Creative walkway アートと食と街  食と現代美術vol.8 第3弾

BankART KAIKOとBankART Station で 10/19まで開催中!

村田峰紀

voice( 素材 木炭、ジェッソ) 木炭をマイクに見立て無言の声でロックを唄う

撮影:杉本 篤

self(素材 鉛筆HB)口の中に入れると冷たく、かたく、苦い。まずい。病院の匂いがした。私の口から全てを吐き出そうと一生懸命になった。今とても不快である。

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熊澤桂子

不揃いの人参たち。ここに登場する人参は、通常収穫の際にはねられる、市場には通常でてこない農作物である。彼女は、こうした人参をどこから手に入れ、ガラスで型取り、FIXしてしまう。できあがったガラス製の人参は「かたちのととのった商品としての人参」からははるか遠いところに位置し、野生の人参の自由な生き様をみせてくれる。

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井原宏蕗

ペットフードで動物の形を造り、そのまま燃やして、金属へと置き換えた作品。

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橋本康ニ(フルコース映像作品/2010年)

「食と現代美術vo.l.6」のテーマはフルコース料理。このプログラムを橋本康ニさんが、youtubeにアップしてくれている。

フルコースというと、通常テーブルで待っていると、前菜からはじまり、メイン、デザート迄料理を順番に運んでもらう贅沢な食事のとり方をイメージするが、このフルコースは全く仕組みが異なる。ひとことでいうと、街の中に用意された場所を一品づつ食するために、こちらから尋ねていくプログラムなのだ。BankART Studio NYK カフェからスタートして、BankART入口部の木村崇人氏企画の出前調理人シリーズの電流料理。街中にでて、白井美穂氏が演出したギャラリーを変形した思想家喫茶、メニューには毛沢東とか、レーニンとか大物の名前が並ぶ。さらに進むと、野毛ゾーン(横浜の大きな飲食街)で鎮座する三宅航太郎氏が扮する占い師。鯨を食べれる店を占ってくれ、お店を案内してくれる。松田直樹氏のお米でできた調度品からなる部屋では、実際のご飯をパックにもらいうけ、その後、一般の家庭が提供してくれるおかずをもらいに家を尋ね、昼食をとる。最後は大岡川沿いの桜の木が満開の中、桜餅を提供してくれる開発好明作の発泡スチロールカフェへ。てな具合で、参加する人は、食を楽しみながら横浜の様々な街を巡る事になる。

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片岡純也

20歳の頃ペリエが天然の炭酸水と知り、なんて素敵な水だろうと思った。フランスパンはフランスではバゲットという。焼きたてのバゲットは柔らかく香ばしくパリの石畳の街路でかぶりついた。次の日にはパンはカチカチに硬くなり作品のパーツになりそうだと着想した。ペリエとフランスパン、見ると心が浮き食べるとその頃を思い出す。バゲットの凹凸にあわせてLED が上下し、光がペリエの瓶を通してゆらゆら揺れる。

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【展覧会情報】

食と現代美術vol.8「アートと食と街」
2021年10月1日[金]~19日[火] 11:00~19:00
料金:¥900(中学生以下及び、障がい者手帳お持ちの方と付き添い1名は無料)
会場:BankART KAIKO(馬車道)、BankART Station(新高島)、新高島駅構内B1Fの歩道部分壁面

http://www.bankart1929.com/bank2020/news/21_029.html

Creative walkway アートと食と街  食と現代美術vol.8 第2弾

BankART KAIKOとBankART Station で 10/19まで開催中!

札本彩子
脳や心臓などの人間の器官を食べ物に見立てたシリーズ。
モシャス:不意に、日用品や道端に落ちている瓦礫の破片などが、食べ物に見える瞬間があります。そこから膨らませたのがこのモシャスシリーズです。対になった造形は、リアルとフェイクを錯綜させながら、見慣れた風景に仕掛けた罠のように佇んでいます。

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自転車部(部長:KOSUGE1-16 土谷)
かき氷自転車。タイトルの通り、自転車をこいで、かき氷をつくるという単純な作品である。今回の食と現代美術は10月開催なので、既にかき氷の季節ではないが、夏休みらしい夏休みがなかったのだから、ちょっと寒くっても子どもたちには、コロナには十分気をつけて、うんと楽しんでほしい。

