ヴッパタール・タンツテアター・ピナ・バウシュの中心ダンサー、エレナ・ピコンさんと瀬山亜津咲さんのデュオ公演です。ふたりが立って歩くだけで、打ちっ放しのコンクリートの倉庫空間が、いろいろな思いに満たされたように見えてきます。何気ない動きのなかに何かがある。良いダンサーとはそういうものなのかもしれません。タイトルは「Untitled」、無題です。この踊りは、ピナの振付や自分自身のピナや大野一雄への思いをコラージュしたので、題は無い方がいいと思いました、と語る瀬山さん。床のくぼみに赤ワイン注ぐ。この建物をグラスに見立てて、ピナが好きだったワインで乾杯したかった、とエレナさん。そうだったのですね。ふたりの思いが素直に伝わってくるダンスでした。
新朝鮮通信使:イ・ヨンスさん来浜
BankARTは数年前から「続・朝鮮通信使」をおこなっているが、釜山文化財団は、今年から「新朝鮮通信使」というプログラムを始めた。このプログラムは、日本国内の朝鮮通信使ゆかりの地に、釜山からアーティストを派遣し、日韓の新しい交流をはかるものだ。
この枠組みで現在9.21より、イ・ヨンスさんがレジデンスアーティストとして、来浜されている。ヨンスさんは、文学や国際交流が専門で、日本語もかなり上手だ。約1ヶ月の滞在で、横浜を中心とした創造都市やアートスペースの調査研究をしながら、詩を自作し、最終的には詩集を作成される予定。BankARTまわりで行なわれている活動には興味津々で、開催中の大野フェスの公演やスクール等のプログラムにも積極的に参加している。また自転車で、かなり遠方まで、近辺をリサーチしている。
そんなヨンスさん、みなさんにもいつか、お話を伺いにいくかもしれません。よろしくお願いします。
大野一雄フェスティバル2012 「集まれ! ダンスアーカイヴ」トークセッション 石井漠を巡って
「集まれ! ダンスアーカイヴ」展示では、舞踊家石井漠の資料を展示しています。石井漠(1986-1962)は、帝国劇場の歌劇部員として舞踊を学び、1920年代に渡欧、帰国後石井漠舞踊研究所を開きました。日本の洋舞史の原点に立つ舞踊家であり、沢山のお弟子さん達が現在も活発に活動をしています。1930年代、大野一雄もまた石井漠の弟子でした。その石井漠の歴史資料は、ときおり公開されることはありますが、まとまって見られる場所が残念ながらありません。「日本の現代舞踊のパイオニア、石井漠の足跡を辿り、保存することの意味」をめぐって、愛弟子石井かほるさんと舞踊批評家山野博大さん、立木あき子さんにお話し頂きました。貴重な資料が散逸の危機に瀕している状況や、保存運動がなかなか実を結ばない事情が、現場をよく知る人たちの言葉で熱く語られました。