェを制作していた堀江和真さんと
建築家、足立真輝さんとのコラボレーション。コロナ禍の中、朝早くから夜遅くまで黙々と仕事をすすめているクリエイターたちの姿は頼もしく感じられた。美術館やギャラリー、横浜市の方々や近くの住人の方等、多様なお客さんが来館された。連日開催したアーティストトークも満席で、トーク終了後も閉館まで交流を楽しんでいる様子が印象的だった。

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樋口昌美

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堀江和真

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足立真輝

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アイムヒア プロジェクト|渡辺 篤「修復のモニュメント」 2020年7月26日まで

2月下旬にオープンした本展はコロナ禍の影響で休止。6月1日に再スタートした。

「ひきこもり」をテーマに様々なプログラム行ってきたアーティスト渡辺氏。今回は、さまざまな「ひきこもり」の経験がある人と関わりながら、多様な造形物を制作展示した。誤解を恐れずにいうと、そのプロセスをドキュメンテーションとして展開した展覧会である。コンクリートの造形物を破壊し、金継ぎにより再構築された作品群。金継ぎの手法は、破壊と修復の痕跡を明確に辿り、強い視線で我々に迫ってくる。コロナ感染で、ひきこもることを余儀なくされた多くの人たちは、渡辺の試みをどのように受け止めるのだろうか?

今回の展覧会で刊行した作品集『I’M HERE』を手にとって欲しい。「他者」と「共感」について、思考を深めてくれる1冊となっている。

購入はこちら

http://www.bankart1929.com/bank2020/book/0_watanabe.html

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BankART Temporaryの空間  2020年7月18日

Stay home、家にいるのが安全、パソコンと携帯だけをたよりに、引きこもり状態で過ごす日々が続く。身体も心もいつのまにかどよーんとしてきて、なまっていて、心から笑う事ができない。
そろそろミニマルな散歩ぐらいはと、おそるおそる考えている人に、緑陰図書館と命名した竹音と光と影だけが充満するやさしい空間をプレゼントしよう。
ここで何ができるわけでもないが、天井の高いクラシック空間とアーティストたちの饗宴は、コロナ感染の包囲網と長雨の憂鬱を束の間、忘れさせてくれ、肩の力を取り除いてくれるはずだ。

■映像はこちら
「緑陰図書館2020」松本秋則+高橋啓祐
撮影・編集:本田孝義

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横浜新市庁舎 2020年6月29日

2020年6月29日、横浜市新市庁舎がスタートした。馬車道駅に直結し、新しく出来たさくらみらい橋で桜木町駅にも直結という利便性を完備している。
横浜のまちづくりに深く関わってきた槇文彦氏設計による31F建ての新市庁舎には、商業施設、保育所、金融機関が入居。また、1Fのアトリアムや3Fの市民ラウンジでは、市民が集い、自由に時間を過ごすことのできる場所も用意されている。関内地区に約60年間、時を過ごした旧市庁舎と職員増員に伴う周辺ビルへ分散していた市役所がひとつにまとまり、道路を挟んで開発された帝蚕倉庫群の再開発とともに北仲地区の新しい横浜の顔となっていくだろう。

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写真:森日出夫

「BankART Temporary」オープン 2020年6月19日

台湾横浜交流レジデンス2019の細淵太麻紀さんによる報告会
松本秋則+高橋啓祐の1Fホールでの展覧会
3Fに入居しているAIRプログラム2020の11チームのクリエイターの紹介
ワンイヤークリエイター(ロングステイ)の紹介
以上のオープンプログラムで、BankARTの古巣、「BankART Temporary」は静かにスタートをきった。2019の年末、急な話でこの第一銀行の話がすすみ、コロナ感染の問題もあり、時期は遅れたが、6月19日にはなんとか新しい拠点としてデヴューすることができた。とはいえ、案内はいつもの1/100程度しか送付できず。人が集まらないかと、ドキドキだったが、多くの知己、旧友が三密すれすれ状態で集まってくれ、楽しい会になった。
BankART1929は、BankART Studio NYKの2018年の解体以降、根本的な再編を現在も余儀なく行っていて、ホーム、シルク、R16、station、そしてTemporary等の様々なレベルでの再構築は、今後も続いていく。
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BankART Temporary(ヨコハマ創造都市センター)OPEN!