山本アンディ彩果
砂糖漬けという手法で作品をつくり始めたきっかけは、認知症の祖父との二人暮らしだった。一瞬前の出来事ですらすぐに忘れてしまう祖父を前に、記憶が消えたり曖昧になることによって私たちの記憶がフィクションになっていくように思えた。この事からおとぎ話(=フィクション)の本を砂糖漬けにしていく作品『エターナル・ストーリー』の制作をはじめた。果物などを美しいままに保存する砂糖漬けという技法は、失ってゆく記憶をとどめようとする行為と似ている。

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松田直樹
お米でできたエプロンはビーズでつくったようなおしゃれで高貴な作品。テーブルの上の作品は、妊娠中の奥さんのおなかを型どったもの。

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松本秋則
朝、昼、晩にお菓子を食べ続けた、Super Size Meもどきである。そうだ!私はお菓子を食べるためにお菓子を買ったのでは無い、楽器を作るためだ。お菓子箱を押してみてくれ、RITZ、きのこの山、Ghana、パイの実、ALMOND、でどんな音楽が出来た?

【展覧会情報】

食と現代美術vol.8「アートと食と街」
2021年10月1日[金]~19日[火] 11:00~19:00
料金:¥900(中学生以下及び、障がい者手帳お持ちの方と付き添い1名は無料)
会場:BankART KAIKO(馬車道)、BankART Station(新高島)、新高島駅構内B1Fの歩道部分壁面

http://www.bankart1929.com/bank2020/news/21_029.html

Creative walkway アートと食と街 食と現代美術vol.8スタート!

2021年10月1日〜19日

@ BankART KAIKO+BankART Station(新高島)+新高島駅構内B1Fの歩道部分壁面

食と現代美術vol.8がはじまった。食と現代美術はBankART1929がスタートしてから、これまで7回開催してきている。ギャラリー内だけで開催したもの、街中のお店等と連携したもの、ギャラリー空間を本物のレストランのように仕上げて料理を振る舞ったもの等々、様々な方法で「食」と「美術」にアプローチしてきてきた。

チラシにも記したが、今回の食と現代美術は、北仲地区、新高島地区に新しく誕生する食文化(街)と連携する計画を立て、具体的に店舗と打ち合せも行っていたが、継続された非常事態宣言は、そういった試みは許してくれなかった。残念ながら、BankART KAIKOBankART Station二館だけの催しになった。

とはいえ、参加作家は皆、工夫を重ね、興味深い作品を提案してくれた。少し紹介しよう。

北風総貴氏(ヤング荘)は、これまで食と現代美術全展覧会のグラフィックを提供してくれている。通常はチラシやポスターのベースになるものだが、今回はポンジクロスで大きく引き延ばしてみた。ご覧あれ!

開発好明氏の作品は、卓球台をコーヒカップとみたてて、試合をすることでコーヒー&ミルクが混ざり合うのを楽しむプログラム。通常はコーヒーカップの中でくり拡げられるささやかな営みが、公の空間で観客に見られながら展開されていく。オンザテーブル混在のプロジェクトは、地球上でおこっている様々な溶融を隠喩させる。

武藤 勇+君塚史高+加藤良将+札本彩子は、横浜の片隅でポップコーンを中心に愛をささやくというタイトルの作品。トウモロコシのはいった釜に向かって愛の言葉をささやき続けると、釜の温度があがり、「ハイ、一丁上がりのポップコーン」。

牛島智子氏は、次のような作品。(作家言より)

「糖の作り方を書いた本からイメージを得て、『サトウキビを絞る牛』という展示を行った。父は農耕牛が2頭いたという。その牛が引いたであろう鋤が納屋根裏にホコリをかぶって何十年もぶら下がっていたので、今がその時と補助ロープをつけて縄を解き燭台に仕立てた。ズッシリと重い。後略」

祐源紘史氏のケンタッキーフライドチキンの骨で作成した骸骨は、ごく普通のフィギアにみえてしまうので、特別な印象はうけない。ただ、私たちが食したチキンが、私たちの骨格を構成し、「生かしてもらっている」という関係をあっけらかんと表現しているのに気づかされる。

「絵画に現れる食のイコン」を村田真氏に再トライしてもらった.ダビンチ、フェルメールなど含む、有名な古典絵画53点を60mに及ぶ大壁面に展示。最後の晩餐等の特大サイズを除き、ほぼ原寸大でプリント再現した。村田氏のコンパクトな紹介文が的確でみずみずしい。(後日、続編記載予定)

