1Fと2Fギャラリーでは、「集まれ!ダンスアーカイヴ」の展示を行っています。日本洋舞史の重要人物、石井漠、崔承喜、大野一雄、土方巽、石井みどり、高井富子、池宮信夫、矢野英征、ピナ・バウシュ等の貴重なアーカイヴ資料、舞台美術、衣装など展示しています。なかでも、1960年代の若き日のピナ・バウシュを撮影したヴァルター・フォーゲルによる写真6点、ビデオインフォメーションセンター撮影の大野一雄、土方巽、笠井叡の70年代作品映像、1959年大野一雄がヘミングウェイに宛てた手紙の直筆草稿など重要資料満載です。これから日本に総合的な「ダンスアーカイヴ」ができるよう、この展覧会が、資料を集めるだけでなく、人や資金を集めるアーカイヴ運動のきっかけになると言いと思います。
大野一雄フェスティバル2012 「病める舞姫」を読み解く作品連続上演vol.1
土方巽の著作「病める舞姫」をテーマに、カナダのダンサー、ジョスリーヌ・モンプティ、文楽太夫豊竹英太夫、三味線の鶴澤清友に舞踏の由良部正美、そして土方の直弟子和栗由紀夫がそれぞれの作品を上演しました。「病める舞姫」は、土方巽の代表的な著作です。2Aギャラリーのダンスアーカイヴ展示では、「新劇誌」初出時の土方自身の校正原稿も展示されています。難解な書ですが、それでいて土方その人を感じさせる文章でもあります。ダンス、義太夫、舞踏とそれぞれ独自の解釈による「病める舞姫」に見入る満員の観客。土方巽への止むことの無い熱い視線が感じられました。
BankART school 村田真「役人のための現代美術2」公開講座<br> 「まこりんが見た dOCUMENTA(13) 」
村田校長による公開講座。最近終幕した2つの国際展、ドイツ・カッセルの「ドクメンタ13」と、ベルギー・ゲントの「トラック」の報告会。レギュラーのゼミ生に加えて、単発受講でたくさんの方にお越しいただき大変にぎわいました。
これまで数々の国際展を見てこられた村田校長。今回のドクメンタは13回目を迎えていますが、テーマがないといいつつ、これまでの形骸化した国際展とは異を放っており、これを「ドクメンタの逆襲」と形容されていました。
「トラック」は、ヤン・フートによる「シャンブル・ダミ」(1986年)の延長線上にある野外展。ディレクターのひとりは、そのヤン・フートの過去2回のゲントでの野外展に関わっていたフィリップ・ファン・カウテレン。市民にはストレートに展覧会の作品を受け入れていない人もおり、いくつかの作品は攻撃されたり、破壊されたりがあったようですが、無視されるより、議論が起こることはいいことだ、という村田校長の話に納得。もともとヤン・フートも、そういう「議論」を巻き起こすために展覧会を企画したのではないか、と。ヨーロッパの実力を実感したのでありました。
川俣スクールagain(三回目): BankART School
川俣氏の大規模な個展がもうじき始まるので、同時期に「川俣スクールagain」を組んでいる。川俣スクールとは、氏が2005年の横浜トリエンナーレでディレクターをつとめたときにZAIMで行なっていたスクールの名称。今回も多彩なゲストを交えながら12回のゼミを組んでいる。前半は「川俣正を語る」ということで氏と関わりのある人を招きながら、氏の作品と人を語ってもらっている。今日の3回目のゲストは山野真悟氏、帯金章郎氏、正木 基氏、司会は村田真氏。ほぼ同時期に福岡と札幌で川俣氏をプロジェクトデヴューさせた人たちが揃ってくれた。各人とも、その後アートシーンで重要な仕事をされている面々だが、ご自身のことも含めて、川俣氏の行動力と周りに与えた影響について語って下さった。身内のような、けれど重要な専門家による暖かい深い話だった。
大野一雄フェスティバル コミュニティダンスとしてのPARAPARA part2
フェスティバル全体のプログラムでひときわ異彩を放っているリサーチプロジェクトです。PARAPARAは、もちろんユーロビートでディスコを一世風靡したパラパラダンスのこと。最近はアニメソング(通称アニソン)で、コスプレのイベントで踊られているそうです。そんなパラパラダンスの「生命力」に焦点を当てて、コスプレイヤーにも集まってもらい、また、コンテンポラリーダンス振付家カワムラアツノリさんに新しいパラパラの振付にチャレンジしてもらい、さらにコミュニティダンスとしてのパラパラの現在について考えるシンポジウムを企画しました。ところが、あいにくの台風上陸。波浪警報も出される中で、お客様とスタッフの安全も考え、イベントは途中で中止せざるを得ませんでした。残念無念。シンポジウムは開催できませんでしたが、台風の中集まってくれたみなさん、本当にありがとう。いつか日をあらためて企画復活します
大野一雄フェスティバル2012 「Dance Experience」を読み解く 笠井叡「あんまの方へ」
「あんま」は土方巽の初期の代表作です。1963年に、土方巽Dance Experience の会「あんま — 愛欲を支える劇場の話」として上演されました。その作品の与えた衝撃は半世紀を経ても、見た人の心を去らないようです。笠井さんとトークに参加される巖谷さんもそのときの観客でした。「あんまの方へ」はその「あんま」へ近づこうとする笠井叡の強い意志を感じさせる作品です。「あんま」がぐるりと演者を囲む観客の視線のなかで起き、有無を言わせず丸ごと観客をパフォーマンスに巻き込んだように、「あんまの方へ」も、2階の展示会場を満員の観客を引き連れて移動していきます。人が多くて見えないから、背伸びして、人と人の間から見える位置を探していく。笠井さんのあふれ出るような即興舞踏を、観客は「見る」のではなく自分自身の「体験」として受け止める時間でした。
大野一雄フェスティバル2012 「集まれ! ダンスアーカイヴ」トークセッション 捜真女学校における大野一雄の聖劇
大野一雄は、横浜で長い歴史をもつミッションスクール、捜真女学校で体育教員として務めていました。大野一雄がダンスを始めたきっかけの一つは、女学校の体育授業でダンスを教えなくてはならなかったからだそうです。体育だけでなく、学校のクリスマス礼拝では、聖劇の指導を行い、自らも出演し、マリアを演じていました。今すでに大野一雄の直接の指導はありませんが、この聖劇は現在の捜真女学校に受け継がれています。ダンスを意識的に継承することは、ダンスアーカイヴの重要なテーマです。どんな方法と思いで、生徒達は聖劇を受け継ごうとしているのか、現場からの生き生きとした報告を聞くことができました。また大野一雄の聖劇の映像を見ながら、学校におけるダンスも大野一雄の生活と舞踏に、密接に繋がっていることがわかる興味深いトークセッションになりました。