BankART1929が始まった際に活用したのは、1929年生まれの旧第一銀行と旧富士銀行(現在の東京藝大)のふたつの建物だった。旧第一の方は、「BankART 1929 Yokohama」、旧富士銀行の方は「BankART 1929 馬車道」と命名。2004年のことだ。
諸事情があって「BankART 1929 馬車道」はすぐに東京藝大に譲り、「BankART 1929 Yokohama」の方も、2008年度でBankARTとしての活動は終了した。
2020年度、再び諸事情があって、一年限定のプログラム「BankART Temporary」が、4月から静かに始まっている。新型コロナ感染の事情もあり、現段階では展覧会という体裁はとれないが、雨風をしのげる街の中の通り道のような場所として、利用していただければと考えている。
竹と音のインスタレーションは松本秋則さんの作品。
暗くなったら建物内外に映し出される映像は高橋啓祐さんの作品だ。
この古典建築に似合いそうなBankARTに関わりのある作家たちの生き物も徐々に配していく予定だ。
密度と会話と欲望を遠ざける都市の中で、どのようにアートが街いく人と会話を続けられるかのささやかな試みだ。

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BankART1929 Yokohama|2004年

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BankART1929 Bashamichi|2004年

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旧第一銀行|1929年頃

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BankART1929 Yokohama Opening|2004.3.6

台北市・横浜市アーティスト交流プログラム2019 李 承亮「横浜星猩(よこはましんしん)」2020年3月20〜29日

台北市・横浜市アーティスト交流プログラムで、1月からBankART SILKのスタジオ内で制作を続けてきた李 承亮(リ・ショウリョウ)氏。その滞在成果の発表となる展覧会「横浜星猩(よこはましんしん)」展が、BankART Stationで始まりました。彼は今まで立体作品を作っていましたが、今回は初めてアクリル絵具を使って平面作品を挑戦しました。メインは10mのキャンバス絵画作品です。横浜での生活風景からインスピレーションを受けて、列車の様なマンションや缶コーヒーの広告、雑誌の切り抜き、マンガのひとこま、赤い猩猩(しょうじょ)など、李さんが想像した横浜のSFの世界が描かれています。もうひとつのメイン作品は、ブルー色の「猩猩」の彫刻。木材や金属、コンクリートなどの材料を組み合わせた作品です。足元に何かを踏んでいます。人間の様々な思いや欲望や優しさを表しているのでしょうか。
他、過去作品の写真や記録映像も公開しております。

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「横浜星猩(しんしん)」

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「コカコーラー広告」&「ブルー猩猩(しょうじょう)」

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「ブルー猩猩(しょうじょう)」

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過去作品の写真と映像

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台北駐日経済文化代表所横浜分所所長張淑玲(ちょう・しゅくれい)氏と李承亮(り・しょうりょう)氏

アイムヒア プロジェクト|渡辺 篤「修復のモニュメント」 2020年2月21日~3月15日

美術家・渡辺篤氏が発足、中心となって活動している「アイムヒア プロジェクト」による展覧会「修復のモニュメント」をBankART SILKで開催。
自身も過去にひきこもりの経験を持つ渡辺氏。2013年ひきこもり生活から美術家として復帰後、横浜を拠点に、制作・発表・出版活動・またそのプロジェクトへの取材対応と、どれも丁寧に対応され、活発な活動が続いている。

「修復のモニュメント」は、ひきこもり当事者・経験者6名との、対話の中での共同制作などを展示。「被害者と加害者の振り分けを越えて」は、会場に渡辺氏が作成したコンクリートタイルが敷き詰められており、そこを壊しながら歩かないと作品を見ることができない。つまり足元のタイルを壊して加害者にならないと作品に近づけない状況を作っており、気づかずに人を傷つけていることを可視化した展示である。

オープニングでは渡辺氏は、「ここに居る人たちで喜びを感じ合いましょうではなく、今日ここに居ない人の事を想像してみてほしい」と。

これまでの活動をまとめた作品集『I’M HERE』も刊行。

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『I’M HERE』1,000円+税
会期中のみ税込1,000円で販売