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続・朝鮮通信使 韓国AIR報告展スタート

2021年9月10日〜26日 @BankART KAIKO
2010年ごろから継続的におこなってきた「続・朝鮮通信使」。2017年からは、それまでのツアー中心の活動を展開して、交換AIRのプログラムを開始。5名の韓国人作家を横浜に受け入れ、5名の日本人作家を韓国各都市に送り出した。本来、終了した段階で、報告展を行う計画であったが、日韓関係の外交悪化(文政権)、BankART Studio NYKの解体、コロナ問題などで、活動が途絶えてしまった。
今回の発表は、遅ればせながらの再スタートだ。5名の作家の、当時滞在先で制作した写真、映像作品、また交流の記録を展示している。来年度からは再び、続・朝鮮通信使のプログラムを積極的に行っていきたいと願っている。
簡単な報告集(300円)あり。
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蔵 真澄
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太田信吾
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黒田大スケ
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下西 進
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中川達彦
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mofgmona no zakka traveling shop in Yokohama 開催

2021年8月24~29日 BankART KAIKO

沖縄本島にある沖縄の器のセレクトショップ、mofgmona no zakka(モフモナノザッカ)の展示会がBankART KAIKOで開催されている。琉球ガラスやぽってりと厚い形状の「やちむん」など、沖縄の伝統的な器もあれば、素材や形、絵柄がユニークな現代美術の作家の作成するような器が多く出展されている。常連の方、通りすがりの方が、多くお見えになられ、購入されているようだ。

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BankART AIR 2021 SUMMER終了

2021年8 月18日 @BankART Station

6月14日~ 8月17日までBankART Stationで開催した21組の制作スタジオが終了した。コロナ禍の中、いくつかの展覧会がキャンセルする流れのなかでの制作スタジオへの変換であったが、オープンスタジオも含めて、アトリエとしての活用もうまく機能したようだ。少しは、昨年度失ったR16スタジオのフォローができたと思う。

贅沢かもしれないが、発表する場所、制作する場所は近くにあった方がいい。

発表する場所は都心部で制作する場所は田舎でよいという論理も間違いではないが、市場がそうであるように、水揚げと、仕込みと、販売が一緒の方が、はるかに懐が深く、売る人も、買う人も、元気のいい豊かな時空を共有できるからだ。

制作場所を発表する「オープンスタジオ」という機能は、そういった意味で、造る作家同士の温度をあげ、見学にこられる人に、予想だにしなかった作家のエッセンスを伝える事になる。

BankART 1929としては、この仕組みを、もっと日常的に都心部で整備していく方向での構築にトライしていきたいと考えている。

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中屋敷 南パフォーマンス 撮影:田中哲男

BankART出版紹介 vol.2 川俣 正 『Expand BankART』

今回取り上げたい書籍は、2012年から2013年にかけてBankART Studio NYKで開催した川俣正展「Expand BankART」のカタログだ。BankART Studio NYKの象徴的な作品となった本展覧会の足跡を辿ることができる。

本カタログは、これまでの川俣氏の軌跡を振り返ることが出来る全作品目録、本プロジェクトに向けたスケッチや模型などが載っている「Plan for Expand BankART」、本展や関連イベントBankART schoolの様子などが記録された「Documentation of Expand BankART」の三巻構成だ。

一冊一冊見応えのあるものとなっているが、特にプロジェクトの痕跡を見ることが出来るカタログも含まれているのは、「制作プロセスそのもの」も作品であるという川俣氏の作風に合った見せ方である。

本プロジェクトの特徴的な点は、プランと作業をほぼ同時進行で行ったことである。横浜という「場」と、そこで出会った「人」と関係しながら、絶えずプランを変え生み出されていった。残念ながら現在は施設自体が解体され作品を見ることは出来なくなったが、この場で起きた変化やコミュニケーションはしっかりと本カタログに残されている。

また、現在は三冊まとめて販売されている本カタログだが、当時は三回配本される仕組みとなっており、最後の記録集は展覧会が終了した後に配送されるという前払いシステムになっていた。現在では、いくつかの美術館などでも同様なことが採り入れられているが、本カタログがその先駆けとなったのは間違いないだろう。

