「雨ニモマケズ」展オープン 2019年3月1日

「雨ニモマケズ」がはじまった。BankARTの新しい拠点、みなとみらい線「新高島」の地下1Fの「BankART Station」とCreative Network事業のアーティストスタジオとして活用している「R16スタジオ」のニカ所がその会場だ。鑑賞する人は、徒歩6分離れたこのふたつの会場を移動することになる。

展覧会案内にも記しているように、このニカ所、16年間もの長い期間眠って場所だ。横浜市は旧市街地を通っていた東横線の横浜駅~桜木町駅間の運行をとりやめ、新しく海側にシフトしたみなとみらい線を開通。廃線跡は遊歩道としての活用を検討、新高島は新規開発を期待されていた場所だが、なかなか進展をみない。

こうした状況の中、廃線跡高架下とぽっかりとあいた新高島駅の地下構内をアート事業に活用させてもらうことになった。この展覧会は、まさにこうした都市構造の大きな変遷の隙間(VOID)にあり、積極的な言い方をすれば、旧市街地と新市街地(みなとみらい)を繋ぐプログラムだ。
 
今から11年前、「国道16号線を越えろ!」という展覧会を企画実施した。それは今回の展覧会と同様、旧市街地と新市街地を往来するプログラムだった。
今もその想いは変わらない。私たちのミッションは、確かに旧市街地を元気にすることということで始まったプログラム(創造都市構想)ではあるが、それは同時に、旧市街地と新市街地を結びつけるプログラムでもあるのだ。

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TPAM オープニング・セレモニー 2019年2月11日

TPAM(国際パフォーマンス見本市)のレセプションが、2月8日にオープンしたばかりの、BankART Stationで開催された。写真にあるように、ひと、ヒト、人。がいじん、ガイジン、外国人。300名を越えるひとときの多国籍の街が突然誕生した。要人の挨拶のあと、演劇、ダンス界を代表する有識人によるシンポジウムが開催され、多くの聴衆をえた。
BankART Stationの工事が遅れており、まだ空調機が始動していなく、この間の寒さが気になったが、もともとの地下の安定温度と人々の熱気で、なんとかしのげたようだ。トイレが少ないという問題も、みなとみらい線高速鉄道の配慮で、改札フリーパスで駅内のトイレを使わせてもらうことができた。
日程的には、ばたばたのきついスケジュールだったが、これまで、NYKで開催してきたTPAMが、BankARTの次の拠点の決定をまってくれ、この新しい空間を活用してくれたことは嬉しい限りだ。

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BankART Stationオープン 2019年2月8日

2019年2月8日、BankART 1929の新拠点、「BankART Station」がオープンした。展示室、倉庫室、通路の専用使用部分含めて、約1500平米の空間だ。計画当初、倉庫部分の使用しか認められておらず、穴蔵的な空間になってしまうのを危惧していたが、最終的には道路部分を使用したエントランスを設けることができ、パブリック~プライベートな往来を実現することができた。横浜市文化観光局、道路局、みなとみらい高速鉄道の各担当者のご尽力による賜物だ。
次のオープンは2月11日のTPAMのレセプション時。そして、少し工事期間などをおいて、3月1日からは、最初の企画展「雨ニモマケズ」が始まる。
カフェをスタートするには、もう少し準備に時間がかかりそうだが、実現させたいと考えている。これまでのBankART Studio NYKでの運用経験を踏まえながら、これからどんな人が訪ねてくれ、また発信していけるか、丁寧にリーディングし、アプローチしていきたい。

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コハマ創造界隈アーティストトーク 八幡温子(横浜シネマリン) 2019年1月12日

横浜市中区伊勢佐木町にある老舗ミニシアターを運営する八幡温子氏を招いてのトーク。もともと映画サークル「茅ヶ崎良い映画を観る会」に入会し、事務局長を担当、「横浜キネマ倶楽部」事務局長など、横浜の映画ファン・運営と両者の立場で支えていたこともあり、シネマリンが閉館危機に陥っていたのを知った時、引き継ぐことを決意したとのこと。4年前、親から受け継いだお金でリニューアルし、全体の席数を減しゆったりとした空間を提供。現在では珍しい35mmフィルムも搭載していることに、参加者も驚いていた。上映の編成は、旧作、インディペンデント映画など、映画ファンへ向けたプログラムを組んでいるとのこと。また、チラシをいろんなお店に置いてもらったり、ミニシアターのジャック&ベティとの割引の連携、こども映画教室を行なうなど 地域との関わりや活動も行ない、日々奮闘している活動を聞くことができた。質疑では、動員、経済など、運営についての質問が多く挙げられた。経営的に自力をつけることはもちろんだが、文化事業として行政との連携も考えてもいいのではないかという意見もでた。

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茅ヶ崎良い映画を観る会

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ヨコハマ創造界隈アーティストトーク 浅野宏治+茂木隆宏(ノガン/コーディネーター) 2018年12月22日

お二人は、創造都市のスタートと機を同じくして育ってきたチームである。
BankART Studio NYKオープン当初、まだ学生だった二人は、BankARTのカフェで仕事をするなど、頻繁に出入りしていたそうだ。その後も、BankART 関連のプログラムに関わり、北仲BRICK&北仲WHITE、宇徳ビルヨンカイ等を経て、現在は独自にジャパンエキスプレスビルに拠点を移して活動中だ。初期に行った、「ノガンのおでん」は、横浜食材を、おでんを通じて多くの人に知ってもらい、味わってもらうことを目的とした期間限定の屋台店舗。まったく赤字のイベントだったそうだが、おでんをコミュニケーションツールとし、その後の横浜食材のイベント、ケータリングの運営やコーディネート業など多くの仕事に繋がっていった。近年では、横浜駅西口の仮囲いに、地元の食材、お店を広告ツールを運営を担当するなど大きい仕事も担当している。地域に根ざし、成長してきた彼らだが、横浜にとどまらず、さらに飛び立ってほしいというエールが会場から贈られた。

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おでんプロジェクト

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寿灯祭 2010

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have a Yokohama(横浜駅西口仮囲い編集室)

ヨコハマ創造界隈アーティストトーク 海洋市民大学 2018年12月15日

海に関係する講師に招き、横浜の海を深く広く楽しく考える海洋市民大学。
今日は、その会を推進している金木伸浩氏、水井涼太氏からお話を伺った。
前半、代表の金木氏がこのゼミナールの概要を説明。発足から5年継続しており、セミナーや現場でのワークショップを年、数十回の重ねてきており、受講生は小学生から90歳まで約2,000人を超えるとのこと。

ダイバーでもあり、海関係の社会起業家である水井氏は、横浜の海の実態とその可能性についてお話しいただいた。横浜の海はほぼ埋立地で、自然護岸はほとんどないが、この間の環境整備によって、フジツボや牡蠣などが、広く生育しており、またスズキや黒鯛などもつれるほど、環境はかなり改善されてきており、都市部としては生物あふれる海とのこと。
問題は海と親しめる機会や場が少ないこと。小学校でも学習要領に海は扱われておらず、海は眺めるだけのものという意識が拭えない。「海にのりだす、のぞく、くつろぐ」といった活動をもっと生み出すために、そういった具体的な活動を積極的に仕掛けると同時に、法的な既成や海岸(護岸)のハード面の整備を推進していきたいとのこと。
会場からは、横浜の海の豊かさを再認識したという声も多かったが、国との関係において横浜市民の問題(シティズンプライド)としての海という知見には至っていないし、そのハードルを越えるのは難しいという意見もでた。

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左:金木伸浩氏、右:水井涼太氏

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講義風景

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生態観測

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ヨコハマ創造都市を巡る リレーレクチャー 恵良隆二+杉崎栄介 シルクセンター会議室 2018年12月7日

恵良隆二には、横浜市創造都市の歩みと骨子(都市計画の視点から)について、杉崎栄介には、ACYが行っている中間支援の内容についてお話を伺った。両者とも、かなり突っ込んだ内容迄言及され、これまでの歩みと、今後の課題を明確に示された。