執筆:㋖

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川俣 正『Expand BankART』
A4変形判 3冊セット 計352ページ
¥3,000+税
購入はこちらから
http://www.bankart1929.com/bank2020/book/index.html

BankART出版紹介 vol.1 BankART入門編「City Living BankART1929’s Activities」

「この書籍はこれまでの活動のエッセンスです。横浜に誕生したBankART1929がどのように都市に棲み続けてきたかを感じ取っていただければ幸いです。」

本書の冒頭に書かれている説明文の最後の一節である。

「棲む」という表現がBankARTらしいなと感じるが、この本はまさにBankARTの「生態」を垣間見ることが出来る。同施設を知らない人にとっては入り口となるような、知っている人は過去を振り返り懐かしく思うだろう。

本書の構成は2004年〜2015年までのBankARTの活動を13つの項目に分けて紹介している。ページをめくりながら、しみじみと「色々なことをしているな〜」とその活動の幅の広さに改めて驚く。

というのも、川俣正氏や原口典之氏など大規模展覧会をやっているのかと思えば、U35シリーズなど若手作家を支援する活動も行なっている。また、美術だけでなく大野一雄フェスティバルなどパフォーミングアーツも企画しているし、横浜トリエンーレとの連動企画「BankART Life」もある。さらに、活動は国境を飛び越え、続・朝鮮通信使シリーズとして韓国や、横浜市と台北市の交流プログラムなども活発に行なっている。

例をあげれば枚挙にいとまがなく、一つずつ紹介していくと日が暮れそうなので、ここまでにしておきたい。

もし気になる展覧会やプロジェクトがあれば、それぞれの活動をより詳しく紹介した単独の本があるので、ぜひ読んで頂きたい。

ここまでつらつらと書いてきたが、最後に私が言いたいのは「BankARTを知りたければこれを読め!」の一言に尽きる。

執筆:㋖

『City Living -BankART1929’s Activities』
B5変形判 184ページ
¥1,200+税
購入はこちらから
http://www.bankart1929.com/bank2020/book/index.html

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BankART AIR 2021 SUMMER オープンスタジオ

2021年8月8〜9日、13〜15日
@ BankART Station

BankART Stationにて、6月中旬から2ヶ月間行ってきたクリエイターのスタジオ事業の成果発表も兼ねてのオープンスタジオを開催した。

コロナ禍の重ぐるしい日々が続く中、作家たちの活動はちょっと元気がない印象だった。だが、公開した会場では、久しぶりの知人との再会や興味をもって話しかけてくる観客に丁寧に対応、マスク越しでも作家たちの笑顔を垣間見ることができた。

後半3日間も細心の注意を払いながらオープンしていく。

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横浜の街並みを一望 46階展望スペース

現在、徐勇展を開催しているBankART KAIKOだが、その施設の反対側にある高層ビルの最上階に行かれたことはあるだろうか。

実は、横浜の絶景を無料で一望できる超穴場スポットがそこにある。

KAIKO入り口の反対側にあるエレベーターから一気に46階に上がると、ホテル「オークウッドスイーツ横浜」のロビー階に行くことができる。宿泊者でなくても開放的な雰囲気があるため気兼ねなく行けるのも良いところ。到着すると、一瞬で目を奪われる横浜の絶景が広がっている。しかも、フロア全体が360度のパノラマが楽しめるようになっており、上から見渡しながら、「あれは赤レンガ倉庫だ」とか「あそこは山下公園」等々見つけながら眺めていると横浜を観光した気分にもなれる。

また、同フロアにはレストランやバーなどもあり、素晴らしい景色を眺めながらの食事はまた格別だろう。そして、実は喫煙所もある。タバコを片手に横浜の絶景を眺めながら一呼吸置いてはどうだろうか。

どんな人も満足できるだろうこの場所にぜひ足を運んでみて欲しい。

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【展覧会開催中】
徐勇展「THIS FACE」
2021年7月16日[金]~8月16日[月] 11:00~19:00
会場:BankART KAIKO(横浜市中区北仲通57-2 北仲BRICK&WHITE 1F) 
入場料:700円(64頁小冊子付) 無料(障害者手帳お持ちの方) 
主催:BankART1929  協力:劉檸 海牛子。

www.bankart1929.com/bank2020/news/21_023.html