恵良氏は、三菱地所の職員として、みなとみらいの埋め立て地時期から、横浜の都市開発に深く関わり、ランドマークタワーや、クィーンズスクウェアなどの建物群はもちろんのこと、現在の横浜(これからの横浜)を形成する都市軸の理念について、詳しくお話された。ウォーターフロント開発時、アーバンデザイナーである北沢氏と知り合うことになり、その後、旧横浜船渠第2号ドックの保全活用調査を共同で行い、関内地区のまちづくり、創造界隈形成推進委員会とつながっていったそうだ。横浜市における創造都市のポジションの変化にも言及され、当時目指していた創造都市から見えにくくなったもの、希薄化したもの、狭まったもの等を明確に指摘された。また創造都市10年の成果の今後への繋ぎ方や、文化芸術への行政や市民のスタンスなど、極めて重要な「思想」をミクロとマクロの視点を何度も往来しながら、的確に指摘をいただいた。
最後に、現市庁舎の行方について、「創造都市政策に関わっているものは、これに対して意見を述べなければいけない。残す・壊す意見どちらにしても、自分の意見を言わなければいけない。北沢氏が亡き後、創造都市にこれまで関わった立場として、創造都市の思想で市庁舎のことを答えなければいけない。」と我々に奮起を促す力強い言葉をいただいた。

杉崎氏には、2007年から立ち上げたアーツコミッションヨコハマ(ACY)について説明していただいた。ACYは、横浜で活動するクリエイターをサポートする役割を担っており、主な活動として、クリエイターへ活動支援(経済的な)、クリエイターのネットワークを構築(=関内外オ―プン)、ウェブ等の情報発信である。

事務所開設などを直接サポートする支援を継続しているが、さらに展開して、2017年からはクリエイターが社会的な問題を行うプロジェクトを支援する「クリエイティブインクルージョン」、若手作家の支援制度「クリエイティブ・チルドレン」など新たな助成も発足させている。
関内外オ―プンは、毎年続けておこなっていること、そして界隈のアーティストの定着増加したことが影響し、今年度は、会場数60超、参加スタジオ100超、来場者数3,300名と年々数を伸ばしているそうだ。

「芸術が役に立つかどうかではなく、行政や財団が、芸術や社会の良き道具に立つにはどうすればいいのか。芸術を鏡として自らの道具を磨く、それが評価や調査だ。」と、杉崎氏。
ACYは、事業評価に関しても単純な数値による限定されない伴走型評価を導入している。クリエイターひとりひとり、分野や目的、目指す到達点が違うことを認め、ACYスタッフ+評価調査チームが、成長を目的として評価の仕組みをアーティストや事業運営団体と伴走しながら策定し、審査会の評価、社会の評価へと繋げていく。社会のための芸術助成として、どのような形にして継続するか、モデル化になるか、ACY自体が積極的に変化しながら取り組んでいるそうだ。

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F1963での展覧会(韓国釜山) 2018年11月17日〜12月23日

釜山文化財団が新しく関わることになった、現在の韓国でもっともビビットな「F1963」で開催されたグループ展に参加してきた。ここは2年前、釜山ビエンナーレの第二会場として使用されたワイヤー会社の工場跡。そのときは主にファサードだけが新しくつくられ、中は雨も降るし、巨大な機械があちこちに残っているし、まるで廃墟の中での展覧会のようで、非常にアナーキな空間だった。今回は見事にリノベーションされ、古い工場と新しくつくられた白い壁面や天井、鋼鉄製の工場ラインをそのまま残したカフェのカウンターなどがうまく反応し、見違える空間に変身を遂げていた。総面積は4,500㎡で、アート部門はおさえていて全体の1/3程度。ビールやまっこりの醸造所、バンケットルーム、図書館、ブックショップ、カジュアルなカフェ、中庭のイベント広場などのが、連続した空間の中に次々と現れ、生活空間の楽しみや豊かさを強調した会場になっている。また社員寮だった場所も、シンプルなホテルタイプの宿泊施設(80部屋)に改装され、心地よい空間を提供していた。

我々BankARTの展示空間は約350平米。丸山純子さんの花と髙橋啓祐さんの映像のコラボレーション。BankART Life Vの再現に近い作品だが、部屋の大きさも、コンディションも異なるので、あたらしいインスタレーションとして、自然で新鮮な感じでこの新しい「工場空間に」にヒットしていた。会期2018年11月17日〜12月23日。釜山の駅から車で30〜40分の場所に位置する会場だ。

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展覧会詳細はこちら
http://www.f1963.org/en/?c=art&s=1&syear=2018&gp=1&gbn=viewok&ix=139